俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

直行便

2008-10-11 14:31:20 | Weblog
 海外旅行のおいて直行便の魅力は大きい。私が年に2回旅行するセブ島を例にして、マニラ経由の場合と直行便とを比較すると主に4つのメリットがある。
 ①安全性 航空機事故の大半は離着陸で起こる。その恐ろしい離着陸が半減する。つまり事故に会う確率が半分になる。②移動時間 乗り継ぐ場合、延着に備える予備時間を含めて約2時間の乗り換え時間が必要だ。また離着陸のための上昇・下降や着陸のための減速によるロスタイムがあるので、直行便なら4時間のセブへの飛行が乗り換え便では7時間ほどかかる。③初日と最終日 乗り換え便なら朝出発して夕方着になる。つまり乗り換え便では初日と最終日は殆ど移動日になってしまう。直行便なら移動日も有効に活用できる。④料金 直行便のほうが離着陸が少ないので燃料の消費も少ない。当然その分、安くなる。他にも、荷物の積み替えミスが起こらないなど直行便のメリットは多い。
 9.11の米国同時多発テロ以来途絶えていた関空ーセブ島間の直行便が今月の26日に7年振りに復活する。大喜びすべきことなのだが今回だけは素直に喜べない事情がある。
 今月の16日から乗り継ぎ便でセブに旅行する。日程表を引き取りに行ったら、26日からの直行便のパンフレットが並んでいた。今から思えばこの時点でキャンセルして直行便に切り替えるべきだったと思うのだが、私としては珍しく、ショックと怒りで冷静な判断ができなかった。
 パンフレットが刷り上る1ヶ月以上前(つまり私が申し込んだ時点以前)に業界人は直行便の復活を知っていた筈だ。こんな重要な情報を伝えないこの旅行会社に大きな不満を持った。多分、割安な直行便に切り替えられたら売り上げが減るからワザと黙っていたのだろう。この旅行会社を使うことは2度とあるまい。違法ではないが大きな背信行為だ。

共崩れ

2008-10-11 14:08:47 | Weblog
 相場は過剰反応し勝ちだ。株も為替も「売り」が「売り」を呼び「買い」が「買い」を呼ぶ。平時のこの動きは美人コンテストに譬えられることが多い。
 美人コンテストでは一番美しい女性を選ぶ訳ではない。周囲から美人と評価されそうな女性を推測してその人に票を入れる。そのため下馬評が高い人ほど上位にランクされ易い。それと同じように周囲が「上がる」と予想しそうな株の値が上がる。
 これ以外に、私は「共崩れ」という要素を加えたい。この言葉は広辞苑によると「戦場で味方の各陣が一緒に崩れること」と説明されている。
 私は一度だけ共崩れを経験したことがある。学生時代にたまたな内ゲバに巻き込まれた。ヘルメットをかぶった学生以外にノーヘルメットの一般学生が民青による包囲攻撃を受けた。
 突然、前方にいた何人かが後方へ走った。それにつられてその数倍が逃げた。私も身の危険を感じて逃げようとした。ヘルメットの学生数人が「逃げるな、前進しろ」と叫んで角材を持って前へ向かって走った。これで共崩れは回避された。
 前方の誰かが逃げると強大な敵がいると勝手に想像する。「逃げ」が「逃げ」を招く。こんな事情があるから軍隊では「敵前逃亡」が重罪とされるのだろう。
 株や為替で暴落が始まると奈落が待ち受けていると思ってパニック売りをする。これが更に安値を招く。

抑圧(2)

2008-10-11 13:51:07 | Weblog
 10月7日付けの「抑圧」で「殆どの男は綺麗な女性を見ればその体に触りたいと思う」としてこれを「自然なもの」と肯定すべきだと書いたが、「抑圧」を説明するためには余り良い例ではなかったかも知れない。私はショッキングな例を挙げることが好きなのだがこの「男は総て潜在的な痴漢だ」というような主張には拒絶反応を起こす人も少なくなかろう。もう少し身近な例で抑圧の危険性について再度説明したい。
 出社拒否症とか登校拒否症という病がある。なぜこんな病に罹るのだろうか。
 出社は楽しいことではない。出社したくない理由は幾らでも挙げることができる。眠い、しんどい、上司(同僚・部下)が嫌い、取引先(顧客)に怒られる、働き甲斐が無い、などなど・・・。
 誰でも出社したくないのだが出社しなければ給料が貰えないのでイヤでも出社せねばならない。つまりイヤイヤながら我慢して出社している。しかしイヤイヤ出社することは辛い。ここで抑圧が働く。イヤなことという感情を抑圧して「出社することが楽しい」と思い込もうとする。一旦、抑圧が成功すると脳は自動操縦状態になり、出社の苦痛について何も感じなくなってしまう。習慣になってしまえば苦痛は消える。
 しかしこれは贋物の感情だ。そのために、本当は出社が苦痛だと思い知らされる事件が起こると一挙に化けの皮が剥がれる。金属疲労を起こしつつあった精神が限界を超える。嘘で固めた鎧が崩壊する。
 大切なことは自分に対して嘘をつかないことだ。自分で自分を騙した場合、他者に責任転嫁ができないから、騙した自分と騙された自分の両方に嫌悪感を持つ。これが鬱病に繋がる。
 自分で自分を騙していたことを他人によって気付かされる前に自分で自己欺瞞に気付けば、少なくとも嘘に気付いた自分に対しては好意的な評価を下せる。これだけでも精神衛生上では大きなプラスになるだろう。

抑圧

2008-10-07 15:17:48 | Weblog
 ダムが水を堰き止めることによって生態系に悪影響を与えるように、感情を堰き止めることは精神に悪影響を与える。感情(気持ち)を堰き止めることは「抑圧」と呼ばれる。
 個人は単純で一貫した統一体ではない。時には相矛盾する様々な欲望や感情がそれぞれ主導権を握ろうとして戦う戦場のようなものだ。
 人間は天使でも悪魔でもないから、崇高な思いも下劣な思いも混在する。危険なのは不道徳な思いを抑圧してしまうことだ。獣のような欲望であろうとも抑圧し過ぎればその反動で獣に堕する恐れがある。
 殆どの男は綺麗な女性を見ればその体に触りたいと思う。この欲望は自然なものだ。自然なものだからその存在は肯定されるべきだ。
 私は決して痴漢を肯定するつもりではない。「したい」という欲求の存在を肯定することは「して良い」ということではない。痴漢は女性に不快と恐怖を与える卑劣な犯罪だ。しかし「触りたい」という欲望が存在することを否定してはならない。
 欲望を無制限に解放するのではなく、潜在的な欲望が妄想を通じて肥大化する前に認知することが必要だ。正常な欲望を抑圧してしまうと二重人格のような歪んだ形で顕在化したり鬱病や心身症を招く。むしろ無意識の領域に潜在する不道徳な欲望を意識化することによって理性的な対応をすることが健全な精神に繋がるだろう。

ダムの無駄

2008-10-07 15:02:24 | Weblog
 ダムは治水と同時に発電という役割を持っており、うまく機能するなら素晴らしい建造物だ。しかし川を堰きとめるから生態系を破壊するし、流れて来る土砂を溜めてしまうのでかなりの頻度で浚渫工事が必要になる。そのため最近では無駄な土木工事の代表例と見なされ勝ちだ。
 しかし川の水流をクリーンエネルギーとして活用するということは、近頃の石油高騰の折、再評価されても良かろう。水を堰き止めるから無駄が生じるのであって、自然のままの水流でタービンを回せば土砂は溜まらないし、生態系に与える影響も小さい。
 水力発電と言えばダムのことだと思うのは余りにも短絡的だ。自然を支配しようとするのではなく、自然と協調するというスタンスで臨めば、川の水力を使ったクリーンなエネルギーが可能なのではないだろうか。

副作用

2008-10-07 14:52:37 | Weblog
 少し古い話だが薬害エイズ事件の裁判ではミドリ十字と厚生省の責任が問われた。危険な薬を売ったメーカーとそれを承認した厚生省が悪いとされたが、非加熱製剤を処方した医師の一部も加害者ではないだろうか。
 ある医師が裁判で、非加熱製剤の使用が欧米では禁止されていることを承知しながら投与し続けていたことを認めた。危険であることを知りながら投与し続けることは加害行為ではないのだろうか。
 薬は毒物だ(2月20日付け「薬のリスク」参照)。毒を継続して投与し続ければその副作用が危険を招くことは素人にも分かる。
 薬害エイズ事件は極端な例だが、薬が食品添加物と同様にメリットとデメリットを持つことを医師は充分に認識している筈だ。厚生労働省が認可しているということだけで医師と薬剤師(≠ヤクザ医師)に免罪符が与えられているとは到底考えられない。むしろ薬の危険性を積極的に告知して素人が薬漬けになることを防ぐことが専門知識を持つ医療関係者の義務だろう。
 患者を薬漬けにして儲けるという行為は麻薬密売業者と同じくらい犯罪的ではないだろうか。

自殺し易い年齢層

2008-10-01 20:05:19 | Weblog
 平成10年から19年まで10年連続して日本人の自殺者数が3万人を越えた。
 平成18年の自殺者数32,155人を年齢別で見ると驚くべきことに気付く。高齢者ほどシェアが高いのだ。60歳以上が34.6%、50代が22.5%、40代が15.6%、30代が14.0%、20代が10.6%、19歳以下が1.9%、不明が0.8%となっている。
 平成18年の時点では団塊の世代の大半が50代で、団塊二世が30代なので、この年代の人口構成比が高く、その分を修正すれば、大体10年ごとに2.5%ぐらいずつ自殺者に占めるシェアが高まるという傾向が読み取れる。
 一時期、子供の自殺が騒がれたがこれは珍しいから騒がれたと理解して良かろう。
 自殺の原因は複合的なものが多く特定することは困難だが、歳を取れば取るほど生きにくい、あるいは生きることが楽しくなくなる日本というシステムは大きな病根を抱えていると考えざるを得ない。

人工降雨

2008-10-01 19:54:04 | Weblog
 日本は古来、水資源に恵まれて来た。こんな国で将来の水不足を心配することは杞憂だろうか。
 中国での水不足は広く知られている。砂漠が広がり、黄河の断流は日常的になりつつある。
 中国における水不足は決して工業化だけが原因ではない。領土の大半が内陸の中国では昔から水不足に悩まされた。「刑」という字は「井」と「刀」の2文字から合成されたそうだ。つまり井戸水を盗む者を刀で罰するという意味だ。
 こんな中国人が領土内にもっと雨を降らせようとするのは当然のことだ。
 今後、中国は人工降雨に積極的に取り組むだろう。先日の北京オリンピックでもこの技術が使われた。開会式に雨が降らないようにするために開会式前に雨雲を刺激して強制的に雨を降らせたらしい。
 この技術は当然応用できる。西から東へと動く雨雲が「無駄に」日本海へと流れて行かないように、大陸上で雨にしてしまえば中国は潤う。しかし日本は干上がる。
 今のところ降水に関する国際的なルールは無いから中国による人工降雨を咎めることはできない。川の上流と下流での水争いと同じように風上と風下での雨雲争いが生じるのではないかと思うと不安だ。

進化における男女の役割

2008-10-01 19:41:00 | Weblog
 無性生殖をする生物からは親と同じ個体が生まれる。一方、有性生殖をする場合、両方の親からのDNAを引き継ぐ。突然変異によってしか違った個体が生まれない前者と比べて、常に新しい個体が生まれる後者のほうが生存競争において有利だ。新しい個体が適応体なら子孫を増やし、不適応体なら淘汰されて進化が促されるからだ。
 有性生殖を行う生物は通常、雄と雌と区分けられる。中でも哺乳類の雌は受胎し受精卵を育ててから出産するという複雑で重要な役割を担う。
 一方、雄は雌に受精させるという役割しか持たない。次世代を生むために重要な役割を果たすのは雌だ。出産において役割の軽い雄は「変異」つまり積極的に出来損ないを作るという無駄の多い役割を担う。何が適応になるか分からないまま、とにかく新しい能力の実験台になる。脳を大きくしたり小さくしたり、手足を長くしたり短くしたり、鼻や口を大きくしてみたり・・・。とにかく様々な変化はまず雄において現れる。その変異がたまたま環境に対する適応であって(生存競争)、かつ雌に好まれる資質(種族内淘汰)であればその雄は子孫を残すことができる。
 雄は試作品のようなものであり、それが環境に適応していれば、次の世代では更に改善が試みられる。
 人間においても男は常に試作品だ。デキの良いのも悪いのも混じったバラつきが男の特徴だ。学校で一番成績が良いのも悪いのも、絵が一番巧いのも下手なのも、歌が一番巧いのも下手なのも大抵男だ。
 一方、女のバラつきは小さい。平均近辺に集まり易い。しかし男女それぞれを平均すれば、体力以外の能力は女のほうが男より上だろう。
 男は積極的にバラつくから想定外の出来損ないも生まれ易い。0点しか取れない者や絵や歌がどうしようもなく駄目な者は大抵男だ。
 バラつくことが男の存在意義だから、人為的に優秀な者を選べば多くは男になる。出来の悪い者を選んでも多くは男になる。実際、最優秀の学者も最悪の犯罪者も男のほうが圧倒的に多い。
 進化における女の役割は優れた男を正しく選択することだろう。賢い者、善良な者、強い者または美しい者か、あるいはこれらとは全く逆の者を選ぶかは女の勝手であり、それによって人類の進化の方向が決まる。
 進化において重要なのは女だ。男は変化する性(試作品)であって、女はそれを評価して選別する性だから。