七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

『一人で建てる木組みの家』~26 土間

2009年01月11日 | 『一人で建てる木組みの家』
1 土間とは

この家には、玄関はない
この土間が、家人と客人の出入口を兼ねる。
土間は、農作業場であり、内と外との中間ゾーンである。
そのため、土汚れした作業服を洗うための専用洗濯機や
収穫した野菜を洗うためのシンクを備え、作業机を置く・・
という予定であった。


土間用に流しシンクを購入し、設置までしていたが、とり止め。


が、出来上がってくるにつれ、土間というより、
やはり、玄関の方が良さそうだと、
夫婦とも、考えが変わってきた。

というのも、この機能は、
これまで古家の土間が果たしてきていて、とても便利だったのだが、
新しい家が出来たらこちらへ移すよりも、
古家の方の土間を残して、そのまま使う方がいいように思えてきたからだ。

ということで、現在は、この新しい家の土間は、
玄関的な軽作業スペースになりそうである。


2 慣れない者には難しかった土間

土間には、上り口の縁台がつく。1階の床高よりも10cm低い。
そのため、家の基本構造とは別のつくり方を考えていた。

だが、これは、失敗だった。
基礎の段階から同時進行すべきであったし、
設計の中でもっと、詳細に考えておくべきであった。
とってつけたような構造になってしまったし、
何よりも気に入らなかったのが、
1階の床高との10cmの段差を厚い敷居材で解消すべきであったのに、
敷居の前に薄板を打ち付けて、誤魔化したところだ。

後で考えてみれば、この外とのつなぎの空間というのは味がある分
設計や施工は、慣れていないとなかなか難しい部分であったようだ。


3 厚床板は、太い角材にのせるべし

基礎は建築ブロックW120を単独的に据えた。
その上へ スギ120×120の大引きをアンカーボルト3/8×240で固定。
スギの根太44×36を打ちつけて、床材のヒノキ厚板厚さ38mmを張った。
床板を短く切って張れば、大引きの上に載せられたのだが、
長手方向に張る方が、土間縁としても、キレイなので、
大引きの上に根太を載せてから床板を張った。

厚い床板を細い根太へうまく止め付けられるか心配したが
やはり、少し難しかった。
というのは、床板が入荷してから、半年以上経っているので、
乾燥して反りが出ている。
反りを釘で押さえ込むには、細い根太では負けてしまう。
根太の下へ 飼木を当てて注意深く釘を打って、なんとか収めることができた。
やはり、厚床板を張るには、細い根太ではなく、太い材を使うべきであった。


基礎ブロック


土間モルタル



大引


根太


4 上り框には、気をつかう

大工の腕は、破風板の合せ目や玄関上り框の合せ目を見ればわかる
と言われているので
この土間の上り框には、とても気を使った。

家へ上る時に、一番最初に見るのがこの上り框だから、
上等の材を使わねばと思うのだが、特別には注文していないので、
基礎材のヒノキ材の余った中から、見栄えの良いのを選りだして、
節のないキレイな面を前に向ける。
カンナも刃をピンピンに研いでから、仕上げをかける。

最も、気を使ったのは、入隅の合せ目。
45°の留めの突き付けにしたが、
上面の45°の合せ目と正面の合せ目の直線にすき間があかないようにする。
この両方を合わせるのが、難しい。
材が少し傾けば、どちらかの合せ目が切れてしまう。
何度もカンナをかけてすり合わせた。なんとか収まったと思う。

家の造りが美しいかどうかは、
一つはこの合せ目のすき間がどうかにかかっている。
見え掛かりを美しく仕上る。
ただし逆の見方をすれば、見え掛りさえ美しくあれば良いとも言える。

この框などは、上面と正面は気にするが、
下面と裏面は見えないのだから すき間があいても良いのだ。
すき間がないに超したことはないが、構造材ではないので気にしなくても良い。

だが、家具や手にとって眺める小さな木工品はそうはいかない。
あらゆる角度から見られるので、
またどの材も構造材であり、化粧材でもあるので
見え掛かりだけを気にするというわけにはいかず、
どこも気を抜くところはないところが、なかなか厳しいと言える。

框を大引きへ取り付けるには、釘ではなくコーススレッドを用いた。
しっかりした組手をしなかったので、釘では不安だったからだ。
このコーススレッドは、最近ではよく使われている。
木ネジをドライバーで締めるのは、手の力もいるし、
時間もかかるので、ドライバードリルを購入した。
これなら、易々と木ネジが締められる。
しかし、木ネジは少し強く締めるとすぐに、十字のネジ頭がつぶれてしまう。
その後コーススレッドという木ネジがあることを知った。
これなら、締めやすく、頭もつぶれない。

コーススレッドという(coarse thread)というのは、
目の粗いねじ山ということで、
木ネジよりもネジ山の目が粗いので、材木へネジ込み易いらしい。
ネジは、強い引き抜き抵抗力があるが、
この締めつけとは、逆に反対へまわせば、
ゆるめることが出来るというのが、また、とても便利だ。
管理的にとりはずしをしたいところは、釘ではなく、ネジを使う。
釘だと引き抜く時に材木を痛めてしまうからだ。


上り框


床板


5 通風口は、カモメと波

上り框の下には、通風口がつく。
金網を張るには難しい構造なので、板に窓を明けてから金網を当てる方法にした。
板をくりぬくのなら、何かおもしろい模様はないかと考えたのが、カモメだった。
この上り框の横の壁下にも通風口がつく。
ここは、それならと、波模様にした。

家作りも、この段階に来て、少しは余裕と遊び心が出てきた。

この辺りでは、あまりカモメは見かけない。
どこにでもいると思っていたが、
セグロカモメを1年に何度か1羽2羽とみかけるぐらいだ。
島であっても、海鳥はあまり見かけない。

逆に、陸の鳥は多い。
ちょうどこの作業をしていたのは、6月でホトトギスがよく鳴いていた。
5月連休明けのみかんの花が咲き出す頃から、鳴き出して、
この頃には、メスも鳴きだす。
テッペンカケタカのオスの声の後に、甲高くピピピピピピーと鳴くのが、メスだ。
年中ウグイスが鳴くこの辺りは、
托卵鳥のホトトギスにとっては、絶好の繁殖地なのだろう。


通風孔のカモメ模様


通風孔の波模様

6 土間床の舗装

土間の床を舗装する前に、
入口の扉下が舗装の止め部分になるので、自然石を据えることにした。
ちょうど古家を解体した時の基礎の花崗岩を残してあるので使うことにした。
石の仕上げはざっくりとした割り肌なので、もう少し細かい肌にしようと、
先細のタガネで叩いた。
なかなか平面が作れなくて、2個を叩くのに半日以上かかってしまった。
まだ凸凹は残っていたが、これで良いとして、モルタルで固定した。
なかなかのもんだ。

しかし、この石は入口の扉を取り付けた時に、
失敗であったことに気付いて、取りはずすことに。。。。

土間床の舗装は、見栄え良くレンガやタイルの張り物にしようかと思ったが、
目地の間に土が詰まるので、やめて、シンプルなモルタルにした。
砂利を入れたコンクリートの方がしっかりしていそうだが、
人が歩くだけのところなら、基盤さえしっかりしていれば、
2~3センチのモルタルで充分だ。

ただ、玄関も兼ねるので少し明るい雰囲気にしようと、
セメントと砂の他に白セメントと石灰を入れた。
セメント色よりは、少し白っぽく明るい色に仕上がった。
コテ均しは、うまくいかずに、表面がザラついてしまったが、
予想通りの出来だった。
しかし、これも良くなかった。
靴の裏に付いた泥を持ち込むと、良く目立つのだ。
白い土間がいつも土だらけ。
入口に、靴拭きマットを置くことで、いくらかは解消されたが。

こういうところは、むしろ、黒っぽく仕上げるほうが良かったようだ。



留め石の加工


玄関入口の留め石



 作業期間  2007年6月上旬~中旬
 所要日数  10日


 付記:妻・ひろ

夫は、農家における、土間の重要性について、
大三島移住前から力説していました。

しかし、『一人で建てる木組みの家』の土間は、
土間には、狭くて使いづらいことが分かり、
かと言って、玄関としては、もったいないくらい広過ぎて、

使い道が楽しみな?つまり中途半端な空間になっています。

夫は、ちょっとしたテーブルを置いて、上がり框に腰掛けて、
”玄関的な軽作業スペース” と 弁解しているが、

さて、そこで、何をするって 


夫曰く ”玄関的な軽作業スペース”です。




『一人で建てる木組みの家』の 家作りの様子の これまでは、こちら です。

コメント
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