七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

家紋 タコ供養~妻から家作り実況版3

2007年10月26日 | 妻から「家作り実況版」
夫は、昆虫少年であった。
幼い頃は、京都の西山を、
捕虫網を振り回して、駆け巡っていたそうだ。

そういえば、高校の九州修学旅行の時、
団体行動なのに、一人捕虫網を掲げ持ち、
友人達から、
「珍しい蝶が、いるんけ?」
と不審がられていた、夫を思い出す。

結婚前の、プレゼントも、アクセサリーではなく
蝶の標本や図鑑であった。 


30年以上経ち、鱗粉もはげて、輝きがなくなったミドリシジミの標本


上下巻の2冊を合本して製本し、表紙をつけたもの。
題名も夫が書いた。

夫にとっては、価値ある、素晴らしいモノだったらしい。


ブックスタンドに飾る 図鑑「野に咲く花」
七曜工房作 ナラ材 オイルフィニシュ仕上げ

 今もって、昆虫オジサンの夫は、

 「無駄な殺生はしたくない」と
 蝶だけでなく、芋虫、クモ、ムカデ にいたるまで
 畑や山で、そして家の中でさえも
 虫などを、 積極的には殺そうとしない。

 そんな夫の態度が、大いに、不可解な私は
 「魚やタコは、一杯殺してるヤン」
 と、責めると、

 「人間が食べる為の殺生はいいのや」

 と、講釈をタレて、弁解する ”釣り好きの夫”である。

 そう言いつつも、

 タコを捕り、海で、頭を裏返して内臓を取る作業には、
 いつも、心が痛むらしく 

 「凄く、タコに、むごたらしいことをしているから、
  もしかしたら、タコの祟りがあるかもしれない」

  と、時々、気弱に呟くことがある。

  タコは、
  8本足が、人間の手足のように動き、
  頭も人間の顔のように、表情がありそうである。

  おまけに、内臓を取り出した後までも、
  足が、クネクネと、動き続け、
  調理の時も、吸盤が、まな板にしっかりと吸い付く。


内臓を取り出した後も、バケツに吸い付くタコ

   タコ獲り仲間のKちゃんも、
   同じ様に後ろめたさを感じているのか、
 
  タコがかかると、狂喜しながらも、

 「昨日、海で溺れた人のお葬式に行ったけれど、
  口がタコのように、とんがっとった。
  タコ捕っとたから、タコの崇りじゃろうか」

  などと、恐怖を分かち合おうとする。
  
  お互い
  常々、タコ獲りを楽しみ、美味しくいただきながら、
  タコへの懺悔の気持ちを持ち続けているようである。


 タコに懺悔しながらも、タコ獲りに興ずる。
 

  そんな夫は
 
 タコへの、感謝、お詫び、そして、供養の思いを込めて、

 新居の朝日の昇る東側の妻に、屋根の破風飾りとして、

 タコの彫り物を掲げることを、思い付いた。



タコの冥福を祈りつつ タコの彫り物を製作中



東妻に飾ったタコの彫り物

 西側の妻飾りには、
 「いつか、釣ってみたい」と願っている
 50センチ大の“チヌ”を彫り始めている。


50センチ大のチヌの彫り物を製作中
 
 こちらは、
 不思議なことに  “チヌ釣り祈願” らしい。


西側妻側の破風に、チヌ祈願のチヌを取り付け中
 
 破風にある妻飾りをみつけて、Hさんが、

 「ホウー、いい家紋が、ついたのう」

  と,誉めてくれた。


タコとチヌの妻飾り ヒノキ材 無塗装

海辺に住む我が家の家紋は、
”タコ“ と ”チヌ“ に 決まりである。


タコと、チヌの家紋を持つ夫 
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