昨日のブログ「2人組」の続きである。
昔、娘が中学生の時の事だ。
娘は部活を大変頑張っていた。
同じ部活のNちゃんと仲良くなり、学校に行くときも帰りもいつもNちゃんと娘は一緒だった。
Nちゃんから、家に招待され、家族みんなに大歓迎され、帰りにはお土産にお菓子までいただいて帰ってきた。
そういう状態が半年か1年くらい続いただろうか。
そのうち、娘は同じ部活の違う仲間と一緒に学校に行くようになった。
もうNちゃんと一緒に行動することはなくなった。
私はその理由はわからなかった。
でも、私は娘の判断に任せていた。
娘はたくさんの仲間と楽しそうに学校生活を送っていたと思う。
やがて、卒業式の日となった。
その前日、Nちゃんのお母さんから電話があり、私は卒業式が終わった後、Nちゃんのお母さんとお茶することになった。
何だろう?
私は今までNちゃんのお母さんと一度もお茶などしたことがなかった。
そして、二人でカフェに入った。
すると、Nちゃんのお母さんから、びっくりするような告白をされたのだ。
ある時から、うちの娘がNちゃんと別行動をとるようになったため、Nちゃんは学校に行きたくないと言い、毎日泣いていたのだという。
そして、Nちゃんのお母さんも一緒にNちゃんと泣いて、とにかく毎日学校には行くように、二人でずっと泣きながら耐えてきたのだと言う。
私はこのことはまったく知らなかった。
とりあえず、Nちゃんのお母さんには、私が今まで知らなかったことを謝った。
Nちゃんのお母さんは、これまでどんなに辛かったか、その気持ちを私に知ってもらって、謝ってほしかったらしい。
私は、Nちゃんのお母さんの気持ちはよく分かった。
確かに辛かっただろうと思った。
しかし、私は自分の娘の気持ちも考えた。
娘はNちゃんからなぜ離れたのだろう?
きっと、娘は、Nちゃん以外の友達とも仲良くしたかったのだ。
きっと、それらの友達と一緒の時が楽しかったのだ。
Nちゃんは、それを嫌がったのだろう。
Nちゃんは、娘を、自分だけの友達?親友?保護者?何でも言うことを聞いてくれる自分の言いなりになる都合のいい人?であってほしかったのだと思う。
それを感じた娘は、Nちゃんの束縛から離れた。
もし、Nちゃんも、他の仲間とも分け隔てなく仲良くできたら、みんなで仲良くしていけただろうが、なぜかそうはならなかった。
というのは、部活の他の仲間たちは、Nちゃんを仲間に入れようとはしなかったのだ。
おそらく、中学生なりに、みんなNちゃんに違和感を感じていたのかもしれない。
Nちゃんの次のターゲットになりたくなかったのかもしれない。
いつも二人だけで行動し、どこにいくのもいつも二人。
お互いに依存しあい、決して相手を裏切らない、決して自分以外の人と自分より仲良くしない。
いつも自分を優先し、他の人よりも自分を大事にしてくれる。
そんな友達を、Nちゃんは求めていた。
自分を決して裏切らない、おとなしくて優しい人を、Nちゃんは求めていた。
自分の言いなりになる友達が必要だったのだ。
そして、Nちゃんのお母さんも、Nちゃんと同じような人なのだろう。
Nちゃんに対して、学校に入ったら、あるいはクラスが変わったら、そのような友達を誰よりも早く見つけるように、助言して育てたのだろう。
きっと、Nちゃんのお母さんは、そのようなやり方で、今まで人生を生きてきたのだ。
それがNちゃんのお母さんにとっては正しい生き方であり、Nちゃんを裏切った私の娘が全面的に悪いことになったのだ。
Nちゃんのお母さんは、決してNちゃんにも改めるべきことがあるなどとは思わないのだろう。
Nちゃんのお母さんは、今までは運よく、自分を裏切らなず自分の言いなりになる、いつも二人組で行動した友達がいて、それでうまく生きてきたのだろう。
しかし、私は自分の娘ばかりが悪いとは決して思えない。
娘は、もっといろんな友達と仲良くしたかっただけなのだ。
Nちゃんといつも二人きりでいるよりも、他の仲間と一緒に過ごす方が楽しかったのだ。
娘は、Nちゃんを裏切ったのではなく、自然と他のもっと自分と合う、一緒にいて楽しい仲間たちの方に移っていっただけなのだ。
Nちゃんも、もっと他の部活の仲間たちとも仲良くし、私の娘だけではなく他の子とも親しく付き合うべきだったのだ。
私の娘だけを自分のそばにおこうとし、束縛しようとしたNちゃん。
私の娘が、他の仲間と仲良くすると、不機嫌になり、娘を非難したNちゃん。
それを見ていた他の部活の仲間は、みんなNちゃんとは親しくなろうとはしなかったのだ。
だから、今回、私は、自分の職場の同僚のA子さんに、何とも言えない違和感を感じたのである。
初めて出会ったばかりで、すぐに2人組を作り、その関係をずっと維持しようとする。
狙われたB子さんは、なかなかA子さんから離れられないし、他の人たちも、A子さんとB子さんのべったりな関係にあえて割って入ろうとはしない。
みんな、いつもA子さんとB子さんは一緒に弁当を食べると思っており、誰も二人の邪魔はしない。
2人がそれでよい、それが心地よいと思っているのなら、それで良いのだろうけれど。
私の娘や私のような人間なら、とにかく一刻も早くNちゃんやA子さんのような人から抜け出そうともがくのだ。
他の誰とも仲良くできないなんて、絶対嫌だから。
もっと自分と気が合う人がいるかもしれないのに、最初に二人組にさせられて、それを次第に解消しようとしたら、裏切ったと非難するなんて、絶対おかしい。
というわけで、今でも私は、初めて会ったばかりで妙にべったりくっつく人には、わざと別な人と弁当を食べたり、さっさと一人で帰ったりして、くっつかれないように防衛しているのである。
だって、利用されたり束縛されたりするのは、まっぴらごめんだからだ。
いろんなレベル、いろんな考えを持つ人がいるから、お互い依存しあってべったりするのが心地よい人同士なら、そうすればいいだけの話だ。
私は、心地よくないし、違和感を感じるけれどね。