奈良のむし探検

奈良に引っ越しました。これまでの「廊下のむし探検」に倣って「奈良のむし探検」としましたが、動物・植物なんでも調べます。

午後からの虫探し

2022-06-26 21:16:21 | 奈良散策
奈良散策 第489弾


6月17日の午後から用水路脇の草むらに虫探しに行きました。





これはマメコガネ





ピントがまったく合っていないのですが、同定に必要なので載せておきます。ドロバチの仲間までは確かなのですが、そこから先はよく分かりません。「日本産有剣ハチ図鑑」の図版を見ると、何となくフトカギチビドロバチあたりに似ている感じです。





咲き始めたシロバナサクラタデです。この花には虫が集まるので楽しみにしています。







小さな虫です。ハナカメムシの仲間です。「日本原色カメムシ図鑑第2巻」を見ると、ツヤヒメハナカメムシあたりが似ています。





これもよく分かりません。「ハムシハンドブック」を見ると、サクラサルハムシあたりかなと思っています。





これはアシナガバエの仲間です。



これはオスクロハエトリ♀。



ヤマトクサカゲロウ幼虫です。



先ほどのサクラサルハムシあたりのハムシです。



アワダチソウグンバイ





これはアカガネコハナバチかな。





バッタの幼虫ですが、何でしょう。



これはイネホソミドリカスミカメ





このヨコバイもよく分かりません。



久しぶりに蛾を見たと思ったら、難しいヒメシャク・・・。ウスキヒメシャクあたりだろうか。





最後はトノサマバッタでした。

馬見丘陵公園 虫とアジサイと

2022-06-25 20:47:24 | 奈良散策
奈良散策 第488弾


6月13日は廣瀬神社に行った後、馬見丘陵公園の花菖蒲園を見て、それからアジサイ園に行きました。昨日、花菖蒲園の写真を出したので、その続きです。この日は虫の写真もいっぱい撮りました。



花菖蒲園を出て、下池側を通って、公園館の方に歩きました。池の畔でショウジョウトンボがいました。





公園館に行く途中で、モミジの葉にアカシジミがいるのを見つけました。アカシジミは奈良に来てから初めてです。



そして、これはホシミスジ



後からも出てきますが、これはコクチナシです。



それから、これはブラキカムだそうです。





ここは「睡蓮の池」です。



その横が「アジサイ園」になっていました。





アジサイの花を撮る前に虫を見つけてしまいました。これはクロハナムグリ









「アジサイ園」から「アジサイの小径」を歩いていきました。途中で見たアジサイの花です。



林から出たところでウラギンシジミを見つけました。



そして、翅はぼろぼろですが、サトキマダラヒカゲ





「アジサイの小径」を過ぎるとナガレ山古墳に到着します。



そこから、「アジサイ園」に戻る途中にもアジサイが咲いていました。



これはシチダンカかな。





それから、カシワバアジサイ







後はよく分かりませんが、綺麗な花ばかりです。





クチナシだとばかり思っていたら、名札にコクチナシと出ていました。葉が細いようです。



こちらがクチナシでした。

イエバエの同定 キイロホソイエバエ2

2022-06-25 16:37:22 | 虫を調べる
昨日の続きでハエの同定をします。昨日は科の検索でイエバエ科まで到達したので、今日はその続きの属と種の検索です。





対象とするのはこんなハエです。4月16日に家の近くで採集しました。昨日、「新訂 原色昆虫大図鑑II」に載っている検索表を用いて検索した結果、イエバエ科であることが分かりました。そこで、次は亜科の検索になります。イエバエ科の検索表は篠永哲著、「日本のイエバエ科」(東海大学出版、2003)に載っているのですが、うまくいかないところがあるので、最近は次の文献に載っている検索表を用いています。

大石久志、村山茂樹、「日本産イエバエの同定」、はなあぶ No. 37, 100 (2014)。

⑥下後側板に剛~細毛を欠く
⑦上後側板は無毛
⑧後基節の後方背面に毛を欠く
⑨Muscinae Azeliiniの一部の特徴(腿節の二次性徴(♂)および額内交叉剛毛(♀)、ないし体表の強い青黒色の光沢(♂♀))を持たない
⑩後脛節先端凡そ1/3~1/5のところの1後背剛毛を欠く
⑪後脛節亜端部に1前背剛毛がある
⑫下前側板の剛毛は不等辺三角形、前背剛毛(ad)は脛節端部から顕著に離れない
⑫翅脈Rs先端(r2+3とr4の分岐点)に剛毛を欠く
⑬通常翅背剛毛(pra)を有する;後脛節の亜端前背剛毛(ad)は脛節の直径よりも長く、尾葉は幅より長い
     Phaoniinae Phaoniini Helina

この論文に載っている検索表を用いると、上の⑥~⑬の過程を経て、一気に属まで到達しました。これらを写真で確かめていきたいと思います。いつものように検索順ではなく、部位別に見ていきます。



これは胸部側面の写真ですが、下後側板も上後側板も共に無毛です。これで⑥と⑦はOKとなります。



これは後基節背面を示す写真ですが、これも無毛です。



これは後脛節背面を写した写真です。後脛節先端(写真左側)側の1/3~1/5のところにある後背剛毛についてです。背剛毛が後ろ側(写真上側)を向いているものを後背剛毛といいますが、特に見当たりません。これで⑩はOKです。⑪の亜端部というのは写真左端を指しますが、adと書いた前背剛毛があります。また、それは亜端部から離れてはいません。さらに、十分な長さを持っています。ということで、⑪~⑬はOKになりました。



これは胸部側面の写真を拡大したものですが、下前側板の3本の剛毛(黄矢印)は不等辺三角形になしています。



これは翅の基部を拡大した写真です。Rs脈はR2+3脈とR4+5脈に分岐しますが、分岐する部分に剛毛がないことを確かめます。なお、文献にはr4脈となっていますが、たぶん、R4+5脈でよいのではと思います。



最後は中胸背板の剛毛に関してです。大きな字で"pra"と書いた剛毛があるので、これもOKです。

これらの項目がすべて確かめられたので、このハエはトゲアシイエバエ亜科(Phaoniinae)トゲアシイエバエ族(Phaoniini)ホソイエバエ属(Helina)になりました。実は、⑨がよく分からなかったので、省略したのですが、「体表の強い青黒色の光沢」はないので、たぶん、大丈夫でしょう。

次は種の検索です。種の検索には「日本のイエバエ科」に載っている検索表を用いました。

⑭前胸腹板は裸出する
⑮下側板(中基副節)は裸出する(後胸気門の下部に小毛または小剛毛がない)
⑯背側板(背側域)は裸出する(背側板の剛毛の周囲に小剛毛はない)
⑰額間は狭い(額間は広く離れず[頭幅の0.2以下]、額帯は銀色粉で被われない)
⑱前脛節に後剛毛(p-seta)がある
⑲小盾板の剛毛を結ぶ線よりも下部に小剛毛はない
⑳腿節は橙色 キイロホソイエバエ H. impuncta

⑭~⑳の検索過程を経て、最終的にキイロホソイエバエ Helina impunctaになりました。その過程を写真で確かめていきます。



最初は前胸腹板についてです。とりあえず腹側から写してみたのですが、どれが前胸腹板かよく分かりません。高地性のミヤマホソイエバエは前胸腹板に小剛毛が生えているようですが、たぶん、これは生えてないとして大丈夫でしょう。



これは額間が狭いことを示す写真です。両側の複眼がほとんどくっついているのでこれはまず大丈夫でしょう。これはハナレメホソイエバエを除外する項目です。



中副基節に毛は生えていないのでこれもOKです。これで4種を除外することができます。



背側域に生えている背側剛毛の周辺に小剛毛はありません。これで2種を除外することができます。



前脛節の写真で、上側が前、下側が後ろです。前脛節の中央に横向けに後剛毛(p-seta)が生えています。これで2種を除外しました。



これは小盾板を斜め後ろ側から撮ったものですが、asと書いた小盾板端剛毛の下側に小剛毛は生えていません。これはフタスジホソイエバエを除外する項目です。



最後は腿節がすべて黄色~橙色なので、これもOKです。ということで、キイロホソイエバエになりました。

実は大石らの論文にもHelina属の種への検索表が載っています。

⑭前胸腹板は無毛
⑮下後側板(katepimeron)は無毛
⑯背側板剛毛の周囲は無毛
⑰翅前剛毛を有する
⑱前脛節の中央部に後剛毛(1~2本)がある
⑲後脛節基部1/4に1後背剛毛を欠く deleta, impuncta, maculipennis

それによると、⑭~⑲でdeleta、impuncta、maculipennisのどれかに到達します。いずれも上の写真で確かめられるので、これも大丈夫でしょう。

ということで、久しぶりにイエバエ科の検索をしてみました。イエバエ科の検索は「日本のイエバエ科」というすぐれた文献があるので、挑戦することができるのですが、私にとってはかなり難関な検索です。それで、練習のつもりでときどき試してみようと思っています。

馬見丘陵公園の花菖蒲園

2022-06-24 21:03:24 | 奈良散策
奈良散策 第487弾


6月13日は廣瀬神社に行った後、馬見丘陵公園にも行ってみました。ちょうど花菖蒲が満開なのと、アジサイも見頃だと思って。







さすがに花菖蒲とアジサイが見ごろとあって、中央駐車場に行ったら車がいっぱいで止められませんでした。それで、北駐車場に行って止めました。車を降りてすぐに気が付いたのはタイサンボクの花が咲いていたことです。





こちらはキンシバイ



そして、サルスベリ。馬見丘陵公園は花菖蒲、アジサイ以外にもいろいろな花が咲いています。







花菖蒲園に着いたら、やはり人がいっぱいでした。でも、折角なので、じっくり見ていくことにしました。



これは江戸系の「万里の響」。



肥後系の「碧涛」。江戸系はたくさんあるので、それ以外を中心に撮ってみました。



肥後系の「大和姫」。





伊勢系の「織姫」。



長井系の「出羽姫」。



肥後系の「稚児化粧」。







花菖蒲の横にヘメロカリスが咲いていました。色が濃いのでよく目立ちます。





その花にタイワンタケクマバチが来ていました。



こちらはシオヤアブです。何かを捕まえているのですが、よく分かりません。





長井系の「紬娘」。



江戸系の「五色の珠」。



伊勢系の「藤代」。



肥後系の「春の小川」。いろいろと撮ったのですが、系列でどう違うのかはさっぱり分かりません。
この後、アジサイ園の方に行ったのですが、それは次回に回します。

雑談)昨日は午前中に大和民俗公園に行ってみました。6月中はゼフィルスやミスジチョウ、オオムラサキあたりがいるかなと思って。また、NIKON P950の修理が終わったので試し撮りを兼ねての撮影です。ちょうど曇ってきたので、暑さはまだましだったのですが、蒸し暑くて汗だくになりました。でも、スジグロシロチョウが撮れたのが収穫でした。スジグロシロチョウはどこにでもいると思っていたのですが、奈良に来てから一度も見ていなかったので、ずっと探していました。

イエバエの同定 キイロホソイエバエ

2022-06-24 16:01:29 | 虫を調べる
だいぶ前のことになるのですが、4月16日にいつもの用水路脇でハエの写真を撮りました。



どこにでもいそうなこんなハエです。この日は捕虫網を持っていたので、採集してきました。翌日、検索をしてキイロホソイエバエではないかなというところまで分かったのですが、そのままになっていたので、まとめて出しておこうと思います。



体長は7.2mm。脚の黄色いハエです。検索をする前にまずは各部の名称を調べておきます。



最初は胸を横から見たところです。ハエの胸はいくつかの部分に分かれているのですが、文献により名称が異なるので、最初に調べておく必要があります。ここでは、日本名は「新訂 原色昆虫大図鑑II」に載っている名称、略号は篠永哲著、「日本のイエバエ科」(東海大学出版、2003)に載っているものです。おそらく、イエバエ科なので、「日本のイエバエ科」に載っている検索表を使うことになるので、まずは対応表を作っておく必要があります。



これは翅脈の写真です。翅脈の名称は「新訂 原色昆虫大図鑑II」を参考にしました。CuA+CuP(Cu融合脈)より下の部分が見えなかったので、下の写真でその部分を見せるようにしています。





これは刺毛の名称です。これも文献によって名称が異なるので、これから検索に用いる「日本のイエバエ科」と日本環境動物昆虫学会編の「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)を参考にしました。



最後は頭部の刺毛です。

さて、検索に移ります。ハエの仲間では翅の基部が広く拡大して覆弁という構造を取ることがあります。覆弁は基部に近い基覆弁と端覆弁に分けられます。このような覆弁をもつハエを有弁翅類と呼びます。上の写真で基覆弁と端覆弁があることは明らかなので、検索はここから始めます。検索表には、「新訂 原色昆虫大図鑑II」を用いました。まずは科の検索です。

①翅の基部の前下方に小型の瘤状の構造としての翅下瘤が発達する;触角梗節の背面に明瞭な縫線が走る;通常は鬚剛毛を生じる;通常は基覆弁が発達する;翅のSc脈はR1脈と融合しない  有弁翅類
②口器が発達し、口吻は大きく、機能的
③中脚の副基節は無毛か弱い毛や小刺毛が生える;稀に剛毛を生じる場合にはM1脈は途中で前方に強く屈曲しない
④翅のCu融合脈は翅縁に達しない
⑤翅のA1脈は直線状で、その仮想延長部はCu融合脈の仮想延長部を横切らずに、翅縁方向を向く  イエバエ科

検索をすると、①~⑤の手順でイエバエ科であることが分かります。これを写真で確かめていこうと思います。検索順に写真を見ていくと、同じ写真を何枚も出さないといけないので、いつものように部位別に見ていこうと思います。



最初は胸部側面の写真です。①は翅下瘤が発達するかどうかですが、写真のように翅下瘤があります。また、基覆弁も発達しています。これで①はOKです。③は中脚の副基節(中基副節)に関するもので、見た通り無毛です。



これは頭部の写真です。①は触角硬節背面の縫線についてです。写真ではちょっとはっきりしませんが、毛の生えている部分に縫線はありそうです。また、鬚剛毛は確かにあります。上の項目と合わせて考えれば、①はたぶんOKでしょう。②は口器についてです。どれがどれに対応するのか分かりませんが、口器は発達していることは確かです。



最後は翅脈に関するものです。①については、Sc脈とR1脈は確かに分離しています。④は下の写真を見ると分かります。CuA+CuPはCu融合脈と呼ばれていますが、翅縁には達していません。⑤のA1脈の延長部はCu融合脈の延長部とは交差しないことは明らかです。以上のことからイエバエ科であることは確かそうです。

後は亜科、属、種の検索が残っているのですが、今日はとりあえず、ここまで。