電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

蛍光眼底造影

2006-05-21 17:11:28 | 生活・文化

 「網膜中心静脈分枝閉塞症」と診断されて、19日に「蛍光眼底造影」の検査を受けることになっていた。今週は、栃木県と岐阜県に泊まりの出張があり、かろうじて19日の金曜日が空いていたからだ。しかし、仕事でPCを長く見続けたり、通勤電車内での読書をしたりと眼を酷使したせいか、肩こりが激しく、血圧も上がり、出張中もあまり酒を飲むこともできなかった。とにかく、会議に出ているだけで、頭痛がしてくるのだ。こうした症状は、東京の練馬区から埼玉県飯能市に引っ越しをしたすぐ後に一度経験をした。つまり、1時間以上の通勤電車内というの格好の読書の時間となるのだが、それが眼を疲労させるらしい。で、19日も、肩こりと頭痛があり、検査に行く前に体温と血圧を測ると、体温は36.7度と微妙に高く、血圧は110~160とかなり高い。検査は大丈夫だろうかと不安になった。

 総合病院の受付で、眼科の予約を確認し、「少し血圧が高いのですが」とたずねると、受付の女性は、「それは、眼科に行ってから相談してください」と言った。受付をすませてから、眼科の診察室の前の廊下で待っていると、眼科の看護婦さんが、瞳孔拡張剤を点眼しにきた。その時に、「少し血圧が高いのですが」とたずねると「どのくらいですか」と聞かれた。私が正直に答えると、「そのくらいなら大丈夫だと思います」という返事だった。そして、「しばらくしたら、もう一度点滴の準備をして、血圧を測りますから、その時検査医師の人と相談してみましょう」と言う。

 準備室に連れて行かれ、そこで血圧を測った。最初は、100~160だった。「少し高いですね。普段はどのくらいですか」と聞かれる。私の場合は、薬を毎日飲んでいるが、普通は85~135くらいが多い。その時が、多分一番安定しているときだ。「ちょっと休憩してから、もう一度図ってみましょう。深呼吸してみて下さい」と言われて、大きく2度深呼吸をした。そして、2,3分後にもう一度図ると、不思議なことに84~140になっていた。それでも、看護婦さんは検査医師に相談してきてくれた。そして、「もしどうしても不安なら日を改めてもいいですよ」と言われた。しかし、休みまで取ってここまで来たのだし、実際血圧も下がっているので、私は「お願いします」と言った。

 右手に点滴の準備をし、検査室にはいる。検査室には、眼科の担当医師、検査技師、助手のような若い女性が2名、そして先ほどから私に点滴の準備をしてくれた看護婦の五人の女性が私に付き添ってくれることになった。私は、右手から少しずつ蛍光造影剤を入れられ、左目の眼底の写真を撮られた。はじめは、少しだけ造影剤を入れて、気持ち悪くならないか確認をし、何枚か撮影されたが、大丈夫だと言うことで、必要な分量投与されることになった。5分くらいの休憩を入れて、約20分くらい撮影された。私は、言われるままに、眼を動かしただけだ。眩しいだけで痛みなどはない。すぐ目の前に、モニターがあり、そこに私の眼底の写真が映し出されていたが、眼鏡を取った右目からではよく分からない。

 担当の医師は、「綺麗ですね」と言った。その「綺麗」という意味が、私にはよく分からない。蛍光造影剤の効果のことを言っているのか、眼底の出血の状況を言っているのか、それともその両方なのか。何枚か撮影された写真がプリントアウトされた。先ほどの若い助手のような女性が一枚ずつ写真を貰った。そして、「とても綺麗でよく分かります」という。ひょっとしたら、彼女たちは、勉強に来ているのかも知れない。私は、内心、「それは、私の写真であり、私の了解は必要ないのだろうか」と思った。まあ、素直に感動している彼女たちにそんなことを言う気はなかった。しかし、私の内臓の写真には肖像権のようなものはないのだろうかと疑問になった。その写真は、なんだか私の秘められた一部を写したもののような気がしたからだ。

 蛍光眼底造影は無事終了し、担当医師の判断としては、詰まっていた血管は血液が流れるようになっているし、出血は拡がっていないので、しばらく様子をみましょうという。そして、大学病院の先生が定期的に来るので、その時に検査結果を見せて、もう一度診断して貰うことになった。「私は、普段どうしていたらいいですか」と先生に聞いた。つまり、治療の指示がないので心配になったわけだ。医師は、「これは内科的な治療になりますね。つまり、血圧を下げること、動脈硬化を起こさせないことが大事で、そのためには生活習慣病の治療と同じですよ」と言う。そして、「ひょっとしたら、こういう状態で終わったのは、いま高血圧と狭心症の治療を受けて、薬を飲んでいるということのおかげかも知れませんね」と言った。

 眼底出血が起こると言うことは、脳で出血を起こせば、クモ膜下出血になったり、脳梗塞になったりする可能性もあるわけだ。とても、重苦しい診断だが、既に部分的には出血が起きている可能性もある。私のこの左目のように、たまたま、検査があり発見されたが、そうでなければ、視力も落ちたわけではないので、自然に治った場合は見遁されてしまうことにもなる。最近、時々頭痛が起きるが、それは肩凝りだけのせいではないかも知れない。しかし、大事なことは心配することではない。生活習慣を改良することだ。私は、とても難しい手術を覚悟していたので、ほっとした。

 今日の検査について、夕方妻に報告した。妻は黙って聞いていたが、しばらくしてから言った。「あなたは心配性なのよ。だから、病院で深呼吸すれば血圧も下がるのよ。そこだったら安全だからね。あまり気にしすぎるとそれだけで血圧が上がるわよ」それは、なんだかとても冷たいような言い方だったが、妻なりに喜んでいるような気もした。いずれにしても、彼女なりにほっとしていることだけは確かなようだった。しかし、体の管理というのはとても難しいと思った。気にしすぎてもいけないし、そうかといってある程度気にしていないと、どうしても管理できない。時々妻が、「気のせい、気のせい」と私に言うが、それは私に対する、いたわりだと理解しておこうと思った。その日は、私はとてもおおらかな気持ちになったことだけは確かだ。

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2 コメント

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その後はいかがですか? (のびねこ)
2006-06-19 00:35:13
その後はいかがですか?
動脈硬化ってやつはもっともっと警戒すべきやつで、血圧が下がったって血管の弾力が戻るわけじゃないみたいです。
降圧剤がそれなりに効いて、それなりに節制していた父は、まさか自分の血管がそんなにひどいとは知らず、思いがけず急に命を落としました。
血流を測定して動脈硬化の程度を診断できる医療機関もあるようなので、一度受診されてはいかがでしょう。
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>のびねこさん (Natsu)
2006-06-20 16:44:51
>のびねこさん
ご心配いただき、どうもありがとうございます。

お父さんは、そういえば、「閉塞性動脈硬化症」にかかっていたのですね。

定期的に血液検査をしてもらっていますが、私の場合、まだ、中性脂肪が標準より多いです。

おそらく、あちこちの血管が痛んでいるのだと思います。酒もタバコも3年ほど前までは、ヘビーでした。タバコはすっかりやめましたが、酒は時々飲みます。

血液中にたまった、脂肪は大切な働きもしますがいたずらもします。

「血液さらさら」というのはどこかの宣伝文句ですが、自分の生活を管理することはそれなりに大変ですね。

まだ、お父さんのような症状は現れていませんが、動脈硬化の程度の検査もしてみようかと思いました。

目の方は、今のところ、これ以上は悪化しないという状況です。
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