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インド、クソオヤジの心の旅(ガンジスを走れるか?)・・・7日目(その4)

2013年04月26日 | インド、オッサンの心の旅
<見てはいけないものを見た!>

寺院から正門まではサイクルリキシャで、正門からは相乗りオートリキシャでゴドゥーリャに戻った。
このときに乗ったのが、運転席脇の小さな椅子。
このときは7人乗りだった。

その特別席の乗り方にはコツがある。
運転手の後ろに腕をまわし、運転席の反対側のリキシャの支柱をつかむのである。
だから、後ろから見ると運転手と両隣の席の人間3人が肩を組んで「皆で仲良し」のように見える。
もう一方の手は頭上のテントのフレームをつかむのである。
こうしないと、振り落とされる。
この席に乗っている女性は見かけなかった。
女性は後部座席である。



とにかく、スピードはでるし、道は荒れてるし、急ハンドル、急ブレーキは当たり前。
値段はRs15(約30円)だった。
先にRs10払ったら、Rs5足りないというのでRs10紙幣で支払ったら、ちゃんとお釣りもくれた。
俺ひとりなら、おつりはバクシーシ(お恵み)になってしまっただろう。
とにかく、面白くて、とても安い。

今思うと、ガイドブックに、相乗りオートリキシャの乗り方、交渉の仕方を詳しく載せてほしかった。
そうすれば、早い時期から行動範囲は広がっていたと思う。
(ただし、危険が伴うから載せられないとは思うが・・・。)
とにかく、狭い道の多いバラナシではオートリキシャが一番便利である。
台数もTAXIやサイクルリキシャよりも圧倒的に多い。
どこでもつかまえられるのだ。


腹が減ったのでケシャリで軽く食事をとった。
食べたのは、丸く薄く焼いたお好み焼きみたいな皮を一辺が20㎝くらいの三角の形に折り畳んだものである。
その上にチーズか、ヨーグルトだか不明だが、短く切った紐のようなものがかかっている。
中はグリーンピースとか野菜が入ったスクランブルエッグが入っていて、2種のカレーソースをつけ食べるのだが、とても旨かった。
マサラティーにもピッタリあう。
ケシャリはベジタリアンの店だけど、最高に旨い。
肉が入らなくても、これだけのタンパク質感のある旨味がだせるというのが不思議だった。
(この食べ物に似た写真を探したが、マサラ・ドーサという食べ物に近いことが分かった。
入っているものはちょっと違うけど、まさにこんな感じ。)

マサラ・ドーサ


ここから、ベンガル虎通り(俺的には、その怪しさから「虎の穴通り」と呼んだ方が雰囲気的にピッタリだと思うが)にある、日本人には超有名なSの店に行った。
その店は間口が半間ほどの小さな店である。
この店は、奥さんが日本人妻であり、いろいろと日本人旅行者の相談にのってくれるという有名なお店なのだ。

そこで、なくなってしまったトイレットペーパーを買った。
(インドじゃトイペーは必需品である。俺は2巻持参したが、全然足りなかった。)


(インドのトイレには必ずあるバケツと小さな手桶。
バケツに水を入れて手桶で水をすくい右手に持ち、お尻にかけながら左手でお尻を洗らしい。
試しにやってみたが、水が飛散し上手く出来なかった。
だが、元祖ウォシュレットである。)

店主のインド人のSさんは、もしかすると日本人?と思うほど、日本語が上手い。
第一印象が、ぶっきら棒で、ちょっと暗い感じがするが、話すると優しい感じの人だった。

女房たちが、以前バラナシを訪れた時もお腹の薬のことでお世話になったらしい。
彼から、日本に帰国するときは、不要なものを買いますよと言ってくれたし、タクシーなどの手配もするとのことだった。
(このSさんは、後程話がでてきて、わかると思うが俺のインドのカオスになったのである。)

いったん、ホテルに戻った。
戻ると、従業員数名が入り口の前庭でタバコを吸っていて、例の男が「俺の店に行ったか?」と聞く。
バカバカしくて相手をしてられないので、いつものように、「そのうちになっ!」といって軽く往(いな)した。
後方から「いついくよッ!」と叫ぶ声が聞こえた。


午後は中に入るのが難しいゴールデンテンプル(ヴィシュワナート寺院、ヴィシュワナートは世界の主という意味)に挑戦するつもりだった。

L君にいわれたように、カメラはもちろん、財布ももたずに出かけた。
山門は、すでに警官が立っていて、入り口に柵をおろし、出入りする人間をチェックしていた。
チェックが面倒だと思い、L君に教わった通り、裏道から入ることに決めた。

ゴールデンテンプルに入る最終の狭い入り口まで行くことができたが、銃を持った警官が厳しくチェックしており、外人数名がが入れずに揉めているようだった。
とにかく、宗教上の争いによる異教徒のテロにはピリピリしているのである。

だいたい、シヴァの祭りの最中で、しかも本家のヒンドゥー教徒たちが何キロにも渡る長蛇の列を待たなければ、お参りできないという状況なのに、異教徒の我々が簡単に中に入ること自体、ありえるわけがない。
それは、そうだと思っていたが、「女房達が以前来た時も入れなかった」と言っていたので、敢えてできないことに挑戦してみたかった。

だが、俺も状況からして、これは無理だなと諦め、その揉めている入り口の前を横目で見ながらスルーしたのだった。
が、20メートルも先へ行くと、2人のオシャレをしたインド人が道脇のちょっと小高い空き地のようなところへ花を持参して上がっていったのを発見したのである。
献花を持っていたので、その時、直感した、・・・
もしかしたら、ゴールデンテンプルを拝める場所があるのではないか?と。


案の定だった。
狭い建物の脇から上がった小高い空き地から大きくバッチリ眺められるのだった。
厳重な警戒でありながら、盲点の場所があったのである。
そして、そのインド人は、列を待たずに拝みたかったのである。

そこで俺も20秒ほども眺めていたら、監視員みたいなインド人が近くにいたみたいで、ヒンドゥー語で大声で
「異教徒は見ちゃだめだ!」(意味はたぶん?)
と怒鳴られてしまった。

俺は射殺されたら困るので、その方へ向かって「申し訳ない」と慌てて手を合わせて謝辞し、その場をほうほうの体で逃げ去ったのだった。

後で、L君たちにその話をしたら、その盲点の場所は彼等でも知らないようだった。
(いつも、彼らは中に入っているので、そういう場所など知る必要もないのだが。)
しかも、シヴァの祭りのまっ最中に外国人が黄金寺院を見れたのは超ラッキーということだった。
彼らも寺院については、俺にいつも自慢していた。

ただ、そうは言われても、俺の印象としては、ドゥルガー寺院と同じ感じの建物が金箔で覆われたというだけの建物であって、教徒ではない俺には有難味もなくピンとこなかった。


絵葉書の黄金寺院

むしろ、俺自身の
見てはいけないものを見た!
という誰しもが持つ人間的欲求を満たすことができたこと、更には、スリルがあって興奮できたことが超ラッキーだった。

また、後から考えてみると、その敷地に大きなイスラム教徒のモスクが2個もあって、そこにヒンドゥー教の寺院があったので、異教の寺が同じ敷地に存在する独特の眺めになっていた、ということの方が印象として残ったのだった。

イスラム教徒との争いで、そのようになったらしいが、イスラム教徒がモスクをお参りするときもあるのだろうから、異教徒どうしがかち会ったりして、中ではどうなってるんだろうか、という疑問が浮かんだりしたが、それはL君たちには聞かなかった。
聞こうと思って、聞き忘れてしまったのだが、それぐらい興味はなかったということである。

目的を一応達した俺は、いい気分でホテルに戻った。
戻ったところの入り口で、また例の従業員に会い、店の勧誘をされた。
あまりの執拗な勧誘に怒鳴りそうだったが、寝場所を抑えられた立場だったから、怒りを押し殺し部屋に戻り熱いシャワーを浴びたのだった。

ひと眠りしようと思ったが、怒りが収まらない。
そこで、この状況を旅行会社にメールしようと思った。
旅行会社からホテルに苦情を言ってもらえば、安心だからである。
直接、奴らに文句を言って何かされても嫌だと思った。
とにかく、従業員は、その辺をぶらついているようなアンちゃんばかりだからである。
簀巻きにされてガンジス川に流されてはたまらない。
(このあたりじゃ、そんな風に流されても誰も気づかない。
遺体が流れているのは当たり前だからだ。)

すぐに着替えて、ホテルを出てベンガル虎通りに向かった。
時間的にも夕方だったので、まずは腹拵えをしようと、S.B レストランという日本食を出すお店に入った。

そこで、久しぶりに肉を食べようと思い、チャイと豚カツを注文したのだが、その豚カツの肉は最低だった。
豚カツというより、駄菓子のソースカツのようだった。
いやそうじゃない、ソースカツこそは旨くて、おつまみとしても最高だが、こっちは形状こそ似たものの、大層まずかった。
これは、もはや豚カツではない。
半分食べて、あとは残した。

ソースカツ とんかつソース味【30円】株式会社なとり 駄菓子コレクション#113


この味でRs155だったから、日本円で310円ぐらいなんだけれど、吉野家の牛丼などと同じぐらいの値段になる。
それを考えると、これはチョー高かった。
ケシャリならターリーが食べられる。

しかも、会計の番頭(多分オーナー)が従業員に対して威張っていた。
肉体労働をする従業員とはカーストが違うのだろう。
それが、見ていて気に食わなかった。
頭に来たので、会計でチップは払わなかった。

更に頭にきてしまったから、ネットカフェでは旅行会社には相当強烈な苦情メールを書いていた。

とにかく、今日は喜怒哀楽が激しい一日である。
この気持ちを抑えたく、先ほど行ったSの店に向かった。
(つづく)



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