透水の 『俳句ワールド』

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石田波郷・「波郷句自解」(十)(十一)         高橋透水

2014年07月31日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史

青林檎子が食ひ終る母の前      波郷

昭和十年、小川町の馬酔木発行所にゐて、毎日須田町の「萬惣」に珈琲を呑
みに出かけた。「母」が若い美しい母であつたことはいふまでもない。俳句
では斯ういふのも触目吟といふ。

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物語壁炉が照らす卓の脚

紅々と壁炉を焚くような家を訪ふ縁故は作者にはなかつた。神田の「キヤン
ドル」の如き喫茶店で作つた句だらうと思ふ。文学青年とまでもゆかぬ喫茶
青年趣味の句だ。


  「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より

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