ドラマのプロデューサーをやっていた時、「記者会見」のプロデューサーの挨拶の度に緊張していました。しかし、実は、プロデューサーが喋っている時は大方の記者は俳優さんの写真を撮っていて、こちらはあまり注目されないのですが。でも、喋る内容の工夫はしていました。記者さんたちが、記事を書きやすいような「キーワード」を喋りの中に入れてあげるのです。先輩のプロデューサーはあるドラマの会見で、「このドラマはテレビコードを越えるくらいの気持ちで作ります」と言いました。すると翌日の新聞には、「テレビコードを越える、妖艶なドラマ」という活字が大きく載るのです。視聴者も期待するし、チャンネルを合わせようとしてくれます。僕の場合も、「あの○○部売り切った大ベストセラーを原作に忠実に豪華キャストでドラマ化」とか、「心の病を扱った初めての連続ドラマ」とか、「身近な家庭の中にある『虐待』というテーマに初めて挑戦するドラマ」とか・・・です。自分の挨拶が上手いとはとても言えませんが、他のプロデューサーの挨拶を聞いていると、「長いだけで、どんなドラマか分からなかったり」「キーワードが無い、何をテーマにしたドラマかという部分が抜け落ちていたり」するのです。正解は無いとは思うのですが、記者さんへの対応能力も、今のテレビ界では重要な要素なのです。







