立ち食いそば・うどん店(たちぐいそば・うどんてん)は、主にそばやうどんなどを供し、客が店内のカウンターで立ったまま食べるスタイルの営業形態(立ち食い)を基本とした飲食店である。日本の都市圏の鉄道駅などにしばしば見られる。
麺
立ち食い店では商品を短時間に提供することが売り物のひとつであるため、市中のそば・うどん店とは異なり、あらかじめ製麺所で茹で上げられた麺を注文後再度短時間湯通しし、かつ熱めのつゆをかけて提供される。これは、生麺から茹でていては客の「短時間で食事を済ませたい」要求に対応できない事ことから生まれたものである。また、この方法では調理が短時間かつ簡単なため、店員数が少なくて済み、コスト削減の効果もある。
最近では茹で麺に加えて、冷凍麺も増えてきている。茹で麺は消費期限が製造から3日程度で毎日納品する必要があるが、冷凍麺は賞味期限が1年と長持ちすることで週1回程度での納品で済むなどの利点があり、茹で麺で提供するには客が少ない店で導入されている。逆に、冷凍庫を設置しなければならないことや、茹で麺に対して2分程度の茹で時間がかかるという欠点がある。
現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に生麺を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておくパターンが多い。そのため、客の回転の悪い時間帯には麺が伸びてしまい、予め製麺所で茹でられた麺とさほど変わらない状態で提供されることもままある。
関東では概ね「そば・うどん」と表記されるように、そばがメインの商品として扱われてるが、これが関西になると「うどん・そば」との表記が増え、うどんがメイン商品として扱われている。
つゆ
一般のそば・うどんがそうであるように、立ち食いそば・うどんでもつゆは、東日本では濃口醤油を用いた黒い色の関東風、西日本では薄口醤油の風味を生かした透き通った関西風が主流である。
日本海側での味付けの境界は概ね、直江津駅と富山駅とされる。しかし、富山駅のものにしても完全に関西風とは言い難い。金沢駅では汁が関西風になることや、富山県内の高速道路サービスエリア・パーキングエリアにおいては西進するにつれ徐々に味が関西風に近づいている(新潟テレビ21「小野沢裕子のいきいきワイド」取材に基づく)ことなどを鑑みると、立ち食いにおいては富山県内が境界である可能性が高い。
太平洋側では、静岡県が全県で関東風、三重県は名古屋の影響の強い東部でも薄口醤油による関西風のつゆが主流であるため、愛知県が境界とする説が濃厚である。同じ愛知でも、豊橋など三河地方では、静岡県と同様の「鰹出汁に濃口醤油」の関東風そのものだが、名古屋や岐阜など尾張地方・美濃地方では味醂等の甘味が効いた独特な「名古屋風」のつゆである。ただしそれも濃口醤油ベースのため、広義では関東風に含めることが多い。
内陸部の米原駅の立ち食い店は、薄口醤油の風味を生かした、明らかに関西風のつゆの立ち食い店である。東海道本線沿線で米原の東隣に位置する立ち食い店設置駅はかつては大垣駅、2006年現在では岐阜駅で、いずれも関東風ベースの名古屋風つゆの店である。この事から立ち食いそば・うどん店のつゆもまた、「関ヶ原」が東西の境目になっていると言える。
2000年12月22日に放送された『タモリ倶楽部 さよなら20世紀SPECIAL』(テレビ朝日、90分拡大SP)の企画で、東海道新幹線各駅のうどんだしの濃さを調べた際、関東~東海にかけては所謂関東風の濃いだしで、特に小田原駅から豊橋駅までむしろ濃くなっていった(この区間が一番濃いだしであった)。豊橋駅の次の三河安城駅でついにやや薄くなる変化が現れ始めた。次の名古屋駅は三河安城駅とほぼ同じ。その隣の岐阜羽島駅ではそれより更に薄くなり、次の米原駅からは完全な関西風の薄いだしになるという結果であった。
なお、例外的に関東でも関西風のつゆを出す店はある。関東の駅で主流の日本レストランエンタプライズ(NRE)の店の一部では、そば・うどんともにつゆを関東風・関西風から選択可能である。ただし、ネギはすべて関東で主流の白ネギを用いており、青ネギを用いる関西風のうどんとは厳密には異なるため、つゆのみが変わる事で「関西風」とされる事には異論もある。
種物・薬味
立ち食い店における天ぷらとは基本的に掻き揚げのことを指すが、この由来は立ち食いそば発祥の頃にまで遡る。当時はつゆにあまりコストを掛けられなかったため出汁が薄く醤油味の濃いつゆが多かった。しかしそのままでは塩辛くて食べ難いため、種物の中でも油分の多い掻き揚げを載せることでつゆと麺を油分の甘味で結びつけ、食べ易くしたことによる。また、立ち食いでない店に比べて薄利多売であるため、廉価で供するために天ぷらを掻き揚げにする事情もある。薄く柔らかい揚げ置きの既製品を使用する店もあるが、店内で揚げるスタイルの店も増えている。天ぷらの素材は、チェーン店では業務用の冷凍製品が用いられるが、小規模の個人店舗ではオリジナルの材料や揚げ方などにより独自性を発揮している例も多い。チェーン店でも「薬膳天」なる独自種物があるところ(梅もと)がある。
一般のそば・うどん店と同様、天かす(揚げ玉)や油揚げも種物として一般的。関東では天かすが乗れば「たぬきそば・うどん」、具が油揚げに変われば「きつねそば・うどん」となるが、関西(主に大阪)では、うどんに油揚げが乗れば「きつね」、そばに油揚げでは「たぬき」と呼ぶのもやはり同様である。大阪では揚げ玉が乗ったものを「ハイカラうどん」「ハイカラそば」、京都では「あんかけうどん」「あんかけそば」などとも称するが、天かす入れ放題の店もあり、特に名称がない場合も多い。
以前はサービスの一形態として、カウンター上に葱や天かすが盛られた容器があり、客が自分で好きなだけ入れられる店も多く存在したが、最近は減少している。
一般のそば・うどん店よりも種物のバラエティに富む店もある。箱根そばチェーンの夏季限定メニュー「冷やし豆腐一丁」は、冷やし麺に絹ごし豆腐を一丁そのまま載せたもの(他に揚げ玉、わかめ、おろし生姜、葱等が添えられる)でそれまで一般の店には全く見られなかった種物である(ただし2007年夏季は野菜天との組み合わせとなり「豆腐一丁」ではなくなった)。その一方で、利用者が多くない店舗では、極端に種物を絞る店も多い。たとえば、種物として卵と掻き揚げしか用意せず、かけ・天ぷら・月見・天玉の4つしかメニューがない店もある。これらの種物は冷蔵庫で保管すれば複数日に渡って保存可能で、コスト削減の一環である。
立ち食い店においてコロッケを種物として採用したのは神奈川県内の駅の店とされる。このコロッケそば・うどんは首都圏各地へと広まったが、これが浸透している地域には限りがある。そのため、他地域に在住している人間からは、うどんやそばにコロッケをトッピングすることが信じられないと言われることが多い。駅そばで提供されるコロッケはそば・うどん用に衣が厚く硬く作られており、イモ部分も水分が少なく、じっくり汁に浸してからでないと箸を通せないようにできている。
首都圏では「肉うどん」に豚肉を使用、牛肉を使用したものは「牛肉そば」としている店舗もあり、「肉=牛肉」と考える関西以西の出身者は驚くことがある。これは、関東では関西と比較すると養豚が盛んであったことが要因とされ、関東と関西の文化の違いを窺わせる。
各地の特徴
北海道
北海道の立ち食い店における天ぷらは、揚げ玉を円盤状に固め、表面に乾燥小海老がついたものが多く見受けられる。ナルトは、外側の波型の部分が赤色で、中の渦巻きの絵柄が緑色をしたものがほとんどである。
音威子府駅の濃い黒色をした蕎麦はテレビや雑誌などでも取り上げられ、有名である。ただし営業時間、営業日は不定。駅前右側の商店においても販売されている。
新得駅のそばは、音威子府駅のものと同様に手打そばであり、定評がある。昼食時には旅行者だけでなく地元民にも食されている。
遠軽駅では、定番メニューのきつねそば・うどんはない代わりに、合鴨そばやスペシャル(卵、かきあげ、山菜、あいがも入り)というオリジナルメニューがある。
札幌駅では、通勤電車の発着ホームも含めて全てのホームの店で車内持ち込み用の容器が売られている。屋内にあるのは厨房のみでカウンターは屋外にあるため、冬場は発車まで時間があっても、寒風に晒されるホームを避けて車内で食すために利用する客も少なくない。
東北
東北地方の鉄道駅における立ち食い店で大きなシェアを占めているのが、日本レストランエンタプライズである。同社は伯養軒の販売部門を分社化したエヌアールイーみちのく(旧・エヌアールイー伯養軒)を吸収合併したことに大きなシェアを占めることになった。
鹿角花輪駅では、うどん・そばの他に秋田県の郷土料理であるきりたんぽ鍋を味わうことができる。
原ノ町駅で立ち食いそば店を運営しているのは、同駅でざるそばの駅弁などを製造・販売している業者である。駅前の食堂から、およそバット1枚分ずつ、茹で上げられたそばが運び込まれており、その味には定評がある。
関東
JRでは以前は各駅毎に様々な業者が入り営業していたが、1990年代半ば頃からこれらの業者を排除し、東日本旅客鉄道(JR東日本)の連結子会社であるNREとへと統合され、味の画一化が進んだ。これにより仕入れを共通化でき原価を低減できるが、個性が全くなく利用客には批判的に受け止められた。なお、NREではこの批判の声を受け、近年は各地へ出店の際に、独自メニューが含まれたり、具の内容が異なる店も出現している(品川店のみの「しながわ」、西船橋店では他店と異なるかき揚げを使用)ものの、基本となる味は同じである。また、多くは「あじさい茶屋」の名称であるが、最近では別の名称で出店している駅(錦糸町駅の「本所そば」、品川駅の「しながわそば」など)もあり、東京近辺を中心に様々な駅に出店している。その一方で同じJR東日本系列のジェイアール東日本フードビジネス(JEFB)も独自に「あずみ」「生そば あずみ」を展開しており、同じ駅にNREの「あじさい茶屋」や後述する讃岐うどん店が共存することがある。その他、JR東日本直営系では、各支社子会社であるジェイアール東京企画開発、ジェイアール宇都宮企画開発が展開する「喜多そば」、ジェイアール神奈川企画開発、ジェイアールかいじ企画開発が展開する「小竹林(旧・そばたいむ小竹林)」がある(旧各鉄道管理局直営店舗)。
小竹林の特徴として冷凍麺を使用している。特にそばは独特の食感があるので人により評価が分かれやすい。
品川駅構内の立ち食いそばはホームや場所ごとに内容が全て異なる。駅弁業者でもある常盤軒が営業する東海道本線下りホーム10号車付近の立ち食いそばには、かけそばが無い代わりに「お好みそば」がある。注文すると葱さえも盛られていない「そば・うどん」(2006年現在、生卵もしくはゆで卵は無料サービス)が提供され、そこに刻みネギ・わかめ・鰹節・揚げ玉・きつね・フライドポテト等複数種類(2006年5月現在9種類)用意された種物を好きなだけ載せて食べることができる。なお、1杯380円のため、全く種物を載せずに食べると他の立ち食い店に比べて割高となるので、客は皆かなり多めに種物を入れる傾向にある。
立川駅ホームの立ち食い店(奥多摩そば)には「おでんそば・うどん」がある。甘辛く煮た薩摩揚げが種物として載せられている。
全国的な讃岐うどんブームが起こった2002年(平成14年)より、NREが四国旅客鉄道(JR四国)系列の「めりけんや」と業務提携を行い、恵比寿駅・上野駅・新橋駅など一部の駅で讃岐うどんの専門店を営業している。
東京都心に乗り入れるJRの路線でも、常磐線には山手線等と重複する上野駅と日暮里駅を除けば、NRE・JEFBの立ち食いそば・うどん店は1店も存在しない。JR系列では東日本キヨスクが運営する店があるのみで、他は業者もまちまちで、比較的変化に富んでいる。
常磐線我孫子駅では鶏のから揚げが載った「から揚げそば」が有名である。営んでいる弥生軒はかつては駅弁業者で、過去に画家の山下清が働いていた。
茨城県内の主要駅では納豆そば(うどん)が食べられる。
水戸駅のけんちんそば(うどん)は、冬季メニューとして伝統がある。
宇都宮駅の「野州そば」では餃子そばが食べられる。
民鉄の場合、その鉄道会社の系列の店が出店する傾向が強い。小田急電鉄の「箱根そば」などが代表格である。無論、鉄道会社とは直接関係のない業者が出店する場合も多々ある。また、京浜急行電鉄の「えきめんや」は店の屋号が統一されているだけであり、実際は各駅様々な業者が運営している。このほかに、東京急行電鉄の「田園そば」、京王電鉄の「高幡そば」、西武鉄道の「狭山そば」、「東京地下鉄」(東京メトロ)の「ちかてつそば」(主に駅敷地内の地上で展開、運営はメトロフードサービス)、関東鉄道の関鉄プラザなどがある。
立ち食い店で初めて生麺を導入したのは「富士そば」(1987年)である(「小諸そば」チェーンという説もある)。
また首都圏の主な駅周辺には「富士そば」チェーンや「梅もと」の店舗がよく見られる。
東武鉄道久喜駅には立ち食いラーメン店があり、そば・うどんも売られている。東武鉄道では立ち食いラーメン店が計4店あるが、久喜駅以外の3店はラーメン専門で、そば・うどんは取り扱われていない。
甲信越
新潟県の直江津駅、燕三条駅にあるNREの店舗には、鹹水を使った黄色い中華風の麺が濃い口の和風つゆに入っている一風変わった「和風中華」がある。また直江津駅南口近くにあるセルフ形式の「塚田そば店」にはそば・うどんの他、前述の和風中華と同様の「中か」がある。
新潟駅万代口の「やなぎ庵」には、中華麺とチャーシュー、メンマなどラーメンの具材を冷やした和風つゆで食べる「冷しラーメン」がある。かつては長岡駅にも同名店舗が存在したが、2007年春の駅舎改修に伴い「長岡庵」に改称し、現在は冷しラーメンは取り扱っていない。
新潟市中央区の万代シテイバスセンター構内にある立ち食いそばコーナーは、前身のバスステーションビル以来約50年の歴史を有する老舗である。特にカレーライスが名物として知られ、昼のうちに売り切れとなる日もあるなど人気が高い。持ち帰り容器を各自で用意すれば、カレーソースだけの持ち帰りも可能。なお、そば・うどんには刻み焼き海苔をトッピングして供される。
同じく新潟県の国道7号新新バイパス・道の駅豊栄には、甘辛く煮付けた厚揚げが一丁入った「ジャンボ狐そば・うどん」が、北陸自動車道・栄パーキングエリアには、近隣の長岡市栃尾地区の名物・ジャンボあぶらげが入った「大ぎつねそば・うどん」がある。
長野県のしなの鉄道(旧信越本線)の軽井沢駅改札前の待合室に併設されているおぎのやが経営する駅そばは、注文毎に生麺から茹でるタイプのものである。
上田駅の上田電鉄別所線改札前にも、注文毎に生麺から茹でる店舗がある。
北陸
富山駅にある「立山そば」(「ますのすし」で知られる株式会社源が運営)のホーム内店舗では車内持込用の容器を用意していない代わりに持ち込み料金を払うことで丼ごと販売されている。
富山県の高岡駅にある「今庄そば」(今庄は経営者の姓)ではそばとうどんを一緒に盛り付けたメニューを「チャンポン」と称して供する。また、副食として供されるおにぎりは、主にこの地域でしか見られない、とろろ昆布巻きのおにぎりも売られており、人気も高い。
福井駅のうどん・そばは、鰹節を散らすのが特徴。
東海
静岡県では、鉄道駅での営業もさることながら、市街地や国道沿いなどさまざまな場所に立ち食いそば・うどん店が存在する。静岡がサクラエビやシラスの産地であることから、サクラエビやシラスの掻き揚げ天ぷらを乗せたそば・うどんが普通である[要出典]。なお、静岡県内全域で立ち食い店のつゆは関東風にいりこだしを加えた甘めのものである。
豊橋駅の「壷屋」ではすべてのメニューにきざんだ油揚げがのっている。これは豊川稲荷にちなんだもので、同弁当部でも稲荷寿司を販売している。
名古屋駅といえばホーム上の立ち食いきしめんが有名である。中でも新幹線ホーム(4号車付近)の店舗が美味と好評である。この店舗は、他ホーム(在来線)と異なり、店舗内で出汁を取っているのが旨さの秘訣とされる。但し駅構内全ての店できしめんを扱っている訳ではない。
松阪駅ではやはり牛肉が有名な事もあり。肉うどんの人気が高いようである。また、津駅と共に伊勢うどんを食べられる店舗。伊勢市駅にもあったが閉店。
関西
米原駅の立ち食い店には、粉末にしたよもぎをそば粉に混ぜて打った「よもぎそば」がある。
姫路駅名物「えきそば」。鹹水を使用しているため、麺が黄色いJR姫路駅構内の「えきそば」(店名)は、前述の直江津駅、燕三条駅と同様に中華麺が薄口の和風つゆに入っており、同駅の名物となっている[1]。こうした中華麺を使用したそばは、近畿地方では大衆食堂や学食などにおいてもしばしば散見され、蕎麦粉を用いた通常のそば(和そば、黒そば)と区別するために「黄そば」(きそば、きぃそば)と呼ばれる。
関西の私鉄駅構内の立ち食いそば・うどん店は、メニューはうどんが先に記されている場合がほとんどであるにも関わらず、阪急電鉄の「阪急そば」、阪神電気鉄道の「阪神そば」、南海電気鉄道の「南海そば」、山陽電気鉄道の「山陽そば」、神戸高速鉄道の「高速そば」など、蕎麦が無いと誤解されないために店名が「○○そば」の例が多い。なお、京阪電気鉄道では「麺座」で、店名に「そば」も「うどん」もつかないが、かつては枚方市駅にのみ「京阪そば」があった。近畿日本鉄道は駅ごとに店名が異なり、それぞれ「麺と串」(難波駅)、「上本町麺類」(上本町駅)、「うどん亭」(鶴橋駅)、「阿倍野庵」(大阪阿部野橋駅)である。いずれの店でも提供されるのは、当然ながら純然たる関西風のつゆによるそば・うどんである。
京阪神地区には駅のそばや商店街などに大阪誠和食品グループが経営する「都そば」という立ち食いそば・うどん店がある(屋号は○にせ)。素うどん(かけうどん)を180~200円と安価で提供しているのが特徴。ラーメンも販売している。東京の誠和食品が経営する同系列店は、秋葉原などにも数店舗存在している。
「天ぷらそば」は、店員に「天そ」と略されることが多い。
神戸地区の高速そば・山陽そば等を中心に「ぽっかけ」うどん(そば)というものがあり、スジ肉をじっくり煮込んだものがトッピングされる。
中国
ほぼ関西と同様の昆布と鰹節で出汁を取り、薄口醤油の風味を生かしたつゆの立ち食い店が多い。
うどん、そばとも供されているが、ややうどんの比率が高い傾向が覗える。
出雲そばで名高い島根県にあるJR木次線の亀嵩駅は簡易委託駅で、駅舎内の蕎麦店「扇屋そば」の店主が駅業務を兼業している。扇屋そばは立ち食いではないが、中国地方の駅蕎麦として代表的なものの一つである。事前に電話予約(トロッコ列車のみ予約不要)をすることで亀嵩駅に到着する列車に出前をする「弁当そば」(500円)も販売している。
広島駅では、駅弁業者の広島駅弁当が1番ホーム、4・5番ホーム、7・8・9番ホームで営業しているが、地元民の噂によると1番ホームが最も美味しいとの評判が出ている。しかし、実際はどのホームも全く同じメニューやスープを供している。また、1番ホームの店が最も遅くまで営業している。
新幹線ホームの店は「味一」という屋号である。過去に横川駅に同一名称のJR直営立ち食いうどん店が存在した事から、この店も同様と推測される。
過去には「広島駅弁当」が可部線の下祇園駅の駅舎近くでも立ち食いうどん店を経営していた。現在は居酒屋となっており、うどんは取り扱っているが立ち食いではない。
徳山駅の肉うどんは、肉の出汁がスープに染みて、美味しいと高評価である。
下関駅ホームの店には並うどん・そばが無く、メニューはふくてん、かやく、てんぷらの3種。名産のふぐ(しろさばふぐ)を用いたふく天うどんが人気であり、東京発九州方面行きブルートレインが機関車の付け替えで長時間停車している時には、朝食代わりに多数買い求める客が多い。また、かやくうどんも一部の愛好者には評価が高い。
四国
讃岐うどんの文化が根強くうどんのみの店が多く、そばがある場合でもうどんの金額に50円~100円の追加が必要な場合もある。店内には椅子席が中心のため立ち食い式も少ない。しかし阿波池田駅の祖谷そばなど例外もある。
高松駅の構内では、かつて宇高連絡船の甲板で営業していたうどん店が立ち食いで営業しており、連絡船時代の味を残している。但し、当時の味を再現したものであり、麺だけはJR四国グループのうどん店「めりけんや」が作ったものである。そのため、雰囲気を重視するか、味を重視するかで賛否が分かれるが、連絡船のうどんを知らない観光客には、おしなべて好評の様子。
松山駅の構内では、愛媛県名物のじゃこ天うどん(そば)が好評。
九州
うどん中心の地域であり、うどん麺は常にすぐ出せるように準備されているが、蕎麦はすぐ出せないという店が多い。
福岡県を中心とした北部九州地区では柔らかい食感とやや平たい断面が特徴的である「博多うどん」が提供される。また、北部九州の代表的な駅弁である「かしわめし」を販売する業者が駅のうどん店を営業している場合が多く、葱以外に具のない「かけ」を注文した場合でも、「かしわ」(鶏肉の細切れを甘辛く煮たもの)が入っている場合が多い。また、博多駅では、葱を客が好きなだけトッピングするシステムとなっている。かしわと葱のトッピングは、ホームによって異なる。
鳥栖駅の立ち食い店でも、かけうどん(かけそば)の状態で、かしわが載っている。5・6番ホームが美味しいと評判だが経営している業者は全て同一である。
かしわうどんは小倉駅「ぷらっとぴっと」も人気がある。漫画『クッキングパパ』でも紹介された。
熊本駅0番ホームではかつて、阿蘇名物の高菜を載せた、「高菜うどん(そば)」が味わえたが、現存しない。また、九州新幹線建設のあおりを受けて、ホームが改装・整備され、立ち食いうどん店その物がない。
九州地方の立ち食い店で特徴的な種物に「ごぼう天(「ごぼ天」とも言う)」と「丸天」が挙げられる。「ごぼう天」とは、主にゴボウの掻き揚げを指すが、斜め切り又は拍子木切りにして個別に揚げたものを用いる地域もあり、シャキシャキとした食感が好まれる。また「丸天」とは薩摩揚げに似た大判の蒲鉾天ぷらの事である。甘みは薩摩揚げほどではなく、また前述の立川駅で見られる「おでん」とは異なり、特に味付はなされていない。
「天ぷらうどん」あるいは「天ぷらそば」を注文すると上記の「丸天」が乗って出てくる場合があるので、注意が必要である。
九州地方の立ち食い店では、大抵プラスチック製の丼で供され、わずかな容器代を追加すれば車内に持ち込む事も可能である。
「いらち」の僕には必需品。やはり、関西人なので、関西のうどん、特に京橋駅の駅を出て東側にある有名な立ち食いうどん屋が好き。



麺
立ち食い店では商品を短時間に提供することが売り物のひとつであるため、市中のそば・うどん店とは異なり、あらかじめ製麺所で茹で上げられた麺を注文後再度短時間湯通しし、かつ熱めのつゆをかけて提供される。これは、生麺から茹でていては客の「短時間で食事を済ませたい」要求に対応できない事ことから生まれたものである。また、この方法では調理が短時間かつ簡単なため、店員数が少なくて済み、コスト削減の効果もある。
最近では茹で麺に加えて、冷凍麺も増えてきている。茹で麺は消費期限が製造から3日程度で毎日納品する必要があるが、冷凍麺は賞味期限が1年と長持ちすることで週1回程度での納品で済むなどの利点があり、茹で麺で提供するには客が少ない店で導入されている。逆に、冷凍庫を設置しなければならないことや、茹で麺に対して2分程度の茹で時間がかかるという欠点がある。
現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に生麺を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておくパターンが多い。そのため、客の回転の悪い時間帯には麺が伸びてしまい、予め製麺所で茹でられた麺とさほど変わらない状態で提供されることもままある。
関東では概ね「そば・うどん」と表記されるように、そばがメインの商品として扱われてるが、これが関西になると「うどん・そば」との表記が増え、うどんがメイン商品として扱われている。
つゆ
一般のそば・うどんがそうであるように、立ち食いそば・うどんでもつゆは、東日本では濃口醤油を用いた黒い色の関東風、西日本では薄口醤油の風味を生かした透き通った関西風が主流である。
日本海側での味付けの境界は概ね、直江津駅と富山駅とされる。しかし、富山駅のものにしても完全に関西風とは言い難い。金沢駅では汁が関西風になることや、富山県内の高速道路サービスエリア・パーキングエリアにおいては西進するにつれ徐々に味が関西風に近づいている(新潟テレビ21「小野沢裕子のいきいきワイド」取材に基づく)ことなどを鑑みると、立ち食いにおいては富山県内が境界である可能性が高い。
太平洋側では、静岡県が全県で関東風、三重県は名古屋の影響の強い東部でも薄口醤油による関西風のつゆが主流であるため、愛知県が境界とする説が濃厚である。同じ愛知でも、豊橋など三河地方では、静岡県と同様の「鰹出汁に濃口醤油」の関東風そのものだが、名古屋や岐阜など尾張地方・美濃地方では味醂等の甘味が効いた独特な「名古屋風」のつゆである。ただしそれも濃口醤油ベースのため、広義では関東風に含めることが多い。
内陸部の米原駅の立ち食い店は、薄口醤油の風味を生かした、明らかに関西風のつゆの立ち食い店である。東海道本線沿線で米原の東隣に位置する立ち食い店設置駅はかつては大垣駅、2006年現在では岐阜駅で、いずれも関東風ベースの名古屋風つゆの店である。この事から立ち食いそば・うどん店のつゆもまた、「関ヶ原」が東西の境目になっていると言える。
2000年12月22日に放送された『タモリ倶楽部 さよなら20世紀SPECIAL』(テレビ朝日、90分拡大SP)の企画で、東海道新幹線各駅のうどんだしの濃さを調べた際、関東~東海にかけては所謂関東風の濃いだしで、特に小田原駅から豊橋駅までむしろ濃くなっていった(この区間が一番濃いだしであった)。豊橋駅の次の三河安城駅でついにやや薄くなる変化が現れ始めた。次の名古屋駅は三河安城駅とほぼ同じ。その隣の岐阜羽島駅ではそれより更に薄くなり、次の米原駅からは完全な関西風の薄いだしになるという結果であった。
なお、例外的に関東でも関西風のつゆを出す店はある。関東の駅で主流の日本レストランエンタプライズ(NRE)の店の一部では、そば・うどんともにつゆを関東風・関西風から選択可能である。ただし、ネギはすべて関東で主流の白ネギを用いており、青ネギを用いる関西風のうどんとは厳密には異なるため、つゆのみが変わる事で「関西風」とされる事には異論もある。
種物・薬味
立ち食い店における天ぷらとは基本的に掻き揚げのことを指すが、この由来は立ち食いそば発祥の頃にまで遡る。当時はつゆにあまりコストを掛けられなかったため出汁が薄く醤油味の濃いつゆが多かった。しかしそのままでは塩辛くて食べ難いため、種物の中でも油分の多い掻き揚げを載せることでつゆと麺を油分の甘味で結びつけ、食べ易くしたことによる。また、立ち食いでない店に比べて薄利多売であるため、廉価で供するために天ぷらを掻き揚げにする事情もある。薄く柔らかい揚げ置きの既製品を使用する店もあるが、店内で揚げるスタイルの店も増えている。天ぷらの素材は、チェーン店では業務用の冷凍製品が用いられるが、小規模の個人店舗ではオリジナルの材料や揚げ方などにより独自性を発揮している例も多い。チェーン店でも「薬膳天」なる独自種物があるところ(梅もと)がある。
一般のそば・うどん店と同様、天かす(揚げ玉)や油揚げも種物として一般的。関東では天かすが乗れば「たぬきそば・うどん」、具が油揚げに変われば「きつねそば・うどん」となるが、関西(主に大阪)では、うどんに油揚げが乗れば「きつね」、そばに油揚げでは「たぬき」と呼ぶのもやはり同様である。大阪では揚げ玉が乗ったものを「ハイカラうどん」「ハイカラそば」、京都では「あんかけうどん」「あんかけそば」などとも称するが、天かす入れ放題の店もあり、特に名称がない場合も多い。
以前はサービスの一形態として、カウンター上に葱や天かすが盛られた容器があり、客が自分で好きなだけ入れられる店も多く存在したが、最近は減少している。
一般のそば・うどん店よりも種物のバラエティに富む店もある。箱根そばチェーンの夏季限定メニュー「冷やし豆腐一丁」は、冷やし麺に絹ごし豆腐を一丁そのまま載せたもの(他に揚げ玉、わかめ、おろし生姜、葱等が添えられる)でそれまで一般の店には全く見られなかった種物である(ただし2007年夏季は野菜天との組み合わせとなり「豆腐一丁」ではなくなった)。その一方で、利用者が多くない店舗では、極端に種物を絞る店も多い。たとえば、種物として卵と掻き揚げしか用意せず、かけ・天ぷら・月見・天玉の4つしかメニューがない店もある。これらの種物は冷蔵庫で保管すれば複数日に渡って保存可能で、コスト削減の一環である。
立ち食い店においてコロッケを種物として採用したのは神奈川県内の駅の店とされる。このコロッケそば・うどんは首都圏各地へと広まったが、これが浸透している地域には限りがある。そのため、他地域に在住している人間からは、うどんやそばにコロッケをトッピングすることが信じられないと言われることが多い。駅そばで提供されるコロッケはそば・うどん用に衣が厚く硬く作られており、イモ部分も水分が少なく、じっくり汁に浸してからでないと箸を通せないようにできている。
首都圏では「肉うどん」に豚肉を使用、牛肉を使用したものは「牛肉そば」としている店舗もあり、「肉=牛肉」と考える関西以西の出身者は驚くことがある。これは、関東では関西と比較すると養豚が盛んであったことが要因とされ、関東と関西の文化の違いを窺わせる。
各地の特徴
北海道
北海道の立ち食い店における天ぷらは、揚げ玉を円盤状に固め、表面に乾燥小海老がついたものが多く見受けられる。ナルトは、外側の波型の部分が赤色で、中の渦巻きの絵柄が緑色をしたものがほとんどである。
音威子府駅の濃い黒色をした蕎麦はテレビや雑誌などでも取り上げられ、有名である。ただし営業時間、営業日は不定。駅前右側の商店においても販売されている。
新得駅のそばは、音威子府駅のものと同様に手打そばであり、定評がある。昼食時には旅行者だけでなく地元民にも食されている。
遠軽駅では、定番メニューのきつねそば・うどんはない代わりに、合鴨そばやスペシャル(卵、かきあげ、山菜、あいがも入り)というオリジナルメニューがある。
札幌駅では、通勤電車の発着ホームも含めて全てのホームの店で車内持ち込み用の容器が売られている。屋内にあるのは厨房のみでカウンターは屋外にあるため、冬場は発車まで時間があっても、寒風に晒されるホームを避けて車内で食すために利用する客も少なくない。
東北
東北地方の鉄道駅における立ち食い店で大きなシェアを占めているのが、日本レストランエンタプライズである。同社は伯養軒の販売部門を分社化したエヌアールイーみちのく(旧・エヌアールイー伯養軒)を吸収合併したことに大きなシェアを占めることになった。
鹿角花輪駅では、うどん・そばの他に秋田県の郷土料理であるきりたんぽ鍋を味わうことができる。
原ノ町駅で立ち食いそば店を運営しているのは、同駅でざるそばの駅弁などを製造・販売している業者である。駅前の食堂から、およそバット1枚分ずつ、茹で上げられたそばが運び込まれており、その味には定評がある。
関東
JRでは以前は各駅毎に様々な業者が入り営業していたが、1990年代半ば頃からこれらの業者を排除し、東日本旅客鉄道(JR東日本)の連結子会社であるNREとへと統合され、味の画一化が進んだ。これにより仕入れを共通化でき原価を低減できるが、個性が全くなく利用客には批判的に受け止められた。なお、NREではこの批判の声を受け、近年は各地へ出店の際に、独自メニューが含まれたり、具の内容が異なる店も出現している(品川店のみの「しながわ」、西船橋店では他店と異なるかき揚げを使用)ものの、基本となる味は同じである。また、多くは「あじさい茶屋」の名称であるが、最近では別の名称で出店している駅(錦糸町駅の「本所そば」、品川駅の「しながわそば」など)もあり、東京近辺を中心に様々な駅に出店している。その一方で同じJR東日本系列のジェイアール東日本フードビジネス(JEFB)も独自に「あずみ」「生そば あずみ」を展開しており、同じ駅にNREの「あじさい茶屋」や後述する讃岐うどん店が共存することがある。その他、JR東日本直営系では、各支社子会社であるジェイアール東京企画開発、ジェイアール宇都宮企画開発が展開する「喜多そば」、ジェイアール神奈川企画開発、ジェイアールかいじ企画開発が展開する「小竹林(旧・そばたいむ小竹林)」がある(旧各鉄道管理局直営店舗)。
小竹林の特徴として冷凍麺を使用している。特にそばは独特の食感があるので人により評価が分かれやすい。
品川駅構内の立ち食いそばはホームや場所ごとに内容が全て異なる。駅弁業者でもある常盤軒が営業する東海道本線下りホーム10号車付近の立ち食いそばには、かけそばが無い代わりに「お好みそば」がある。注文すると葱さえも盛られていない「そば・うどん」(2006年現在、生卵もしくはゆで卵は無料サービス)が提供され、そこに刻みネギ・わかめ・鰹節・揚げ玉・きつね・フライドポテト等複数種類(2006年5月現在9種類)用意された種物を好きなだけ載せて食べることができる。なお、1杯380円のため、全く種物を載せずに食べると他の立ち食い店に比べて割高となるので、客は皆かなり多めに種物を入れる傾向にある。
立川駅ホームの立ち食い店(奥多摩そば)には「おでんそば・うどん」がある。甘辛く煮た薩摩揚げが種物として載せられている。
全国的な讃岐うどんブームが起こった2002年(平成14年)より、NREが四国旅客鉄道(JR四国)系列の「めりけんや」と業務提携を行い、恵比寿駅・上野駅・新橋駅など一部の駅で讃岐うどんの専門店を営業している。
東京都心に乗り入れるJRの路線でも、常磐線には山手線等と重複する上野駅と日暮里駅を除けば、NRE・JEFBの立ち食いそば・うどん店は1店も存在しない。JR系列では東日本キヨスクが運営する店があるのみで、他は業者もまちまちで、比較的変化に富んでいる。
常磐線我孫子駅では鶏のから揚げが載った「から揚げそば」が有名である。営んでいる弥生軒はかつては駅弁業者で、過去に画家の山下清が働いていた。
茨城県内の主要駅では納豆そば(うどん)が食べられる。
水戸駅のけんちんそば(うどん)は、冬季メニューとして伝統がある。
宇都宮駅の「野州そば」では餃子そばが食べられる。
民鉄の場合、その鉄道会社の系列の店が出店する傾向が強い。小田急電鉄の「箱根そば」などが代表格である。無論、鉄道会社とは直接関係のない業者が出店する場合も多々ある。また、京浜急行電鉄の「えきめんや」は店の屋号が統一されているだけであり、実際は各駅様々な業者が運営している。このほかに、東京急行電鉄の「田園そば」、京王電鉄の「高幡そば」、西武鉄道の「狭山そば」、「東京地下鉄」(東京メトロ)の「ちかてつそば」(主に駅敷地内の地上で展開、運営はメトロフードサービス)、関東鉄道の関鉄プラザなどがある。
立ち食い店で初めて生麺を導入したのは「富士そば」(1987年)である(「小諸そば」チェーンという説もある)。
また首都圏の主な駅周辺には「富士そば」チェーンや「梅もと」の店舗がよく見られる。
東武鉄道久喜駅には立ち食いラーメン店があり、そば・うどんも売られている。東武鉄道では立ち食いラーメン店が計4店あるが、久喜駅以外の3店はラーメン専門で、そば・うどんは取り扱われていない。
甲信越
新潟県の直江津駅、燕三条駅にあるNREの店舗には、鹹水を使った黄色い中華風の麺が濃い口の和風つゆに入っている一風変わった「和風中華」がある。また直江津駅南口近くにあるセルフ形式の「塚田そば店」にはそば・うどんの他、前述の和風中華と同様の「中か」がある。
新潟駅万代口の「やなぎ庵」には、中華麺とチャーシュー、メンマなどラーメンの具材を冷やした和風つゆで食べる「冷しラーメン」がある。かつては長岡駅にも同名店舗が存在したが、2007年春の駅舎改修に伴い「長岡庵」に改称し、現在は冷しラーメンは取り扱っていない。
新潟市中央区の万代シテイバスセンター構内にある立ち食いそばコーナーは、前身のバスステーションビル以来約50年の歴史を有する老舗である。特にカレーライスが名物として知られ、昼のうちに売り切れとなる日もあるなど人気が高い。持ち帰り容器を各自で用意すれば、カレーソースだけの持ち帰りも可能。なお、そば・うどんには刻み焼き海苔をトッピングして供される。
同じく新潟県の国道7号新新バイパス・道の駅豊栄には、甘辛く煮付けた厚揚げが一丁入った「ジャンボ狐そば・うどん」が、北陸自動車道・栄パーキングエリアには、近隣の長岡市栃尾地区の名物・ジャンボあぶらげが入った「大ぎつねそば・うどん」がある。
長野県のしなの鉄道(旧信越本線)の軽井沢駅改札前の待合室に併設されているおぎのやが経営する駅そばは、注文毎に生麺から茹でるタイプのものである。
上田駅の上田電鉄別所線改札前にも、注文毎に生麺から茹でる店舗がある。
北陸
富山駅にある「立山そば」(「ますのすし」で知られる株式会社源が運営)のホーム内店舗では車内持込用の容器を用意していない代わりに持ち込み料金を払うことで丼ごと販売されている。
富山県の高岡駅にある「今庄そば」(今庄は経営者の姓)ではそばとうどんを一緒に盛り付けたメニューを「チャンポン」と称して供する。また、副食として供されるおにぎりは、主にこの地域でしか見られない、とろろ昆布巻きのおにぎりも売られており、人気も高い。
福井駅のうどん・そばは、鰹節を散らすのが特徴。
東海
静岡県では、鉄道駅での営業もさることながら、市街地や国道沿いなどさまざまな場所に立ち食いそば・うどん店が存在する。静岡がサクラエビやシラスの産地であることから、サクラエビやシラスの掻き揚げ天ぷらを乗せたそば・うどんが普通である[要出典]。なお、静岡県内全域で立ち食い店のつゆは関東風にいりこだしを加えた甘めのものである。
豊橋駅の「壷屋」ではすべてのメニューにきざんだ油揚げがのっている。これは豊川稲荷にちなんだもので、同弁当部でも稲荷寿司を販売している。
名古屋駅といえばホーム上の立ち食いきしめんが有名である。中でも新幹線ホーム(4号車付近)の店舗が美味と好評である。この店舗は、他ホーム(在来線)と異なり、店舗内で出汁を取っているのが旨さの秘訣とされる。但し駅構内全ての店できしめんを扱っている訳ではない。
松阪駅ではやはり牛肉が有名な事もあり。肉うどんの人気が高いようである。また、津駅と共に伊勢うどんを食べられる店舗。伊勢市駅にもあったが閉店。
関西
米原駅の立ち食い店には、粉末にしたよもぎをそば粉に混ぜて打った「よもぎそば」がある。
姫路駅名物「えきそば」。鹹水を使用しているため、麺が黄色いJR姫路駅構内の「えきそば」(店名)は、前述の直江津駅、燕三条駅と同様に中華麺が薄口の和風つゆに入っており、同駅の名物となっている[1]。こうした中華麺を使用したそばは、近畿地方では大衆食堂や学食などにおいてもしばしば散見され、蕎麦粉を用いた通常のそば(和そば、黒そば)と区別するために「黄そば」(きそば、きぃそば)と呼ばれる。
関西の私鉄駅構内の立ち食いそば・うどん店は、メニューはうどんが先に記されている場合がほとんどであるにも関わらず、阪急電鉄の「阪急そば」、阪神電気鉄道の「阪神そば」、南海電気鉄道の「南海そば」、山陽電気鉄道の「山陽そば」、神戸高速鉄道の「高速そば」など、蕎麦が無いと誤解されないために店名が「○○そば」の例が多い。なお、京阪電気鉄道では「麺座」で、店名に「そば」も「うどん」もつかないが、かつては枚方市駅にのみ「京阪そば」があった。近畿日本鉄道は駅ごとに店名が異なり、それぞれ「麺と串」(難波駅)、「上本町麺類」(上本町駅)、「うどん亭」(鶴橋駅)、「阿倍野庵」(大阪阿部野橋駅)である。いずれの店でも提供されるのは、当然ながら純然たる関西風のつゆによるそば・うどんである。
京阪神地区には駅のそばや商店街などに大阪誠和食品グループが経営する「都そば」という立ち食いそば・うどん店がある(屋号は○にせ)。素うどん(かけうどん)を180~200円と安価で提供しているのが特徴。ラーメンも販売している。東京の誠和食品が経営する同系列店は、秋葉原などにも数店舗存在している。
「天ぷらそば」は、店員に「天そ」と略されることが多い。
神戸地区の高速そば・山陽そば等を中心に「ぽっかけ」うどん(そば)というものがあり、スジ肉をじっくり煮込んだものがトッピングされる。
中国
ほぼ関西と同様の昆布と鰹節で出汁を取り、薄口醤油の風味を生かしたつゆの立ち食い店が多い。
うどん、そばとも供されているが、ややうどんの比率が高い傾向が覗える。
出雲そばで名高い島根県にあるJR木次線の亀嵩駅は簡易委託駅で、駅舎内の蕎麦店「扇屋そば」の店主が駅業務を兼業している。扇屋そばは立ち食いではないが、中国地方の駅蕎麦として代表的なものの一つである。事前に電話予約(トロッコ列車のみ予約不要)をすることで亀嵩駅に到着する列車に出前をする「弁当そば」(500円)も販売している。
広島駅では、駅弁業者の広島駅弁当が1番ホーム、4・5番ホーム、7・8・9番ホームで営業しているが、地元民の噂によると1番ホームが最も美味しいとの評判が出ている。しかし、実際はどのホームも全く同じメニューやスープを供している。また、1番ホームの店が最も遅くまで営業している。
新幹線ホームの店は「味一」という屋号である。過去に横川駅に同一名称のJR直営立ち食いうどん店が存在した事から、この店も同様と推測される。
過去には「広島駅弁当」が可部線の下祇園駅の駅舎近くでも立ち食いうどん店を経営していた。現在は居酒屋となっており、うどんは取り扱っているが立ち食いではない。
徳山駅の肉うどんは、肉の出汁がスープに染みて、美味しいと高評価である。
下関駅ホームの店には並うどん・そばが無く、メニューはふくてん、かやく、てんぷらの3種。名産のふぐ(しろさばふぐ)を用いたふく天うどんが人気であり、東京発九州方面行きブルートレインが機関車の付け替えで長時間停車している時には、朝食代わりに多数買い求める客が多い。また、かやくうどんも一部の愛好者には評価が高い。
四国
讃岐うどんの文化が根強くうどんのみの店が多く、そばがある場合でもうどんの金額に50円~100円の追加が必要な場合もある。店内には椅子席が中心のため立ち食い式も少ない。しかし阿波池田駅の祖谷そばなど例外もある。
高松駅の構内では、かつて宇高連絡船の甲板で営業していたうどん店が立ち食いで営業しており、連絡船時代の味を残している。但し、当時の味を再現したものであり、麺だけはJR四国グループのうどん店「めりけんや」が作ったものである。そのため、雰囲気を重視するか、味を重視するかで賛否が分かれるが、連絡船のうどんを知らない観光客には、おしなべて好評の様子。
松山駅の構内では、愛媛県名物のじゃこ天うどん(そば)が好評。
九州
うどん中心の地域であり、うどん麺は常にすぐ出せるように準備されているが、蕎麦はすぐ出せないという店が多い。
福岡県を中心とした北部九州地区では柔らかい食感とやや平たい断面が特徴的である「博多うどん」が提供される。また、北部九州の代表的な駅弁である「かしわめし」を販売する業者が駅のうどん店を営業している場合が多く、葱以外に具のない「かけ」を注文した場合でも、「かしわ」(鶏肉の細切れを甘辛く煮たもの)が入っている場合が多い。また、博多駅では、葱を客が好きなだけトッピングするシステムとなっている。かしわと葱のトッピングは、ホームによって異なる。
鳥栖駅の立ち食い店でも、かけうどん(かけそば)の状態で、かしわが載っている。5・6番ホームが美味しいと評判だが経営している業者は全て同一である。
かしわうどんは小倉駅「ぷらっとぴっと」も人気がある。漫画『クッキングパパ』でも紹介された。
熊本駅0番ホームではかつて、阿蘇名物の高菜を載せた、「高菜うどん(そば)」が味わえたが、現存しない。また、九州新幹線建設のあおりを受けて、ホームが改装・整備され、立ち食いうどん店その物がない。
九州地方の立ち食い店で特徴的な種物に「ごぼう天(「ごぼ天」とも言う)」と「丸天」が挙げられる。「ごぼう天」とは、主にゴボウの掻き揚げを指すが、斜め切り又は拍子木切りにして個別に揚げたものを用いる地域もあり、シャキシャキとした食感が好まれる。また「丸天」とは薩摩揚げに似た大判の蒲鉾天ぷらの事である。甘みは薩摩揚げほどではなく、また前述の立川駅で見られる「おでん」とは異なり、特に味付はなされていない。
「天ぷらうどん」あるいは「天ぷらそば」を注文すると上記の「丸天」が乗って出てくる場合があるので、注意が必要である。
九州地方の立ち食い店では、大抵プラスチック製の丼で供され、わずかな容器代を追加すれば車内に持ち込む事も可能である。
「いらち」の僕には必需品。やはり、関西人なので、関西のうどん、特に京橋駅の駅を出て東側にある有名な立ち食いうどん屋が好き。




