米国航空宇宙局(NASA)の探査車が火星の表面で過去に水が流れた跡、たとえば波の跡や三角州などを発見したことはあるが、地表面下で長い年月にわたり形成された地層を確認したのは今回が初めて。

2025-03-01 09:52:06 | 中国を知らなければ世界はわからない
 

中国の探査車「祝融」、火星で数十億年前の海岸線の地層を発見

登録:2025-02-28 07:12 修正:2025-02-28 09:41
クァク・ノピルの未来の窓 
中国の探査車「祝融」のデータ解析の結果 
地球の海岸線の堆積地層と角度が一致
 
 
 中国のロボット探査車「祝融」が撮影した火星のパノラマ写真=中国国立天文台提供//ハンギョレ新聞社

 中国の火星探査車「祝融」が、着陸した地点にて数十億年前に火星の海の浜辺に積もった堆積物の地層を発見した。これまでに、米国航空宇宙局(NASA)の探査車が火星の表面で過去に水が流れた跡、たとえば波の跡や三角州などを発見したことはあるが、地表面下で長い年月にわたり形成された地層を確認したのは今回が初めて。しかも、過去に発見があった地域は海ではなく湖と推定される場所だった。

 祝融は2021年5月、火星最大のクレーターである直径3300キロメートルのユートピア平原南側の平坦な低地帯に着陸し、1年間にわたり探査活動を行った。そこは数十億年前に海だったと推定される場所だ。

 中国と米国の共同研究チームは、祝融の送信したデータを分析した結果、地表面下に地球の浜辺に似た厚い堆積物の地層構造があることが判明したと米国立科学院会報(PNAS)に発表した。

 
 
古代の火星の海を描写した絵。オレンジ色の星は中国のロボット探査車「祝融」の着陸地点、黄色の星は米国のロボット探査車「パーサビアランス」の着陸地点=Robert Citron//ハンギョレ新聞社

■地球の海岸線と同じ15度の傾斜角

 これによると、この地域の地層は海に向けて下に傾いているが、これは通常、堆積物が潮水と波によって運搬される際に形成される。堆積層の傾斜角は15度で、これは地球の海岸の堆積物の地層の角度とほぼ一致する。

 研究チームは「地球でこの程度の厚さの堆積物が形成されるには数百万年かかる」とし、「したがって、火星でも長い期間にわたり波が海岸線に沿って堆積物を積み上げたのだろう」と述べた。

 研究に参加した米国ペンシルベニア州立大学のベンジャミン・カーデナス教授は「この地域はかつて、日差しが照りつける砂浜や、おだやかに打ち寄せる波がある場所だったのかもしれない」とし、「今回の研究は、火星が一時は相当量の水と生命体が生きるのに適した環境を持っていたという最も明確な証拠」だと述べた。

 過去の米国の探査車とは違い、祝融には表面下の岩石層を透過して観測することが可能な低周波と高周波のレーダーが搭載されている。祝融はこれを利用し、40億年前の古代の海岸線と推定される地域を1.9キロメートル移動し、地表面下を最大80メートルまで探査することができた。

 研究チームは「今回の発見は、古代の火星は今よりはるかに湿った場所であり、火星の北半球の大部分が海に覆われていたという仮説を後押しする」とし、「生命体に適している暖かく湿った期間が数千万年続いていたことを示唆する」と明らかにした。

*論文情報
Ancient ocean coastal deposits imaged on Mars.
doi.org/10.1073/pnas.2422213122

クァク・ノピル先任記者

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1184448.html韓国語原文入力:2025-02-27 10:26
訳M.S

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