メスがオスの100倍の大きさ…
謎のムラサキダコ、オーストラリアで目撃
2センチメートルのオス、2メートルのメスと交尾の後に死ぬ
長く優雅な赤いマントの後ろにクラゲの毒針を隠す
長く赤いマントを揺らして踊るように泳ぐ動物を見た瞬間、オーストラリアのグレートバリアリーフでシュノーケリングをしていたジャシンタ・シャクレトンさんは、「一生で一度あるかないかの出会い」だという事実を直感した。海洋生物学を専攻したフォトグラファーで映像作家でもある彼女は、1月6日にインスタグラムに載せた投稿に、「公海上で一生暮らしてもなかなか見ることが難しいムラサキダコの幼いメスに会った」とし、「色と泳ぐ姿が幻想的だった」と書いた。
熱帯と亜熱帯の海に住むこのタコは、底引網や試験操業網にかかったことはあるが、野生の状態で目撃された事例は数えるほどしかない。しかも、生態も様々な点で特別だ。
メスのムラサキダコは、体長2メートル、体重10キログラムにまで育つ大型だ。対照的にオスは、蛍光のマントもないうえに小さく、動物界ではオスとメスの体格差が最大といわれるほどだ。
生きているオスが初めて発見されたのは、21年前のことだった。オーストラリアのビクトリア博物館のマーク・ノーマン学芸員らは2002年、学術誌「ニュージーランド海洋および淡水研究誌」に掲載した論文で、その発見を報告した。
グレートバリアリーフで夜間潜水中に偶然、明かりに導かれたムラサキダコのオスを捕獲した。精巣が発達した成体だったが、体長は2.4センチメートル、体重は0.25グラムだった。
メスはオスより体長は100倍大きく、体重は4万倍重いわけだ。研究者らは「このような極端なオスとメスの体格差はどの動物よりも大きい」と明らかにした。
交尾も特異だ。オスは足の下の袋に精子を保管しており、メスに会うとこの袋を破裂させ、生殖腕の先に精子をつけた後、腕の先端を切る。オスは交尾を終えるとすぐに死ぬと推定される。メスは渡された精子で受精した卵を10万個以上生み、3~5年間生きる。
ムラサキダコの狩りの武器も独特だ。毒クラゲの触手から毒針を取り外し、吸盤に着けて泳ぎ、武器に使う。タコは毒に免疫がある。
グレートバリアリーフ財団は、このタコを紹介するウェブサイトの資料に、「タコの足を覆う長く立派なマントは、捕食者にいっそう大きく恐ろしく見せる効果を生みだす」とし、「急いで逃げる時には、マントを足下にたたんで入れることができ、極めて切迫した状況に近づけば、マントを取り外したりする」と記載している。
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