人も飛ばされる怪力…台風「バービー」全国で非常事態
登録:2020-08-26 03:20 修正:2020-08-26 07:04
秒速47メートルの強風、26日済州を強襲
勢力を拡大しながらゆっくりと西海へ北上
台風「レンレン」や「ボラヴェン」より強力
史上1位「メミ」より被害大きい可能性も
台風8号「バービー」が済州島に向かって北上する中、25日午後、済州道西帰浦市吐坪洞の岸に巨大な波が打ち寄せている/聯合ニュース
台風8号「バービー」の威力が凄まじい。25日の気象庁の台風情報によると、バービーは北緯30度付近の済州島の西南西190キロの海上に至る26日午前9時ごろ、中心気圧が940ヘクトパスカル、中心付近の最大風速47メートルの非常に強い台風に発達すると予想されている。
台風は低気圧なので中心気圧の数値が小さいほど勢力が強い。最大風速44メートル以上なら、人や大きな石が飛ばされるほどの強さだ。最大瞬間風速史上1位(秒速60メートル)を記録した2003年の台風「メミ」がこの位置で940ヘクトパスカルだった。当時の海水温は28度、現在の済州周辺の海は30度だ。バービーの威力がメミよりも大きくなる条件がそろっている。
バービーと似た経路と勢力を持った2019年の台風「レンレン」、2012年台風「ボラヴェン」と比較しても、バービーの方がかなり強力と見られる。レンレンとボラヴェンは共に、バービーのように済州の西を通って西海を北上し、北朝鮮の黄海道沿岸に上陸した。レンレンは最大瞬間風速史上5位、ボラヴェンは7位を記録している。
しかし、済州を通る際には、レンレンは955ヘクトパスカル、ボラヴェンは960ヘクトパスカルで、バービーより弱かった。さらにボラヴェンは、西海に接近する過程で台風の上下層が分離して弱まり、レンレンも北から南下してきた乾いた空気とぶつかって勢力を弱めた。気象庁のハン・サンウン予報専門官は「しかし現在、北太平洋高気圧の勢力がほとんど力を発揮できずにいるなど、バービーの勢力を弱めたり、経路を移動させたりする周辺の気象要素は全くない」と話した。
バービーは、27日午前0時ごろに全羅北道群山(クンサン)の西120キロの海上を通過する見込みで、依然として非常に強い勢力を保つと見られる。また、レンレンは済州から黄海道沿岸までの移動時間が12時間であったのに対し、バービーはボラヴェンのように15時間かかるものと予想されるため、強風の被害領域はより広がる可能性がある。
レンレンとボラヴェンの時は、降水による被害よりも強風による被害の方が大きかった。昨年9月6~7日に韓国を襲ったレンレンは死者3人、総額334億ウォン(約29億9000万円)の被害を出した。負傷者も23人にのぼったが、防災活動中に怪我をした消防公務員と警察官も11人に及んだ。ボラヴェンはその直後の台風14号「テンビン」と合わせ、11人の死者と総額6365億ウォン(約570億万円)の被害を出した。
気象衛生「千里眼2A」が25日午後9時ごろに撮影した画像。台風の目が見えるほど台風8号「バービー」が発達し、済州島に接近しつつある様子が鮮明に分かる=国家気象衛星センター提供//ハンギョレ新聞社
気象庁のユン・ギハン通報官はこの日「現在、台風の目が確認できるほど勢力が拡大したバービーは、高水温域の済州島付近で強風半径420キロを超える非常に強い台風へと発達し、台風の右側の危険半径内に位置する韓国全域が強風被害領域に入るとみられる」とし「特に済州島、南海岸、西海島嶼と西側地方は大きな被害が懸念される」と述べた。
バービーは多くの雨雲も伴っており、多い所では500ミリ以上の雨が降ると気象庁は見ている。27日までの予想降水量は、全羅道と済州道、智異山(チリサン)付近では100~300ミリ、慶尚南道南海岸、慶尚北道西部内陸、西海5島では50~150ミリ、その他の地域では30~100ミリとなっている。
イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
登録:2020-08-26 03:20 修正:2020-08-26 07:04
秒速47メートルの強風、26日済州を強襲
勢力を拡大しながらゆっくりと西海へ北上
台風「レンレン」や「ボラヴェン」より強力
史上1位「メミ」より被害大きい可能性も
台風8号「バービー」が済州島に向かって北上する中、25日午後、済州道西帰浦市吐坪洞の岸に巨大な波が打ち寄せている/聯合ニュース
台風8号「バービー」の威力が凄まじい。25日の気象庁の台風情報によると、バービーは北緯30度付近の済州島の西南西190キロの海上に至る26日午前9時ごろ、中心気圧が940ヘクトパスカル、中心付近の最大風速47メートルの非常に強い台風に発達すると予想されている。
台風は低気圧なので中心気圧の数値が小さいほど勢力が強い。最大風速44メートル以上なら、人や大きな石が飛ばされるほどの強さだ。最大瞬間風速史上1位(秒速60メートル)を記録した2003年の台風「メミ」がこの位置で940ヘクトパスカルだった。当時の海水温は28度、現在の済州周辺の海は30度だ。バービーの威力がメミよりも大きくなる条件がそろっている。
バービーと似た経路と勢力を持った2019年の台風「レンレン」、2012年台風「ボラヴェン」と比較しても、バービーの方がかなり強力と見られる。レンレンとボラヴェンは共に、バービーのように済州の西を通って西海を北上し、北朝鮮の黄海道沿岸に上陸した。レンレンは最大瞬間風速史上5位、ボラヴェンは7位を記録している。
しかし、済州を通る際には、レンレンは955ヘクトパスカル、ボラヴェンは960ヘクトパスカルで、バービーより弱かった。さらにボラヴェンは、西海に接近する過程で台風の上下層が分離して弱まり、レンレンも北から南下してきた乾いた空気とぶつかって勢力を弱めた。気象庁のハン・サンウン予報専門官は「しかし現在、北太平洋高気圧の勢力がほとんど力を発揮できずにいるなど、バービーの勢力を弱めたり、経路を移動させたりする周辺の気象要素は全くない」と話した。
バービーは、27日午前0時ごろに全羅北道群山(クンサン)の西120キロの海上を通過する見込みで、依然として非常に強い勢力を保つと見られる。また、レンレンは済州から黄海道沿岸までの移動時間が12時間であったのに対し、バービーはボラヴェンのように15時間かかるものと予想されるため、強風の被害領域はより広がる可能性がある。
レンレンとボラヴェンの時は、降水による被害よりも強風による被害の方が大きかった。昨年9月6~7日に韓国を襲ったレンレンは死者3人、総額334億ウォン(約29億9000万円)の被害を出した。負傷者も23人にのぼったが、防災活動中に怪我をした消防公務員と警察官も11人に及んだ。ボラヴェンはその直後の台風14号「テンビン」と合わせ、11人の死者と総額6365億ウォン(約570億万円)の被害を出した。
気象衛生「千里眼2A」が25日午後9時ごろに撮影した画像。台風の目が見えるほど台風8号「バービー」が発達し、済州島に接近しつつある様子が鮮明に分かる=国家気象衛星センター提供//ハンギョレ新聞社
気象庁のユン・ギハン通報官はこの日「現在、台風の目が確認できるほど勢力が拡大したバービーは、高水温域の済州島付近で強風半径420キロを超える非常に強い台風へと発達し、台風の右側の危険半径内に位置する韓国全域が強風被害領域に入るとみられる」とし「特に済州島、南海岸、西海島嶼と西側地方は大きな被害が懸念される」と述べた。
バービーは多くの雨雲も伴っており、多い所では500ミリ以上の雨が降ると気象庁は見ている。27日までの予想降水量は、全羅道と済州道、智異山(チリサン)付近では100~300ミリ、慶尚南道南海岸、慶尚北道西部内陸、西海5島では50~150ミリ、その他の地域では30~100ミリとなっている。
イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )