連休に南アルプスに行ってきた。紅葉が素晴らしかった。
夏に行ったところと重なるので、ブログにアップするのは止めた。ただ、ひとことだけコメントすると、北沢峠からの甲斐駒ケ岳へのコースが素晴らしかった。黒戸尾根よりこっちのコースが好きだ。きつくて危険な岩場があるが楽しい。
ここ何日か外交関係の本を貪るように読んでいた。特に、伊藤貫さんの本が面白かった。日中における尖閣問題が、まるでジグソーパズルをはめ込んでいくように明確に理解できた。
「自滅するアメリカ帝国」 「自主防衛を急げ」 が特に面白い。
伊藤貫さんは核武装論者である。こういうとすぐに毛嫌いする人がいるが、思考停止をしてはいけない。国も個人も同じである。依存している人間は肝心なことは何も考えない。何からも守られていない自立した人間は、生存を賭けて常に頭を働かせている。
日本を取り巻く世界情勢を簡単に説明しよう。アメリカはこれから日本のように高齢社会をむかえる。財政がどんどん厳しくなり、国防にかけるお金がなくなる。オバマが勝ったら、軍事費より医療保険である。
これに対して、中国はどんどん国防費をアップさせている。
いつか中国とアメリカの国防費が逆転する時が来る。そして、アメリカは中国を牽制できなくなる。
その時、アメリカは必ず東アジアから撤退しなければならなくなるだろう。そして、日本は丸腰で東アジアの荒野に放り出されることになる。
対抗できる武力がないとどうなるかは、チベットを見れば分かる。口ではなんとでも言うが、実際にチベットを助けた国はない。
尖閣は中国とアメリカの力の均衡をはかる試金石になる。つまり、中国が尖閣に近づくことができても支配することができない今の状態なら、まだアメリカの力は中国より上ということだ。だから、差し当たって今のままの従属的安保条約でなんとかしのげる。
しかし、中国が尖閣を実効支配したとしたら、アメリカに東アジアを守る力はなくなったということである。そのとき、日本ははしごを外され窮地に立たされることになる。それは、アメリカの財政を考えるとそれほど遠い将来ではない。
過去500年の世界史を紐解くと、世界を一極支配しようとした国はすべて失敗してきた。世界の政治力学がそれを許さないのだ。必ずどこかの勢力がそれを阻止する。例えば、アメリカにおけるイスラム諸国などだ。
無理にそれを実行すると、軍事費が膨大になり必ず財政破綻する。そして、国家は衰退する。
その衰退後、またどこかの国が覇権にチャレンジし、戦争状態になる。
伊藤貫さんの基本的思考の枠組みは、パワーオブバランスである。つまり、一極支配ではなく、力の均衡状態を保つことである。そのほうが世界は安定するという。強い国を作らず各国が牽制し合い力を均衡させるのである。ただ、それを実現するためには、高度な外交力が要求される。
これから先、アメリカの一極独裁という世界支配戦略は破綻する。それが、具体的な数字をあげて説明されている。リアルな現実である。
依存している子供は親がリストラされ経済的に破綻したら生きていけない。勝ち馬についていけばなんとかなるという考え方をする国は、消滅する運命にある。まぁ、日本が中国になることを肯定するなら話は別だが。
普段から自立し自分で考える癖のついている人にとっては、面白い時代がやってきたと思うのだが、どうだろうか。