フリードリヒの日記

日常の出来事を、やさしい気持ちで書いていきたい

「きよしこ」 重松清

2011年05月30日 23時53分33秒 | 読書・書籍

 重松清の「きよしこ」を読んだ。重松さんの小説を読むのは初めてだった。うーん、どういう感想を書こうか少し迷っている。私みたいなのがくだらない感想を書くより、直接この小説を読んでもらったほうがいいような気もする。しかし、まぁ、私の感想を読んでこの小説を手にとってくれる人が出てくる可能性があるのなら、なんとか頑張って書いてみようと思う。

 「きよしこ」の主人公の少年は吃音症である。作者の重松さんも吃音症だったらしい。そうすると、この小説は限りなく私小説に近いのではないかとの推測ができる。重松さんのウェキペディアを読むと、この小説に出てくる少年と重なる部分が多い。もちろん小説に出てくる細かい逸話は創作なのだろうが。
 少し前に、「英国王のスピーチ」を観たことをブロクで紹介した。映画のなかで、先生が吃音症になる原因について説明していた。それによると、吃音症になるのは身体的欠陥ではなく、幼児期の精神的な問題により発症するとの事であった。ジョージ6世も幼児期に受けたトラウマが原因で吃音症になったといわれている。「きよしこ」に出てくる少年も、ちょうど言語を覚える3歳くらいの時期に両親と離ればなれになったことが原因のように書かれている。
 私は本当に無知でそのような事を全く知らなかった。身近にどもる人がいなくて(昔務めていた会社にひとりいた。営業だったから今考えるとすごいと思う)、そのようなことを考える機会がなかった。ただ、偶然かもしれないが、続けて吃音に関係する作品に触れたということは、なにか考えろと神様が私に告げているに違いない。

 この小説を読んで、不覚にも二回くらいポロッと涙がこぼれてしまった(加藤くんとの別れのシーンとおっさんの歌を自転車をこぎながら歌うシーン)。アマゾンのレビューに、「電車の中で読んではいけない本」というのがあった。同感である。
 人と人のコミュニケーションの基本は会話である。もちろん、他にもいろんな手段があるが、会話ができなければ自分の言いたいことの半分も相手に伝わらないだろう。主人公の少年は吃音症で、何か言葉を発すると馬鹿にされるのではないかとの恐怖ゆえ、言葉を発することに精神的セーブがかかっている。だから、相手に言いたいことの半分も言えない。しかし、この小説には吃音症ではなくても言いたいことの半分も言えない人たちがたくさん出てくる。なぜなんだろう。
 私は結構物事をストレートに言う方で、もし好きな子ができたら、「好きだ」とはっきり言えるタイプだと思う。だけど、それでも、いつもそう言えたわけではない。本当に好きで好きでしょうがなかったときはやっぱり言えなかった。嫌われるのが怖いから。それから、本当に感謝している時だって、きちんと「ありがとう」が言えたか分からない。照れくさかったりして。
 度胸があって物事をはっきり言う性格の私ですらこんな感じなのだから、気の小さい人が言いたいことの半分も言えないのは当たり前である。吃音症でなくったって、みんな言いたいことを満足に言えていないのだ。
 
だけど、人間特有の複雑な感情が邪魔したり、いろいろな障害があったとしても、伝えたい気持ちが強く前面に出てくると、言葉を超えて奇跡的に相手にその想いが伝わることがある。この小説は、その言葉を超えた魂の叫びが相手に伝わる瞬間を、うまく捉えている。その叫びが、ワイングラスを共鳴させるように私たちの心に響くのだ。

 この小説を読んだ時、俺はこんな小説が書きたかったんだよなぁと思った。照れくさかったり、恥ずかしかったりして言えないことがたくさんある。だけど、どうにかして自分の中にあるこのポジティブな温かい気持ちを君に伝えたい。どうしても伝えたいんだよと。
 
 この本は本当に素晴らしい。人に気持ちが伝わらない切なさと、それでも本当に伝えたい事は奇跡的に伝わってしまう人間の力強さがうまく表現されている。強くお薦めする。

 

 

 

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容疑者Xの献身 東野圭吾

2011年05月29日 22時25分48秒 | 読書・書籍

 「容疑者Xの献身」を読んだ。ドラマで福山雅治が演じた物理学者・湯川のガリレオシリーズである。東野さんの小説を読むのはこれが初めてだ。どれにしようかと迷っていたところ、この本がアマゾンのカスタマーレビューで圧倒的な件数だったので、これにした。
 こういうタイプの小説はあまり読まないのだけど、それでも、面白かった。このタイプの小説は内容を言うとネタバレしてしまい、おもしろくなくなるので、控えておいたほうがいいだろう。だから、小説の形式的なことで、感じたことを書こうと思う。

 まず、読み始めて感じたことは、一文が短いということだ。文章がシンプルである。だから読みやすい。不要な修飾語もほとんどない。いい勉強になる。
 それから、私の想像では、物理学者の湯川が複雑な物事を推理していく物語なのだから、湯川の視点で文章が構成されていると思いきや、意外なことに鳥瞰的な三人称になっていた。物語の構成は、刑事コロンボや古畑任三郎のように犯人は既に分かっているのだが、どのように犯行だ行われたのかを事後的に暴くというものである。ただ、この物語に関しては、主人公が誰かは、はっきりいえない。それぞれが重要なキャラだからだ。そのような話の場合、三人称が書きやすいのかなぁと思ったりもした。
 一人称だと、他の登場人物の考えていることを、主人公の視点を通してしか見ることができない。物語の世界は、主人公の頭の中にあるからだ。そうすると、どうしても物語の構成が単純になってしまう。ただ、一人称の利点は、主人公の思考過程を理解しやすいこと、また主人公が好きなら感情移入しやすいということである。
 自分が書く側なら、どこに視点を置くかは重要な事ではあるが、読む側ならよく書けているなら何でもいいと思う。

 まぁ、よく読まれている小説にはそれなりの理由があると思った。おもしろかった。

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「泥の河」・「蛍川」 宮本輝

2011年05月29日 00時16分58秒 | 読書・書籍

 宮本輝の処女作「泥の河」と「蛍川」の二作が入っている本を読んだ。前者は太宰治賞、後者は芥川賞をとった名作である。宮本輝の小説はちょっと前に錦繍を読んだだけで、ほかは知らない。しかし、錦繍があまりによかったから、勝手にファンになっていた。まぁ、ファンだと言うと本当のファンに怒られるかもしれない。それくらい錦繍はよかった。
 今回読んだ二作は、両者とも素晴らしかった。甲乙付けがたいが、どちらかというと「蛍川」が良かったかなぁ。

 「泥の河」は戦後10年後くらいの貧しい時代の話で、大阪・安治川の河口に住む少年の話である。
 簡単にあらすじをいうと、信雄少年は、ある雨の朝、鉄くずを盗もうとしていた喜一という少年に出会う。その少年は川岸のみすぼらしい船の上に住んでいた。船には、銀子という姉と売春をして生計を立てている母が住んでいる。ある晩、信雄は、喜一の母が男に身を売っているところを見てしまう。そのことで、二人の関係はおかしくなってしまう。
 戦後、貧しい時代に夫のいない子持ちの女性が生活をしていくためには、身売りしなければならなかった。今と違って、子供も早く大人にならなければならない時代だったのだろう。厳しい状況の中でタフに生きていくには、ある種の犠牲が必要で、それには悲しみが伴うことをはやく知らなければならない。友情にヒビがはいり、心にすこしだけ傷を負いながら大人になっていく姿に切なさを感じてしまう小説だった。

 「蛍川」は、14歳の少年の話である。実業家で裕福だった父親が、事業も失敗し老い衰えて病気で死んでしまう。父の死で経済的に落ちぶれていく感じが小説のトーンを暗くしている。そして、英子という同じ女の子を好きになっている友人も川で溺死する。そのように不幸な出来事が重なっているにもかかわらず、少年はクールで、ほとんど英子のことしか考えていない様子である。この心理描写は本当にリアルで見事である。私も思春期の時期に身内を何人か亡くしたが、正直言って悲しいというより、自分の今の状況のことしか考えていなかったと思う。周りがどんなに暗くても成長期にある少年は、基本的に上昇志向なのである。それと下半身の硬くなるアレのことしか頭にない。本当に。話が脱線してしまった。戻そう。
 そのような暗い状況の中で、少年は英子に蛍の大群を見に行かないかと誘う。そして、蛍を見に行くことになる。光の大群に圧倒される少年たち。その蛍の美しさと光が、これからの希望を象徴するかのように描かれている。あんなに暗いトーンで始まった小説が、読後、力強く静かなエネルギーを放って終える。
 自然描写、心理描写、どれをとっても素晴らしい。宮本輝は只者ではない。

 

 

 

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きみを想う夜空に ニコラス・スパークス

2011年05月28日 17時29分47秒 | 読書・書籍

 今日は、台風が来ていなければ奥多摩の長沢背稜にテント泊して、シャクナゲを見に行こうと思っていたが、この通り雨なのでやめた。そのかわり、何冊か図書館から本を借りてきて読むことにした。まずは、「きみを想う夜空に」ニコラス・スパークス著。

 ニコラス・スパークスはアメリカの恋愛小説の名手で、いつか読もうと思っていながら、先延ばしにしてきた作家だ。イメージとして純愛モノの甘い恋愛小説なのかなぁと思っていたが、抑制され落ち着いた文章で、恋愛における心理描写がリアルで驚いた。よく読まれる小説にはそれなりの理由があると改めて思った。

 嵐のように激しく恋に落ちる若いふたりの物語である。そして、愛し合っていながら微妙にすれ違っていく。愛すれば愛するほど、寂しさだったり嫉妬だったり、ネガティブな感情も同時に生まれてくる。分かっているけど止められない。
 主人公のジョンに感情移入して読むと、途中できつくて読めなくなってしまう。なぜなら、私も同じような経験をしたことがあるからだ。というか激しい恋愛をした者なら、みんな同じような経験をしているのではないかと思う。だから、途中から意図的にジョンの視点から離れて、クールに客観的に読むようにした。そうしなければ、辛くて読みきれない感じだったからだ。
 読んでいくうちに若い頃の熱くて辛かった感情がよみがえってきた。そのように忘れかけていた辛い気持ちを思い出させるくらいだから、良い小説なのだろうと思う。

 小説を読んでいて思ったことは(小説の内容とはあまり関係がないが)、女性は近くで強く求められることが必要なんだなぁということだ。分析的にいえば、近くで、強く、求められる、という三つの要素だ。彼らには、「近く」でという要素が欠けていたのだと思う。女性は、基本的に寂しさに弱いから、近くにいないとダメなのだ。
 下世話な話だが、近くにいて毎日セックスをしていると、今度は「強く」という要素が欠けてくる。男は女性を手に入れるまでは、激しく強く求めるが、手に入れてしまえば、だんだん激しい気持ちが薄れていく。そうすると今度は女性のほうがどのようにして、男性の気持ちを引きつけておくかに重点が移ってくる。そのような段階を経て、男が強く女性を求めていないことが分かると、また女性の気持ちは離れていく。
 稀に男女間の関係を長い間うまく維持できている人たちがいる。その人たちは、その辺の微妙な心の動きに敏感なのだと思う。そして、自分をクールに客観視できるのだと思う。激しさは自分を見失わせ、人を傷つける。だから、自分をコントロールできなくてはならない。

 しかし、逆に、クールに自分を客観視できるようになると、気持ちにセーブがかかって、激しい恋愛ができなくなってくる、ということもある。これ以上深入りすると、きつくなるなということがわかるからである。
若いということはアホということだ。だから激しく求めることが、いつか人を傷つけることに気づかない。でも、生きている充実感は味わえるだろう。それがほとんどの場合、ひどい結果になるとしても。

 

 

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食べられる野草

2011年05月23日 09時01分22秒 | 日々の出来事・雑記

 秩父の里山を歩きながら、わらび、セリ、フキを取って、日曜日に料理して食べた。セリは炒めて、フキは甘辛く煮て食べた。フキはアク抜きしたり、多少の手間がかかるが、まぁ、誰でもできる。あんまりうまいのでびっくりした。もし近くであれだけの量の山菜が取れれば、スーパーで野菜を買わなくてもいいくらいである。
 食べられる野草を知っていると、何かあったときに役立つかもしれない。例えば、自然災害で野菜が手に入らなくなったりした時だ。それで、少しずつ勉強しようと思っている。
 日本はもともと資源のない国で、無駄なエネルギー使うことのできない国である。高度成長期以後のバブリーな生活がこれから維持できるとは思えない。少しずつ衰退していくだろう。それを阻止するために、バンバンと無駄に消費を増やしていくやり方もあるが、日本の社会がこれからそうなっていくとは思えない。だから、今ある資源を有効に使うことが必要だと思っている。

 

 

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秩父 関八州見晴台 高山不動尊

2011年05月22日 21時16分55秒 | 登山

  5月21日、土曜日に秩父にハイキングに行った。天気が良くて最高だったが、寝不足のせいか体調がイマイチで、思ったよりきつかった。

 西武秩父線、西吾野駅下車、2時間ほど歩くと、関八州見晴台に着く。ツツジがきれいでびっくりした。こんなきれいなツツジを見たのは初めてだ。写真でこのきれいさが伝わるだろうか。

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 途中に高山不動尊がある。古いが格式の高い建物である。

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 地蔵さんの表情が素晴らしい。

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上原美優が自殺?

2011年05月12日 08時29分19秒 | 日々の出来事・雑記

 とくダネを見ていたら、冒頭で上原美優が自殺したとの報道があった。コメンテーターの真鍋かをりが泣いていた。何があったのかよく分からないが、若いのにもったいないなぁというのが率直な感想である。
 ご冥福を祈ります。

 絶望しているときや先が見えないときに、人はどのように振舞うべきかということについて、あらためて考えてしまう。まぁ、そんなに難しいことではなくて、季節の変わり目の気だるさとちょっとした憂鬱な感じが重なっただけかもしれない。そうだとしても、朝からなんとなくやりきれない感じがする。

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甲武信岳 5月5日 (三日目)

2011年05月08日 15時52分11秒 | 登山

 三日目コース

 尻岩~武信白岩山(2280)~大山~十文字小屋~栃本分岐点~四里観音避難小屋~三里観音~赤沢山~白泰山避難小屋~一里観音~栃本広場~栃本関所跡バス停~川又バス停

 たっぷり寝たので、4:00に起きた。予定通り6:00出発。

 温度計を確認しなかったが、多分、朝起きたときはマイナス5度くらいだったと思う。寒いことは寒いがそれくらいで死ぬことはない。よく寝たから足の疲れはだいぶ回復している。

 

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 武州白岩山までの登り道に、かなりの数のシャクナゲがあった。シャクナゲってどんな植物か知らなかったが、友人からこれ(上の写真)だと教えてもらった。まだ、時期が早くて花は咲いていなかったが、6月になったら相当きれいだろうなぁというとが想像できる。今度機会があったらここにもう一度来てみたいものだ。

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 武信白岩山までの道にはまだまだ雪が残っていた。だけど、朝の寒さでコチコチになっているから、歩きやすかった。

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 武信白岩山の山頂は、岩場になっていて危なそうなので行かなかった。今度こっちに来ることがあって時間があったら行こうと思う。

 

 

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大山までの道はワイルドできつかった。山頂は展望がよくなかなか素晴らしかった。

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 大山山頂から下って行くとすぐに鎖場の急坂があった。少しビビっていたから写真を撮るのを忘れたが、凍結した雪が残っていてかなり怖かった。今回の登山で一番緊張した。雪があるのはちょっとの間だったが、滑ったら確実に死ぬので、アイゼンをつけて降りた。この箇所は本当の予定では昨日の夕方に通るはずだったのだが、もし昨日の夕方に通っていたら、かなり疲れていたので、これほど注意深く降りれたか分からない。アイゼンを付けずに滑って死んでいたかもしれない。

 

 十文字小屋は特に用がないのでスルーした。

 

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 四里観音避難小屋。きれいな小屋である。

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 テント泊したくなるような平らなところがあった。こういう場所を覚えておくのも悪くない。

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 秩父は山岳信仰が盛んで地蔵様がたくさんある。

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 地図のコースタイムだと、三里観音から赤沢山を通って白泰山避難小屋まで、一時間25分と書いてあるが、これは明らかにおかしい。
 かなり飛ばしたが二時間くらいかかった。あんまり着かないから、道に迷ったのではないかと思い引き返すことも検討した。道ははっきりしていたから遭難した訳ではなく違う尾根に降りてしまったのではないかと思ったのだ。
 

 

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 一里観音。ここまで来ればもう一息である。

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 植林された林が続く。

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 山道は終わり、ここからは舗装された林道である。

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 栃本広場から栃本関所跡バス停に着いた。バスの時間を確認していなかったから、40分くらいかけて歩く覚悟でいた。ところが、降りた瞬間に最終のバスが来た。ほとんど奇跡である。バスの運転手もびっくりしていた。あんまり嬉しかったので、二人で400円のところ500円払った。

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 車を止めてある川又バス停に17:00に到着。
 とにかく疲れた。高速道路は多分渋滞なので、下道で帰ることにする。ナビによると5時間かかるそうだ。

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甲武信岳 5月4日 (2日目)

2011年05月07日 16時00分51秒 | 登山

 二日目コース。

 雁坂小屋~雁坂峠~雁坂嶺~東破風山~西破風山(2317)~破風山避難小屋~サイノ河原~甲武信小屋~甲武信岳(2475)~三宝山(2483)~尻岩

 朝はかなり冷えたが、予定通り5:00起床。雨もすっかりあがって、今日は晴れだ。寒いから気持ちがいいとはいえないが、さわやかな感じはする。
 

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 テン場の様子。平坦な土地ではなく段々畑のようになっている。雪あられというせんべいみたいに、雨が凍ってテントに張り付いていた。タオルで払って畳む

 

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 雁坂小屋の様子

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 水場。勢い良く出ている。この感じだと、真冬でも十分に出るだろうと思われる。

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 準備が終わって、6:30に出発。予定は6:00だったから、30分遅刻。

 

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 小屋を出ると、かなりの雪があった。アイゼンをつけてゆっくり登る。30分くらい登ると雁坂峠に到着。7:00

 雁坂峠は日本の三大峠のひとつらしい。たしかに綺麗である。気持ちがいい。

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 雁坂峠を登って行くと、少しずつ雪道になる。さすがに2000mを超えると雪が残っている。歩きづらい。

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 雁坂嶺に到着。8:15

 

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 東破風山に到着。9:40 
 ここに着くまでには、すごい坂を登ってこなければならない。
 一歩一歩ゆっくり登ってきた。友人はここで相当体力を消耗したみたいだ。私はまだまだ余裕である。少し休憩する。

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 岩場の道を歩いて行くと、西破風山がある。

 西破風山は2317mであるが、苦労してここまで登ってきたのに、200m位下っていく。岩場のすごい下りで急坂である。必死に下っていたから、写真を撮っている暇がなかった。景色は最高によかったのに。

 

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 下りきったところに、笹平という場所があって、そこにきれいな破風山避難小屋がある。11:30に到着。ここで昼飯にする。今度来ることがあったら、ここに泊まりたいなぁと思わせるくらいきれいな避難小屋である。埼玉の避難小屋はレベルが高い。12:00出発

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 サイノ河原。12:45到着。今までの場所と少し景色が違っている。人工的な日本庭園のような感じの砂場と石がある。なかなかのところである。

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 サイノ河原からの景色。もう少し雲がなければ最高である。

 

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 甲武信小屋に到着。13:50
 ここまでどうやって来たのか記憶にない。それほどきつかったのだろう。人がたくさんいた。みんなここで泊まるのだろう。私たちももう一日余裕があれば、ここに泊まるのだが、先に行かなくてはならない。辛い。

 水1リットル 50円。50円を払って水を汲む。

 

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 雪の中をきつい坂を登ってやっと甲武信岳に到着。14:40

 立派な看板なので表側と裏側の写真をポーズをとって撮る。
 夕方の3時になるのにまだまだ先は長い。気が遠くなりそうである。

 

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 やっと三宝山に到着。15:40 ここは甲武信ヶ岳より標高が高い。2483m。

 この辺は雪がかなりあって本当に疲れる。

 もう4時になるのでそれほど遠くには行けない。これからはテントを張れる場所を探す。しかし、ずーっと下りでいい場所がない。

 結局、三宝山と武信白岩山の間のタワの部分に尻岩という場所があって、その標識の所にテントが張れる平坦なところがあった。凍っていて地面が冷たそうだったが、それよりいいところがなさそうなので、そこにビバークすることにした。

 疲れきっていて写真を撮るのを忘れたが、なかなかの場所である。17:00到着。

 19:00にはもう熟睡していた。友人が夜中(多分2時頃)に鈴の音がするといって起こされた。少し薄気味悪かったが、多分、幻聴だろう。疲れているとそんな感じになる。それ以外は、朝まで爆睡状態だった。

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甲武信ヶ岳 5月3日 (1日目)

2011年05月07日 13時37分16秒 | 登山

 ゴールデンウィーク後半(5月3・4・5日)は、友人と二人で二泊三日の甲武信ヶ岳登山に行くことにした。

 

地図画像

 

  甲武信ヶ岳(2475m)は、ウェキペディアによると、山梨県(甲州)、埼玉県(武州)、長野県(信州)の三県の境にあるのでこの名前になったということだ。
 なるほど。
 
 私がテントなどできるだけ重い荷物を持って、友人の負担を軽くした。25キロくらいあるだろうか、かなり重い。きつい日程なので油断はできない。
 
今回のコースは、主に秩父側から登るもので高低差は、山梨側の西沢渓谷スタートコースより、少ないと思うが距離は長い。具体的には、
 
 一日目 
 川又バス停~登山口~雁道場~突出峠~樺避難小屋~地獄岩~雁坂小屋(ここでテント泊)

 二日目
 雁坂小屋~雁坂峠~雁坂嶺~東破風山~西破風山(2317)~破風山避難小屋~サイノ河原~甲武信小屋~甲武信岳(2475)~三宝山(2483)~尻岩(ここでテントを張ってビバーク)

 三日目
 尻岩~武信白岩山(2280)~大山~十文字小屋~栃本分岐点~四里観音避難小屋~三里観音~赤沢山~白泰山避難小屋~一里観音~栃本広場~栃本関所跡バス停~川又バス停

 公共交通機関ではなく、朝早く起きて、車で行くことにした。
 首都高に乗ると竹橋ジャンクションのところで池袋線と新宿方面に分かれるところがある。私はてっきり秩父なので関越で行くと思い込み池袋線の方にハンドルと切ると、ナビが新宿方面の方を示していた。一瞬、混乱したがナビに従って中央道で行くことにした。どうやら、山梨方面から行かせるつもりのようだ。いま考えると、やっぱり秩父方面から行ったほうが早かったと思う。
 雁坂有料道路で無駄に金を払わされるしね。

 川又バス停に8:45 
 バス停はきれいなトイレがあって、なかなかいい。かなり広くて車を停める場所もある。しかし、二台くらいしか止められないので、止められる前提で行ったらやばいかもしれない。
 一番確実な方法は、栃本広場に止めて、ここまでバスで来ることだ。栃本広場は30台位止められるし、帰りも楽である。

画像 1103  

バス停から国号140号を山梨方面に登って行くと、雁坂峠登山口がある。
 9:12に到着。 

 しばらくは、奥多摩のような植林帯が続く。最初は坂もそれほどきつくなく、登りやすいと思う。しかし、だんだん坂がきつくなってくる。植林ゆえ景色はあまり期待できない。

画像 1104  

 この写真どこで撮ったか覚えていない。

 雁道場 11:15
 ここで昼飯にする。座って昼飯を食べていると、男の人が登ってきた。
「こんにちは」と挨拶をする。
「一番早い公共機関で来たんですけど、車ですか」と聞かれた。
「そうですよ」と答える。
 感じのいいお兄さんだった。少し遅れて女性の連れがやってきた。カップルだったらしい。こちらも「こんにちは」、と挨拶をする。
 
 ブナやミズナラの巨木が多い。秩父の山は、自然がそのままになっている感じで、鹿の糞も多い。

 ジグザクのきつい坂を登っていると、13:00に突出峠に着く。ここからは坂が緩やかになるとの看板がある。少し嬉しい。

 13:00 樺避難小屋に到着。

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 先ほど私たちを追いぬいて行ったカップルが、外で食事をしている。挨拶をする。
 ストーブがあって、きれいな避難小屋である。

 

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 14:20 この看板には、このだるま坂が最後の登り坂だと書いてある。
 一瞬、ほっとするが、この先、雨が降ってきて地獄岩付近から本当の地獄になる。

 これからの行程はきつかった。
 聞いた話だが、長野・山梨付近に爆弾低気圧がやってきて、北アルプスとか富士山の付近は大変だったらしい。遭難者も多数出たようだ。
 私たちも雨で体が冷たくなっただけでなく、雪が膝上程度残っていて、かなり歩くのが大変だった。ズボッズボッと足が雪の中に埋まってしまうからである。
 私は、買ったばかりのコロンビアのレインウェアーを着れたので、少しだけ嬉しかったが(子供みたいに)、その気持ちもつかの間ので、相当消耗してしまった。冷えたせいで、夜に下痢をした。トイレに30分くらい閉じこもった。

 16:10 雁坂小屋に到着。
 幕営料を払おうとすると、小屋の主人に「テント張ってからでいいよ」と言われる。
 テン場は50張分あると、地図に書いてあるが、かなりぎちぎちに張らないと難しい。私たちが行ったときは、10張あったかなかったか位なのに、どこにしようか困ったくらいだからである。テントを張ろうとする人は注意をしたほうがいいと思う。
 雨がじゃなくてヒョウが降ってきた。テントがバタバタうるさい。ムーンライトテントは風には弱いが雨には強いので大丈夫である。
 7時には完全に熟睡していた。

 

 

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