アメリカが世界に誇る穀物生産国になったのは、地下水のおかげである。
アメリカの穀倉地帯として知られるグレートプレーンズ(大平原地帯)は、年間の降雨量が日本と比べて4分の1も少ない。
にもかかわらず、トウモロコシやコーリャン、小麦など、全米の大半の穀物を生産して収益を上げてきた。
これはロッキー山脈の雪解け水が何千年もの間蓄えてきた巨大な地下水脈に支えられているからだ。
しかし、このまま穀物の生産を維持するのはむずかしいといわれている。
というのも、オガララ帯水層は雨水の補充がきかない化石帯水層だからだ。
帯水層の水は化石水と呼ばれ,氷河期に長い時間をかけて地下に蓄えられたものである。
しかし現在では当時の水の供給路は途絶え、土壌から極めてゆっくりと水がしみ込む程度。そのため灌漑用水として汲み出された水は補充されることがなく、帯水層の水の枯渇が大問題となっている。
早ければ、2020年頃には完全に枯れてしまうことが予想される。その兆候はすでに始まっており、テキサス州の一部の地域では井戸が枯れかかって雨水頼みになりつつある 。
アメリカは、主要な穀物生産地域であるテキサス州、オクラホマ州、カンザス州の一部で地下水位が30mあまり低下した。
その結果、グレートプレーンズ南部の数千の農場で井戸が枯れてしまった。
地下水の枯渇は灌漑農地面積を減少させ、穀物の生産量を低下させる。
テキサス州では、この10年の間に穀物生産高が11パーセントに落ち込んだ。
コロラド川につながるアリゾナ州北部のミード湖は、いまのペースで使い続ければ、今後10年ほどで枯渇する可能性が指摘されている。
合衆国とメキシコの国境に沿って流れているリオグランデ河は、主に農業のための過度な取水によって川としての存在が危機にさらされている。
アメリカ南西部最大のコロラド川では、川の水が海にまで到達することが今では滅多になくなってしまった。長年にわたって水に対する需要が増加し、コロラド川の水が方々で取水されたため、今や渇水が常態化している。
世界最大の淡水、アメリカの五大湖の水量は毎年低化を続け、ついにセント・ローレンス川が大西洋に注がなくなった。
アメリカの農業が大打撃を受ければ.....世界は食糧危機に陥る。
人口70億人を支える事が出来ないばかりか、食肉・トウモロコシ食料/飼料・小麦の輸入もままならなくなる
食料をめぐる争奪戦は激化し、価格は異常高騰し入手が難しくなり、紛争・戦争すら予想される。