雲取山は東京・埼玉・山梨の境界にある標高2017mの山である。
東京最高峰の山である。日帰りでトライした。
前回、雲取山の頂上近くで大雨に降られてしまって、途中で断念してしまったから今回は二回目のトライである。
雲取山は、東京の最西端にあり、私は東京の最東端に住んでいるので、文字通り、東京の端から端を横断していることになる。
雲取山は他の奥多摩の山に比べ、道がきれいに整備されていてとても広く、悠々とした気分で登れる。ただ、気持ちはいいが、安全すぎて物足りないと感じる人もいるかもしれない。
東京の気温は32℃くらいあったが、山の気温は20度前後だった。
もう涼しくなってきた。空気が前より乾燥していて、秋がもうそこに来ていることが感じられる。
紅葉した葉っぱや栗も落ちていた。
途中にだだっ広い場所があるが、ヘリポートとのことだ。遭難してもここから助けてもらえると思うと少しほっとする。
雲行きが少し怪しくなってきて不安になる。前回の雲取山登山ではこんな感じの雲が発生してからすぐ雨になった。
写真は秩父方面を撮ったものであるが、どうも秩父の方から流れてくる雨雲がこっちに雨を降らせるようだ。埼玉の熊谷付近に停滞している温かく湿った空気が秩父の山々にぶつかって山頂の方に流れてくる。そして山頂で空気が冷やされ、水滴が発生し雨が降るわけである。以前よりも、空気が乾燥気味なので、雨は大丈夫そうだ。
朝早くから登り始めて、やっと頂上にたどり着いた。緩やかな坂道で特にきついところは無かったが、長い行程だったので疲れてしまった。
頂上には立派な避難小屋がある。ここは避難小屋で宿泊施設ではありません的なことが書いてあるが、少し布団もあり十分泊まれる。
帰り支度をしていたら、人に話しかけられた。いろんな話をした。
その中のトンボの話。
雲取山にはもうかなりの数のトンボがいたが、そのほとんどが日本種の赤とんぼ(アキアカネ)ではなくウスバキトンボ(薄羽黄トンボ)とのことだ。
このウスバキトンボは名の示すように羽が透明で胴が黄色である。見た目で、赤とんぼではないことがわかる。
このウスバキトンボは渡りトンボだという。つまり、フィリピンから何万匹ものウスバキトンボが、海を渡ってはるばる日本にやってくるんだそうだ。お盆の時期にたくさん見られるので「精霊トンボ」とも言われているらしい。だから殺してはいけないとの言い伝えがある地域もある。なかなかロマンティックである。
雲取山では、この時期になると通常の年であればだいぶ涼しくなってきて赤とんぼが多く飛んでいる。しかし、今年は暑いので赤とんぼは標高の高い涼しいとことに逃げている。
そのかわり山のふもとの暑いところにウスバキトンボがたくさんいると、その人は言っていた。
たしかに山のふもとでは、胴の黄色いトンボばかり飛んでいた。
暑すぎてお盆がすぎても先祖の霊が帰れず、まだ山のふもとでうろうろしているのかもしれない。