もし、単に山を登るだけではなく、観光の要素も取り入れたいなら、おすすめの山がある。今日、私が登ってきた石老山である。
標高702メートル、関東百名山の一つ。場所は丹沢山地の北部にある。
私は丹沢の山はほとんど登ったことがない。だから丹沢の北部というより、奥多摩の南と言われたほうがピンとくる。
最寄りの駅は中央線・相模湖駅。
駅から石老山登山口まで徒歩で一時間ほどかかる。バスなら10分くらい。登山口の相模湖病院には登山者用の駐車場があるから、マイカーでもOKだ。
なんといっても面白いのは、顕境寺という寺である。病院を十分くらい登るとすぐにある。
そこに着くと、まずお出迎えしくれるのは、根っこが大蛇の形をした大きな杉である。たしかに大蛇のように見える。大きな杉は不思議と私たちを雄大な気分にしてくれる。何百年、何千年前の人もこの杉を見ていたのかという大きな歴史を感じるからである。時を経て、人々が繋がっているような気になる。
本堂の脇には大きな岩の中に洞窟のようなものがある。これがまたすごい。中は暗くジメジメしていて、気持ちが悪いのだが、そこに霊的なものが存在する感じがする。
実際にそこには人が住んでいたらしい。道志岩窟というそうだ。
境内には大きな釣り鐘があって、いたずら気分で、一発ボーンと鳴らしてみた。軽くやったつもりだったが、すごい音が出た。音がビリビリと体に伝わってきた。ちょっとビビった。病院関係の人は、なんで今頃鐘がなっているのだろうと思ったに違いない。すいませんでした。
それから、きわめつけに、その寺にはNHKドラマの「花子とアン」に出てくる蓮子さんの墓がある。ドラマは見ていない。だから、仲間由紀恵の演じた蓮子さんがどういう人なのか知らない。ネットでのモデルになった実際の女性・柳原白蓮という人の写真を見たが、すこし仲間由紀恵に似ていた。仲間由紀恵に似ているというわけだから美人である。興味のある人は検索してください。
とにかく、一風変わったおもしろい寺で、まわるだけでも楽しい。
山登りの途中には、数々の奇石がある。名前がいろいろ付けられていたが、全く覚えていない。覚えていないが、飽きることなく、ついついジロジロ見てしまう。見ながら登ると休憩にもなるのでいい感じになる。黙々と登るよりよっぽど楽しいだろう。
途中、北側に展望が開ける場所がある。融合平展望台だ。青い空と藍色の相模湖のコントラストが素晴らしい。大きなベンチがいくつかある。そこで温かいコーヒーを飲みながら、甘いお菓子を食べて、休憩すると最高である。ただし下から風がピューピュー吹いているので、ダウンジャケットやアウターは必須だ。
個人差はあると思うが、決してきつい山ではない。観光しながら、ゆっくり登れば楽勝で登れる。それを証拠にけっこう小さい子供も登っていた。ただ、私は筋肉質で汗が出やすい体質なので、背中がびっしょりだった。頂上で風に吹かれると凍える。そういう意味では、大変なところもあった。
山頂は、丹沢の山容と富士山の頭が見える。富士山はこの時期、雪が積もっていてアイスクリームのように美味そうに見えた。富士山をバクバク食べれたら楽しいだろう。
また、丹沢の山々の稜線をこれだけきれいに見れる場所はここだけのような気がする。神奈川の街並みもそこからよく見えた。さぞかし夜景がきれいなことだろう。
その丹沢の稜線を見ていたら、丹沢も登りたくなった。こんど挑戦してみよう。