川端康成の「日向」って、なかなか素敵な短編小説です。
ちょっと、出だしだけ紹介しましょう。
二十四の秋、私はある娘と海辺の宿で会った。恋の初めであった。
娘が突然、首を真っ直ぐにしたまま袂を持ち上げて、顔を隠した。
また自分が悪い癖を出していたんだなと、私はそれを見て気がついた。
22歳のときに川端康成は、伊藤初代という15歳の女性と婚約します。
ただ、一ヶ月後、伊藤さんから婚約破棄されます。
理由は謎とされていますが、伊藤初代で検索すると出てきます。
「日向」という小説は、この婚約者との出来事を書いたものだと言われています。
川端康成は、女の人をじっと見る癖がありました。
美人編集者さんの顔を、数時間黙って見続け、相手を気味悪くさせ、泣かしたことがあるそうです。
この小説の出だしも、女性をじーっと見つめて、女性が恥ずかしがっています。
この後、自分はどうして人の顔をじーっと見る癖があるんだろうか?と自己嫌悪に陥ります。
そして、その原因を思い出そうとする。
幼い時に両親が死んで、親戚に厄介になっていた頃、人の顔色を読んでいたからか?と自問します。
しかし、原因は、好きだった盲目の祖父を観察していたからだ、と気づきます。
自分のこの変な癖が、卑しい心の名残ではないと気づき、とたんに嬉しくなってくる。
そして、愛する女性が、顔を赤らめて、言います。
「私の顔なんか、今に毎日毎晩で珍しくなくなるんですから」と。
最後に、幸せな気分に包まれ、めでたしめでたしと終わります。
僕も、川端康成ほどではないにしても、人の顔をじーっと見る癖があります。
僕の場合、相手の心を深く知りたいからです。
何を考えてるのかな?疲れてるかな?今日は元気があるな?、とかね。
たしかに、恥ずかしがられることがありますね。じっと見てると。
ただ、それは、相手を気にかけているからです。変態だからではありません。
川端康成は、女好きで有名でした。
晩年、加賀まりこが好きすぎて、デートに誘ったり、彼女のために映画の原作を書いたりしたそうです。
加賀さんを熱っぽく口説いていたが、彼女は軽く袖にしていたそうです。
彼はちょっと変態なのかもしれませんねwwww。
ノーベル賞作家に好き勝手言ったら、怒られるかな。
だったらごめんなさい。