私は新潟出身だが高校野球についてはあまりいい思い出がない。新潟は野球が弱く、高校野球はだいたい一回戦で負けるから。
多分、全国でも一番弱いくらいなんじゃないかと思う。今年もどうせ負けるだろうと思っていて全く注目していなかった。しかし、今年は気づいたらベスト4になっていた。正直びっくりした。ずーっと昔20年くらい前に新潟南がベスト8になったのが最高だったと記憶している。
車の中のラジオで決勝の中京・日本文理戦を聞いていた。6回、中京に6点入って8対2となったところでラジオを消した。あーあ負けたなぁと思った。しかし、やっぱり気になってラジオをつけると9回、10対4だった。もう駄目だなぁと思っていたら、あの猛攻である。二死満塁で、6番伊藤君がレフト前にタイムリーヒットを打ったとき、冗談抜きで、涙がこみ上げてきた。こんなに胸が熱くなったのは久しぶりだった。私が勝手に負けを決めていたときに、彼らは誰一人あきらめていなかった。
高校野球はご存知のとおり一発勝負である。9回二死。今まで一生懸命やってきた高校野球。もうすぐ終わる瞬間がすぐそこにある。雨の日も風の日も雪の日もかんかん照りの日も彼らは歯を食いしばって頑張ってきたのだろう。
9回二死の緊張感に負けないだけの精神力とそれを裏付ける努力が彼らにはあった。来る日も来る日もバットを振っていた。
彼らの努力を何にも知らず、勝手にもう駄目だなぁと決め付けていた自分を恥じた。とにかく今までやってきたことを信じ、ひたすら次に次に繋ごう次に繋ごうとする彼らに感動した。
誰かがミラクルは一万回失敗してもあきらめずトライする心が生み出すんだといっていたが、それは本当だ。高校生からいい勉強をさせてもらった。
9回の流れをまとめてみた。興味のある方はどうぞ。
9回表、中京大中京は一度おろしたエース堂林で再び勝負する。
8番・若林 見逃し三振 。
9番・中村 ショートゴロで簡単にツーアウトになる。
しかしここから、日本文理の驚異の猛攻が始まる。
1番・切手 四球を選ぶ。二死、一塁
2番・高橋隼 左中間へタイムリー二塁打。10対5。
3番・武石 ライトへタイムリー三塁打。10対6。
4番・吉田 死球で出塁。この時点で二死、一塁三塁。
ここで中京大中京はピッチャー交代、森本が再びマウンドへ。
You tubeの動画はここから。
5番・高橋義 一、三塁。低めのボールを見極め四球。
6番・伊藤 二死、満塁。レフト前2点タイムリー。10対8。
7番・石塚 二死、一、二塁。代打・石塚が初球、レフト前タイムリーヒット。10対9.
8番・若林 2死一、三塁。1ボールからの2球目、強烈な打球はサード正面のライナー。ここでゲームセット。