元地方銀行マンのオッサン公認会計士です。
今回は、2014年(平成26年)8月18日(月)の日本経済新聞に掲載された経営者保証の解除の記事から私の意見を述べさせていただきます。
経営者保証を外せた中小企業3社について書かれています。相手はいずれも信用金庫です。
最初の例は、本社ビル建設時の借入(残額1億5千万円)の保証です。担保を追加提供することで保証は外せたとなっています。
他の2例は、運転資金2千万円と運転資金5百万円の保証です。これは交渉することで外せたようです。
すべて個別の借入案件に関するもので、全体として保証がどうなのかは不明です。しかし、保証を外せたとなっていますから、個別の融資案件でも経営者保証なしの借入ができたということです。
いくつか気が付いた点を述べます。本社ビル建設資金は長期借入だと考えられます。運転資金の借入は短期借入です。
長期借入よりも短期借入の方が経営者保証を外しやすいと思います。しかし、一回保証が外せても、短期ですから1年以内に期日が来ます。そのとき再度交渉しないといけません。
長期の借入では不動産担保を普通提供していますので、この不動産価値が大きく影響すると考えていいと思います。上記では、追加の担保を提供しているようです。
また、当該記事には、東京中小企業同友会の調査結果も掲載されています。調査したうち保証を外せたのは4%となっています。予想通り少ないです。
「現状では、保証を解除できる中小企業は少ない。条件となる経営者と会社の資産を分けることなどは中小企業にとって難しい。」との信用金庫理事長のコメントも掲載されています。
資産の分離だけでなく、財務基盤の強化や経営の透明性も難しい要因というのが隠れた本音ではないかと思います。
今すぐは無理でも数年かけて中小企業が変わっていくことが必要ではないかと考えます。
融資総額に占める経営者保証の割合が100%から少しでも0%に近づくことを目指して中小企業が努力をしていくことが重要なのではないでしょうか。
金融機関にも経営者保証に関して、今までの意識や感覚を変えるように促しています。こちらもすぐには変われないでしょう。
でも、徐々に変えていくことで、本当の意味での良い融資関係ができるのではないかというのが私の意見です。
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では、また。