今回の民主党代表選挙をみていて、小沢氏の力はまだまだ衰えていないことがよく分かった。選挙前には小沢氏から支持を取り付けようと「小沢詣で」が盛んに行われ、小沢氏の党員資格停止処分の見直しすら取りざたされた。これが単に民主党の代表を決める選挙なら「どうぞ好きなようにやってください」と無関心でいられるが、同時に一国の総理大臣が数の論理で決められることには納得のいかないものがある。
しかし、とにもかくにも小鳩グループが支持する海江田氏ではなく野田氏が勝利したのはよかったというべきだろう。が、決選投票での両人の得票数の差は38票でしかなく、これは小沢氏が一定の影響力、発言力を維持したことを表しているという人も少なくない。
それにしても、小沢氏にもっとも近いといわれる輿石氏が幹事長に、同じく鳩山氏の側近中の側近である平野氏が国対委員長に起用されたことに少々驚いている。小沢・鳩山両氏への配慮であろうが、これで党運営がスムーズに進めばいい。が、小沢氏は「官房長官人事や組閣人事を見なければ何とも言えない」と、まだまだ人事面で影響力を強めたいようである。
輿石氏に続き、国民新党の亀井氏も小沢氏処分の見直しを要請したという。こうなると小沢氏の処分停止も現実味を帯びてくる。野田氏が新代表就任の挨拶に「怨念を超えた政治」「ノーサイドにしましょう」と述べて、最高顧問の渡部氏は「これで民主党は一つになれる。よかった、よかった」とノーテンキに喜んでいたが、復権を狙う小沢氏がおとなしくなるとは思えない。
組閣人事で色んな名前が聞こえてくるが、「党内融和」「挙党一致」「挙党態勢」のためだけの人事であってはならない。「小沢色」に染められることなく、どこまで野田カラーが出せるか、今、国民は注目している。
ネットに、【民主党の代表選挙で野田財務大臣が新代表に選出されたことについて、アメリカ国務省の報道官が、記者会見の中で日本の総理大臣が交代するたびに似たようなコメントを読み上げていることを指摘され、笑いをこらえられなくなる一幕があった】という記事があったが、毎年毎年、総理大臣が変わればコメントの出しようがないというのも分かる。
ところで、野田新総理誕生で組閣人事に大わらわだが、そのドサクサに紛れてとんでもないことが行われようとしている。政権交代後の第1回の事業仕分けで、枝野氏によって「凍結」された、米軍キャンプ朝霞跡地での国家公務員宿舎建設事業が9月に再開されるという。それを前に、21日、財務省や朝霞市、建設事業者による住民向け説明会が開かれたそうだが、市民からは「復興増税まで取り沙汰されているこんな時に、役人の住む場所などを確保している場合か」「建設資材は東北地方に送るべきではないか」「不景気で民間企業が社宅をなくしているご時世に時代錯誤。中止すべきだ」といった強い批判が相次いだという。工事は9月1日から再開され、2013年6月に完成予定。宿舎の建設費は約105億円、地上13階建て、高さ42メートルの宿舎を2棟建設し、朝霞市の女性センターや児童館、休日・夜間診療所なども併設するという。市民の怒りの声はもっともで、あの事業仕分けは、一体何だったのか、単なるパフォーマンスと言われても仕方あるまい。
もう一つ、菅首相が退陣直前に、朝鮮学校に対する高校無償化適用の審査手続きを再開するよう指示したという。与野党から批判が続出しているそうだが、野田新首相はどう対処するだろうか。
「三度目の正直」、もう民主党にはあとがない。野田新総理のお手並み拝見とゆこう。
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