大龍寺と芳心院合併異論（続）

右ﾆ付當寺世話人中集合評議之上、答書左之通

一、芳心院　大龍寺合併被仰付便宜之地江引越候様
　　御沙汰相成候得共、旦那之不拘多少便宜之地ﾆ
　　被立置候儀ﾆ御座候ﾊﾊﾞ中央之地ﾆ被立置候ｦ便宜
　　とくには無御座候哉

一、大龍寺庫裏　本堂大棟ﾆ而　修覆等も雑費余分
　　相懸ﾘ旦中迷惑候と御座候得共　少分致儀ﾊ申合ﾆ
　　而幾重ﾆ茂可相成どもには無御座候哉
　　乍併土地之厚薄元より大龍寺之処ﾊ薄地、芳心院之処ﾊ
　　厚地ﾆ相見ﾍ候左候得者富国強国之御沙汰ﾆ茂相叶候ども
　　ﾆﾊ無御座候哉

一、芳心院江大龍寺ｦ合し候者　小ｦ大ﾆ合ｽﾙﾉ訳ﾆﾃ道理ﾆ
　　當ﾘ可申と御座候ども諸人参詣其外之不弁理ﾆ而茂
　　宜御座候哉

一、芳心院旦中より大龍寺之方不弁理申立候由ﾆ候得とも
　　是迠御仮勘場引続当御陣所等御用立居候付而ﾊ御使豈之
　　場所共には無御座候哉

一、大龍寺旦家より内々申立候趣ﾆ相聞候と御座候ヘ共
　　御沙汰面ｦ守り只今迠少茂内嘆願差出不申候へ共左様
　　之次第如何之義ﾆ御座候哉

一、両寺於住職者表向ﾊ唯正論之処何れなり共合併沓極
　　仕呉候様申事ｴ御座候へ共内心ﾊ双方とも自分住職之
　　寺江合併望有之候様相見申候と御座候へ共此趣を以
　　當住江相尋候處唯正當之御沙汰被仰付候と申立外
　　嘆願等不仕ﾄ申事候　少茂表裏之心底無御座候
　　右ﾆ付而ﾊ村御役席茂甚困入候との義者無御座候様
　　案仕候

右御問伺之御書面に當り御申上候　以上


　　右答書差出之折集合人数

　　　　上片山　　　大野　庄兵衛
　　　　羽越　　　　東　四郎左衛門
　　　　開作　　　　牧野　松蔵
　　　　中小田　　　田中　惣五郎
　　　　石井小田　　国久　市左衛門
　　　　　〃　　　　若元　角左衛門
　　　　川地　　　　岡沢　市右衛門
　　　　開作　　　　田中　政吉
　　　　志佐　　　　拾八世　玄英
　　　　隠居　　　　拾七世　玄龍

　以上拾人


右集合致候而茂異論ｹ問敷儀無之當然答書評議而己唯正論便宜之地
何分之御沙汰可被待との談計也

　干時明治三牛ﾉ十二月　合併未沓之問也