とにかく、治療技術、知識を上げて、それをチャンと治せること、が第一義。
だから、先生(私のこと)には、私が立ち上げた学会に入らないで貰いたい、と言われてました。
どの学会かは言いませんが、今も、私の中にお師匠様の言葉は生きています。
全身のこと言うのも結構、栄養とか色々なことを言うのも結構、でも歯医者は歯医者なので、その本道を上げること、を決して忘れないで欲しい、です。
なので、お師匠様は咬合の治療とかで、腰が痛いのを治すとか不定主訴治すとか、やたらに言ったり、宣伝するのを嫌っておられました。
でも、お師匠様の患者さんは、次々とそう言うのが治って行くのを目の当たりに見ていまして、凄い師匠だ、といつもいつも感心しておりました。
多分、歯科医師で、そう言うことに先鞭付けた最初の方だった筈、です。
そう言う凄い実力のあられるお師匠様が、敢えて言われる言葉ですから、とても重い、と思います。
察するに、お師匠様が為す素晴らしい仕事を見て、歯科医としての腕を上げるのよりも、そちらの方に一所懸命な一派がいたんです。
それで芸能人とかの患者さん集めをして人気者、多数派になり、立ち上げた学会すら乗っ取られた、と言うのがあったんだろう、と思います。
私は、その真っ最中にお師匠様にお仕えしておりましたので。
今、その学会の内情がどうなのか、は私も存じ上げません。
お供の席で、私に戒めとして、先ず腕を磨け、上げろ、それから派生してのモノ、だと常々言っておりました。
お師匠様のお考えは、それでも治せない、そう言う方には、何か全身的問題とか栄養とか気の流れとか問題がある、とそう言う時に初めて用いるモノ、最初からそれを広告するな、と言うことでした。
今、時代が歯科と全身、を色々と言い出しています。
しかし、だからこそ、その始祖であり第一人者だった故人の直弟子、末席にあった者として、我々は歯医者なんだ、先ず腕を磨け、上げろ、と申し上げます。
大した腕もない者ですが、生意気申し上げました。
失礼致しました。