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ナショナル・シアターで舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」を観る

2023-12-17 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月7日■ 続き

ついにこの度の最大の目的であった、サム・メンデス演出の舞台"The Motive and the Cue"を見に行くために、
サウスバンクにあるナショナル・シアター(以下NT)に向かいます!

ああ、懐かしのNT!
留学中は開演するまでの間、このホワイエで勉強したり読書したりして過ごしていました。
今回もその雰囲気に浸るために早めに到着して、ホワイエでスマホに入れてある戯曲を復習します。

正面入口のモニターには"The Motive and the Cue”のポスター画像が表示されています。
劇場の前にはアイスクリーム売りのバンが止まっていたけど、営業はまだしてなかった。

 

さて、"The Motive and the Cue”について。
この舞台は1964年にジョン・ギールグッド演出、リチャード・バートン主演でブロードウェイで上演された
シェイクスピア劇「ハムレット」のリハーサルの様子を描いています。

この1964年の「ハムレット」ブロードウェイ公演は興行的に大ヒットし、
ギールグッド自身がタイトルロールを演じていたハムレットの公演記録を塗り替え、17週間も上演されましたが、
実はその舞台裏では、ギールグッドとバートンの確執があったという、
緊張感あふれるリハーサルについての出演者の証言が残っており、
舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」などで知られる劇作家のジャック・ソーン
その証言をもとに"The Motive and the Cue”の戯曲を完成させました。

今回の舞台の元になった書籍の一つ、書簡集「Letters from an Actor」の中で、
「ハムレット」のギルデンスターンを演じたウィリアム・レッドフィールドは、ギールグッドとバートンの関係を
「二人の男の間には芸術的な不一致、美的感覚の不和がある。それは信念と技術の本質的な違いである」
と表現しています。

↑ジョン・ギールグッド卿越しに見る、ローレンス・オリヴィエ像。

大女優エレン・テリーを大伯母に持ち、ヴァイオリンのような美しい声を持つことで知られ、
世界最高峰のハムレットとも称されてきた英国の名優ギールグッドは
まだ同性愛が違法だった1954年に逮捕され、キャリアに傷がつくようなことはなかったものの、
ライバルであるローレンス・オリヴィエとは対照的に1960年代にはスター性を失っており、
久しぶりの大きな仕事として、このハムレットの演出の仕事を引き受けます。

このギールグッドを、私が敬愛するマーク・ゲイティスが演じます。

一方のリチャード・バートンを演じるのは、シンガーソングライターでもあるジョニー・フリン
マーティン・マクドナー「ハングメン」にも出演していた多彩な役者です。
マークも出演している映画「オペレーション・ミンスミート」では007の生みの親イアン・フレミングを演じています。

バートンの芝居はギールグッドと異なり、自然体でエキセントリック
当時大スターエリザベス・テイラー(演じるのはタペンス・ミドルトン)と結婚したばかりのバートンは
私生活でも世界から注目を集めていましたが、
自分の実力を試すために、ハネムーンを返上してハムレットへの出演と尊敬するギールグッドの演出を熱望。
その望みは実現しますが、ウェールズポート・タルボット出身で
幼い頃に暴力的な炭鉱夫の父親に捨てられ、姉に育てられた後、教師の養子となった生い立ちを持つバートンは
品位と伝統を重んじるギールグッドと対立し、自分自身のハムレット像を生み出すために葛藤します。

私自身は、舞台でも映像でもハムレットを何度か見ています。
生で見たもので印象的なところを挙げると、バービカンのベネディクト・カンバーバッチや、日本だとシアターコクーンの藤原竜也
なんだかんだ言って、シェイクスピア劇の中ではやはり一番見ているかもしれない。
しかし、バートン版のハムレットは大ヒットしたにも関わらず不勉強で知らなかったので、
リハーサルの服装のままで役者が舞台に出る、という今と通じるようなコンセプトを面白いと思いました。

Hamlet - Richard Burton - John Gielgud - Broadway production - Shakespeare - 1964 - HD Restored - 4K

マーク・ゲイティスのファンとしては、ハムレットを演出する偉大な名優に扮するというだけでも大興奮でした。

第一幕の最後、酒を飲んでリハーサル室に現れたバートンに侮辱されたギールグッドが
出演者やスタッフを全員リハーサル室から追い出し、
ひとりきりになった部屋で、第三幕 第二場でハムレットが劇団の役者たちに演技指導をする
”Speak the speech, I pray you” のセリフを静かに誦じるシーンがあるのですが、
ここはあちこちの劇評でも高く評価されている美しいシーンの一つでした。

正直、マークがハムレットを演じることなんてないと思っていたので、
劇中で、別の役者を演じながらではあっても、ハムレットのセリフを言うマークが見られるなんて本当に喜びの極み!
演出している時も、バートンと一緒にセリフを呟いている様子が見られて嬉しかったです。

特に好きなシーンは第二幕の始まり。
ホテルでのエリザベス・テイラーとの朝食のシーン
若い頃からショービス界で活躍していたテイラーと、英国演劇界のサラブレッドなギールグッドの、
2人だけが共有できる洗練されたユーモアが楽しめる場面。

そして、ギールグッドはテイラーから2人とは育ちも感性も異なるバートンの気質についてヒントを得ます。

(個人的に、この頃は坂本龍一が亡くなったことが記憶に新しかったので、
 戯曲を読みながら、教授の、編集者である父親一亀との衝突や細野晴臣との80年代の確執のことを考えたりしてました。
 細野さんは、父親に対するコンプレックスが、年上の男性に対して反抗的な態度を取らせるのではないか、と分析してたのです)

そしてギールグッドは、虚しさを埋めるためにホテルに男娼を呼びます。
特に一緒に寝ることも求めないギールグッドに彼の為人を知った男娼はハグを提案しますが、頑なに断るギールグッド。
ちょっと抱き合っただけで、背中をポンポン叩き満足したフリをして「とても良かった」と離れようとします。
しかし、そのまま男娼の腕に抱かれるギールグッドは、次第に気持ちが緩み、泣き始めるのです。
「申し訳ない。なんてことだ。我慢できない。
 生まれつき膀胱が目の近くにあるんだ。瞬きすると流れてくる」

役者たちの演技を正す場面でも決して声を荒げず、あくまで肯定的な言い回しで演技指導するギールグッド。
最後には感情的に反抗するバートンと一対一で真正面から話し合い、ハムレット俳優としてのバトンをバートンに渡します。(洒落ではない…)
そのバートンがついに初日の舞台へと向かっていく姿は、
かつて見たサム・メンデス版「キャバレー」の幕引きのように衝撃的で美しく、目に焼き付いて離れない瞬間でした。

演出という点では、ゴルトベルク変奏曲ノエル・カワードの歌が流れ
ハムレットのセリフの引用と稽古何日目なのかが黒いスクリーンに映し出される場面切り替えが印象的。

Noël Coward - Why Must The Show Go On?

装置が上下して稽古場やホテル、ギールグッドのオフィスへと切り替わる舞台機構も面白かった。
実はこの上演中にThe Motive And The Cueをフューチャーした劇場ツアーがあったのですが、
私の滞在中はちょうど日程が合わず参加出来ませんでした。
その代わり、通常の劇場ツアーには参加したので、また後日記事に出来たらと思っています。

"The Motive and the Cue”は、2023年4月20日〜7月15日までNTで上演され、
その後、ウエストエンドのノエル・カワード劇場にもトランスファーされ、2023年12月9日から2024年3月23日まで上演されました。
この日は昼夜の2回公演の日。
ちょうどマチネ上演中に戯曲を復習していたのですが、劇場出入口に撮影が入るとお知らせが出ていました!

と、いうことは!いつかはNT Liveで映画館上映が行われるはず!
サム・メンデス作品だし、ニーズは高いと思うので可能性大!

(2024年6月追記)

その後、日本のNT Liveでも上映が決定しました。

 

the motive and the cue | ntlivejapan |モーティヴ&キュー| マーク・ゲイティス| NTLive |ジョン・ギールグッド|ジョニー・フリン|エリザベス・テーラー|リチャード・バートン|サム・メンデス|ジャック・ソーン

NTLiveが贈る『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』サム・メンデス(『リーマン・トリロジー』)が演出し、脚本家ジャック・ソーンが脚本を手がけ、『るつぼ』のエス・デブリンが...

ntlivejapan

 

 

NTの中のブックショップではThe Motive and the Cue関連…つまりハムレット関連のグッズもフューチャーされています。
ここでフィジカルな戯曲をいくつかとNTグッズ(キーホルダーやオイスターカードケースなど)を購入。

友人に渡す分のプログラムもまとめて買い、
腹ごしらえに劇場のデリで1人分のメニューはないのか訊いたらピザトーストを勧められ購入。
でも全然1人前の大きさじゃなかった…
頑張って2つ食べて、残りのうちの一つはナプキンに包んでホテルに持って帰りました。

ちなみに今回の出待ちは、あまり体調もすぐれなかったので、サクッと帰るつもりでいました。

いつものように緊張してモジモジダラダラ喋ることを禁じ、スマートな出待ち!をモットーに、
お馴染みのステージドア前で待っていると、割とすぐにマークが出てきました。
(その日マークを待っていたのは、私を含めて2人だけ。)
来客や出演者と話し、連れの人たちと出てきたところで近づいて、
プログラムにサインをお願いし、お土産を渡し、セルフィーを頼む私。

その間「今日の公演、素晴らしかったです」くらいしか言わず、とにかくシンプルな会話に徹した私に、
最後にマークが満面の笑顔を向けながらかけてくれた「ありがとう!」の一言と、
ギュッと腕に添えてくれた手の温もりがいつも通りで、じわーっと感激しながら、風のようにその場を去りました。

スマートに、と言いながら、後から思い出すと、あれを言えば良かった、これを言えば良かったと、結局色々後悔しています。
でもセルフィーの写真はとても優しい表情で写ってくれてるし、
多くは語らなくても、まあ、見たことある子だなくらいには思ってくれているだろうと期待し、大切な思い出の一つに加わえました。
(舞台はもう一回見たんですけどね)

旅行記は続きます

 

■ナショナル・シアター・ライヴ上演時の感想記事■

 

ナショナル・シアター・ライヴ「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」 - だから、ここに来た!

7月5日(金)からナショナル・シアター・ライブの作品として、映画館上映が始まった舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」(以下、TMaTC)。初日やトークイベントを含め、合計3...

goo blog

 

 

■参考記事■

 

Heavenly powers or something rotten? When Richard Burton played Hamlet

It was a box-office hit directed by John Gielgud and created turmoil on stage and off. Now, the 1964 Broadway staging has inspired The Motive and the Cue, a new ...

the Guardian

 

 

 

What Makes a Great Performance? Backstage Drama, That’s What. (Published 2023)

“The Motive and the Cue,” a new play in London, imagines fraught behind-the-scenes maneuvering by John Gielgud, Richard Burton and Elizabeth Taylor during rehear...

 

 

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テートモダンで『HILMA AF KLINT and PIET MONDRIAN』展を見る

2023-09-30 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月6日■

滞在3日目。まずはホテルでの朝食。
この長期滞在型ホテルでは宿泊代に朝食料金も含まれているのでビュッフェが利用できます。

 

コンチネンタル(シリアルなどの冷たい食事)だけでなく、アメリカン(豆やトマトなど温かい食事)もあるし、
パンのバリエーションも多くてうれしい!

   

前日の高級なレストランでの食事も特別感があって気分が高揚しますが、
こういうカジュアルなビュッフェは安心しますね。

 

そして朝食後は(同じホテルの空室が出ていなかったので)同じブランドのすぐ近くのホテルに移動。
やはりチェックインはすぐ対応してもらえましたが、若干部屋の間取りが違ってた。

   

キッチンの柱が邪魔(笑)。その他はほとんど同じ。

   

2日目のホテルの方は、廊下から見える高層ビルの眺めがよかったけど、
こちらは特別いい眺めでもなく、今後どちらかに泊まるなら2日目のホテルにしようと思いました。

 

そして、チェックインした後はバスでサウスバンクまで移動。
1・2日目と違ってこの日は晴天!ユニクロで買ったウルトラライトダウンも日中は必要なさそう。

たどり着いたのはサウスバンクにあるテートモダン! 逆光が眩しい!

いつもテートモダンに来るときはなぜか雨の日が多かったのですが、今回は晴れの日に来れて助かった!
最近は日本にいる間もなかなか美術館に行く気持ちの余裕がなかったので、
今回の旅の間にどこか美術館には寄りたいと思っていました。
そんなわけで、舞台を見に行く前に、ヒルマ・アフ・クリントピート・モンドリアンの特別展を見に行くことにしました。

 

オランダ出身のピート・モンドリアンと、スウェーデン出身のヒルマ・アフ・クリント。
2人は直接面識はなかったようですが、どちらも同じ1944年に亡くなっていたりと意外と共通点が多く、
その2人の生涯の作品の変遷を追いながら、作風を比較していく企画。

 

Hilma af Klint & Piet Mondrian | Tate Modern

Tate

 

抽象画家である二人は意外と初期には写実主義のスタイルで植物画などを多く描いていました。
↓これはアフ・クリントのもの

ピート・モンドリアンは抽象画家としてカンデンスキーらと肩を並べて名を知られていますが、
アフ・クリントはあまり名前を耳にしたことがありませんでした。
それもそのはず、彼女は死後20年は作品を公開しないように遺言を残してなくなったそうです。

優秀な成績でアカデミーを卒業した後も肖像画、動物画などの職業画家として成功を収めていたアフ・クリントは
当時の多くの文化人と同様に神秘主義の影響を受け、女性画家4人と共に「ザ・ファイブ(De fem)」いうグループを結成し、
1896年からは交霊会によるオートマチズム、つまり憑依された状態での絵画制作を始めます。
モンドリアンも交霊術や神秘主義に影響はされていたものの、オートマチズムでの作品は残していません。

カンディンスキーが抽象絵画を初めて描いたとされるのが1910年。
アフ・クリントが天啓を受けて描いたという、この展覧会の目玉の一つである大作シリーズ「The Ten Largest」を描いたのが1907年。

↓これがその「The Ten Largest」シリーズ。高さ3メートルある大作。

もしもアフ・クリントを抽象画家と認めてしまえば、美術界の歴史自体の書き換えが必要となってしまうため、
美術界がその存在を蚊帳の外にしたのが、これまで彼女の名前が知られてこなかった原因であるらしい。

また、オートマチズムによる制作を行う画家として疎まれてたところもあるようで、
公開を拒んだ20年を経て、甥がストックホルム近代美術館へ彼女の作品を寄贈しようとしたところ、
霊媒師の作品に興味はないと断れたというエピソードからもその存在が伏せられてきた理由が窺えます。

しかし、近年各国で開催された回顧展が話題を呼び、彼女の存在も注目を集めるようになり、
アフ・クリントと同様に野心的でありながら無名であった女性画家の存在へスポットを当てることや、
社会全体と同じように、美術界においても男性の活躍が中心に据えられてきたことへの認識の見直しなど、
美術史のアップデートの機運も高まってきているらしい。

今回の特別展においてもアフ・クリントの名前がタイトルの先に来ているのは、
テートが意図的に、意識的につけているに違いないと思う。

モンドリアンも1900年はじめに神智学に傾倒し、
1917年にはオランダ前衛運動「デ・ステイル」を創設して、仲間と共に機関誌を出版したりしています。
そして白黒の縦・横の線、赤・青・黄でよく知られる「コンポジション」シリーズにつながる新造形主義のスタイルを構築。

   

両者ともピンクやイエローなど、パステル調の色合いを使っているのが印象的。
アフ・クリントは円や螺旋を使い、モンドリアンは前述の水平・垂直の線を多用しています。

モンドリアンの絵は、想像していたよりも小ぶりなものが多くて、
近づいて観察すると、一つ一つの線や塗りつぶしの筆致がとても慎重に丁寧であることがよく分かります。
アフ・クリントの作品は、大きいこともありますが、よりダイナミックに描かれていて、
どちらも描かれている形はシンプルであるのに、ずっと眺めていても飽きない深さを感じます。

グッズ売り場には、「コンポジション」を使ったパズルがあって、買おうか迷ってしまった…
結局、一筆箋だけ買いました。一筆箋買いがち。

外に出たら変わらず晴天。
このままテムズ川沿いを散歩しながら最終目的地であるナショナル・シアターに向かいます。

ナショナル・シアターに向かう前に近くのBFIに立ち寄ってみる。

コロナ前入口近くにあった売店がチケット売り場の奥に移動していました。

それに留学中に自習場所として使ったりトークイベントなどを見に来たサウスバンク・センターも。

続く…

 

参考:

ヒルマ・アフ・クリントはなぜ大芸術家になれなかったのか? 映画『見えるもの、その先に ヒルマ・アフ・クリントの世界』レビュー(評:伊藤結希)

抽象画の先駆者ヒルマ・アフ・クリント、埋もれた才能 美術界の男性優位という問題:朝日新聞GLOBE+

 

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BRIDGE THEATREにてミュージカル「ガイズ&ドールズ」を観る

2023-09-03 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月6日■ 続き

ウエストエンドで”Operation Mincemeat”を見て、コヴェント・ガーデンを見て歩いた後、
ソワレで観るのは、ミュージカル「ガイズ&ドールズ」
日本でも上演されることのある人気作で、最近では2022年6月に帝国劇場にて上演されていました。

2017年にオープンしたブリッジシアターはその名の通り、タワーブリッジ近くにある劇場で
開業後から客席を取っ払い、立ち見で中央の舞台を鑑賞する没入型劇場として話題になっていました。
例えば、2018年の"Julius Caesar"や2019年の"A Midsummer Night’s Dream"など。
今回の「ガイズ&ドールズ」も同じく没入型タイプの公演となっていたので楽しみにしていました。
ドラマなどでよく見かけて親しみのあるダニエル・メイズが出演しているのも気になっていたんですよね。

タワーブリッジまでは今回滞在していたホテルから徒歩圏内。久しぶりにこんなに近くで見ました。
留学中は意外と来る機会がなかったんですよね。

入場はEチケットなのでスマホで画面を提示してもOKですが、
プリントアウトして栞のように折りたためる仕様になっているので、紙の状態で持ってきている人もいます。私も一応どちらも持参。

そして今回はせっかくのブリッジシアターだし安いこともあって、1階の立見席を選んでいました。
実は近年膝を痛めていたので、2階の指定席にするかずいぶん迷っていたのですが、
出発前はかなり調子がよかったので、これなら大丈夫だろう!と思ったのです。
これが甘い考えだったのは実際体験してみて分かったのですが…。

1階の立ち見席を選んだ場合は、安全上荷物をクロークに預けなければいけません。
実際に1階に降りて開演してから分かったのですが、
1階では観客だけではなく、スタッフが装置をあちこちに動かしたりするので、
ショルダーバックを下げていると引っかかる可能性があるかもしれない状態。

そのため、どんなに小さいバッグでも荷物を預ける必要があるようです。
クローク用の番号札をもらって、1階の劇場から入場した時に
フェスやレッドカーペットでもらうような腕に巻くタグをもらいます。立ち見観覧者はこのタグで区別するんですね。

中に入ると、眩しいほどのネオンの装飾が下がっていて、
お酒片手に談笑する立ち見客で大いに盛り上がっています。

開場時には一段高くなっている舞台がまったくない状態ですが、
観客の間にところどころダイナーのテーブルとイスが何気なく置かれていて、
つい座っちゃいそうですが、周りに四角いバミリのような印がついていまることに気づきます。
どうやらこれらもセットの一部みたい。

開演時間が近づくと、警官の扮装をした大道具のスタッフだけではなく、
役に扮した役者たちが観客の間を談笑したり踊ったりしながら行き来し、
先ほどのダイナーのテーブルにも役者が座って、役に入った状態で会話を楽しんでいます。
そして、音楽が始まると舞台がせり上がり、ついに開演!
(せりあがる舞台の周りには警官姿のスタッフがやってきて、舞台スペースを避けるように注意喚起します)

 

以下、あらすじ。

Guys & Dolls trailer

1930年代のニューヨーク。ギャンブラーのスカイ(アンドリュー・リチャードソン)は
同じく
賭博師ネイサン(ダニエル・メイズ)からある女を口説き落とすという賭けを申し込まれる。
婚約者アデレイド(Marisha Wallace)へのプレゼント代を稼ぐつもりなのだ。

ネイサンが指名した女性は、超堅物な救世軍の軍曹・サラ(Celinde Schoenmaker)
スカイはサラにハバナへ誘い、人のいない伝道所に人を連れて行くと提案する。
誘いを受けたサラは、だんだんとスカイに惹かれていくが、
伝道所に戻り、ネイサンが賭博場として使っていることを知り、
ハバナへ誘われたのはネイサンに場所を提供するためだったのだと勘違いしてしまう。

この辺りが第一幕。
前述の通り、出演者が立ち見客の間を縦横無尽に移動し、
ついすぐそばでダンスを始めたり、警官姿のスタッフが素早く2階席の下のスペースから階段を運んでくると舞台が競り上がり、
出演者がそこから舞台に登って行ったりと、あちこち見逃せない舞台。
時には立ち見客に賑やかしの飾り棒が配られて、劇中のショーの観客として盛り上がる役割が課されたり、本当に刺激的な没入型劇場!
今まで体験したことのない世界でした!

しかし、実は昨日から足首が痛くて若干足を引き摺りながら歩いていた私は、
滞在2日目ということもあり疲れが 溜まっていて立ち見も限界になりつつありました。
元々悪い膝ではなく足首にくるとは…

幕間にロビーの椅子に座ってたら、そこは連れ合いが座るはずだったと他の客に言われて、
倒れそうになりながら立ち上がる私を見て「そんなに疲れているなら座って」と言われたけれど、
意地になって1階に戻り、端っこの椅子に座って体力の回復を試みました。
でも、短時間で元気になれるわけはなく、
第二幕の始まる前に再度劇場に降りて行き、端で項垂れてたらスタッフの方に
「座りたかったらロビーに椅子があるから、休んでから戻って来れるよ」と教えてもらったので、
ロビーで暫く座らせてもらうことにしました。

ロビーではモニターが設置されていて、舞台の進行がわかるようになっており、
私の他にも数人、椅子に座ってモニターを眺めている人がいました。
スタッフの方に「大丈夫? お水飲む?」と心配されながら私もモニターでしばらく中の様子を眺めていましたが、
やはり集中力の限界で、結局途中でホテルに帰らせてもらうことにしました。
半分は見られたし、舞台の雰囲気も知れただけで割と満足出来ていたし、
ここで体力を使い切ったら、この旅の本番とも言える翌日のナショナル・シアターで力尽きてしまいます。

ありがたいことに劇場からホテルまでは徒歩で帰れるので、途中でギリギリ営業中のスーパーでラザニアを買って、
最後の力を振り絞って夕食を食べ、シャワーを浴びた。そんな2日目でした。

マチネで見た”Operation Mincemeat”は新作コメディーミュージカルなので、
かなり今風というか、ポップスやパロディを意識した曲でしたが、
フランク・レッサーが手がけた「ガイズ&ドールズ」の曲は王道の歌い上げるミュージカル曲で、
演出だけでなく、歌の魅力も溢れる舞台でした。

第一幕最後の、惹かれ合うスカイとサラが歌う"My Time of Day"や、
第二幕開幕直後のアデレイドによる"Take Back Your Mink"も華やかかつパワフルで圧倒されました!

Guys and Dolls - My Time of Day

Guys and Dolls - Entr'acte/Take Back Your Mink

おまけでアデレイド役のMarisha Wallaceが歌う「ドリームガールズ」の"And I am Telling You"
かっこいい女優さんです。

And I am Telling You- Marisha Wallace- London Jazz Voice

ちょっと残念な夜になってしまいましたが、
次の日はこの度の最大の目的である"The Motive and The Cue"を見る日。
万全の状態で挑めるよう、体力の回復に務めました。

 

続く…

 

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コメディ・ミュージカル"Operation Mincemeat"を観る

2023-08-19 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月5日■ 続き

この日のマチネはコメディ・ミュージカル"Operation Mincemeat"を見に行きました。
そうです、最近映画化された欺瞞作戦=ミンスミート作戦をなんとミュージカル化してしまった作品。

2019年にニュー・ジオラマ・シアターで初演され、サザーク・プレイハウス、リバーサイド・スタジオと劇場を変えてロングラン。
現在は34年もの間ロングラン公演を続けていた「ウーマン・イン・ブラック」から引き継いでフォーチュン・シアターで上演されています。

あらすじは映画とほとんど一緒、ですが、MI5のチャールズ・チャムリーが気弱な科学者だったりと
キャラクター設定等異なるところもあります。
私が映画で気に入らなかった余計な恋愛描写も出てきません。

 

作戦は小説よりも繊細なり…映画「オペレーション・ミンスミート」 - だから、ここに来た!

◆2月22日(火)◆2月18日に公開された映画「オペレーション・ミンスミート」を見に行きました。オミクロン株の影響で感染が拡大する中、引き続き劇場に行くのは出来るだけ控え...

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ミュージカル版はコメディ・ミュージカルチーム「スピットリップ(Spitlip)」が考案。
(David Cumming, Felix Hagan, Natasha Hodgson, Zoë Roberts)
メンバーのうちの3人、
デヴィッド(チャールズ・チャムリー役)&ナターシャ(ユエン・モンタギュー役)&ゾーイ(ジョン・べヴァン役)は出演もしており、
そしてテレビのコメディチームの番組のように、5人のキャストが複数の役を掛け持ちで演じています

旅行の準備中の段階では、前述のように、すでに映画で内容は知っていたので、
あえてミュージカルで改めてみることもないかなと思っていたのですが、
出発までにどんどんこのプロダクションの評判が目に留まるようになって、
これは見なければなるまい…と急遽チケットを取ることにしました。

戦時中のシリアスな作戦をどうやってミュージカルにするのか、
ハッキリ言って実際見てみるまでなかなかイメージ出来ませんでしたが、
紛れもなく、コメディ・ミュージカルとして成立していました。
初めから最後までニヤニヤワクワクが止まらず、終焉までがあっという間。

Operation Mincemeat | West End LIVE 2023

ウエストエンドだと歴史物と言えば私も大好きな近年のSIXのヒットが記憶に新しいですが、
まさにその「SIX」の”Get Down”のパロディのような曲があったり、
↓のミラー紙の劇評のようにメル・ブルックスの「プロデューサーズ」「ハミルトン」も思い起こさせるような
ド派手で楽しいナンバーが満載でした。
(それでもやっぱり、どこかから怒られたりしないのか気になったりもして…)

Operation Mincemeat - All the Ladies (Official Audio)

二幕で幕が開けてすぐ始まった↓も呆気に取られちゃった!
クラブかフェスのライヴのような演劇らしからぬ照明の中、キャストがグラサンかけて踊りまくり!
最後には驚いた観客に対するメタ的なセリフがあったり。

Operation Mincemeat - Das Übermensch (Official Audio)

5人の出演者のキャラクターのみならず衣装の変わりようも素晴らしかったし、
舞台上で電話線が絡み合いながらスペインとの書類奪還の状況を確認するシーンなど、
決して広くはない劇場の舞台の中で演出も凝ったものでした。

でも何よりも今回の収穫はアンダースタディのキャスト!

この日はヘスター役のJak MaloneChristian Andrewsに、ユエン役のナターシャがHolly Sumptonに交代。
アンダースタディが出ている公演というのは、大抵は目当てのキャストがいなくてがっかりするものです。
実際、「スピットリップ」のメンバーであるナターシャが見られないというのは残念だったのですが、
ChristianとHollyが出ているバージョンもとても満足しました。

(公式がいろんなキャストの組み合わせでビンゴ大会もやってて
 それぞれのバージョンを楽しめるようにしているのも好感!)

特に背の高いChristianが舞台上に出てきた時には、
「マーク・ゲイティスとジョー・ライセットを足して割ったような可愛い子が出てきた!」と…
つまり私の大好きな二大英国人の雰囲気を合わせて持っていて、それだけで目を惹く存在でした。
(しかもマークが映画版で演じていたユエンの弟アイヴァー・モンタギューの役も彼が演じていた!偶然!)

ホテルに帰ってから彼の情報をチェックしたら、
なんとマーク・ゲイティスと一緒に写っている写真をインスタに投稿しているのを見つけてさらに興奮。
「ついに生き別れた従兄と再会」と書かれているので、前々から似ているって言われてたんでしょうね!

マークに似ているから彼が素敵だということではなく、彼自身の演技も歌もとても心動かされたのですが、
特に海に捨てる死体と共に持たせる恋人からのラブレターを書かなければならない場面で、
彼演じるお堅い秘書のヘスターが、現実味のある手紙でなければいけないと、
語って聞かせる内容がとても感動的でした。

はじめは何気なく周りの人たちの日常の風景を語り、最後に近づくにつれて、素直な思いが語られていく。
そして、合間合間に入る「なぜ戦争の最中に出会ってしまったのかしら。バカね」という歌詞。
ずっと笑いっぱなしでしたが、ここだけは別。涙が溢れて止まりませんでした。
間違いなく、この歌がこのミュージカルの一番のハイライトでしょう。

Operation Mincemeat - Dear Bill (Official Audio)

この旅の後、ミュージカル"Operation Mincemeat"はさらに上演延長が発表され、
現時点で2023年11月までの上演が決まっています。
ロンドンに旅行する予定のある人には是非ともオススメしたいニュージカルです!

↓カーテンコールの時にキャストがジャンプするのがお約束。可愛い!

ちなみに、リーグ・オブ・ジェントルマンのファンとしては、
8月31日にリース・シェアスミスがホスト役を務めるQ&Aが開催されるのも気になるところ。
行けることなら見に行きたかったー!

 

観劇旅行記はさらに続きます…

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Berners Tavernで朝食を/ユニクロ・コヴェントガーデン店へ

2023-08-13 | 2023年、ロンドンの旅

ロンドン旅行記、続き

■2023年6月5日■

ロンドン観劇旅行2日目。

テレビではハリー王子がミラー系タブロイド紙に対する裁判に出廷する話題がトップニュース。
なんでも高位王族が裁判で証言するのは130年ぶりなんだそうで。

この日の朝食は豪華にミシュランの星を獲得したシェフ、
ジェイソン・アサートンが監修のメニューを揃えたホテルのレストランBerners Tavernで過ごしました。
壁一面に絵が飾られ、まるで美術館の中のような趣。

ここでフル・イングリッシュ・ブレックファストをいただきました。£24也。
こんな高級なレストランで出す定番メニューがどんな味がするのか、興味津々でした。

ポークソーセージとスモークベーコン、ローストトマト、マッシュルームにブラックソーセージ
卵2つは好きな食べ方を選べます。ベイクドビーンズはグレイビーボートに入れて出てきました。
とにかく全て美味しくて、あっという間にペロリと食べてしまいました。
少食なので普段はフル・ブレックファストなんて頼まないのですが、今まで最短の完食時間だったかも。

3種類のジャムもトースト一枚ずつに贅沢に使い切り。
食べ終わってからも、しばらくレストランの雰囲気を楽しみました。
旅行者っぽい人たちもいれば、これから仕事に向かうビジネスマンが待ち合わせをしていたり新聞を読んでいたりもします。

このホテルには1泊のみだったので、チェックアウトした後は次のホテルに向かいます。
ゴージャスな内装とも1日でお別れ。でもこのレストランだけでもまた来てみたいですね。

次のホテルはバーモンジーにあります。ノーザンライン1本で南に移動。

バーモンジーは以前マーケットを見に来たことがあり、なんとなく親しみのある地域です。
街の雰囲気も物騒な感じではなく、落ち着いていて安心します。
(マーケットは後日行ったのでまた改めて書くつもりです。)

↓これは以前行った時の記事

 

バーモンジー・アンティーク・マーケット - だから、ここに来た!

■10月16日■15日は、ハンプトン・コート・パレスに行ったのですが、書くこと&載せる写真が沢山ありそうなので、先に次の日のことを書きます(笑)。ポートベロー、カム...

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ホテルに荷物だけ預けようと思ったらすぐにチェックイン可能でした。ありがたい!
部屋のある階まで上がると、廊下からシャードウォーキー・トーキーが見える!
なかなかいい眺め!(若干吹きっ晒しだけど)

今回のホテルは長期滞在型ホテルなのでキッチン付き。
芝居帰りで遅くなってもスーパーで買ったお夜食を調理出来そう!
…やっぱりホステルやAirBnBに慣れてるから、一般的なホテルよりこういう部屋の方が安心します。

レンジもトースターも食器洗いもついてて限りなく普通のアパートの居心地と近い感じ。
でもホテルと同じようにコーヒーや紅茶のサービスもついているところは嬉しい。

  

2日目はマチソワで芝居を2本見る予定。
その合間にコヴェント・ガーデンに立ち寄ることにしました。

まず、駅の北側にあるこのブログでは何とも触れたことのあるセブン・ダイヤルズ。

環状交差点を中心に7つに分かれた道に様々なお店が並んでいます。
私が初めてロンドンで芝居を観た思い出深いドンマー・ウェアハウスもアーラム・ストリートにあります。

当時は今回の旅の後半で見に行く"The Motive and The Cue"の作者、ジャック・ソーン作で
エイドリアン・スカボローとスティーブン・キャンベル・ムーアが出演の”When Winston Went to War with the Wireless”が上演中。
こちらも見たかったけど、予定がいっぱいで観劇できず…

私が初めてドンマーに来た頃、隣にはSUPER DRYの店が入っていて、地下には小さな売店があったりしたのですが、
留学していた2018-19頃、隣のスペースは空きが出ていました。
今回覗いてみたら、セブン・ダイヤルズ・マーケットという、吹き抜けのフードコートになっていて、平日にも関わらず大変にぎわっていました。
2019年秋にオープンしたそうなので、ちょうど私が帰国した後だったみたい。

 

ここの1階の店CLUB MEXICANAでタコスを1つ注文。

見た目がとってもおしゃれだけど、トルティーヤが思った以上に薄くてボロボロこぼしながら完食した…。

 

その後は、地下鉄の駅近くに新しく出来たというユニクロの店舗を見に行きました。

UNIQLO Covent Garden | Opening April 27th | UK

ロンドンのコベントガーデンにユニクロ・セオリーの複合店が4月27日(木)オープン - UNIQLO ユニクロ 

コヴェント・ガーデン駅から出て左に向かうとすぐの立地。
中に入ると中心が吹き抜けになっていて、ちょうど晴れてきた時間だったので暖かい日差しが店の中に差し込んできました。

この店が気になっていたのは、ロンドン交通局とのコラボUTがあると聞いていたから。
コヴェント・ガーデンにはロンドン交通博物館もあるので、そちらでたくさんグッズは扱っていますが、
日本人としてはユニクロとコラボデザインは気になる!

上階に行くと、その一角にロンドン交通局コラボのコーナーが出来ていました。

テーブルの上にタブレットが置かれていて、
好きなTシャツとかつての交通局のポスターのデザインを引用したスタンプを組み合わせられるようになっていたのですが、
操作してみると最後にエラーが出てスタッフを呼ぶようにメッセージが出てきてしまいます。
通りがかったスタッフに訊いてみたところ、今は好きなデザインの受注中止してるらしく、
店舗に見本として飾ってある在庫のみ扱っているとのこと。

仕方ないので、店舗に置いてあるものから欲しかったロンTを自分と家族のお土産用にチョイスしました。

お店にあったものではあるけど、なかなかオシャレなデザイン。
秋冬の部屋着として愛用するつもりです!

そして、このユニクロでさらに気になっていたのが店舗の中にある日本茶カフェ「かつて100」

実はこの店は留学時代に通っていたエンジェルにある有名なカフェで、
修了したクラスメイトと行った思い出のある場所だったりします。
この日は時間がなくて何も頼めませんでしたが、場所を確認出来てよかったです。
こじんまりとした本店より座るスペースもありそうだし、
エンジェルまで行かなくてもロンドン中心部で立ち寄れるのは嬉しいですね!

 

…次回は観劇した舞台について。

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舞台「ブロークバック・マウンテン」を観る

2023-07-14 | 2023年、ロンドンの旅

前回の続き

■2023年6月4日■

チェルシーからバスでトッテナムコートロードへにあるホテルへ。

↑バスの2階から見たシャフツベリー・アベニューの様子。

トッテナムコートロードに戻ると、駅前に新しい建物が出来ているのに気づきました。
一階に駅の待ち合いスペースのような空間があり、
その中に入ると、万華鏡の中に入り込んだような、煌びやかな映像に包まれます。
プロジェクション・マッピングで知られるアーティスト、
ルパート・ニューマンによるデジタル・アートワーク"The Spaces In-Between"だそうです。

駅前にこんな無料没入型アートスペースがあるなんて贅沢ですね!

ぼんやりと座って映像に浸っていたかったですが、
ホテルの部屋で早く荷解きしたい気持ちも強かったので、
ようやっとホテルでチェックインを済ませ、既に荷物が持ち込まれている客室へと向かいました。
早く部屋の準備をしてくれたけれど、結局普通のチェックインの時間になっちゃいました。

このブランドのホテルは東京でも泊まったことがあるのですが、東京の客室と比較すると小さめな印象。
外の眺めも外壁しか見えないので、共有スペースが豪華なだけにギャップにちょっとがっかり… 
でも洗面台は妙に広々しています。

この日はすぐそばの劇場で舞台を見る予定だったので、
3時間ほどの間に荷解きをし、一旦寝巻きに着替えてベッドに横になり、
疲れた体を少しの時間だけでも休めるように努めました。
(東京のホテルには高級なバスローブが置いてあったけれど、ロンドンにはないのでした…)

この日の夜に観る予定だった芝居はブロークバック・マウンテン
アン・リー監督による2005年公開の映画を舞台化した作品で、元はE・アニー・プルーの同名の短編小説が原作。
俳優でもあるアシュリー・ロビンソンが脚色しています。

上演されている@sohoplaceは以前の記事でも書いたように、2022年にオープンしたばかりの劇場。
キャパシティーは600席らしいですが、客席は1階のみで2階席は使ってないのか埋まっていないように見えました。

Brokeback Mountain | 2023 West End Trailer

1963年、季節労働者としてワイオミング州の山の中で19歳で出会った2人の青年の20年にわたる悲恋を描いた今作。
映画の方は2005年の公開当時に映画館で見ていますが、
その後はそれほど見直したりしていないはずなので、この物語に触れるの実に20年以上ぶり
正直細かい描写まではもう覚えていないけれど、
一度は見ているので、久しぶりのウエストエンドでの演劇鑑賞にはちょうどいいのではないか?と思っていました。

この芝居が発表された時に見なければ!と思ったのは、ルーカス・ヘッジズがエニス役で出演すると知ったからでした。
映画マンチェスター・バイ・ザ・シースリー・ビルボードでの彼の演技が印象に残っていたので、
公演時期に滞在することが決まっていた私は生で見なければ!とすぐさまチケットを予約。

しかし実際観てみると、ジャック役のマイク・ファイストの方に魅了されちゃいました。
スティーヴン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」で主人公トニーの親友リフ役を演じていたそうですが、
アンセル・エルゴートの未成年者性的暴行疑惑の件が引っかかって観ていなかったので、
こんなに印象的な俳優がいるとは知りませんでした。
後で彼目当てにWSS見ちゃうかも。

映画ではヒース・レジャーが演じたエニスは寡黙な雰囲気の青年ですが、
ルーカス・ヘッジズだとちょっと幼さが目立っていて、
エニスに比べてちょっと粗野で無邪気な雰囲気のジャックは
マイク・ファイストの若さでも違和感なく存在感が出ていました。

子犬のように戯れ合いながら、いつしか惹かれあう二人。
特に、初めてテントの中で体を重ねあうシーンは、
内側からの照明で重なり合う二人の影がテントの屋根に映し出されてシルエットだけなのに妙に官能的でした。

ただ、各媒体の劇評にも書かれていたのですが、
映画ではアップで捉えることの出来る2人の表情は舞台では把握しにくく、
私の席は円形舞台のちょうど花道のすぐ脇で、ベッドの置いてある位置から離れていたので、
劇場自体はそれほど広くないにも関わらず、かなり遠くに感じられました。

↑左はロビーに出ていたグッズの売店。右の記事はちょうど当日配られていたイブニング・スタンダードの記事

終盤に二人が衝突しあうシーンまでは、淡々と物語が過ぎていくので、
つまらないわけではないのですが、時差ぼけの私は睡魔との戦いになってしまった…
ただ、アルマ役のエミリー・フェアンが花道を通るたびに香水のいい香りがして、度々ハッと目が覚めました(苦笑)

舞台ではエディ・リーダーの歌によるカントリー風のバンド演奏が挿入されて、
二人の秘められた思いを演出するのですが、
これを「ジェイミー!」ダン・ギレスピー・セルズが作曲していることを後から知りました!
演出のジョナサン・バターレル演出も「ジェイミー!」の演出に関わってた人。
全然気づかなかったー! だって全然雰囲気違う舞台なんだもの。

 

ミュージカル「ジェイミー!」 Everybody's Talking About Jamie ウエストエンド版 - だから、ここに来た!

ロンドン留学中は節約のために観劇はなるべく控えめにしていたのですが、それでも2回見に行ってしまったミュージカルがあります。それが"Everybody'sTalkingAbou...

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正直「ジェイミー!」を観た時のような興奮は「ブロークバック・マウンテン」で感じることは出来なかったんですが、
カーテンコールでは満場のスタンディング・オベーション&拍手で盛況でした。
実はこの時、時差ボケだけでなく足首を痛めていてずっと気にしていたので、
ちょっと体調が万全ではなかったことも集中力を欠いていた原因かもしれない…。

↑開演前にフォイルズによって戯曲のチェック。でもここでは後で観劇予定の"The Motive and the Cue"だけ購入しました。

終演後、足を引き摺りながら、オックスフォードストリートのマクドナルドでダブルチーズバーガーのセットを買って、
留学時代を思い出しながら、ホテルの部屋で食しました。
日本と違ってロンドンのマックはセルフオーダー端末だし、相変わらず出来るまでの時間が速い!
ちょっと聞いた感じ侘しいけど、その分朝食は豪勢に食べる予定だったので…!

なかなか寝付けず、チャンネル4で施設から引き取られたわんちゃんのドキュメンタリーを見ながら就寝。

翌日に続く…

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チェルシー薬草園

2023-07-11 | 2023年、ロンドンの旅

前回の続き

■2023年6月4日■

既にチェックインの用意は完了しているとホテルから連絡がありましたが、
すぐに戻るのは勿体無いので、時差ボケと疲れでクタクタな中、
発電所近くで訪れたことのない場所ということで、チェルシー薬草園に行くことにしました。
花が見ごろの6月、薬草園でもたくさんの花が見られるはず…

道中、元バタシー発電所からチェルシー橋を渡り、川の向かい側にたどり着くと、角に目を惹く記念碑がありました。

1899年~1902年の南アフリカ戦争で命を捧げた竜騎兵のために1905年に作られたそう。

そのままテムズ川沿いに西に歩いていくと、
5月に王立園芸協会が主催するチェルシー・フラワー・ショーが行われることで知られる
ロイヤル・ホスピタル・チェルシーの南門が見えてきます。

現在敷地内は整備中みたい。
ここからさらに西に歩いていくと、チェルシー薬草園があるのですが、
川沿いには小さな門があるだけで、チケット売り場は見当たらない…
不安になりながら東側の塀をしばらく伝っていくと、北側に入口がありました!
入園料は大人が£12.50、5歳以下の子供は無料です。入口の奥には売店もあります。

入口の建物から庭に出るとすぐにカフェが。
受付でも案内があったのですが、一日に3回ほど、スタッフによるツアーも予定されているみたいです。

カフェのそばでは、さっそくラベンダーのような鮮やかな紫の花が目に留まりました。

サルビア ネモローサというシソ科の品種の、改良種として人気の‘カラドンナ’という花らしい。
蜂もあちこちで美味しそうに飛び回っています。

旅の疲れもあって、詳しく説明書きを読む余裕がなかったのですが、
撮影しておいた特徴的な花の名前を後から確認することが出来ました。

v

上の画像はハナビシソウ、別名カリフォルニアポピー。ケシ科ですが、一般での栽培も可能な花。
家紋になりそうな綺麗な形の花弁で、つぼみが帽子みたいな不思議なかたち!
薬草としては、鎮痛目的でつかわれていたそうです。

 

上の小さい白い花は、ニゲラ サティバ
この種がカレーのスパイスにも使われる、あのブラッククミン
死以外はなんでも治癒出来るといわれがあるそうで、まさに薬草園にふさわしい植物ですね。

 

上の小さいかわいい花は、ナツザキフクジュソウ(福寿草)
薬草として利用する場合は、強心や利尿作用の効果があるそうです。

 

ハンネマニア別名、カラクサゲシ、メキシカンチューリップポピー。これも植えてもいいケシ。

 

こちらは、ひなげし。もしくは、ポピーコクリコ虞美人草
薬草園にはケシ科のお花が多いですね。
麻薬のイメージが強いケシの花ですが、医療用として利用されていた歴史もあります。

 

上の2つは、ゴジアオイ。学名はシスタス
風邪薬やリウマチ薬として使われる他、香水などに利用されるらしい。
この花、正午頃に咲いて翌日にはしぼんでしまうらしく、実はこうやってみられたのは幸運だったのかもしれません。
しかも、日本ではみられないそう。
茎が揮発性の油を生成するので、30度以上の気温で自然発火してしまうとか!
そんな性質のためか、「私は明日死ぬだろう」という花言葉がついています。

 

ふさふさのこの花は、マメ科のトリフォリウム・ルーベンス。耐寒性の多年草。
ネット上で色々同じ花の画像を見比べてみたのですが、こんなに丈のある花はなかったので、
大事に育てられてスクスク育っているのでしょうねー。

こちらは、アメリカテマリシモツケ。主に北米に分布してるバラ科の花。
小さな白い花が集まってまさに鞠のように鮮やかで写真を撮るのも楽しいです♪

こちらはイングリッシュローズ
バラも鑑賞だけではなく、香水の原料としてやアロマセラピーに使用されますね。

ハゼリソウ。蜜蜂に大人気の蜜源植物。
この薬草園でも特に蜂が集まっている花壇でした。

名前の通り、しっぽのようなイブキトラノオ(左)。タデ科の多年草。
解毒、下痢止め、せき止め、抗菌などに使われていたそうです。

右は、赤と黄色のエキゾチックな雰囲気の花、ジャスティシア・リッジニー。ブラジル原産らしい。

花言葉が「清廉で高潔」「貧しくても高潔」のセリの花。
食べ物としてのイメージしかなかったけど、こんなきれいな花が咲くんですねー。

 

後は詳しい名前はわからない花… 右はカワラナデシコかな?

薬草園の一角にはドクロマークの付いた毒を持っている植物もけっこうあります。

 

このキョウチクトウも毒を持っている低木。
トリカブトも育てているそうなんですが、見当たらなかったなー。残念。

薬草園には温室もありました。

もちろんキューガーデンズやバービカンのような大きなものではなく、
小さいサンルームですが、近づいて目の高さを合わせると小さな森を歩いているような気分。
向かい側にはサボテンも並べられています。

薬草園の入口付近に戻ってくると、薬草園を設立したハンス・スローンの像が立っています。
ホットチョコレートを考案し、大英博物館や自然史博物館のコレクションを寄贈したことでも知られています。
チェルシーにあるスローン・スクエアという駅と広場の名前は彼にちなんだもの。

 

泉の前にも彼の胸像がありました。草に埋もれててちょっと怖い(笑)。
でも周りを美しくオーガナイズされた泉ですね!

 

入口近くには多肉植物の販売もしていたけれど、日本に持ち帰りは難しそうなので断念…

 

今までも旅先で色々な庭のお花を見てきましたが、薬草園は初めてだったので、とても興味深かったです。
見ている間はゆっくり解説を読むことが出来ませんでしたが、
普段は見られない花を色々見られて目の保養になりました。

帰りは留学中に行ったことのある国立陸軍博物館の前を通り、
行きに庭を垣間見たロイヤル・ホスピタル・チェルシーの前を通って
スローン・スクエア近くにあるサーチ・ギャラリーへ。

サーチ・ギャラリーも留学中に訪れたことがありますが、
近くに来たら立ち寄っておきたかったんですよね。

しかし体力的に限界で、結局さらっと見ただけで終わってしまいました。
もっと元気な時に来たかった…。

ホテルへはバスに乗って移動。
フォートナム&メイソンの外壁にクジャクの装飾があって思わずパシャリ。

 

続く…

 

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再開発後のバタシー発電所

2023-06-26 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月4日■

前回の続き

ホテルのチェックインまで時間が掛かるので、
その間に出来るだけロンドンの新しい場所や行ったことのない場所に行っておこうと移動することに。
まず、ようやっと再開発されてオープンした元バタシー発電所へ向かいます。
ちょうどホテルに近いトッテナムコートロードからノーザンラインで真っ直ぐ直通で行けて好都合!

終着駅がバタシーパワーステーション行きの電車を選び、目的地へ。
実は10年前にもここに来ているのですが、その時はバスで移動しました。
(ちなみにそれが私にとって初めてのロンドンバス乗車体験でした。)

 

バタシー発電所とクラッパム・コモン - だから、ここに来た!

滞在13日目。この日、初めてダブルデッカーに乗りました。Tubeは日本の地下鉄とほとんど変わりなかったのでなんの心配もなく使っていたのですが、バスは日本でもあまり使う...

goo blog

 

この時は周りになーんにもなくて、遠くから元発電所の建物の全体像を確認することが出来たんですよね。
この場所が今後どう活用されるかも定かではありませんでした。

その後、再開発のニュースが出てきて、発電所の建物は取り壊されるとか、遊園地の一部になるとか
色々な噂が飛び交っていて、一体どんな場所に変化するのか、期待と不安が入り混じったような気分でした。

 

【ロンドン史上最大の再開発】バタシー発電所再開発3期工事、ブイグUKが設計・施工/契約額は1850億円超

日刊建設工業新聞社編集部の公式ブログです。

 
 

ロンドンのバタシー不動産開発、高級マンションは最高50億円に

ロンドンで開発中の不動産物件「バ タシー・パワー・ステーション」では、高級マンションの価格が1戸当 たり最高3000万ポンド(約50億円)となる見通しだ。歴史的な建造物...

Bloomberg.com

 

↓は2018年に電車から見た景色。

そして、2022年10月14日についに商業施設がオープン。
現地情報サイトでも紹介されていたので、私も覗きに行ってみることにしました。

 

綺麗に改装された地下鉄の駅を出ると、
ついさっき買ったばかりの革ジャンに袖を通し、スカーフを首に巻いていても
ブルっと震えるくらいの風が吹く中、さっそく元発電所の頭の部分が見えました!
フェンス伝いに促されるまま狭い道を進んでいくと、建物の南玄関に到着。

当然ながら、こんなに間近にこの建物を見たのは初めてだ!!

南玄関の正面にはマレーシアスクエアというベンチのある広場(画像左)と、
エレクトリック・ブールバールという通路(画像右)があります。なぜかフランス語…設計会社がフランスだからかな。

広場では犬の散歩や学生さんっぽいグループが一休みしていました。
エレクトリック・ブールバール方向には現時点でZARAや韓国食材店のoseyoが入居しています。

発電所本館の南玄関2階から入るとこんな感じ。

おおー、洗練された最新ショッピングモールな雰囲気。
1階にはカルティエロレックスといった時計のお店が入っていますね。

この左側…つまり西側に廻ると3階部分まで吹き抜けになっていて
REISSラコステラルフローレンなど、有名ブランド店が並んでいます。

月曜の午前中なので人は少なめ。
天井を見上げると、発電所の名残が見られます。

西側の奥にはユニクロの店舗も。

ユニクロは唯一?1、2階にお店があります。
(後日、別のユニクロに行く予定だったので、この日は買い物しませんでした。)
西側には1階にApple Storeもオープン予定みたいです。

今後は東側の1階の店舗。ナイキの反対側にアディダスがある!

さらに上の階までは行きませんでしたが、3階にはラグジュアリーな映画館もあります。

ユニクロのちょうど反対側にはブックショップ。

所々に個性的なオブジェもあって目を引きます。

トイレの中も元発電所っぽい剥き出しの鉄筋が残されている。

発電所の煙突の上の方まで上ってロンドンの風景が見られる「The Lift 109」というアトラクションがあるそうなんですが、
今回はそこまでする元気もなかったので体験しませんでした。
興味のある方はぜひ私の代わりに体験してきてください。

ロンドンの新展望アトラクション Battersea Power Station Lift 109

以前、煙突部分を取り壊しているように見えたのは、このLift 109のための工事だったんだなー。

この日は月曜の午前中に行ったので人も少なかったし、
ショッピング・モールとして開業したとはいえ、店舗の入居状況を見るとまだまだオープン前の場所も多く、
現状は「未完成」のような印象を受けました。
南側もまだ工事中の土地がありそうだし。

これから2階のフードコートもオープンしたらもっと活気が出てきそう。

…そんなわけで、今はまだフードホールは利用できないため、
はじめにたどり着いた南側の入り口に戻って、
エレクトリック・ブールバールにあるファストフード店LEONでランチを食べることにしました。

ファストフードといっても地中海料理をヒントにした健康志向なメニューで、
無性に米や豆が入ったスパイシーなものが食べたくなったときなど、留学中はずいぶんLEONにお世話になったものです。

この日はカリビアン・チキンカレーとサイド&ドリンクセットをオーダー。

留学中はレジでの注文でしたが、今はマクドナルドのようにセルフオーダー端末が出来ていて、
そこから頼んでみたのですが、いつまで経ってもカウンターから名前を呼ばれず、
結局「あそこから注文したんですけど、届いてますか?」と訊くことに。
うまく受信出来ていなかったらしく、メニューは確認出来たみたいで、他の人に遅れてやっと受け取れました。

ランチを食べながら店のWiFiでスマホをチェックをしたところ、
ホテルからチェックインの準備が出来たとメールが。早い!
平のホテル会員でもこんなに早くアーリーチェックイン対応してもらえるのかー!と感心しましたが、
すぐにホテルに戻るのはとっても勿体無いので、引き続きロンドン散歩を続けることにしました。

食事の後は、サーカスロードウエストという外側の道を通って建物の北側へ。

ガラス張りの建物はサーカスウエストヴィレッジ
1階はショップやレストラン、オフィスが入ってますが、上階は多分住居。
ロンドンの新しい住居はこんなバルコニー部分がガラスで丸見えになっているデザインのフラットが多いですよね。
眺めていると、デスクを置いている人もいればトレッドミルを置いている人、
子供用の遊具を置いていたり、ただの物置状態で荷物を積み上げている人もいて、
人それぞれの暮らしぶりがわかって面白いです。
日本にもあったら面白いだろうけど、安全上難しいか…

サーカスロードウエストを抜けると、北側のエントランスに出ます。

このお姿、まさにバタシー発電所って感じ。
こちらはテムズ川に面していることもあり、もっと広い広場と公園部分があり、
屋外バーが出ていますが、やはり時間帯もあって人はまばら。

地下鉄の駅のある南側より眺めがずっと開けているので気持ちいい。
休日はサウスバンクのように人で賑わっているんでしょうねー。

私はこのまま、チェルシー橋方面へ歩いていきます。

途中に鉄道橋があるのですが、その下にスポーツジムがあって、
「ほう、こんなところにジムがあるなんて面白い」などと思っていたら、
その並びにバタシー発電所に関する歴史の展示スペースがありました!

つい今さっき見てきたショッピングモールの模型が展示されています。
俯瞰で見ると、歩いてきたところがわかりやすい!

 発電所として使われていた頃の模型も展示されています。

1920年代にこの発電所の建設の話が持ち上がった時には目障りになると反対にあったそうですが、
美しい建物にするため、赤い電話ボックスをデザインしたことで知られる建築家ジャイルズ・ギルバート・スコットに依頼。
(現在のテートモダンがあるバンクサイド発電所やリヴァプール大聖堂も彼によるものです。)
東側と西側の2つのパートに分けて順番に建築されたことが紹介されています。

鉄道橋を潜って西に向かうと、チェルシー橋が見えてきます。

橋を渡るために川沿いから階段をのぼると、立派な門が見えてきました。バタシーパークの入り口です。

中にアスレチックや動物園もあるクラッパムコモンくらい広い公園ですが、
もうホテルのチェックインが出来るという意識に引きずられて、
また時差ぼけもあり、入口の風景だけで満足して、次の目的地に向かいました。

続く…

 

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9度目の渡英〜初めてのエリザベスライン

2023-06-12 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月4日■

およそ4年ぶりのロンドン旅行。
数日前からグアムに大きな被害をもたらした台風マーワーが本州に近づいていて、
雨雲レーダーを確認しながら気が気じゃない毎日を過ごしていました。
これまで天候の影響で欠航が危ぶまれた経験がなかったので、
念の為旅行会社へ欠航の場合の対処なども確認。

しかし、なんとか出発の日の前日には温帯低気圧に変わってくれて、
良い天気の中、空港に向かうことが出来ました。

今回は直行便ではなく香港経由の乗り継ぎ便を利用するため、
夕方に羽田を出発して、翌日の早朝にヒースローへ到着する予定。
実は元々は早朝出発の夜到着のはずだったのですが変更があり、
仕方なくこの日程で出発することになったのでした。

この日、セキュリティが1つしか開いていないためか、妙に混雑していました。
自動窓口でタグを発行し、荷物のチェックインを済ませた後、両替所で円をポンドに替えて慌てて列へ。
でも並び始めてからどうやら顔認証登録していればファストパスのように短縮された列に並ぶことが出来たらしく、
気づいた時には列が進んでいたために戻ることも出来なかった。
もっとわかりやすく告知してくれていればね…

まずはキャセイ・パシフィックで香港までおよそ4時間半の旅。
初めてロンドンに行った時には北京経由で行ったけれど、香港は初めて。

この便は空いていて、隣のカップルが他の席に移動してくれたおかげで、
3席の列を一人でゆったり過ごせました。

仕事の同僚からキャセイ・パシフィックは機内食が美味しいと聞いていたので、
機内食チェックは、旅の始まりの最初の楽しみでした。

まずはピーナッツと飲み物(デジカメ使うの久しぶりなのでブレブレで失礼)。

香港までの機内食はビーフを選択。なんとすき焼き風!
サイドはハムとコーンのサラダ、アイスはハーゲンダッツ
いつもはカチカチであまり食べる気がしないパンも美味しくいただけました。
フォークやナイフがプラスチックじゃないのは珍しい。

そしてまだ明るいうちに香港に到着。

乗り継ぎ時間は余裕がありましたが、初めての空港なので早めに再度のセキュリティチェックを済ませ、
ゲートが決まるまではベンチでネットの情報を見ていました。

ところが出発時間が30分ほど遅れるとアナウンスが
羽田から香港が遅れるなら焦ってしまうけど、早朝に到着予定のロンドン行きが遅れるのは私に取っては好都合。

飛行機に乗り込むと、今度は男性二人が同じ列で、
間に入るように私の席だったので、通路側の男性に席を替わってもらいました。
(帰りも同じようなことが起こったんだけど、どういう席の振り方されてるんだろうな…)

ロンドンまでの1回目の機内食はトマトパスタでサイドはツナとポテトのサラダ
そしてこのョコアイスが美味しかったー!! アイスというよりムースみたいな食感!

2回目(朝食)は鶏の焼きそばフルーツ
香港の航空会社ということもあって中華も美味しい。

この飛行機では前に乗っていた女性がシートを勢いよく倒してきて不快でした…
ちょっとずつ倒してくるならともかく、ガッターン!って感じで、
どんな人間なんだ?ってついマジマジと覗いてしまった。
自分が席を起こしている状態だと膝が前の椅子にくっついてしまう状態。
膝に問題を抱えている私にとっては最悪この上ない。
私も席を倒せばいいだけの話だけど、私自身はまだ照明の明るい時間に倒し切りたくないし…
この時の経験が帰りの飛行機で席を選ぶ際の学びになりましたね。

狭苦しい思いをしながら12時間以上かけてようやくロンドンに到着。

入国審査は顔認証、スタンプなしでスムースに通過。
この時ばかりは最強パスポートのありがたみを感じる。

さて、地下鉄の駅でオイスターカードにトップアップ(チャージ)をして(10年以上に買ったカードだけどまだ使える!
ホテルまでは2022年に開通したエリザベスラインで移動!初体験だ!
どうやらヒースローエキスプレスと同じホームを利用しているみたいです。

新しい路線だから車両も新品!
ボックス席もあるし、ピカデリーラインのように、座る部分を倒せるタイプの座席も。
そしてヒースローからエリザベスラインで真っ直ぐトッテナムコートロード駅へと向かいます。

駅を出るとすぐ目の前にこの日観劇する予定の@sohoplaceが!
こちらも2022年に新しく出来たばかりの劇場です。留学時代はこの辺はまだ工事中だったんだよなー。

いつもは人でごった返しているオックスフォード・ストリートでも、月曜の朝7時半は人もまばら。
ひんやりとした空気の中、この日の宿泊先に向かいます。
長旅の目が醒めるようなゴージャスなホテルです!

今まではホステルやAirBnBを利用していましたが、今回の旅は仕事の関係もあってホテルを利用。
観劇とはまた別の、もう一つの旅の目的でもあります。
ここはオックスフォード・ストリートにすぐ出られるし、
南に向かえばソーホーを通ってレスタースクエアにも出られて最高の立地。

チェックインにはまだ早い時間なので、荷物だけでも預けようとフロントに相談。
乗り継ぎ便でやっと辿り着いたと話すと、
長旅で疲れているだろうから部屋の準備が出来次第ショートメールで連絡してくれるとのこと。
ありがたい! さすが高級ホテル!
でも考えてみたら今回の旅ではモバイル通信をなるべく使わない予定だったので、
電話番号ではなくメールアドレスで連絡してもらうようお願いしておきました。

チェックインの連絡が来るまで、ロンTとパーカーだとちょっと冷えるので、
今後のためにまず防寒のための買い物へ。

ほとんど10時オープンの店が多い中、マップをチェックすると
留学中にもだいぶお世話になったアウトレットの店、TKmaxxが9時からオープンしている!
渡英したらまた行きたいと思ってたし、ちょうどいいタイミング!

ここで革ジャンスカーフを選びました。
留学中にもマーケットで中古の革ジャンを買ったのですが、
帰国する頃にはボロボロになってしまったので、まだロンドンで革ジャンが買いたかったのです。
そして初めて英国にきた時に動物柄のスカーフを買ったのを思い出して、初心を思い出す意味も込めて購入。
あの頃はタグを切ってもらうお願いをするにも辞書で調べてから訊いていたものです。

チャールズ3世の戴冠式が5月に行われたばかりで道にはユニオンフラッグが掲げられています。
とてもロンドンらしい景色だけど、まだまだ実感が湧かず。

買い物の後は、再開発された元バタシー発電所へと向かいます。

 

続く…

 

 

 

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