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SHERLOCK「The Great Game」~燃えてきたぜ!の巻。【ネタバレ】

2011-10-27 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
引き続き、「SHERLOCK」の振り返りです。
ちょっと体調悪かったりで更新遅れてます。

爆弾付きジャケットを着せられた市民を解放させるため、
制限時間内にモリアーティが仕掛けた犯罪の解決に挑む現代のシャーロック。

第一のテストは、モリアーティが221Bに置いたと思われるスニーカー。
これはシャーロックが初めて手がけた事件の被害者、
カール・パワーズが所有していたものでした。

第二のテストは放置車両。
レストレード警部が確認すると、車両はレンタカーで、
借り主が銀行員のモンクフォード氏であることが分かります。
レンタカーのシートはモンクフォード氏の血で汚されて、本人は行方不明。
そこで、シャーロックとジョンは奥さんに事情を聞こうとするわけですが。


Sherlock
Mrs. Monkford.
奥様ですか?
Mrs. Monkford
Yes. Sorry, but I’ve already spoken with two policemen.
ええ、話なら他のお二人に…
John
We’re not from the police, we’re…
僕らは警察じゃありません。
Sherlock
Sherlock Holmes. Very old friend of your husband’s.
シャーロック・ホームズです。ご主人とは友達で…
We, um…We grew up together.
一緒に…育った仲です。



Mrs. Monkford
I’m sorry. Who? I don’t think he ever mentioned you.
どちらさま? 初めて聞くお名前ですが…
Sherlock
Oh, he must have done. This is…This is horrible.
いや、聞いてるはずです。
I mean, I just can’t believe it. I only saw him the other day.
信じられません。ついこの間もイアンにあったけど、
Same old Ian. Not a care in the world.
相変わらず何の心配事もないって感じで…(涙)



Mrs. Monkford
Sorry…My husband has been depressed for months. Who are you?
まさか。主人はここ数ヶ月鬱だったんですよ? あなた誰?
Sherlock
Really strange that he hired a car.
車を借りるなんておかしいな。
Why would he do that? It’s a bit suspicious, isn’t it?
なんで借りたんだろう、変です。
Mrs. Monkford
No, it isn’t.
いいえ、ちっとも。
He forgot to renew the tax on the car, that’s all.
車の税金を払い忘れたからです。
Sherlock
Ah, well! That was Ian. That was Ian all over.
ああそうか、イアンらしい。イアンはいつもそうだった!
Mrs. Monkford
No, it wasn’t.
そんなことなかった!
Sherlock
Wasn’t it? Interesting.
そうですか。面白い。



Mrs. Monkford
Who was I taking to?
(警官に)あの人誰?
John
Why did you lie to her?
何で嘘を?
Sherlock
People don’t like telling you things.
事実を引き出すには反論させるのがいい。




シャーロック、女優もビックリの嘘泣きをご披露。
第二話「The Blind Banker」でも住民のフリして
階上の人にインターホン越しで「鍵を忘れちゃって…」なんていいながら不法侵入してましたが、
“普通の人”のように振る舞うシャーロックが見られる貴重な場面ですよねw
美しい涙ですが、その後の「そうですか、面白い」の真顔が…(((;゜Д゜)))
シャーロックが本気で泣くことってあるんでしょうか…。

それはさておき。
シャーロック・ホームズは推理力だけでなく、情報を引き出す会話術にも長けてますよね。

「事実を引き出すには反論させるのがいい」
という台詞から、聖典で思い出すのは、
「四つの署名」で、犯人が乗っている蒸気船の行方を探るため、
持ち主モーディカイ・スミスの奥さんに
「なんて名前でしたっけ?」
「オーロラ号です」
「そうだ!古い緑と黄の幅の太い線のある船?」
「いいえ、塗り立てでスマートな黒に赤の二本線ですよ」
と、船の特徴をさも知っているかのように聞き出していたのを思い出します。

手法は異なりますが、「青い紅玉」を飲み込んだガチョウの売り主情報を得るために、
コベントガーデンの商人ブレッキンリッジの店を訪問したホームズが、
彼が持っていた競馬新聞(「ピンク・アン」)を見て、
ガチョウが都会育ちなんて信じられない、田舎育ちである方に1ソブリン賭ける、と持ちかけ、
仕入れ先の帳簿を持ってこさせることに成功したことも。

わざと間違った発言をして不快になった相手に訂正させたり、
興味のある話題を振っていつのまにか積極的に情報を開示させるようにしむけたり、
名探偵は嘘泣きだけでなく、結論を引き出す話術も身につけておかないといけないようです。


この場面でのシャーロックは、妻との会話の中で、モンクフォードを過去の人としてあえて過去形で話し、
遺体がまだ発見されていないにも関わらず、妻もつられて過去形で語っていることから、
妻が嘘をついていることを見抜きます。

そしてレンタカー屋のヤヌス・カーズ(ヤヌス=2つの顔を持つ神様)
金銭的トラブルを抱えたモンクフォード氏をコロンビアに逃がし、
彼の生命保険を妻とヤヌス・カーズの店長が山分けするだろうという結論に達したのでした。


Sherlock
Now, go and arrest them, Inspector, that’s what you do best.
やつらの逮捕は君に任せる。
We need to let our friendly bomber know that the case is solved.
僕らは爆弾魔に謎を解いたことを知らせないと。
I AM ON FIRE!
燃えてきたぜ!





この台詞! やる気満々の後ろ姿! 
聞いているこっちまで燃えてきたのは言うまでもありませんっ!

冒頭の退屈さ加減から一転、
畳み掛けるように難題を突きつけて来る爆弾魔。
2人はつかの間のランチタイムをとりますが、そこにも新たに挑戦状が届きます。


John
To be honest, we’ve hardly stopped for breath since this thing started.
今回の事件は一息つく暇もない。
Has it occurred to you…?
もしかしたら…
Sherlock
Probably.
おそらくな。
John
No, has it occurred to you that the bomber’s playing a game with you?
聞けよ。爆弾魔は君とゲームをしているのかも。
The envelope, breaking into the other flat, the dead kid’s shoes... it’s all meant for you.
封筒も、下宿の地下室も靴も、全部君に向けたものだ。
Sherlock
Yes, I know.
分かってる。
John
Is it him, then? Moriarty?
じゃああいつか、モリアーティか?
Sherlock
Perhaps.
たぶんね。
(New message)
(新しいメッセージを受信する)

That could be any body.
誰だこれは。
John
Well, it could be, yeah.
知らないかぁー。
Lucky for you, I’ve been more than a little unemployed.
僕がしばらく失業しててよかったな。
Sherlock
What do you mean?
どういう意味?
John
Lucky for you, Mrs. Hudson and I watch far too much telly.
ハドソンさんとテレビをよく見ててよかったよ。




第三のテストは、視聴者変身番組の司会者、コニー・プリンス
日本でもこういう番組ありましたよねー。
同じような人って誰だろう…今現在だと辛うじてドン小西とかそこらへん?
いかにもワイドショーが重宝しそうな人ですね。
それにしてもハドソンさんにつき合って変身番組見てるジョン、かわいいなw

コニーの死は、熱狂的な?視聴者であるハドソンさんにとってもショックな事件だったようです。


Mrs. Hudson
It's a real shame. I liked her.
残念だわ、ファンだったのに。
She taught you how to do your colors.
色のアドバイスがいいのよ。
Lestrade
Colors?
色って?

Mrs. Hudson
You know, what goes best with what.
何色と何色が合うとか。
I should never wear cerise, apparently. Drains me.
私はさくらんぼ色着ちゃダメなの。老けて見える。
Lestrade
Who’s that?
(シャーロックに)誰から?
Sherlock
Home Office.
内務省
Lestrade
Home Office?
内務省?
Sherlock
Well, Home Secretary, actually. Owes me a favour.
ああ、内務大臣だ。貸しがあってね。

Mrs. Hudson
A pretty girl, but she messed about with herself too much.
キレイな人だったけど、整形しすぎよね。
They all do these days. People can hardly move their faces. It’s silly, isn’t it?
最近の人はみんなやるけど、顔が動かせなくなっちゃうなんてバカみたいじゃない?
フフフ…!



この会話、妙に好きなんです。
警部がハドソンさんの世間話につき合ってるのが微笑ましくて。
英国の内務省は「Home Office」って言うんですね。
(ちなみに米国は「the Department of Interior」)

「(He) Owes me a favour」は「貸しがある」。
第一話でもハドソンさんとの出会いをジョンに説明するとき、
シャーロックは「She owes me a favour」と言っています。
内務大臣には一体どんな貸しがあるというのでしょうか…。


さて、モルグで語られるコニーの死因ですが、

Sherlock
According to one of her staff, Raoul de Santos,
スタッフのラウルによれば、
she cut her hand on a rusty nail in the garden.
コニーは庭で錆び付いた釘で手を切った。
Nasty wound. Tetanus bacteria enters the bloodstream, good night, Vienna.
その傷口から破傷風菌が体内に入って、「グッドナイト・ウィーン」


この「グッドナイト・ウィーン」は、リンゴ・スターのアルバムのタイトルで、
リバプールの俗語ではずらかる、という意味があるみたいですね。(wiki情報w)
ここだけ原語のままで吹替ているのが意外です。
ウェストウッドのようにブランド名ではないから、そのまま吹替出来たってだけかもしれませんが。

コニーの傷が新しく、破傷風菌の潜伏期間と一致しないことから、
菌が入ったのは手を切る前の事であったと分かり、
実際はどこから菌が入ったのかを突き止めるため、ジョンがコニーの身辺調査にあたることに。
ジョンはすっかり相棒の役割を率先してこなしてますねー。

薄々モリアーティの影に気付いている2人の一方で、
爆弾魔の正体がまったく掴めないレストレード警部は
苛立ちをシャーロックにぶつけます。

Lestrade
There's something else that we haven't thought of.
他にも分からないことがある。
Sherlock
Is there?
あるか?
Lestrade
Yes. Why is he doing this, the bomber?
あるよ。爆弾魔は何故こんなことを…
If this woman's death was suspicious why point it out?
何故コニーの死が怪しいことを伝えてきた?
Sherlock
Good Samaritan.
いい人だから?
Lestrade
Who press-gangs suicide bombers?
市民に爆弾を巻いてるのは誰だ?
Sherlock
Bad Samaritan.
悪い人かな。
Lestrade
I’m serious, Sherlock.
おい、茶化すなシャーロック!
Listen, I’m cutting you slack here, I’m trusting you,
いいか、私は君を信じてるが、
but out there somewhere some poor bastard’s covered in Semtex and just waiting for you to solve the puzzle.
今もどこかで誰かが、体に爆弾を巻かれて君が謎を解くのを待っているんだ。
So, just tell me. What are we dealing with?
だから教えろ。これはどういう事件だ?
Sherlock
Something new.
…今までにない事件。




「いい人」「悪い人」の部分を、シャーロックは
「good Samaritan」「bad Samaritan」と言っています。
聖書には詳しくないのですが、good Samaritanはイエス・キリストの「善きサマリア人」の説法に基づいているんですね。
キリスト教に馴染みのない者にとってはちょっと難しいです。

 エルサレムからエリコという町に向かう途中だった人物が、
 追いはぎに遭い、身ぐるみ剥がされ暴行されたまま放置されてしまう。
 最初に通りかかった祭司は、その人を見て道の向こう側に歩き去り、
 その次に通りかかったレビ人も、同じように歩き去ってしまった。
 しかし、あるサマリア人はその人を気の毒に思い、
 油と葡萄酒で介抱をした上で自分のロバに乗せて宿屋に連れていって休ませ、
 翌日には宿主に銀貨2枚を渡し、言った。
 「この人を介抱してあげてください。足りなければ、帰りがけに払います」


エルサレム人とサマリア人は犬猿の仲であったにも関わらず、
このサマリア人は当時では貴重な油と葡萄酒で被害者を癒し、
高価な銀貨2枚まで差し出して救おうとしたわけです。
そして最後にイエス・キリストは質問を投げかけます。
「誰がこの追いはぎに遭ったものの隣人となったか?」

ここから発展する「善きサマリア人の法」、
“窮地の人を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、
たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない”

という内容については、もうちょっと勉強が必要です…。

ようするに、殺人事件とは誰も気付かなかったコニー事件の真相を知らせてきた「良い爆弾魔」と、
それをネタに市民に爆弾を巻き付けている「悪い爆弾魔」。
コニー・プリンス事件の謎を解くヒントを与えているのだから、
誰に爆弾を巻いてシャーロックを急かそうが、罪はない、とでも言いたげな
モリアーティのことを皮肉っているようにも思えます。

そして、探偵と犯罪者という敵対する立場でありながら、
犯罪がなければ退屈してしまうという似た者同士の2人が、
“隣人”であることも暗に示しているような気がします。



一方、ジョンはコニーの弟ケニーの元に雑誌記者と偽って潜入。
コニーの愛猫セクメトに目を付けたジョンは、シャーロックをカメラマンのフリをさせて呼び寄せます。
バタバタな偽取材と撮影の様子を見て、弟ケニーが一言、

Mr. Prince
You’re like Laurel and bloody Hardy, you two! What’s going on?
君らはお笑いコンビか? なんなんだ?


お笑いコンビって!
海外のドラマでお笑いコンビって言われると違和感ありますねw
コメディアンって言い方ではないんだ?
と思ってたら、原語ではローレル&ハーディになってました。

日本ではアボット&コステロは凸凹コンビ、マーティン&ルイスは底抜けコンビ
ローレル&ハーディは極楽コンビと呼ばれてましたね。(ローレルは英国人。)
チビデブコンビの元祖的な二人。底抜けコンビより好きですw 久々に映画見てみたいな…。

見た目だけならシャーロック&ジョンはデブチビではないですけど。
でも、結構いけるかもしれない、高機能社会不適合者コンビ!
爆笑問題とか見てると、ちょっとシャーロックとジョンのことを思い出すことがあるんですよね…
こう、太田さんが田中さんをボロクソに扱き下ろすけど、実はキレた田中さんが一番怖いところとかw
不動産屋のコントとか、時事ネタ漫才とか、いかがですか?w
関係ない話で不快に思われましたら、申し訳ない…(^_^;


薄味ですが、今日はここまで…無念。
次回は、ヒーローに祭り上げるな!の巻です。
これは好きな場面がたくさんまとめられそう…。
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SHERLOCK「The Great Game」~IT課のジムくん、の巻。【ネタバレ】

2011-10-12 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
シャーロック・ホームズというと、女には目もくれないイメージがあります。
「SHERLOCK」の中でも「仕事と結婚している」と言い切ってますし。
(これはゲイではないと主張するためのコメントでもありましたが;)

例えば、「ボヘミアの醜聞」で、接触しながらも逃げられてしまったアイリーン(イレーネ)・アドラーのことを
ホームズは「あのひとと呼び、彼女の写真を報酬として受け取っています。
そんな経緯からロバート・ダウニーJrの映画では、アドラーをまるで峰不二子のような、
ホームズを惑わす存在のように描いていたり、
アドラーがホームズにとっての理想の女性なんだ、と解釈する人もいるようですが、
私はあくまで、事件解決に失敗した自分への戒めのために彼女の写真を持ち、
浅はかな女共の中にも侮れない人物がいるのだ、と忘れない意味で「あのひとと呼んでいるのだと解釈しています。

現代のホームズも情緒に流される愚かな人間、
とりわけ恋愛に夢中になるなど、愚の骨頂のように思っているんじゃないかなあ…。そうに違いない。


そんなシャーロック・ホームズに好意を寄せる女性が、モリー・フーパー嬢です。
聖バーソロミュー病院の病理学者で、「glee」と猫を愛する彼女が、
シャーロックの前では髪型を変えてみたり、普段は付けない口紅を塗ったり、コーヒーを飲みに誘ったり、
彼女なりのアピールをしています。

彼女の気持ちを知ってか知らずか…いや、知ってるんでしょうけど、
その好意を利用して彼女の管理するモルグの遺体を、観察したり鞭で打ったりするシャーロック。
(もしかしたら221Bの冷蔵庫に入っていた生首もモリーの協力なのだろうか…)

そしてモリーは彼への好意を断ち切るためか、ついに新しい恋に走ります!


221Bの地下室に置かれていたスニーカーの、靴底に残された花粉を分析中のシャーロック。
その様子を伺いにきたモリーを追って、彼女の彼氏がラボを覗きこむわけですが…

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Jim from IT
Oh, sorry.
ああ、ごめん、お邪魔かな。



Molly
jim, hi! come in!
ジム、いいえ!さあ、入って!
Jim, this is Sherlock Holmes.
ジム、こちらシャーロック・ホームズ。
Jim from IT
Ah!
ああ!



Molly
And um...
それから… こちら…
John
John Watson, hi.
ジョン・ワトソンです。
Jim from IT
Hi. So you're Sherlock Holmes.
どうも。君がホームズか。
Molly's told me all about you.
モリーから聞いてるよ。
Are you on one of your cases?
また事件の調査?
Molly
Jim works in IT upstairs. That's how we met. Office romance.
ジムはうちの病院のIT部門で働いてるの。職場恋愛。
Sherlock
Gay.
ゲイ。



Molly
Sorry, what?
なんですって?
Sherlock
Nothing. Hey.
いやあ、別に。Hey.
Jim from IT
Hi.
Hi



(upending a dish) Sorry! Sorry!
(トレイをひっくり返す) う、ごめん!ごめん!
Well I better be off.
…じゃあ僕はこれで。
I'll see you at the Fox. About six-ish?

後でフォックスで会おう。6時頃は?
Molly
Yeah.
ええ。
Jim from IT
Bye. It was nice to meet you.
じゃあ。会えてよかった。



Sherlock
...
...
John
You too.
…こちらこそ。

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嗚呼、これがまさかモリアーティだとは!
私は愚かにも気付きませんでした…恥ずかしい。
(彼はこの別れ際でクライマックスのプールと同じ「Well I better be off. 」という言い回しを使っています。)

というのも、この場面でのジムの登場は、シャーロックとの面会という目的があった一方で、
モリーにとっても必要な面会だったからです。
つまり、自分を相手にしない男(シャーロック)につき合っている相手(ジム)を紹介して気を引こうという意図が見えるからです。
(…そう思っているのは私だけかもしれませんが。)

普通、職場恋愛なんてそんなに開けっぴろげにしたがらないものだと思いますが、
(それともそれって日本だけ?)
モリーは訊いてもいないのにわざわざ「職場恋愛!」と堂々と伝えています。
それまでの彼女のささやかなモーションを思えば、
「私たちつき合ってるの!」アピールが、シャーロックの気を引くためと考えてもおかしくありません。

しかし悲しいかな、シャーロックは妬くどころか彼氏をゲイ呼ばわり。
モリーとしては計算が違う上に、思わぬ衝撃の事実?ですよね。

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Molly
What do you mean gay? We're together.
つき合ってるのに、ゲイなんて。



Sherlock
And domestic bliss must suit you, Molly.
君は家庭を持つのが合ってるんだ。
You've put on three pounds since I last saw you.
体重も1.5キロ増えたし。
Molly
Two and a half.
1キロよ。
Sherlock
Mm. Three.
1.5。
John
Sherlock...
シャーロック!
Molly
He's not gay! Why'd you have to spoil...? He's not.
彼はゲイじゃない。何で意地悪を? ひどい。
Sherlock
With that level of personal grooming?
見た感じ、ゲイにしか思えん。
John
Because he puts a bit of product in his hair?
整髪料を付けてるからか?
I put product in my hair.
僕だって付けてるぞ。
Sherlock
You wash your hair. There's a difference.
君は髪を洗うから別だ。
No, no. Tinted eyelashes. Clear signs of taurine cream around the frown lines,
彼は眉を描いて、皺取りクリームを塗ってる。



those tired clubber's eyes. Then there's his underwear.
目もクラブ通いで疲れている。それにあの下着。



Molly
His underwear?
下着が何?
Sherlock
Visible above the waistline. Very visible. Very particular brand.
ウエストの上にかなりはみ出させているし、いかにもなブランドだ。
That plus the extremely suggestive fact that he just left his number under this dish here
しかもトレイの下に、自分の電話番号を書いたメモを置いていった。
and I'd say you better break it off now and save yourself the pain.
さっさと別れた方が、泣かずに済む。



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酷すぎるw
体重の「three pounds」「two and a half」ってやりとりは、
「ボヘミアの醜聞」の冒頭でもワトスンに対して使われていましたね。
ワトスンに、君は結婚は向いているようだ、前に会った時から「seven and a half pounds」太ったみたいだし、
と言って、ワトスンは「Seven!」と訂正しています。
モリーもジムとの交際で幸せ太りしてたんでしょうか…。


聖典の「第二の汚み」的に言うなら、「女性担当」のジョンもさすがに皮肉まじりに苦言を呈します。

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John
Charming. Well done.
優しいね。
Sherlock
Just saving her time. Isn't that kinder?
はっきり言った方が、親切だろ?
John
Kinder? No. No, Sherlock. That wasn't kind.
いや、今のは言えないだろう、親切とは。



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よりにもよって、英国一のコンサルタント探偵英国一の犯罪コンサルタント両方に想いを寄せてしまうとは。
モリーが本当に気の毒w
聖典のホームズは、情報を得るために恐喝王ミルバートンのメイドと婚約(「犯人は二人」)していましたが、
ジムがモリーとどんなデートをしていたのかも、気になります。
そもそもどこで口説きのテクニックを得たんですか?
私も試しに口説かれてみたい(笑)!

モリーにとっては有り難迷惑ですが、シャーロックはここでも鋭い推理力を発揮しています。
ジョンとの出会いの場面と同様、着ているものや身体的特徴でパーソナリティを分析するのは
シャーロックの十八番と言ってもいいですよね。

このシーンは、仮に、モリーの彼氏がジムでなかったとしても、
シャーロックの推理と、女性に対する態度を説明する場面として重要です。
そんな場面に、何気なく最強の敵を登場させてしまっているところに、この脚本のすごさを感じます。


それにしても、ジムは何のためにゲイのフリなんてしていたんだろう?
今までモリーとデートする時にも眉描いてタウリン・クリーム塗ってたんでしょうか。
わざわざクラブ通いして目を充血させてたりして…。
別に、電話番号置いて行かなくても、ネット上でやりとりしてるわけだし。

プールでも語ってましたが、これもゲームの一環だったってことですね。
シャーロックと接触するためだけに、モリーの彼氏になり、ゲイにもなる。
それほどまでに僕は君を意識している、というメッセージ。
ポンドでは換算出来ない、彼なりの気味の悪い茶目っ気を発揮したんでしょう。

あとは、シャーロックと接触した後にモリーと別れやすくするためかな。
こてこてのゲイルックに身を包んでシャーロックの前に現れ、
彼にゲイであることを見抜かせ、モリーにショックを与えるため。

でもモリー、連絡が取れなくなったジムに対してブログで
「あなたがゲイであろうと気にしてないわ」ってメッセージ残してるんですよね。
モリー(T_T)

シャーロックに近づくために身分を偽ってモリーに言いよったジムと、
ジムがゲイだと言い切ったシャーロック…どっちが罪が重いだろう?

仕事の為ならいくらでも嘘をつく、彼らのような人種にとっては、
正直な自分の見解を明かすこと自体が優しさなのかもしれませんね…。



シャーロックの小芝居と変装については、また追々。


次回は、燃えてきたぜ!の巻です。
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SHERLOCK「The Great Game」~お兄様再登場、の巻。【ネタバレ】

2011-10-07 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
マイペースなこのブログ…
決してトリビアを網羅したり完璧な解説をするわけではありません。
もはや、感想とメモ書き。
まあ、DVDも再放送もまだリリースされていないことですし、
シーズン2が日本に上陸するまで、のんびり振り返ろうではないですか。



ブログの件でシャーロックと口論になったジョンはサラの部屋で一泊…
したけど、一緒に寝たわけではなく、リビングのソファで眠ったらしい。

Sarah
Maybe next time I'll let you keep at the end of my bed, you know?
次はベッドの端っこで寝かせてあげてもいいけど?
John
What about the time after that?
それでその後は?


第二話「The Blind Banker」で相当危険な目に遭ったにも関わらず、
ジョンを泊めてあげて、しかもまだ望みがありそうな発言をするサラってどんだけタフなんだw
でも第二話の事件の後にジョンが肩を抱いて家まで送ってあげていたみたいだから、
そこでさらに仲良くなったのかも…?
でも朝食は自分で作って、ってところは割り切ってるなー。

聖典のワトスンは「四つの署名」の依頼人メアリー・モースタン嬢と結婚しますが、
現代版ジョンの恋の行方も気になります。
でも友達に「カサノバ」と呼ばれるほどのジョンですから、 (ジョンのブログ参照。)
失恋しても立ち直りが早そうな気がしないでもない…。



サラの部屋でベーカー街での爆発事故のニュースを知ったジョンは、
さすがに口論のことも忘れて、慌てて221Bに戻ります。
そこには、あの巨大闇組織のボスかと勘違いしたシャーロックの兄上が。



Sherlock
(holding the violin)John.
(ヴァイオリンを抱えて)ジョン。
John

I say it on the telly. Are you OK?
テレビで見た。無事か?
Sherlock
Me? What?
あ? 何が。
Oh, yeah, fine. Gas leak, apparently.
あー、無事さ。おそらくガス漏れだ。



Sherlock
I can’t.
断る。
Mycroft
Can’t?

断る?
Sherlock
Stuff I’ve got on is just too big. I can’t spare the time.
今大きな事件を手がけているので。
Mycroft
Never mind your usual trivia.
通常の事件は放っておけ。
This is of national importance.
こっちは国家の大事だ。
Sherlock
How’s the diet?
それでダイエットは?
Mycroft
Fine.
順調だ。
Perhaps you can get through to him, John?
ジョン、君からも言ってくれ。
John
What?

何を?
Mycroft
I’m afraid my brother can be very intransigent.
弟は頑固なところがあってねえ。
Sherlock
If you’re son keen, why don’t you investigate it?
兄さんが自分で調べろよ。
Mycroft
No, no, no, no, no. I can’t possibly be away from the office for any length of time.
いや、それは無理だ。今は持ち場を離れられない。
Not with the Korean elections so…
韓国での選挙が…
Well, you don’t need to know about that, do you?
いや、君達は知らずともよい。
Besides, a case like this, it requires…legwork.
それに今回のような事件は…足を使う。


英国ではテレビのことを「telly」っていうんですね。
オーストラリアでも使うようですが。

さて「足を使う」事件は煩わしい、という台詞、非常にマイクロフトらしいですね。
聖典「ギリシャ語通訳」でホームズが
「僕より観察力がある」「史上最高の犯罪捜査官」と説明した兄上ですが、
自宅(pall mall)と職場のホワイトホールの往復(1kmあるかないかくらい?)しかせず、
ロンドンいち“非社交的”な集まり、ディオゲネスクラブも自宅の目の前にあるので、
大した移動距離にもならない。
そんな兄上が現代版でも「足を使う」ような事件にわざわざ手を煩わせるわけはないわけで。

弟がやたら「ダイエットは?」と聞いているので、
「マイクロフト、どんだけスイーツ食べてんだ?」って思ってる視聴者もいるみたいですがw
食べるというより、消化&燃焼してないんでしょうね。
シャーロックにしてみたら、
(動くことがあるクセに人にやらせて、相当目方増えてるんじゃないの?)
と言いたいところなんでしょう。
もっとも聖典では太っていると説明されている兄上にしては、
演じるマーク・ガティスゲイティスさんは割とスマートですね。

そんな兄上もシャーロックの暮らしぶりは最悪だと思っているようで…。



Sherlock
How's Sarah, John? How was the lie-low?
で、エアマットレスの寝心地は?
Mycroft
Sofa, sherlock, it was the sofa.
ソファだシャーロック、寝たのはソファ。
Sherlock
Oh yes, of course.
ああ、その通り。



John
How… oh, never mind.
なんで…まあいい。



Mycroft
Sherlock’s business seems to be booming since you and he became…pals.
君と暮らし始めて以来、シャーロックの仕事は、順調らしいが
What’s he like to live with? Hellish, I imagine.
共同生活はどうだ? 地獄だろ。
John
I’m never bored.
退屈しません。
Mycroft
Good. That’s good, isn’t it?
結構、いいことだ。



部屋へ入ってきた時に一瞥しただけで、ジョンがソファで寝ていたことを見抜いた兄上。
おそらく、何故外泊したのかもお見通し。
高慢なシャーロックに我慢しながら同居した人なんてジョンの他に家族しかいなさそうだし。
"How is sarah"と訊いておきながら「ソファで寝たんでしょ?」って、
ジョンにしてみれば悪意に満ちてますw

兄上の依頼は、盗まれたミサイル防衛システム「ブルース・パーティントン計画書」の奪回。
以前触れたように、第三話は聖典の「ブルース・パティントン設計書」がベースになっているストーリーです。
ただし、シャーロックはガン無視w
ジョンが資料を受け取り、兄が帰る際には、ヴァイオリンでギコギコ退場曲を演奏。
結局、この計画書の件はジョンが代理で調査を進めることに。

事件がなくてBORED! BORED!言ってたのに依頼をまともに聞かないシャーロックが、
兄への敵対心を持っていることを察するあたりは、
アル中の姉を持つジョンならでは…なのか?

そして、兄の事件に興味があるのかないのか、
レストレードからの呼び出しには立ち上がり、外出の支度をするシャーロック。

Sherlock
Lestrade. I've been summoned. Are you coming?
レストレードから呼ばれた。来るかい?
John

If you want me to.
行っていいのか?
Sherlock
Of course. I'd be lost without my blogger.
もちろん。僕専属のブロガーだろ?





これは聖典「ボヘミアの醜聞」でも有名な台詞ですね。
"I am lost without my boswell."
「私のボズウェルを失うと困る」

ボズウェルは文学者サミュエル・ジョンソンの伝記を執筆したジェイムズ・ボズウェルのことです。
グラナダ版ドラマ等の翻訳では単に伝記作家、と訳されていたと思います。
聖典でのワトスンはそのまま、ホームズの事件を認める伝記作家でしたが、
現代版では伝記ブロガーになるわけですね。
boswellblogerで偶然bが被っていて、言い回しもほぼ同じ。
しかし、冒頭で「君の意見を押し付けるな」と言いながら、この発言。
ちょっと狙った嫌味って感じもしますねw

で、専属ブロガーを連れていった探偵ですが、
爆発事故現場に残された謎の小包を開封し、
第一話「A Study of Pink」に登場したピンクのカバー付きiPhoneを取り出した時に
意外な読者に出会うことになります。

John
That's the phone...the pink phone.
それってまさか、あのピンクの携帯?
Lestrade

What from A Study in Pink?
「ピンク色の研究」の?
Sherlock
Well obviously it' s not the same phone. But it's supposed to look like...
あの携帯のはずはない。だかそう思わせようと…



"A Study in Pink"? You read his blog?
ジョンのブログを読んでるのか?!
Lestrade
Of course I read his blog. We all do.
もちろん、みんなで読んでる。
Do you really not know that the Earth goes around the sun?
君はほんとに地動説を知らないのか?




見てくださいこの楽しそうなドノヴァン巡査部長の顔w
ヤード中がジョンのブログの読者!



注目したいのは、この小包がボヘミア産の紙を使っていたってところですね。
言うまでもなく先述の聖典「ボヘミアの醜聞」を連想させますが、
シーズン2第一話で登場予定である"A Scandal in Belgravia"
「ボヘミアの醜聞」をベースに描かれているはずなので、
この第三話と何らかの関連があるのか、それとも全くないのか…?
(ちなみにBelgrabiaはロンドンの高級住宅地。)

それと、新しいピンク色の携帯に届いていたメッセージ
=5回の時報音は「オレンジの種五つ」に出てきた封書に入れられた五つの種の警告を元にしています。

ところでシャーロックの変人ぶりに引きまくり&バカにしまくりのドノヴァン巡査部長。
時系列は前後しますが、相変わらずシャーロックについてくるジョンに
呆れ気味でアドヴァイスするシーンがありますね。

Donovan
You're still hanging round him.
まだつるんでんのね?
John
Yeah, well…
ああ、まあね。
Donovan
Opposites attract, I s'pose.
真逆だから惹かれるんだ?
John
We're not…
そうじゃない。
Donovan
You should get yourself a hobby. Stamps, maybe, Model trains. Safer.
趣味見つけなさいよ、切手とか鉄道模型とか。




ドノヴァンの声を吹き替えている三鴨絵里子さんて、
「名探偵モンク」でモンクの初代アシスタント、シャローナの声もやってらっしゃるので、
つい、あの面倒見のいいシャローナのイメージで声を聞いてしまいますw

第一話で現場に無線で「変人(シャーロック)入りまーす」って言ってたのも笑えたけど、
ここまで嫌悪感むき出しなのは、過去に色々と嫌なこと言われたんでしょうね。
第一話でも鑑識のアンダーソンの関係を暴露されてたし。

しかし、切手とか鉄道模型って、逆に今時趣味にしてる人も少ないんじゃ…。
シャーロックに着いていくジョンの去り際にも駄目押しで、




Donovan
Fishing!!
釣りよ、釣りがいいわ!

でもドノヴァンは知らない、
ジョンの方がよっぽど生死を掛ける危険を求めてる人物だってことを…。
釣りで満足するような人ではないんです、ジョンって人は。


次回は、IT課のジム君、の巻、です

コメント (2)
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