土曜日に渋谷Bunkamuraにいってきました。
チケットを会社に忘れたので、一度取りにいき、
引き換えが遅くなってしまいましたが、
そんなに悪い席ではなかったのがラッキーでした。
映画祭の会場の周りでは、グッズの販売や号外みたいな新聞を配っているのですが、
引き換えに行く前に、映画祭のスタッフのお姉さんに
「すみません、その新聞の、月曜日に発行されたものはありますか?」
と訊くと、わざわざ遠くまで取りにいってくれました。
そう、テリーGの表紙なんです。
ファイルを買って中に大切にしまっておきました。
ありがとう、おねえさん。
今回は映画祭でははじめてのティーチ・インを見ることが出来ました。
自分が経験したT・Iの中では盛り上がってたし、活気があって楽しかったな。
以下ネタバレありなので、ご注意を。
(メモを頼りにしていますが、正確とは言い難いので参考程度にお読みください。)
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一本目は『靴に恋した人魚』。
ビビアン・スー、ダンカン・チョウ主演のファンタジックなラブ・ストーリーです。
台湾の『アメリ』って感じでしょうか。
プラス、アンデルセンなどの童話の数々をモチーフにして、
病的な靴への憧れを捨てられない主人公が
幸せがなんなのか気付いていくまでを描いていきます。
ビビアンの衣裳がすごくかわいい!
それだけでも見る価値ありますが、
映画自体も完成度が高いです。かなり面白い暖かい作品。
ストーリーを聞いただけじゃあつまらないかもしれないですが。
映画が終わって登場したのは、…襟川クロだー!
変なこと訊かないだろうなーとちょっと心配でしたが、
(彼女はいつもどうでもいいようなこと訊くからな。)
彼女ならではのツッコミが今回はかなり面白かった。
紹介されたロビン・リー監督を迎えると、
襟川さんは元々は女優さんをされていたわけではないですか?と訊いてましたが、
「いいえ、女優ではなく、スタッフとして映画の裏方の仕事をしていましたよ」
と答えてましたね。
それでは、お客さんから監督への質問。
■今年はアンデルセンの生誕200年ということですが、
その区切りもあって童話にインスパイヤされたんでしょうか。
「生誕200年は考えに入っていません。脚本はすでに2年前に完成していたんです。
でも童話をモチーフにすることで、多くの人に気に入ってもらえるだろうと思っていました」
台湾が大好きな男性からは
■エンドロールに“シンチク”と入っていたのでどの場面かと気になったのですが
それぞれの撮影はどこで行われていたんでしょうか。
(会場・男性の真剣な姿勢の質問に笑が起こる)
「シンチクは動物園のシーンで、その他は台北市内で撮影されています。
動物園はすごく小さいところで、動物の種類も十数種類しかいません。
でも私はすごく気に入ったんですね。」
何故熱心にシンチクのことをたずねるのか監督が不思議がっていましたが、
男性がさらに、劇中で出てくるポストのある場所がどこか知りたいというと
「ポストは郵便局から借りてきました。だから実際にはないんですよ。
同じような質問を台湾でも聞かれました。
台湾の中であまり見ないような風景ですからね。」
そんなに気になるのなら、後で全ての撮影場所を教えて差し上げます、
といってました!
■とても美術や衣装、小道具がかわいらしいですが、
その中で一番のこだわりはなんですか。
「美術は長いこと一緒に仕事している方(名前失念…)が全て担当しています。
コンセプトは「童話の本」そのものにしたいということだったんです。
一緒に仕事をしていて、台湾の映画は暗ーい映画が多いから、
今度撮る作品はピンク色にしようねと言ってたんですよ!
予算も人手も足りなかったので、美術を作り上げるのは大変でしたが、
台北金馬影展では大きな作品と一緒にノミネートされました」
■今作でアンディ・ラウさんが製作を
担当されているので楽しみに見に来ました。
パジェットが足りなかったということですが、
アンディはたくさん資金を提供してくれたわけでは
ないんでしょうか。(会場・笑)
「これは新人監督に映画製作のチャンスを与えるFirst Cutという企画の一角で、
映画全てに資金が提供されるというわけではありません。
それとスターTVも協力していますね。
みなさんが想像されるより、パジェットはずっと少なかったですが、
たくさんもらっても、それだけの作品を作らないといけないという
プレッシャーが生まれてしまうので、これはこれでよかったと思います。
これを成功させて次はいっぱいもらうつもりです(笑)」
襟川さんが「予算がないのに貧乏臭くないですよね」とまた失礼なことを言ってました(笑)。
みんな拍手してたりして。
「そうそう、この作品は金馬影展でCGに対してもノミネートされてるんですよ、
『セブンソード』と一緒に!(会場・オオーとどよめき、拍手)」
■キャスティングはどのように?
「製作会社が決まって、すぐこれはもうビビアンだと決まりました。
彼女はすごく若いわけではないから、女の子から母親まで演じられると思いました。
童話に出てくるようなかわいらしい女性なので、主人公のドゥドゥにぴったりです。
彼女は今まで自分にふさわしい役というのがなかったので、
この脚本を読んですごく気に入った様子で、是非やらせてくださいといわれました。
そして、彼女からダンカンを紹介されました。
彼は同じ製作元の『僕の恋、彼の秘密』にも出ているので起用が決定しました。」
■ナレーションをアンディ・ラウが担当しているとは知りませんでした。
登場人物や猫たちが歳を取らないのは童話をモチーフにしているからだと思うんですが、
そうですよね?
「猫がそのままなのは、予算の問題です!
パジェットの関係で一気に取ってしまわないといけなかったんです。
ですが、登場人物が変わらないのは意図的にそのままにしてあります。
主人公だけ成長しているように見せたかったんです。
出版社のシーンは2日間で撮ってるんですよ。」
■出てくる靴はタイアップ?
「はじめは靴のブランドに協力してもらって資金をもらおうと考えていたんですが、
ブランド側は自分のところの靴だけを使ってくれというんですね。
それは難しいということで、ダメになりました。
それで実際使った靴は友達から借りたり、
装飾のないものにスタッフが飾りをつけたりしていました。
だから現場ではいつもスタッフが靴を作ってましたね!」
最後の質問
■長編の構想もあると思いますが、今後挑戦したい作品や企画している作品は?
「2つあって、ひとつはもっと資金が調ってからの予定ですが、
「DNAが私の愛を変える」という作品で…
潔癖症で男の臭さや汚さが嫌いな女性が、
薬を飲むと嫌なものが一切目に入らなくなって、
はたしてそんな状況で男と一緒になって幸せかどうかという作品です!」
襟川さんが、それは監督の経験が入ってるんですか?と訊くと
「女友達は差はあれどみんな“夫のこんなところが気に入らない”とかよく言ってますよね」
と答えてました。
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さて、もう一本は『愛していると、もう一度』。
『靴に…』でも何度も名前が登場したアンディ・ラウ主演。
一人二役に挑戦しています。
監督はダニエル・ユー。
アンディと配給会社FOCUS FILMで出資などに取り組んでいる
元々プロデューサーの方ですね。
おそらく会場のほとんどの観客がさっきと同じ人たち(笑)。
妻を亡くした医師が、妻の臓器を移植した女性を偶然発見し、
生前寂しい思いをさせた妻のかわりに彼女のそばで過ごすことを決心するお話。
心臓移植ネタ。多いですね最近。
アンディはとても素敵な旦那様でした。
微笑ましい夫婦の生活を振り返る場面では客席から笑い声も多かった。
その一方で、やはりなくしたものへの悲しみは涙を誘います。
不覚にも、私も泣いてしまいました。
なんでもない毎日を一年の記念日にしてしまう
(クリスマス、正月に、復活祭、エイプリルフール…)
夫の洒落た思いやりが好きでした。
ストーリーはありきたりですけれども、何故か許せちゃう。
アンディが出てるからでしょうか?
彼の見事な手品も見所。
私も誰かから「約束のリング」が欲しい…。
面白かったのは、オープニングに出てくる
「友情出演:アンソニー・ウォン」に会場が大いにどよめいたところです。
そのどよめきに対して、今度は笑いが起こったりして。
で、本人が出てくるとまだどよめいて。
みんな知らなかったわけです。
カメオっぽい存在なわりに結構登場してました。
蝶ネクタイしてたのが気になりました。
ティーチ・インはダニエル・ユー監督が登場。
『LOVERS』以来の来日らしい。
そうか、あれからもう一年以上経ってるのね。
私はあの日に金城武よりアンディ・ラウ、と確信したんです、たしか(笑)。
監督はアンディからのメッセージを預かってるということで、
「次回作の撮影で日本にいけなくて申し訳ないです。
もしこの映画を見て涙を流してしまったのであれば、ゴメンナサイ」
とのこと。
ホント、ゴメンナサイですよ。来てくれないし実際泣いてるし、悔しい。
And now。ティーチ・インの模様ですが。
■この映画の撮影のきっかけは?
「私は小さい頃からラブストーリーをよく読んでました。
恋愛にはいろんな形の愛がありますが、中でもやはり愛する女性を大切にしたいという気持ちを
この映画で表したかったんです。」
■アンディは一人二役に挑戦していますが、演技指導はあったのでしょうか。
「彼とは昔から知り合いだし、お互いをよく理解しています。
今回はハードルをあげて、この一人二役をやらせてみたんです。
そうしたら何の問題もなく、素晴らしい演技をしてくれましたよ。」
香港から日本に来たファンの質問で、
■主人公がオレンジを切るシーンがありますが、何を表現しているのでしょうか。
「実際、登場人物の気持ちを表現するときにプロップ(小道具)を使うことがあります。
複雑な気持ちをどう表現するかというときに、
よく悲しい気持ちのことを“すっぱくなる”と言ったりするので、
主人公にオレンジを切らせて、寂しさや心の葛藤を表そうとしたんです。」
■キスシーンでアンディはキスもうまいなぁと思いました(会場・笑)
彼が床に溢れた水で転ぶシーンがありましたが、
あんなに頭を打ち付けなくてもよかったんではないですか?(会場・再び笑)
「私も常に彼の心配はしているので大丈夫ですよ!
あのシーンははじめワイヤーで体を吊ろうという話だったんですが、
彼から“それじゃあ説得力に欠ける”と意見があったので、
実際に転倒することになったんです。
撮影はワイヤーで6回は撮って、ラストの一回が採用されてます。」
■二役の性格や愛情の温度差が感じられないのですが、
もともとふたりの間に差をつけるように描いてはいたのでしょうか。
「…難しい質問ですね。
意図的にふたりに差が出ないように描きました。
もっと、大げさな差をつけていいんじゃないかと議論も重ねたのですが、
アンディは結局、お客さんのことを考えてしまうので、ふたりとも優しいご主人になったんです。
(会場・笑)
このことで、より商業的な作品になったと思います。
女性がこれで作品を気に入って、今度は彼をつれて見に来てくれれば嬉しいですからね!」
■アンディが他に意見を出したところは?
「常にふたりで話し合って決めていますね。
彼は演技をする際オプションとしていくつかの提案を与えてくれて、
私はその中から選んでいきます。」
ちなみに監督のお気に入りのシーンは、というと
「全てですね! …もしくは、やはりオレンジの場面でしょうか?」
■相手役の女性のキャスティングはどのように決定したのか?
「アンディほどのスターになると、様々な女優さんと競演しているので
相手役を探すのは難しいんです。
そこで新鮮さを出したいということで、今まで競演したことのない女優さんを起用しました。
チャーリー・ヤンは10年程前にMTVで監督をしたときに、
自分の思い描いた悲劇的なラブ・ストーリーを演じるのにピッタリだと思っていたんです。
シャーリーン・チョイはアンディに比べると若いですが、
彼に写真やサインをねだる若いファンは多いですからね。
アンディは若い女優さんと共演しても様になるんだよ、と分からせたかったんです(笑)
でも、ふたりとも非常に美しい女優だというのが一番メインの理由ですね。
彼女たちの演技はとても素晴らしかったです。」
ちなみに撮影時アンディは43歳、シャーリーンは22歳らしい。
いや、見た目全然ありでした。
■今後の作品の予定は?
「アンディとはFOCUS FILMとして話し合いをし、構想を練っています。
これからも若い俳優や新人の監督を常に起用したいと思っていますし、
今回の映画祭でもリサーチをしてきましたよ。
『Aサイド、Bサイド、シーサイド』とか色々ね。
…実は、来年はマギー・チャンとの共演の予定があるんですよ!
監督はジョニー・トゥ。僕はプロデューサーです!」
ママママジデー!? ジョニー・トゥ?? マギー・チャン??
最後の最後で興奮しちゃいました! 待ち遠しいよー!
てなわけで、実りの多い一日でしたが、
その日は前日から体調が悪く、胸が痛かったので、
ちょっと移動しながら不安でした。
そのことを友人にメールしていたら電話をくれて、
「あんた、胸が痛いって、アンディに恋してるからじゃないの?」
とからかわれた。
いやいや、真剣に心配なんっすから。
でも、そういうことで、いいや。あながち嘘でもないかもしれんし。