だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

「SHERLOCK シャーロック」日本初放送10周年

2021-08-24 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"

2021年8月22日〜24日は、NHK BSプレミアムで
ドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」が初放送されてから10周年だそうで。

去年(2020年)の7月25日にBBC Oneでの放送から10周年を迎えた時には

「SHERLOCKを初めて見たのは日本での放送だから、
 自分にとって厳密にはまだ10周年じゃないな!」

などと思っていたのですが、そこからあっという間に時間が経ってしまいました(苦笑)。
本当ならもっと平和な世の中の時に10周年を迎えたかったですね…。

10年前… 子供の頃に母と一緒に見ていた
ジェレミー・ブレット主演のグラナダTV版ホームズをじっくり見直した後に、
BBCが現代版を放送していると知り、日本での放送を待ち焦がれていたあの頃。

まさか自分にとって人生にこれほどの影響を与える作品になるとは思ってもみませんでした。

好きな作品に対しては、誰しもいい思い出や楽しい記憶を持っているものと思いますが、
私にとっての「SHERLOCK」は、宝物のように大切な一生ものの体験も、
出来れば忘れたいしんどい経験も思い出させる作品です。
それは何かにチャレンジして成功したり、挫折したりという繰り返しのような、
「禍福は糾える縄の如し」といった感じで、
ひとくくりに「出会えてよかった!幸せしかない!」とも言えない複雑な感情が湧いてきます。

それでも未だにこの番組を愛しているのは、
やはり、純粋に何度見ても面白く素晴らしい作品であるからに他ならないのです。

それではせっかく10周年という節目なので、
「SHERLOCK」という偉大なドラマ・シリーズがきっかけで
ひとりの平凡な日本人(私)にどんな変化が生まれたのかを振り返ってみようと思います。

 

 

■いつのまにか英語を習得することに…■

第1シリーズが放送された頃、
「SHERLOCK」の情報はエンタメ情報サイトに取り上げられることはあまりありませんでした
今でこそ主演のベネディクトマーティンの出演作やインタビューは日本語に訳されていますが、
当時は「SHERLOCK」の出演者など、ほとんどノーマークだったのです。

そのため、最新情報を知りたい時は、現地のインタビュー記事や
ファンが投稿した撮影現場の情報を英語で読み漁ることになりました。
好きな作品を深く知るためなら、英語が苦手などと言っていられません。

このブログでも記事にしていますが、英語のセリフを確認して、
英国の独特な言い回しなどを調べてみたりもしました。
最新シリーズが放送されれば、あれこれ駆使してリアルタイムで視聴し、
その後はファンの感想を読んだり、英国盤DVDを見ながらセリフを復習。

そのうち、特に脚本家&シャーロックの兄役マーク・ゲイティスが関わっている
SFドラマ「ドクター・フー」やコメディ・シリーズ「リーグ・オブ・ジェントルマン」に興味を持つと、
そちらの日本未放送回を英語字幕で見るようになりました。
(「ドクター・フー」も、当時はS4以降が放送されていなかった。)

さらにマークを含む「リーグ・オブ・ジェントルマン」のメンバーが出ている舞台を見に行くために
初めての渡英を決めると、旅行先で使う英会話力も必要になり、仕方なく独学で勉強。

度々海外旅行していることが知られると、仕事先で英語チームの手伝いをすることに。
そこで自分の力不足を実感し、語学留学を決意

…と、なにがなんだかわからないうちに英語の習得に興味を持つようになってしまいました。

学生の頃、海外でレコーディングする日本のアーティストが英語でやりとりしてるのを見て、
「自然に喋っててかっこいいなー。自分には無理だけど」と思っていましたが、
まさか自分が(下手なりに)英語を喋るようになるとは…。

語学だけでなく、勉強って、人に言われて嫌々するものではなくて、
わかりたい!知りたい!という気持ちがあれば
前へ前へと進ませてくれるものなんだなと、身を持って実感しました。
「SHERLOCK」が教えてくれた一番大きな教訓です(笑)

外国語を身に付けたい!と思っている人がいるなら、
日本ではあまり紹介されないような、自力で調べるしかない
海外のマイナーなジャンルや作品に興味を持ってみるといいかもしれません。

 

■一人旅の喜びを知る■

実は私は旅行に全く興味がなく、一人旅など以ての外だったのですが、
同じSHERLOCKのファンの方が英国へ一人旅をしている様子を見て、
「私もやってみよう!」と2012年に初めて一人で英国旅行に旅立ちました。
(その時の様子はこのブログで記した通りです。→ 2012年、英国の旅 春編・目次

一人旅を経験してみた結果、これが最高に楽しかった!

同伴者に気をつかう必要もないし、予定を相談する必要もない。
訪れた場所は時間を気にせず心置きなく見て回れるし、
誰かに頼ることも出来ないから、自分でコミュニケーションを取るために
否が応でも持っているだけの英会話力を発揮しなければいけない。
それでも誰かと一緒にいたくなった時は、
同じ時期に旅に来ている人と現地で待ち合わせすればいいのです!

それに何より、一人で見る景色は、
大勢で見る景色よりもひとつひとつが強く鮮明に記憶に残る気がします。

その後の約10年、何度一人旅をしたか回数はもう忘れましたが(笑)、
どの旅の出来事も、どの景色も、どの出会いも、
一生忘れられない自分だけの貴重な思い出になりました。

 

■国内・海外の仲間が出来る■

「SHERLOCK」のことを調べて、自分なりに理解した内容をまとめたり、
新しい情報が入ったら自分のSNSなどに投稿するようになると、
同じファンの方と交流する機会が出来ました。
このブログで知り合った方もいらっしゃいますし、Twitterでやりとりした方も。
一人ではちょっと寂しいイベントの時に、現地でご一緒してくれた同志もいました。

とりわけ、海外のファンで日本の文化にも理解がある友人たちは、
ネット上だけでなく、留学中に新学期を迎えて心細い時に一緒に遊んでくれたり、
ご飯を食べに行ったり、パーティーに誘ってくれたりと、心の支えになってくれました。
SHERLOCKが10周年ということは、一番古い友達はもう10年近くの付き合いということになります。

日本に遊びに来たら喜んで迎えようと思っていた、その矢先のCOVID-19感染拡大。
いつか安全になって彼女たちが日本で旅行できるようになったら、
あの時の恩返しをしてあげたいです。

 

■知らなかった歴史・芸術・社会に関心を持つように■

「SHERLOCK」のキャストで一番好きになったのは前出の脚本家マーク・ゲイティス
番組のショーランナーの一人でもあり、劇中では人間嫌いなシャーロックの兄を演じていますが、
演じている本人はとても優しくユーモアがあって、人を温かく包み込むようなオーラを持っている人です。
この人がいなければ、私もここまで「SHERLOCK」の世界に没頭していなかったでしょう。
(このブログを読んでくださっている方にはもう「わかったわかった!」って話題ですが…

マークは役者として、時代物のドラマや舞台に出ることが意外と多く
作品を理解するために、その時代を調べているうちに、
今まで不勉強だった英国史も、部分的に(笑)詳しくなりました。
だから彼にはどんどん時代物に出てもらいたい(笑)。

またドキュメンタリー番組のプレゼンター&作家として、
自身が影響を受けたホラー映画や作家、画家を紹介しているので、
それが今まで触れたことのない芸術を知るきっかけにもなりました。
ホラー映画も昔は食べず嫌いでしたが、今ではむしろ好きなくらいに(笑)。

そしてゲイであることを公表し、聡明なイアンというパートナーがいる彼は、
若い頃に自らが利用していたLGBTヘルプラインのパトロンとして支援イベントを開催したり、
様々な時代の同性愛者たちが語るモノローグドラマ・シリーズ"Queers"を手がけたりと、
LBGTQ+の歴史や問題啓発のために活動しています。
私も支援募金活動に賛同したり、セクシャリティに関してもっと理解を深めるよう努めています。
さらに女性として、女性解放運動の歴史や女性の権利についても意識が向くようにもなりました。
彼の政治や世界の動向に関して積極的に意見を持つ姿勢も見習っています。

一人の俳優を通して、こんなにも学ぶことが出来るなんて、
本当に追いかけ甲斐のある人です。


マークと私(その場に居あわせたファンが撮影

 

■もう「3年坊主」じゃない■

ミュージシャンや俳優など、一度夢中になるとどんどん熱中する私ですが、
10年前は、熱中するあまりに燃え尽きて、追いかけられなくなることがしばしばありました。
同じ熱量で何年も誰かを追いかけ続けるのはかなり難しく、頑張っても3年程度。
周りの友人からも呆れられているだろうなー、などと思っていました。

そんな時に出会ったのが「SHERLOCK」だったのです。

そして頑張っても3年どころか、あっという間に10年。
常に同じ熱量、とは言えないかもしれませんが、
今の私は確実に「SHERLOCK」を始めて見たあの頃の延長線上にいます。

ここまで書きながら、自分にも様々な変化があったことを振り返りましたが、
実際のところは、この10年で何も進歩していない気もするし、
これまで経験したことを自分の人生に活かしきれていないような気もします。
自粛生活を余儀なくされている今は特に…。
やる気も向上心もそがれて、落ち込みがちな自分自身をもどかしく感じます。

だからこの先の10年は、10年前の「SHERLOCK」を出発点に、
さらに遠くへ行ってみたい…

それはもっと遠い国に足を伸ばしたいという物理的なことではなく(笑)
「あの時からまた10年、ずいぶん成長したな」と振り返ることが出来るように、
一人前の人間として、もっともっと勉強したい。英語も歴史も文化も芸術も社会も…。

そんな風に、志を高くさせてくれるのが、
私にとっての「SHERLOCK」という番組なのかもしれません。

 

◆おまけ◆

どんなに好きなドラマでも、もう初めて見た時の感動を味わうことが出来ないのが悲しいところ。
そんな気分を味わいたい時に、私は海外のリアクション動画をよく見ています。
人のリアクションを見て、始めてみた時の新鮮さを思い出す!

「SHERLOCK」に関しては、彼女たちのリアクション動画が好きでした。
なかなか勘が鋭くて安心して見ていられる!(猫も可愛い)

 

Sherlock 1X01 A STUDY IN PINK PT.1 reaction

 

 

◆SHERLOCK関連記事リンク◆

各話お気に入りシーンまとめ等

ロケ地探訪ピックアップ

ロンドンでのSHERLOCK関連イベント

シャーロック公式コンベンション"Sherlocked the Event" at Excel London(2015年4月)

 

 

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SHERLOCK「A Study in Pink」究極の敵、現る

2012-03-05 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
ご無沙汰しております。色々あって、ご無沙汰です。

前の更新からSHERLOCKがらみの新しい情報は…何かあったかなー。
眠らずに朝からアカデミー賞のレッドカーペット見てたのにBennyさん出てこず、ってことくらいですか。
海外のファンの方々も" B O R E D "と嘆いていらっしゃる方もいれば、
「ウォーリーを探せ」のウォーリーの顔をBennyさんの顔に差し替えて遊んでいる方もいたり。w

そのBennyさんが出演していた"Tinker Tailor Soldier Spy"のゲイリー・オールドマンは惜しくも主演男優賞を逃してしまいました。
作品賞等、下馬評通り"The Artist"が圧勝という印象でしたねー。
技術系の賞では「ヒューゴの不思議な発明」が目立ちました。

アカデミー賞を見ながら考えていたのですが、
「ホビット」が公開されて、もしマーティン・フリーマンがアカデミー賞を穫ったら、
グラハム・ノートン・ショーで言った"Fuck you, I won a BAFTA!"ならぬ、
"Fuck you, I won a Oscar!!"なんて台詞が聞けるのか?と思うと、
もう今からワクワクが止まらないですよね!!



というわけで、続きです。

事件現場に置いてけぼりにされてしまったマーティン演じるジョン。
不思議なことに、タクシーを拾おうとする彼が通り過ぎる店の電話機が鳴り、
公衆電話までもが、彼が見つけるのを狙ったかのように鳴り響きます。



不審に思いながらジョンが受話器を取ると…

John
Hello.
もしもし。
Mysterious Man
There is a security camera on the building to your left. Do you see it?
君の左手のビルに防犯カメラがあるが、見えるか。
John
Who’s this? Who’s speaking?
誰だ。名乗れよ。
Mysterious Man
Do you see the camera, Dr Watson?
あったかな、ワトソン。



John
Yeah, I see it.
あった。
Mysterious Man
Watch…
見ていろ。



There is another camera on the building opposite you. Do you see it?
反対側のビルにも防犯カメラがある。見えるか。
And finally, at the top of the building on your right.
もうひとつ、右側のビルの屋上にもある。



John
How are you doing this?
何が狙いだ?
Mysterious Man
Get into the car, Dr Watson.
車に乗るんだ、ワトソン君。
I would make some sort of threat,
特に脅したりはしないよ。
but I’m sure your situation is quite clear to you.
君には状況がよく分かっているだろうから。




John
Hello.
どうも。
Woman
Hi.
ハーイ。
John
What’s your name then?
君の名前は?
Woman
Anthea.
あー、アンシア。
John
Is that your real name?
それ本名?
Anthea
No.
…いいえ。
John
I’m John.
僕はジョン。
Anthea
Yes I know.
ええ、知ってる。
John
Any point in asking…where I’m going?
行き先を訊いても無駄だよね?
Anthea
None at all…John.
ええそうね、ジョン。
John
OK.
そっか。

-----------------------

一応、正体を伏せていますw
変装したモリアーティは分からなかった私ですが、
この男の正体はさすがにすぐ分かり、防犯カメラのシーンが可笑しくてたまりませんでした。
この大げさな脅しっぷりは何なのでしょうか。
状況が分かっているだろうから、って、分かる訳ねーだろとw

別のブログで"一番ウケたシーン"としてこのシーンと
シーズン2のいくつかを挙げたら、特に反応が大きかったですw
分かってる人はちゃんといるね!

-----------------------



Mysterious Man
Have a seat, John.
掛けてくれ、ジョン。
John
You know, I’m got a phone.
僕は携帯を持ってる。
I mean, very clever and all that, but er you could just phone me. On my phone.
あんな入り組んだこと、しなくても、電話すればいいでしょう。携帯に。
Mysterious Man
When one is avoiding the attention of Sherlock Holmes,
シャーロック・ホームズに感づかれないようにするためには、
one learns to be discreet, hence this place.
慎重にしないとね。なのでここに。
Your leg must be hurting you. Sit down.
足が痛むんじゃないのかな。掛けて?
John
I don’t want to sit down.
いや、結構です。



Mysterious Man
You don’t seem very fright.
怖がってはいないようだ。
John
You don’t seem very frightening.
怖い人には見えない。
Mysterious Man
Yes…The bravery of the soldier.
ハハハ、さすが…軍人だけあって勇敢だな。
Bravery is by far the kindest word for stupidity, don’t you think?
でも勇敢とは悪く言えば、愚かさと同義語だ。
What is your connection to Sherlock Holmes?
君とホームズとの関係は?
John
I don’t have one.
関係なんて、ないですよ。
I barely know him, I met him…yesterday.
会ったばかりだ…昨日。
Mysterious Man
Mmm, and since yesterday you’ve moved in with him and now you’re solving crimes together.
んー、昨日出会って同居を始め、今は一緒に犯罪捜査とは、
Might we expect a happy announcement by the end of the week?
週末にはおめでたい報告が聞けそうかな。
John
Who are you?
あんた誰。
Mysterious Man
An interested party.
利害関係者だ。
John
Interested in Sherlock? Why?
シャーロックとどういう利害が?
I’m guessing you’re not friends.
友達じゃなさそうだ。
Mysterious Man
You’ve met him. How many friends do you imagine he has?
あの男に、一体何人友達がいると思う?
I’m the closest thing to a friend that Sherlock Holmes is capable of having.
私はシャーロックの友達に、最も近い所にいる人間だ。
John
And what’s that?
というと?
Mysterious Man
An enemy.
敵だ。
John
An enemy?
敵だって?
Mysterious Man
In his mind, certainly.
きっとそう思ってる。
If you were to ask him, he’d probably say his arch-enemy.
彼なら究極の敵と言うだろうよ?
He does love to be dramatic.
大げさなモノ言いが好きだから。
John
Well, thank God you’re above all that.
人のこと言えないでしょ。



「都合がつけば、
 ただちにベーカー街へ。
 SH」


Mysterious Man
I hope I’m not distracting you.
話を続けていいかな?
John
Not distracting me at all.
構いませんよ。
Mysterious Man
Do you plan to continue your association with Sherlock Holmes?
シャーロック・ホームズとの付き合いを続けるのか?
John
I could be wrong, but I think that’s none of your business.
失礼ですが、それは、あなたには関係のないこと。
Mysterious Man
It could be.
いや、ある。
John
It really couldn’t.
あるはずないでしょう。
Mysterious Man
If you do move into, erm…221B Baker Street,
もし君が引っ越すなら…住所はベイカー街の、221のBだったね。
I’ll be happy to pay you a meaningful sum of money on a regular basis to ease your way.
定期的にそれなりの額の金を君に払いたいと思う。楽になるぞ。
John
Why?
何故?
Mysterious Man
Because you’re not a wealthy man.
金がないんだろう?
John
In exchange for what?
何と引き換えにですか?
Mysterious Man
Information. Nothing indiscreet.
情報だ。法に背けとは言わない。
Nothing you’d feel…uncomfortable with. Just tell me what he’s up to.
彼が何をしてるか、知らせてくれるだけでいいんだ。
John
Why?
何故?
Mysterious Man
I worry about him, constantly.
心配だからだ。彼のことが。

John
That’s nice of you.
お優しい。
Mysterious Man
But I would prefer for various reasons that my concern go unmentioned...
だが事情があって、私が心配していることを
we have what you might call a …difficult relationship.
彼には気付かれたくないもので…色々難しいんだ。



「都合がつかなくても、
 とにかく来い。
 SH」


John
No.
断る。
Mysterious Man
I haven’t mentioned a figure.
額を聞いたらどうだ?
John
Don’t bother.
結構。
Mysterious Man
You’re very loyal very quickly.
昨日知り合った相手に忠義立てか?
John
No I’m not, I’m just not intereated.
違う。ただ興味がないだけで。
Mysterious Man
Trust issues, it says here.
心を閉ざしていると聞いたが…



John
What’s that?
何だって?
Mysterious Man
Could it be that you’ve decided to trust Sherlock Holmes of all people?
よりにもよってシャーロック・ホームズに心を開く気になったとは
John
Who says I trust him?
僕が彼に?
Mysterious Man
You don’t seem the kind to make friends easily.
人を選ぶタイプに見えたが…
John
Are we done?
帰る。



Mysterious Man
You tell me.
ご自由に。
I imagine people have already warned you to stay away from him,
皆からあいつには近づくなって言われたと思うが、
but I can see from your left hand that’s not going to happen.
君の左手を見るに、そのつもりはないようだ。
John
My what?
何だと?



Mysterious Man
Show me.
手を出せ。



John
Don’t.
やめろ。



Mysterious Man
Remarkable.
驚いた。
John
What is?
何が。
Mysterious Man
Most people…blunder round this city, and all they see are streets and shops and cars.
この街をうろつく人間が見てるのは、通りと店と車だけ。
When you walk with Sherlock Holmes, you see the battlefield.
だがシャーロックのそばにいれば戦場を見る。
You’ve seen it already. Haven’t you?
君も既に見ただろう?
John
What’s wrong with my hand?
僕の手がなんだ。
Mysterious Man
While you have an intermittent tremor in your left hand.
左手が時々震えるようだね。
Your therapist thinks it’s post-traumatic stress disorder.
セラピストの診断は心的外傷後ストレス障害、
She thinks you’re haunted by memories of your military service.
戦場の記憶に苦しめられていると…
John
Who the hell are you?
あんた誰だ。
How do you know that?
何で知ってる。



Mysterious Man
Fire her. She’s got it the wrong way around.
誤診だ。そのセラピストはクビにしろ。
You’re under stress right now and your hand is perfectly steady.
君は今ストレスに晒されているのに震えていない。
You’re not haunted by the war, Dr Watson…you miss it.
戦場を忘れたがってはいない…恋しいんだ。
Welcome back.
戻れてよかった。



Mysterious Man
Time to choose a side, Dr Watson.
どっちの側につくか選ぶことだ。



Anthea
I’m to take you home.
家まで送るわ



「危険を覚悟しろ。
 SH」




Anthea
Address?
住所は?
John
Er, Baker Sreet 221B Baker Sreet.
ベーカー街だ。221のB。
But I need to stop off somewhere first.
でもその前に、寄りたい場所があるんだけど。




John
Listen, your boss, any chance you could not tell him this is where I went?
ボスには、僕がここに来たことを黙っててくれないか。
Anthea
sure.
いいわ。
John
You’ve told him already haven’t you?
もう言っちゃったんだね?
Anthea
Yeah.
ええ。
John
Hey erm… do you ever get any free time?
あのさ…君、空いてる時間ある?
Anthea
Oh, yeah, lots.
あるわ、たくさん。



Bye.
じゃあね。
John
OK.
どうも。




-----------------------

ジョンの携帯に届いたシャーロックのメール
"Baker Street. Come at once if convenient. SH"
"If inconvenient come anyway. SH"
の元ネタは"The Creeping Man"(這う男)でホームズがワトスンに当てた電報の
"Come at once if convenient – if inconvenient come all the same."
ですね。ほとんど同じです。

シャーロックの周りには得体の知れない人間がうろついていると思わせるだけでなく、
ジョンの状況を説明する意味でも重要なこのシーン。
冒頭で、ジョンのブログが「PTSDのリハビリ」として必要であったことが説明されたように、
軍人であるジョンが謎めいたシャーロックの"仕事"に恐れを抱くどころか惹かれている理由が明らかにされます。

私はこのシーンを見ながら「ハート・ロッカー」を思い出さずにはいられませんでした。
例えばベトナム戦争後に描かれた物語における兵士の苦悩は、
もう二度と戦場には行くまい、という考え方が当然のように語られていたと思うのですが、
むしろ無意識に戦場に戻りたがっている軍人像を描いているところが興味深いです。
シャーロック・ホームズの"現代版"であるとともに、
軍人の心の描き方も現代的な解釈になっていると言えるのではないでしょうか。
ただし、ジョンの口説きのテクニックは現代的というか、原始的かもしれませんがw

ところで、ネタバレになるほど重要かというとそうでもなさそうなので言っちゃいますが、
シーズン2にアンシアは出演していませんでした。
これにはガッカリです~。(ノд`)
しかし、この"究極の敵"の連れ出し方や、謎の秘書的女性の存在は
シーズン2でも引き続き生きることになるので、
このアンシアに対するジョンの口説きシーンは、ある意味必要不可欠なのです。
そう、アンシア自身は出ていないけれど、存在感は残っている、というところがミソです。


シャーロックからメールを貰ったジョンは、
今までいた自分のフラットに拳銃を取りに寄ってから221Bに戻りますが、
そこにいたシャーロックは何やら危ないことをしていそうな雰囲気が…


John
What are you doing?
何してる。



Sherlock
Nicotine patch.
ニコチンパッチ。



Helps me think.
頭が冴える。
Impossible to sustain a smoking habit in London these days.
最近ロンドンじゃ煙草を吸うのが難しくてね。
Bad news for brain work.
頭脳労働に困る。
John
It’s good news for breathing.
呼吸にはいい。
Sherlock
Oh…breathing! Breathing’s boring.
呼吸なんて退屈だよ。
John
Is that…three patches?
パッチを、三つもか。
Sherlock
It’s a three-patch problem.
三つ必要な難題だ。

-----------------------

ここにも「そうきたか!」と大笑い。

もちろんこれは聖典の「赤毛組合」“It is quite a three pipe problem"を元にしています。
幻想を見ているようなシャーロックの表情から、
てっきり"a seven-per-cent solution"(「四つの署名」)のコカインでもやってるのではないかと思わせて、
コカインでも煙草でもなくニコチンパッチとはw
そうだよねー、喫煙者には住みにくい世の中になっちゃったもんねー。

そんな集中モード入っているシャーロックですが、
呼び出したのは、ジョンの携帯を使いたいためだけと知り、ジョンは呆れ顔。
机の上にある携帯の番号宛にショートメールを送れと言うシャーロックに、
ジョンは先ほど起こった出来事を語ります。


Sherlock
What’s wrong?
どうした?
John
Just met a friend of yours.
君の友達に会った。
Sherlock
A friend?
友達?



John
An enemy.
敵かな。
Sherlock
Oh, which one?
ああ。どっちだ?
John
Your arch-enemy, according to him. Do people have arch-enemies?
究極の敵、ってその男は言ってたけど?
Sherlock
Did he offer you money to spy on me?
僕のスパイを頼まれたか?
John
Yes.
ああ。
Sherlock
Did you take it?
受けたのか?
John
No.
いや。
Sherlock
Pity, we could have split the fee. Think it through next time.
次は引き受けろ。謝礼を山分けだ。



John
Who is he?
誰だ?
Sherlock
The most dangerous man you’ve ever met, and not my problem right now.
実に危険な男だが、今はどうでもいい。
On my desk, the number!
僕の机の上に番号が。


--------------------------------
謝礼を山分け、ってところが好きです。

シャーロックも、ジョンのPTSDは誤診であることを理解していて、
どうすれば彼が平和な日常から危険な生活へと"解き放たれる"のかも分かっていることは、
この後に繰り広げられるあれこれからも明確です。
ジョン本人もセラピストも分からなかった複雑な心の傷を見抜くとは恐ろしい兄弟…あ、伏せてたのに言っちゃったw

そして、ジョンはシャーロックに誘われ、再びロンドンの"戦場"へと戻っていくのです…。
コメント (2)
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SHERLOCK「A Study in Pink」シャーロックvsスコットランドヤード

2012-02-04 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
あっと言う間に2月になってしまいました。
SHERLOCK 第二シーズンが放送されてもう3週間近く経ちますが、
未だにまったく興奮冷めやらぬ状態です。
特に最終話の筋書きには思った以上に胸が締め付けられましたよ…。


(UK版のDVDも無事届きました。)

第一話では比較的脇役に回っていたジョンですが、
最終話では第二話までのシャーロックとの関係を集約するようなやりとりが見られます。
マーティン・フリーマンの演技力には圧倒されますね…。
嗚咽を漏らしてしまうほど感情移入してしまいました。

(見られて嬉しいけど泣けて仕方ない、の図)

モリアーティの仕掛けた周到な罠の数々…
あれだけの重荷をシャーロックに背負わせて、どうやって次のシーズンが幕を開けるのか興味津々です。

その第二シーズン。放送された3話だけでなく、
第一シーズンもちゃんと布石になっています。
その一つがスコットランド・ヤードの刑事たちとの関係です。

「A Study in Pink」で連続自殺と思われる現場を訪れたシャーロックとジョンを待っていたのは、
レストレードのようなシャーロックの能力を買って“招待”したい人間ばかりではないのでした…。


Donovan
Hello, freak.
あら変人。
Sherlock
I’m here to see Detective Inspector Lestrade.
レストレード警部に会いにきた。
Donovan
Why?
なぜ。
Sherlock
I was invited.
呼ばれたから。
Donovan
Why?
なぜ?
Sherlock
I think he wants me to take a look.
現場を見せたいんだろ。
Donovan
Well, you know what I think, don’t you?
私の意見を聞きたい?
Sherlock
Always Sally. I even know you didn’t make it home last night.
喜んで。…ゆうべ家に帰らなかったな?
Donovan
I don’t…Who’s this?
なんで…あ、ちょっとこれ誰?



Sherlock
Colleague of mine, Dr Watson.
同僚のワトソンだ。
Dr Watson, Sergeant Sally Donovan. Old friend.
こちらサリー・ドノヴァン巡査部長。旧友だ。
Donovan
A colleague. How do you get a colleague?
同僚? あなたにそんなものいた?
Did he follow you home?
こいつにストーカーされたとか。
John
Would it be better if I just waited…
僕は外で待ってようか?
Sherlock
No.
いや。
Donovan
Freak’s here. Bringing him in.
“変人入りまーす”
Sherlock
Ah, Anderson. Here we are again.
あー、アンダーソン。また会ったな。



Anderson
It’s a crime scene. I don’t want it contaminated. Are we clear on that?
ここは犯罪現場だ。荒らすんじゃないぞ。分かってるな?
Sherlock
Quite clear. And is your wife away for long?
よく分かってる。奥さんはずっと留守か?
Anderson
Oh, don’t pretend you worked that out. Somebody told you that.
推理したみたいな顔するな。誰かに聞いたんだろ。
Sherlock
Your deodorant told me that.
デオドラントで分かった。
Anderson
My deodorant?
デオドラント?
Sherlock
It’s for men.

男用だ。
Anderson
Well, of course it’s for men, I’m wearing it.
当然だろ、俺は男なんだから。
Sherlock
So’s Sergeant Donovan.
サリーと同じ香りだ。



Sherlock
Ooh…I think it just vaporized. May I go in?
鼻につくな。入っていいか?
Anderson
Now look, whatever you’re trying to imply…
何を言いたいんだか知らないが…
Sherlock
I’m not implying anything.
何も言ってないよ。
I’m sure Sally came round for a nice little chat, and just happened to stay over.
きっとサリーはちょっと遊びにきて、そのまま君の家に泊まることにしたんだろうな。
And I assume she scrubbed your floors, going by the state of her knees. Please wear one of these.
床も磨いてくれたんだろ、サリーの膝の状態からして。


実は、この話で一番好きな台詞は「変人入りまーす」かもw 初めて見た時は爆笑しました。
その明晰さ故に、要らぬ推理を披露して怒りを買うシャーロック。
彼がこんな恨み節たっぷりのドノヴァンを旧友なんて呼ぶのはあえてなんでしょうか。
そしてシャーロックが本気で「ドノヴァンはアンダーソンの家の床を磨いていた」と考えているのか、
というところが、多少気になりますw

何故か?ファンに愛されている鑑識係のアンダーソンは、現代版では割と有能に描かれているレストレードの代わりに
スコットランドヤードの間抜け担当として活躍してますねw
この事件の被害者であるジェニファー・ウィルソンが現場に残していたダイイングメッセージ、
“rache”という文字について得意げに話すアンダーソンでしたが…

Anderson
She’s German. Rache. It’s German for revenge. She could be trying to tell us something…
ドイツ人です。ラッハは、ドイツ語で復讐です。彼女は何かメッセージを…



Sherlock
Yes, thank you for your input.
情報をありがとう。
Lestrade
So she’s German?
ドイツ人か?
Sherlock
Of course she’s not. She’s from out of town though.
いや違う。地方から出てきて…
Intended to stay in London for one night before returning home to Cardiff. So far, so obvious.
ロンドンに一泊してカーディフ帰るつもりだった。それは明らかだ。

とまったく相手にされず。
もっとも、元にされている「緋色の研究」では、被害者が残した"RACHE"がレイチェルではなくラッハという意味だった、
という設定なので、原作を知っている視聴者も「ラッハktkr」と思いながら見ていたはずであり、
まるで視聴者がアンダーソンで、Steven Moffatら作家陣に
「君たち、ラッハだと思ってたんでしょ? バッカじゃないの?(笑)」
ドアをバタンと締められたような…でも悪い気はしない、という不思議な感覚に陥りますw

現場を観察するシャーロックは、レストレードに対しても、

Sherlock
Shut up.
うるさい。
Lestrade
I did’t say anything.
何も言ってない…
Sherlock
You were thinking. It’s annoying.
考えるな。邪魔だ。

と邪魔者扱い。
レストレードとしては、すぐにでも意見を聞きたいところですが、
シャーロックは連れであるジョンに検死を依頼。
ジョンはいやと言う程死体を見てきた軍医だけに、渋々ながらも冷静&迅速に遺体を視ます。
その腕前?に連れてきたシャーロックは少し得意げ。

John
Asphyxiation, probably. Passed out, choked on her own vomit.
窒息だ。気絶し、吐いたものが喉に詰まった。
Can’t smell any alcohol on her. It could have been a seizure. Possibly drugs.
アルコールの臭いはしないから急な発作か、麻薬かも。



Sherlock
You know what it was, you’ve read the papers.
新聞を読んでるなら分かるだろう?
John
Well, she’s one of the suicides. The fouth…?
じゃあ、連続自殺の4人目?
Lestrade
Sherlock, two minutes, I said, I need anything you got.
2分しかないんだ、何か分かったか?
Sherlock
Victim is in her late 30s. Professional person, going by her clothing.
被害者は30代後半、服装から見て仕事を持っている。
I’m guessing the media, going by the frankly alarming shade of pink.
派手なピンクのコートからしてマスコミ業界か…?



Travelled from Cardiff today intending to stay in London one night from the size of her suitcase.
カーディフから来てロンドンで一泊。それはスーツケースの大きさから明らかだ。
Lestrade
Suitcase?
スーツケース?
Sherlock
Suitcase, yes. She’s been married at least ten years, so not happily.
そうだ。結婚して少なくとも10年。幸せではなく、
She’s had a string of lovers but none of them knew she was married.
何人も愛人がいたが、誰も人妻とは知らない。
Lestrade
Oh, for God’s sake, if you’re just making this up…
おい、作り話をするのはよせよ。
Sherlock
Her wedding ring. Ten years old at least.
結婚指輪は10年はしている。
Rest of her jewellery has been regularly cleaned, but not her wedding ring. State of the marriage right there.
他のジュエリーは磨かれているのに、結婚指輪だけ汚いのは不幸な結婚だから。





The inside is shinier than the outside. That means regularly remove.
結婚指輪の内側が外側より光っているのは定期期にはめたり外したりで磨かれるから。
The only polishing it gets is when she works it off her finger. It’s not for work, look at her nails.
爪の手入れを見れば、手を使う仕事ではない。



She doesn’t work with her hands so who does she remove her rings for?
ならば外す理由は愛人だ。
Clearly not one lover, she’d never sustain the fiction of being single for that long time so more likely a string of them. It’s simple.
だが愛人が一人なら人妻であることは隠しおおせばいい。ならば相手は複数。
John
Brilliant. Sorry.
見事だ! …いや、失礼。
Lestrade
Cardiff?
カーディフは?
Sherlock
It’s obvious, isn’t it?
分かるだろ?
John
It’s not obvious to me.
僕には分からない。
Sherlock
Dear God, what is it like in your funny little brains, it must be so boring.
まいったな…せっかく頭があるんだから、ちゃんと働かせろ。
Her coat. It’s slightly damp, she’s been in heavy rain the last few hours,
コートは、湿っている。数時間前に雨に降られたんだ。



no rain anywhere in London in that time.
だがロンドンでは雨は降っていない。
Under her coat collar is damp too. She’s turned it up against the wind.
襟の裏も濡れている。強い風に襟を立てた。



She’s got an umbrella in her pocket but it’s dry and unused.
左のポケットに入っていた傘は乾いている。
Not just wind, strong wind, too strong to use her umbrella.
風が強すぎて傘が差せなかった。



We know from her suitcase that she was intending to stay overnight…
スーツケースからしてロンドンに一泊予定。それなりに遠いところから来たはずだが…
but she can’t have travelled more than two or three hours because her coat still hasn’t dried.
2、3時間以上掛かる距離ではない。コートがまだ濡れているからだ。
So where has there been heavy rain and strong wind within the radius of that travel time? Cardiff.
2、3時間以内の距離で、強い風が伴う雨が降った所は、カーディフだ。



John
Fantastic.
名推理だ!
Sherlock
Do you know you do that out loud?
いちいち声が大きい。
John
Sorry, I’ll shut up.
ごめん、黙る。
Sherlock
No, it’s …fine.
いや、いい。
Lestrade
Why do you keep saying suitcase?
スーツケースは?
Sherlock
Yes, where is it? She must have had a phone or an organizer.
ああ、何処だ。携帯か手帳を持っていたはずだ。
Find out who Rachel is.
レイチェルが誰だか知りたい。
Lestrade
She was writing Rachel?
文字はレイチェルか?
Sherlock
No, she was leaving an anger note in German of course she was writing Rachel,
ああ、ドイツ語じゃない。もちろんレイチェルって書いたんだ。



no other word it can be. Why did she wait until she was dying to write it?
他の言葉のはずがない。問題は何故死ぬ間際まで待って書いたか。
Lestrade
How do you know she had a suitcase?
何故スーツケースがあったって分かる?
Sherlock
Back in the rare there’re tiny splash marks on her right heel and calf not present on the left.
右足の後ろ側だけ泥がはねていて、左足にはない。



She was dragging a wheeled suitcase behind her with her right hand, by that splash pattern…
つまり右手でスーツケースを引っ張っていたんだ。はね方からして明らかだ。
Smallish case, going by the spread. Case that size…
はねの範囲からして小型サイズ。
woman this clothes-conscious could only be an overnight bag so we know she was staying one night.
これだけお洒落な女性なら小型には一泊分しか入らないだろう。


聖典で描かれる通り、草むらを飛び回るフォックスハウンドの如く現場を嗅ぎ回るシャーロック。
しかし、現場にスーツケースは残されていませんでした。
これが連続殺人事件であると確信したシャーロックは、
「ピンク」が犯人の侵したミスだとレストレードに言い残し、
興奮気味に現場を立ち去ってしまいます。ジョンは一人残されたまま。
仕方なくタクシーを拾って帰ろうとするジョンに、ドノヴァンが声を掛けます。


Donovan
But you’re not his friend. He doesn’t have friends. So who are you?
あいつと友達? そんなはずないね。どういう関係?



John
I’m…I’m nobody. I just met him.
いや、関係もなにも、会ったばかりだ。
Donovan
OK, bit of advice then. Stay away from that guy.
ならあいつには近づかないことね。
John
Why?
何故?
Donovan
You know why he’s here? He’s not paid or anything.
謝礼も出ないのに。あいつが現場に来る訳は?
He likes it. He gets off on it. The weirder the crime, the more he gets off. And you know what…?
好きだからよ。興奮するから。酷い犯罪になればなるほどね。
One day just showing up won’t be enough.
One day we’ll be standing round a body and Sherlock Holmes will be the one that put it there.
捜査だけじゃ満たされず、シャーロック・ホームズが人を殺す日は必ず来る。
John
Why would he do that?
なんでそんな…
Donovan
Because he’s a psychopath. Psychopath get bored.
変質者ってね、退屈するもんなの。
Lestrade
Donovan.
ドノヴァン!
Donovan
Coming. Stay away from Sherlock Holmes.
(警部に向かって、)行きます! …近づかない方が賢明よ!



ドノヴァンに忠告されたジョンは、それでも何となく納得のいかないような表情。
会ったばかりで横柄なヤツだとは思っていても、間近で鮮やかに彼が推理する様子を見て、
簡単に彼を否定する気にはなれなくなっているのかもしれませんね。褒めちぎってるし。

そして、まさにこの第一シーズン第一話のドノヴァンとのやり取りが、後の物語に直結してくるわけですが、
それはただの同居人である2人が共に組んで難解な事件を解決し、
お互いを親友と自覚するようになってから語られるお話、というわけです…。切ない…。

次回は(予定通りにいけば)自称“シャーロックの友達に一番近い”(むしろ親を自認する)あの方の登場
…のはず。
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SHERLOCK「A Study in Pink」携帯の研究。Part.2【ネタバレ】

2011-12-29 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
さて、タクシーを拾ったシャーロックとジョン。
ジョンはシャーロックの言動から連続殺人の解決に関係する人物らしいことは理解しつつも、
引っ越し前に同居人から事件現場に誘われるというあまりの急展開に、
彼の正体までは判断する事が出来ずにいるようです。


Sherlock
OK, you’ve got questions…
質問でもあるのか?



John
Yeah, where are we going?
どこへ行くんだ?
Sherlock
Crime scene. Next?
事件の現場だ。次。
John
Who are you, what do you do?
君の仕事は何?
Sherlock
What do you think?
何だと思う?
John
I’d say…private detective.
はじめは私立探偵かと…
Sherlock
But?
でも?
John
The police don’t go to private detectives.
警察は探偵に頼らない。
Sherlock
I’m a consulting detective. Only one in the World. I invented the job.
僕はコンサルタント探偵だ。世界でただ一人のね。
John
What does that mean?
どういう意味?
Sherlock
Means when the police are out of their depth, which is aways, they consult me.
警察が手に負えない事件にぶつかると、僕が相談に乗るわけ。
John
The police don’t consult amateurs.
警察が素人に相談?
Sherlock
When I met you for the first time yesterday, I said Afghanistan or Iraq. You looked surprised.
初めて会った時、アフガニスタンかイラクかって訊いたら、驚いたな。
John
Yes, how did you know that?
なんで知ってた?
Sherlock
I didn’t know, I saw.
見れば分かる。



Your haircut, the way you hold yourself says military. But your conversation…
髪型や姿勢が軍人らしいし、部屋に入ってきてこう言った。



‘Bit different from my day.’
「昔とは変わった。」

Sherlock
Said trained at Barts - so army doctor, obvious.
ということは、君はあそこで研修を受けた軍医だ。
Your face is tanned…but no tan above the wrists.
顔は焼けているが、手首より上は白い。



You’ve been abroad, but not sunbathing.
日光浴で焼いたんじゃない。
Your limp’s really bad when you walk,
歩く時は足を引きずるが、



but you don’t ask for a chair when you stand like you’ve forgot it, so it’s at least partly psychosomatic.
椅子を頼まずにいる所を見ると、症状は心の傷に由るものだ。



That says the original circumstances of the injury were traumatic wounded in action though.
それほどのトラウマを生む怪我なら、戦場で負ったものだろう。
Wounded in action, suntan-Afghanistan or Iraq.
戦場で負傷、日焼けとくれば、アフガニスタンかイラク。
John
You said I had a therapist.
セラピストのことは?
Sherlock
You’ve got a psychosomatic limp, of course you’ve got a therapist.
トラウマの治療を受けているって考えるのが自然だ。
Then there’s your brother. Your phone. It’s expensive, Email enabled, mp3 player.
兄については、君の携帯は高価だ。



And you’re looking for a flatshare.
家賃にも困っている君が買うはずがない。
You wouldn’t buy this, it’s a gift. Scratches.
なら贈り物ということ。しかし、傷だらけ。



Not one, many over time- it’s been in the same pocket as keys and coins.
鍵やコインとポケットに入れていた証拠だ。
You wouldn’t treat your one luxury item this, so it’s had a previous owner.
だが君なら高価なものをそうは扱わないだろう。
Next bit’s easy. You know it already.
ならば誰かのお下がりだが、それは簡単だ。



John
The engraving.
刻印か。
Sherlock
Harry Watson. Clearly a family member who’s given you his old phone.
ハリー・ワトソンが前の持ち主だが父親ではない。
Not your father, this is a young man’s gadget.
これは若者向きの機種だ。
Could be a cousin, but you’re a war hero who can’t find a place to live-
君は戦争の英雄なのに済む場所に困っている。
unlikely you’ve got an extended family, not one you’re close to.
親しい親戚がいない証拠だ。
So brother it is.
なら従兄弟ではなく兄弟だ。
Now, Clara, who’s Clara?
で、クララ。クララは誰だ。



Three kisses says it’s a romantic attachment.
キスマークが刻まれた高価な携帯。
The expense of the phone says wife, not girlfriend.
恋人ではなく妻だろう。
Must have given it to him recently, it’s only six months old.
このモデルは発売されてまだ半年。
Marriage in trouble then- six months on he’s given it away.
たった半年で妻から送られた携帯を手放したのは、彼が妻を捨てたからだ。
If she’d left him, he would have kept it. Sentiment. No, he wanted to rid of it. He left her.
捨てられたのなら思い出に取っておくだろう。
He gave the phone to you, so he wants you to stay in touch.
そこで彼は弟の君にこれを譲った。
You’re looking for cheap accommodation, but you’re not going to your brother for help-
だが君は家賃にも困っているのに助けを求めない。
that says you’ve got problems with him.
仲が悪いんだ。
Maybe you liked his wife, or don’t like his drinking.
兄嫁が好きだったのか、兄の酒癖が嫌なのか。
John
How can you possibly know about the drinking?
君は何故、酒癖のことまで分かるんだ?
Sherlock
Shot in the dark. Good one, though.
一応根拠はある。



Power connection tiny little scuff marks round it. Every night he plugs it in to charge but his hands are shaking.
充電するところに小さな傷がたくさん付いているのは手が震えるからだ。
You never see those marks on a sober man’s phone, never see a drunk’s without them.
こういう傷は、酒を飲まない人間の携帯には絶対付かない。
There you go, you were right. I was right?
これでよく分かっただろう?
John
Right about what?
分かったって、一体何が。
Sherlock
The police don’t consult amateurs.
警察が僕に相談する理由が。
John
That…was amazing.
…ああ、見事な推理だ。



Sherlock
You really think so?
…ホントか。
John
Of course it was. It was extraordinary, it was quite extraordinary.
もちろんホントだ、見事なものだ。素晴らしい。
Sherlock
That’s not what people normally say.
稀な意見だ。
John
What do people normally say?
他の人は何て?
Sherlock
Piss off.
「うるせえ!」って。




「四つの署名」で、ワトスンが兄の持ち物であった懐中時計を渡し、
ホームズに推理をさせる場面がありますが、
懐中時計が携帯電話に変わっているのは当然といっちゃ当然ですね。
もちろん、対象が携帯に置き換えられてはいるものの、携帯に刻印がされており、小銭と一緒に持ち歩いた傷が付いていて、
手元がおぼつかないために鍵穴(ここでは充電の差し込み口)付近に傷がついている、という、
基本的な推理は原作に沿っています。

ワトスンがホームズに渡した懐中時計は、亡くなった兄の形見でした。
このお兄さんは「四つの署名」の時点で「最近亡くなった」と書かれているので、
ホームズと一緒に住むことになった「緋色の研究」ではまだ生きていたことになるのですが、
当時のワトスンは「親戚も友人もいない」と書いています。
そうすると当然、「ワトスンはロンドンに戻った時に何故兄を頼らなかったのか?」という疑問が出てきますが、
現代版では「兄弟の不仲」という解釈が加えられています。
ブログでのハリーのコメントを見ていても、ジョンが全然連絡を入れてないことがよく分かりますもんね。
でも、ハリーの方は、自分の元妻の携帯を渡したりブログにコメントを入れたり、
シャーロックが "- he wants you to stay in touch." と言っているように、
割と気を掛けているようにも見えます。

そして、タクシーを降りたジョンの口から、"ジョンの兄"に対する新しい解釈が明かされます。

Sherlock
Did I get anything wrong?
どこか違ってたか?
John
Harry and me don’t get on, never have,
ハリーと僕の不仲は昔からだ。
Clara and Harry split up three months ago and they’re getting a divorce,
クララとハリーは別居してる。三ヶ月前からね。
and Harry is a drinker.
ハリーは、酒飲みだ。
Sherlock
Spot on, then. I don’t expect to be right about everything.
全部当たるとはさすがの僕も意外。
John
Harry’s short for Harriet.
ハリーはハリエットの略だ。
Sherlock
Harry’s your sister.
…ってことは姉?
John
Look, what exactly am I supposed to be doing here?
ところで僕は何をすればいい?
Sherlock
Sister!
姉か!!
John
No, seriously, what am I doing here?
それより僕は何をすればいい?
Sherlock
There’s always something.
何かあるさ。




今回はここまで。
今年のうちにもう少し先まで触れたかったのですが、無念。
次にUPする時には、もうSeason 1が放送されていることでしょう… I can hardly wait...






今年は、私たち日本人にとってたくさんの辛い出来事がありました。
私自身、SHERLOCKの事を考えているうちは楽しく過ごせますが、
現実では決して明るいことばかりではありません。
来年は、今年の出来事から目を伏せるばかりでなく、
少しでも前向きに過ごせるように、生活や考え方を改めなければ行けないなと思っています。

ここに来ていただいたみなさんが、幸せな新年を迎えられるように、
そして映画や音楽やドラマを心の底から楽しむための、豊かな心を持てる生活が送れるように、
心から祈っています。
そして、来年もここで喜びを分かち合えますように。


"Fantastic!"
"Meretricious."
"And a happy new year!"
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SHERLOCK「A Study in Pink」携帯の研究。Part.1【ネタバレ】

2011-12-29 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
とうとう「SHERLOCK」Season 2の放送まであと3日!(本国では。)
迫ってまいりましたね! ( *´艸`)
前回の更新から、「A Scandal in Belgravia」の刺激的なwトレーラー(確か3本くらい)、
"SHERLOCK RETURNS"のアナグラムになる単語3つをモチーフにしたトレーラー4種類、
アイリーン・アドラーやモリアーティを含む、主要登場人物の宣材写真や場面写真が公開されています。



企画・脚本のSteven Moffat氏が出演したBBC Breakfastの映像もチェックしましたが、
そこで紹介されていたVTRも"いろんな意味で"興奮されられるものでした。
マイクロフトお兄様やジムの写真見ながらデレデレしたり、
シャーロックやアイリーンのあんな映像を見てニタニタしたりしていて、
更新が遅くなっていたのは、ちょっと興奮しすぎていたせいでもあります。すびばせん…。


彼らの一歩…とは言わず何十歩も大胆に進んでいるらしい歩みも、
「A Study of Pink」から始まっているわけです。
時は2009年(?)1月30日に遡ります。




Sherlock
Hello.
やあ。
John
Ah, Mr. Holmes.
ああ、ホームズさん。
Sherlock
Sherlock please.
シャーロックでいい。



John
Well, this is a prime spot. Must be expensive.
こんな一等地なら、高いだろう?
Sherlock
Mrs. Hudson, the landlady, she’s given me a special deal. She owes me a favour.
大家のハドソンさんが、特別に安くしてくれた。
A few years back, her husband got himself sentenced to death in Florida. I was able to help her.
数年前、ご亭主がフロリダで死刑判決を受けた時、僕が助けた。
John
Sorry, you stopped her husband being executed?
死刑執行を止めてやったわけか…。
Sherlock
Oh no, I ensured it.
いや、確実にした。



現代版の何に感動するかって、ホームズとワトスンが名前で呼び合う、ってところですよね。
19世紀末では家族でもなければ名前で呼ぶことはなかったということですから、
「シャーロックでいい」なんてことはありえなかったわけです。

グラナダテレビ版の「悪魔の足」では、ホームズが殺人現場で手に入れた薬物の効果を試そうとして幻覚を見て、
やっと意識を取り戻した際に、ワトスンに向かって「John!!」と叫ぶ場面がありますが、
これはホームズを演じるジェレミー・ブレット氏の提案だったそうです。
(ちなみに吹替版では「ああ!」としか言っていません。)
名前で呼び合う彼らを見て、自分たちと同じ世界で生きているんだと嬉しさがこみ上げます。

それにしても、ハドソンさんの夫は何をしでかしたのでしょうか。
助けた=死刑を確実にした、ということはダメ夫だったのか…。
やはりあのシャーロックを受け入れる大家だけあって、
ハドソンさんもただ者ではない経歴の持ち主なのかもしれない…。

そして、2人は共同生活を送ることになる221Bの部屋へ。

この部屋を見た瞬間に、グラナダ版ファンの自分はしびれてしまいました。
(すみません、原作のファンというよりは、グラナダ版のファンな私です…)
階段と扉の位置、暖炉の位置、窓の向き、机や本棚の位置、キッチンの場所、椅子の置き方、
まるでグラナダの間取りのままではないか!



現代版に置き換える際にどんな間取りであっても問題はなかったと思うのですが、
製作陣が「これは“原作の現代版”ではなく、今まで作られたシャーロック・ホームズ作品の現代版なんだ」
という方針のおかげで、カラーテレビドラマのホームズとして最も有名なグラナダ版の間取りが採用されたのかもしれません。
このおかげで私は「これは本当に現代のホームズの話なんだ」と強く実感することが出来ました。


John
Well, this could be very nice. Very nice indeed.
よさそうな部屋だね。住みやすそうだ。
Sherlock
Yes, yes I think so, my thoughts precisely.
ああ。僕もそう思って。
So I went straight ahead and moved in.
だからすぐ引っ越してきた…



John
Soon as we get all this rubbish cleaned out…
このがらくたを捨てれば。
So this is all…
…君の荷物か。
Sherlock

Well, obviously I can erm…straighten things up a bit.
ちょっと片付ければ、大丈夫だ。ほら。



John
That’s a skull.
骸骨?
Sherlock

Friend of mine. While I say friend…
友達だ。僕にとっては。
Mrs. Hudson
What do you think, then, Dr Watson?
ワトソンさん、どうなさいます?
There’s another bedroom upstairs, if you’ll be needing two bedrooms
2階にはもう一つ寝室があるんです。もし別々がよろしければ…
John
Of course we’ll be needing two.
もちろん寝室は別で。
Mrs. Hudson
Oh, don’t worry, there’s all sorts round here.
いいのよ、近頃は多いもの。
Mrs Turner next door’s got married ones.
お隣には結婚してるカップルもいるの。



Oh…Sherlock, the mess you’ve made.
もう…シャーロック、散らかしすぎよ。
John
I looked you up on the internet last night.
ネットで君を調べた。
Sherlock
Anything interesting?
成果はあったか?
John
Found your website. The Science of Deduction.
サイトを見つけた。「推理の科学」。
Sherlock
What did you think?
ご感想は?



John
You said you could identify a software designer by his tie and an airline pilot by his left thumb?
ソフトウェアデザイナーはネクタイを、パイロットは左手の親指を見れば分かるって?
Sherlock
Yes.
そうだ。
And I can read your military career in your face and your leg,
君が軍人なのは顔と足を、
and your brother’s drinking habits on your mobile phone.
お兄さんの酒癖は携帯を見て分かった。
John
How?
何故だ?
Mrs. Hudson
What about these suicides them, Sherlock?
じゃあ、この連続自殺はどう思う?
I thought that’d be right up your street.
あなたなら解決出来るんじゃない?
Three exactly the same.
3人同じ死に方なんて…
Sherlock
Four.
4人だ。
There’s been a fourth. And there’s something different this time.
でも4人目は、違う死に方をしたようだ。



Mrs. Hudson
A fourth?
4人目…?
Sherlock
Where?
どこだ?



Lestrade
Brixton, Lauriston Gardens.
ブリクストンのロリストン・ガーデンズ。
Sherlock
What’s new about this one? You wouldn’t have come to me if there wasn’t something different.
僕を呼びにきたということは、違う死に方らしい。
Lestrade
You know how they never leave notes?
今回初めて…
Sherlock
Yeah.
何。
Lestrade
This one did. Will you come?
遺書があった。来てくれ。
Sherlock
Who’s one forensics?
鑑識は誰だ?
Lestrade
Anderson.
アンダーソン。
Sherlock
Anderson won’t work well with me.
僕とは相性が悪い。
Lestrade
Well, he won’t be your assistant.
君の助手じゃない!
Sherlock
I need an assistant.
でも助手がいないと困る。
Lestrade
Will you come?
来ないのか?
Sherlock

Not in a police car, I’ll be right behind.
パトカーではね。でも行く。
Lestrade
Thank you.
ありがとう。



Sherlock
Brilliant! Yes!
素晴らしいっ! やった!




Four serial suicides, and now a note. Oh, it’s Christmas.
あぁ、自殺4連続に今度は遺書! あぁお祭りだ!
Mrs. Hudson, I’ll be late. Might need some food.
ハドソンさん、遅くなるので夜食をよろしく!
Mrs. Hudson

I’m your landlady, dear, not your housekeeper.
私は大家であって、使用人じゃないわよ。
Sherlock
Something cold will do.
冷めたものでかまいません。
John, have a cup of tea, make yourself at home. Don’t wait up.
ジョン、お茶でも飲んで寛いでいてくれ。先に寝てろ!



Mrs. Hudson
Look at him, dashing about…My husband was just the same.
見た? あのはしゃぎっぷり。私の亭主もああだったわ。
But you’re more the sitting-down type, I can tell.
でも、ああたは静かに座っているタイプみたいね。
I’ll make you that cuppa, you rest your leg.
お茶を入れるわ。足を休めて。
John
Damn my leg!
もーう、うんざりだっ!!
Sorry, I’m so sorry. It’s just sometimes this bloody thing…
ああ、失礼。すみません、時々どうしても、苛ついて。



Mrs. Hudson
I understand, dear, I’ve got a hip.
分かるわ、私も腰がね…
John
Cup of tea’d be lovely. Thank you.
お茶、ありがたいです。
Mrs. Hudson
Just this once, dear, I’m not your housekeeper.
今回だけよ。私は使用人じゃないの。
John
Couple of biscuits too, if you’ve got them.
ビスケットもお願いします。
Mrs. Hudson
Not your housekeeper.
使用人じゃ、ありません!



Sherlock
You’re a doctor. In fact you’re an army doctor.
君は医者だろ? …陸軍の軍医だ。
John
Yes.
…ああ。
Sherlock
Any good?
腕はいい?



John
Very good.
とてもね。
Sherlock
Seen a lot of injuries, then. Violent deaths.
けが人や死体は、山ほど見た?
John
Well, yes.
ああ。
Sherlock
Bit of trouble too, I bet.
トラウマになってる?
John
Of course. Yes. Enough for a lifetime, far too much.
ああ、そうかも。もう、イヤという程見てきたよ。
Sherlock
Want to see some more?
もっと見たい?



John
No, God, yes.
もちろんだ。

Sorry Mrs. Hudson, I’ll skip the tea. Off out.
お茶は結構です、出かけてきますんで。
Mrs. Hudson
Both of you?
2人とも?
Sherlock
Impossible suicides? Four of them?
4人とも自殺なんてありえない。
No point sitting at home when there’s finally something fun going on!
やっと楽しくなってきたのに家になんかいられるか!



Mrs. Hudson
Look at you, all happy. It’s not decent.
楽しそうねぇ。不謹慎だこと。
Sherlock
Who cares about decent?
不謹慎だからなんだっていうんだ。
The game, Mrs. Hudson, is on!
ゲームが始まったのに!


「The Great Game」の冒頭でも書きましたが、
「マントルピースの上に返信していない手紙をジャックナイフで突き刺して」という描写は
「マスグレーヴの儀式書」から。
頭骸骨が友達、という記述は出てこなかったと思うのですが、
ファンのつぶやきで「この頭骸骨ってまさかハドソンさんの夫のだったりして…」
というのを見かけて笑っちゃいました。
後でこの頭骸骨はハドソンさんに取り上げられちゃいますが、
夫の頭だから取り上げられたのか?w


ハドソンさんが「お隣には結婚してるカップルが…」と言っていますが、
オリジナルでは隣人のことを"Mrs. Tarner"と呼んでいます。
「ボヘミアの醜聞」でホームズが「ターナー夫人が食事を持って来る」と言う場面があり、
「ターナー夫人って誰? 大家はハドスン夫人じゃないの?」とかねてから議論されている謎の人物ですが、
ここでお隣さん、しかも同性結婚しているという設定にして解決。
隣人なら2人に食事をお裾分け、ということも、なくはないかもしれません。
そして何度も登場するシャーロックとジョンの"ゲイ疑惑"もここで初めて触れられています。
まだ会ったばっかりなのにw

ゲイと言えば、「モーリス」でゲイの青年を演じ、
英国映画界の貴公子のひとりとして注目を集めていたRupert Gravesがレストレード警部に扮していますね。
イタチのような男、というイメージとは異なりますが、
20世紀初頭の美青年が、21世紀初頭に素敵なおじさまとなって登場とは、
まさしく現代版ホームズにふさわしいキャスティングですね。

原作ではホームズたちはコミッショネアが持ってきたグレグスン警部からの電報で事件のことを知りますが、
シャーロックはパトカーでレストレードがやってきただけで、連続殺人だが違う殺し方であることを見通しています。
彼が何者であるか分からないままのジョンも、
彼の顔が新聞記事に載っているのを見て、スコットランド・ヤードの刑事であると気付きます。


シャーロックの"The game, Mrs. Hudson, is on!"「アベ農園(The Abbey Grange)」
"Come, Watson, Come!" "The Game is Afoot."
または、「ウィステリア荘」
"- his brightened eyes and brisker manner which assured me that the game was afoot."
を元にしているようです。

元々、この台詞自体がシェークスピア作品からの引用という説がありますが、
それが「ヘンリー四世」の "Before the game is afoot, thou still let'st slip." なのか
「ヘンリー五世」の "The game's afoot; Follow your spirit" なのかは分かっていないようです。
そのまま、「ゲームが始まった」という意味と、
「狩猟の為の獲物(=ホームズにとっての事件や犯人?)が放たれた」という意味の
ダブル・ミーニングなんですね。

the game is afoot! という言い回しはロバート・ダウニーJr.の映画版でも使われていますが、
「三銃士 王妃の首飾りとダヴィンチの飛行船」の中で
オーランド・ブルーム演じるバッキンガム公が使っていたりと、
ホームズに限らず、定番の決め台詞になっているようです。
定番になっているということで、現代版ではあえてthe game is onという言い回しを使ったのかもしれませんね。


つづく…。
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SHERLOCK「A Study in Pink」ジョンがシャーロックに出会うまで。 Part.2【ネタバレ】

2011-12-14 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
とうとう「SHERLOCK」第2シーズンの本国での放送開始が1月1日と解禁されましたね!

来年放送なんだー、とちょっと寂しい気分になってましたが、
年明け早々、それも1日からとなれば喜ばずにはいられないですよね。
英国の視聴者が羨ましい…英国人は自分が英国人であることをもっと誇りに思うべきw

現地時間で12月7日には"A Scandal in Belgravia"のスクリーニングが催され、
参加したファンの感想を見ると
「アイリーン最高!」「第1シーズン以上に面白い!」「("The Great Game"の)プールシーンの解決法は完璧だ!」
なんて言葉が踊っていて、ますます期待に胸が膨らみます。

DVDも3月発売の予定が1月23日に前倒しされるようですので、
日本でも色々裏の手使わなくても1月中には見ることが出来そう。
コメンタリーも既に録り終えてるとか。
(以上のソースはMoffat氏の奥さんで製作者のSue Vertueさんのツイートから。)
私も、第1シーズンは情報をシャットアウトして我慢出来ましたが、
見てしまった今、日本での放映を待つ心の余裕は正直ありません;

そんな私の滞りがちなブログの投稿、再開~。

ジョンとシャーロックが出会うまで、というテーマですが。
「A Study of Pink」で、ジョンとシャーロックが過ごした時間は、実は2日間なんですよね。
入って来る情報が盛りだくさんなのですごく長い時間が経っているような気がしていましたが、
ジョンはシャーロックに出会ってすぐ、嵐に巻き込まれるように事件と関わるようになってしまったんですねー。

その一日目は「1月29日」。
この日、公園を杖を使いながら歩くジョンは旧友に出会います。



Stamford
John! John Watson!
ジョン! ジョン・ワトソン!
Stamford, Mike Stamford. We were at Barts together.
マイクだ。同じ病院で研修をした…
John
Yes. Sorry, yes, Mike, hello.
ああ、ごめん、覚えてるよ、マイク。
Stamford
Yes, I know, I got fat.
太っちゃったからなぁ。
John
No, no.
いやあ。
Stamford
I heard you were abroad somewhere getting shot at. What happened?
戦場で撃たれたって聞いたけどどうした?
John
Got shot.
…撃たれた。



John
Are you still at Bart's then?
今でも病院で?
Stamford
Teaching now, yeah. Bright young things like we used to be. God I hate them.
教えてる。昔の僕らみたいな連中をね。生意気だぞ。
What about you, just staying in town while you get yourself sorted?
君は? ロンドンに住む気はないのかい?
John
I can't afford London on an army pension.
年金だけじゃ物価が高くて。
Stamford
Ah, you couldn't bear to be anywhere else. That's not the John Watson I know.
でも他の土地に住めるか? 君には無理だろ。
John
Yeah I'm not that John Watson.
仕方ないだろ…。
Stamford
Couldn't Harry help?
…ハリーに頼めば?
John
Yeah, like that's gonna happen.
それだけはない。
Stamford
I don't know. You could get a flat share or something.
じゃあどうだ、ルームシェアするとか。
John
C'mon. Who'd want me for a flatmate.
誰が僕なんかと。
Stamford
(Stamford looks at him oddly. )
(おかしそうにジョンを見る。)
John
What?
何?
Stamford
Well you're the second person to say that to me today.
今日そう言ったのは君で二人目だ。
John
Who's the first?
…一人目は?


「緋色の研究」のワトソンは、ルームメイトの話を振られ、「しめた!」と言ってノリノリでしたが、
このジョンは何しろ後ろ向きになってしまっているので、「誰が僕なんかと」なんて言ってます。
しかもロンドン以外に住むジョンなんて僕の知ってるジョン・ワトソンじゃないよ、という言葉に
僕はその(君の知ってる)ジョン・ワトソンじゃないんだ、とまで言っています。
そして痺れる左手を気にするような仕草をするのです…(´・ω・`)
自分自身でも昔とは違ってしまったという自覚…もしかしたら暗示なのかもしれませんが、
今までのようにはいかないと思っているんでしょうか。

ここで注目すべきは、ジョンとスタンフォードの持ってるコーヒーです。



「緋色」では2人が再会したのは公園ではなく、クライテリオン・バーです。
設定が変わってしまったんだねーと思いながら、ジョンの持つコーヒーのラベルをよく見ると、
"-riterio-"と書いてあります!
つまり、出会った場所ではないものの、確かに2人はクライテリオンと名の付く店に寄ったことが分かるのです!
なんというこだわり! こんな細部へのこだわりが他にもたくさんあるのかも…
一見しただけではとても発見出来そうにないですねー。


一方、スタンフォードの言う、一人目の方はというと。




Sherlock
How fresh?
…鮮度は?
Molly
Just in. 67, natural causes. Used to work here. I knew him, he was nice.
今来たの。67歳で自然死。ここの元職員。知り合い。いい人よ。
Sherlock
Fine. We’ll start with the riding crop.
よし。乗馬鞭から始めよう。




Molly
So, bad day was it?
何か、嫌なことでも?
Sherlock
I need to know what bruises form in the next 20 minutes.
20分後にどんな痣が出たか教えて。
A man’s alibi depends on it. Text me.
ある男のアリバイが掛かってる。
Molly
Listen, I was wondering. Maybe later, when you’re finished…
…もしよかったら、お仕事が終わった後にでも…
Sherlock
You’re wearing lipstick. You weren’t wearing lipstick before.
口紅をつけてるの初めてだな?
Molly
I refreshed it a bit.
ちょっと…気分転換に…。
Sherlock
Sorry, you were saying?
ごめん、それで?
Molly
I was wondering if you’d like to have coffee?
仕事が終わったらコーヒーでもどう?
Sherlock
Black, two sugars, please. I’ll be upstairs.
ミルクなし、砂糖は2コで。
Molly
OK.
オーケー…。


現代版シャーロック・ホームズの記念すべき登場シーン!
「緋色」での死体を叩いて打撲傷を確認する、という描写は、
スタンフォードがワトソンにシャーロックの人となりを説明する際に出てきますが、
シャーロックはまさに実験の真っ最中。
登場でいきなり死体に鞭をふるう姿が見られるとは。しびれますw

そして、オリジナルのキャラクターである検死医のモリーもここで登場。
モリーはハドソンさんと並んで、パイロット版から4話続けて出演している、何げに重要人物です。
ご存知の通り、シャーロックに好意を持っているために、彼にうまく利用されることでおなじみw
「このコーヒーは君が飲むかを確認したかったわけじゃないんだ!」と、
誰かシャーロックに説明してやってくださいっ!

ちなみに、モリーを演じるLouise Brealeyさんは、ケンブリッジ大で歴史を学び、
ジャーナリストとしての顔も持つ才女であります。
先日そのことを日本語でツイートしたら、ご本人から「thanks x」とメンションを頂きました!
ご本人に宛てたわけではなく、しかも日本語だったのに、ビックリ!
ファンからのメッセージにもこまめに返しているみたいです。
さらに「尊敬します!(look up to you)」と返したら、
「私は結構小さいの。5フィート3インチよ」とシャレた返信が。
モリー…余計に応援したくなっちゃうよ!


さて、話は戻りまして、ジョンはスタンフォードと一緒に聖バーソロミュー病院に向かいます。



John
Bit different from my day.
へぇ…昔とは変わった。
Stamford
You’ve no idea.
ああ、ずいぶんね。
Sherlock
Mike, can I borrow your phone?
マイク、携帯貸せ。
There's no signal on mine.
僕のは通じない。
Stamford
And What's wrong with a landline?
固定電話を使え。
Sherlock
I prefer to text.
メールの方がいい。
Stamford
Sorry it's in my coat.
悪い、コートの中だ。
John
Er, here. Use mine.
ああ、なら、使います?



Sherlock
Oh. Thank you.
ああ。ありがとう。
Stamford
An old friend of mine, John Watson.
旧友のジョン・ワトソン。
Sherlock
Afghanistan or Iraq?
アフガニスタン? イラク?



John
Sorry?
…何?
Sherlock
Which was it, Afghanistan or Iraq?
アフガニスタンかイラクか、どっちだ?
John
Afghanistan. Sorry. How did you…
アフガニスタンだ…でもなんで…
Sherlock
Ah, Molly! Coffee. Thank you.
ああ!モリー、コーヒーありがとう。
What happened to the lipstick?
…口紅落としたのか?
Molly
It wasn't working for me.
似合わないから…



Sherlock
Really? I thought it was a big improvement. Your mouth's too small now.
塗ってた方がよかったよ。君は顔立ちが、地味だから。



Molly
Okay.
オッケー…
Sherlock
How do you feel about the violin?
ヴァイオリンは嫌いか?
John
I'm sorry, what?
何だって?
Sherlock
I play the violin when I'm thinking. Sometimes I don't talk for days on end. Would that bother you?
考え事があるとヴァイオリンを弾くし、何日も口を利かないことがある。
Potential flatmates should know the worst about each other.
一緒に暮らすなら言っておかないと。
John
You told him about me?
僕のこと話したの?
Stamford
Not a word.
何も。
John
And who said anything about flatmates?
じゃあ誰が喋ったんだ?
Sherlock
I did.
僕だよ。
Told Mike this morning that I must be a difficult man to find a flatmate for.
今朝マイクにルームメイトを探してるって話したら、ランチの後昔の友達を連れて来た。
Now here he is just after lunch with an old friend clearly just home from military service In Afghanistan.
しかもアフガニスタンから帰国したての。
Wasn't a difficult leap?
簡単な推理だ。
John
How did you know about afghanistan?
何故アフガニスタンだって?
Sherlock
Got my eye on a nice little place in central London.
ロンドンの中心部にいい部屋を見つけた。
Together we ought to be able to afford it.
二人なら借りられる。
We’ll meet there tomorrow evening, seven o’clock.
明日夜7時にそこで会おう。
Sorry, I got to dash. I think I left my riding crop in the mortuary.
じゃあ失礼。霊安室に乗馬鞭を忘れてた。
John
Is that it?
それだけ?



Sherlock
Is that what?
それだけって?
John
We’ve only just met and we’re going to go and look at a flat?
会ったばかりなのにルームシェア?
Sherlock
Problem?
悪いか?
John
We don’t know a thing about each other.
僕はその部屋がどこかしらないし、
I don’t know where we’re meeting, I don’t even know your name.
君の名前も知らない。
Sherlock
I know you’re an army doctor and you’ve been invalided home from Afghanistan.
君は陸軍の軍医で負傷してアフガニスタンから送還された。
And you’ve got a brother worried about you but you won’t go to him for help because you don’t approve of him,
君には兄がいる、だが頼らないのは嫌いだからだ。
possibly because he’s an alcoholic, more likely because he recently walked out on his wife.
大酒飲みか、あるいは妻を捨てたからだ。
And I know that your therapist thinks your limp’s psychosomatic,
君のセラピストは君が足を引きずるのは心の傷が原因だと考えている。
quite correctly, I’m afraid.
残念だがこれは当たりのようだ。
It’s enough to be going on with, don’t you think?
これだけ知っていれば十分じゃないか?
The name’s Sherlock Holmes and the address is 221B Baker Street.
僕はシャーロック・ホームズ。住所はベーカー街221のB。



Sherlock
Afternoon.
じゃあまた!
Stamford
Yeah, he’s always like that.
そう、ああいうヤツだ。


シャーロックとジョンの運命的な出会い!
機関銃のような推理攻撃に、シャーロックが去った後のジョンはポカーンといった感じです。

あまりにも有名なホームズの挨拶、
“You have been in Afghanistan, I perceive.”
これは現代でも有効で、アフガニスタンかイラクという台詞になっています。
(企画者で脚本家であり出演者でもあるMark Gatiss氏は
 「勝つことのない戦争という意味でも同じ」と語っています。)
そして、ジョンが何をしにきたかをスタンフォードが説明することはなく、
シャーロックには全て分かっている、ということになっています。
聖典のホームズは、ヘモグロビンだけ沈殿する試薬を発見してテンション上がっている状態だったのに比べると、
ジョンが質問する余裕もなく言いたいことだけ言って帰ろうとするシャーロックはずいぶんクールですね。
でも最後にウインク☆ クールだけどお茶目な。

ジョンに兄弟がいることは、「四つの署名」で触れられていますが、
内容については上述のシャーロックの推理に関係してくるので後ほど。
会話のきっかけが携帯電話というのも現代版ならではですね。

ところでこの携帯電話からシャーロックが送ったメールの内容、



「もし弟が緑のはしごを持っていたら、逮捕しろ SH」

これはシャーロックの「推理の科学」にアップされている、“緑のはしご事件”の事のようです。
後ほど触れられたらと思いますが、夫殺しの犯人が弟ではないかと疑っている妻からの依頼で、
その夫殺しの証拠となるのが緑のはしご、のようです。

もちろん、シャーロックが何者かを知らないジョンは、
このメールを確認したところで「?」状態で、
少しでも彼の正体を知ろうと、シャーロックの名前をネットで検索します。



そして、その後、おそらく初めて意欲的にブログを書く気になったようで、
今までになく長文の記事をアップしています。
これが、彼の初めての”ボズウェル”としての記事になるわけですね。

(以下、意訳。)



1月29日

奇妙な出会い

このブログを、どうやって書いたらいいか分からない。僕は作家ではないし。
エラはブログを続けることが僕の気持ちの整理の助けになると考えていたけれど、
そんなことはない。僕には何も起こらなかったからだ。
しかし今日、何かがあった。あることが起こったんだ。

僕は公園を歩いていて、マイク・スタンフォードと出くわした。
僕らは学生時代の友達で、2人でコーヒーを飲み、僕が引っ越したいと思っていることについて話した。
彼が言うには、同じような状況の人を知っているそうだ。
それで、聖バーソロミュー病院に行って、マイクは僕らを紹介した。

いや、彼は僕らを紹介はしなかった。その男性は僕が誰なのかを知っていたんだ。
どういうわけか、彼は僕のすべてを知っていた。
僕がアフガニスタンに従軍していたことも、負傷して送還されたことも。
その男性は僕の傷は精神的なものであると言っていたので、全てが正解なわけではないけれど、
僕が何故そこにいたのかさえ知っていた。マイクが何も話していないにも関わらず、だ。

僕はフラットに戻って彼の名をググってみた。そして「推理の科学」という彼のサイトを見つけた。
狂ってる。彼は変人なのかも。傲慢でかなり失礼だし、12歳のパブリック・スクールの子って感じ。
そう、間違いなくおかしな人だけど、妙に好感が持てた。彼は魅力的だ。ホントに奇妙なことだ。

そして明日、僕らはフラットを見に行く。僕とマッドマン…シャーロック・ホームズとで。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マジ…?
ハリー・ワトソン 1月29日 19:37
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ゲイになったのか?
ビル・マーレー 1月29日 20:31
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハハハ! 弟に限って! ジョンはクララに気があったんだから。
ハリー・ワトソン 1月29日 20:34
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
彼女はなんか言ってた?
ビル・マーレー 1月29日 20:41
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
嫌ではないみたい。とにかく弟の話をしましょ。
ハリー・ワトソン 1月29日 20:43
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メールか何かでやりとりしてくれない? これは僕の考えを記録するためのブログなんだから。
ジョン・ワトソン 1月29日 21:02
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
否定しないの?
ビル・マーレー 1月29日 21:32
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕はゲイじゃない。彼はそうかも。知らないけど。関係ないよ。
ジョン・ワトソン 1月29日 21:42
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
www
ハリー・ワトソン 1月29日 22:00
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
www? ハリー、君36なんだよ? 36だっていうのに…。
ジョン・ワトソン 1月29日 22:03
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SHERLOCK「A Study in Pink」ジョンがシャーロックに出会うまで。 Part.1【ネタバレ】

2011-11-30 | TV/SHERLOCK S1 "A Study in Pink"
現代版シャーロック・ホームズを描いたドラマ「SHERLOCK」。
この2ヶ月は第三話「The Great Game」について感想等を綴ってきましたが、
ここで始めに立ち返り、ジョンとシャーロックの出会いを思い出してみようと思います。

原作(聖典)のジョン・H・ワトソン(とりあえずワト“ソ”ンにしておきます。)は、第二次アフガン戦争に参加するため
第五ノーザンバランド・フィージリア連隊からバークシャー連隊に所属した後、マイワンドの戦いで肩を撃たれます。
パキスタンのペシャワールにある病院に運ばれて回復したところで、さらに腸チフスにかかり、
生死の境をさまよった後に意識を取り戻したものの、衰弱が酷かったために、本国へ送還されることに。
国から9ヶ月の静養期間を与えられ、ロンドンはストランドのホテルで金を使うだけの生活をしていた、
と説明されています。

現在でもアフガニスタンの戦争に参戦していたという設定が生かせるのはなんとも皮肉です。
現代版のジョンは、どんな戦いを経たのかまで詳細は説明されていませんが、
彼が戦場の夢を見てうなされる姿から物語は始まります。




夢から目覚めたジョンは、いかにも戦場から戻った軍人のように空虚な表情で、
右足を引きずりながら机に向かい、PCの画面に表示された自分のブログと向き合います。





Ella
How's your blog going?
ブログはどう?
John
Yeah good. Very good.
順調です。とっても。
Ella
You haven't written a word, have you?
何も書いてないでしょう?
John
You just wrote "Still has trust issues".
今「心を閉ざしてる」と書いたでしょう?
Ella
And you read my writing upside down.
今、逆さまから読んだでしょ?
You see what I mean? John, you're a soldier. It's gonna take you a while to adjust to civilian life.
分かってるわね、ジョン。一足跳びに、軍人から普通の市民に戻るのは無理。
And writing a blog about everything that happens to you will honestly help you.
その日その日にあったことをブログに書けば、気持ちの整理もつくはずよ。
John
Nothing happens to me.
でも書くことがない。



「Nothing happens to me.」
先ほど書いたように、彼の戦歴はここで語られていませんが、
この一言で、ジョンが悲惨な状況からロンドンへ戻ってきただろうことや、
ただ無気力に生きている状態であることが伺いしれます。

吹替版では「書くことがない」と言っていますが、
オリジナルのニュアンスでは、自分には何も起こらない、というような意味合いでしょうか。
何か起こるフラグ立ちまくりですw

原作において、彼が何故シャーロックの伝記作家となったのかという説明はされてなかったように思います。
純粋にシャーロックの関わる事件が面白くて書き留めていたのかもしれませんが、
現代版では戦場から戻ったジョン自身のリハビリとしてブログを書いていた、という設定が、
とても自然に説明されていますよね。

さて、実際にUPされているジョンのブログ。
このカウンセリングが1月20日頃であったのではないかと私は推測しているのですが、
それまでは2回しか更新されていません。
日にち、タイトル、本文、コメントの順で、ざっと振り返ってみましょうか。

※私は英語が出来ないので、ざっくりと意訳っぽくしています。
 自力で読める方は、実際にジョンのブログを読んでみてください。
 間違いがあればお指摘お願います。




12月14日

何もなし。

何もなし。




12月15日

無意味だ。

僕には何も起こらない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハイ、ジョン。メール送ったんだけど跳ね返されるんだ。
どうしてる?
月末はロンドンにいるんだ。会わない?
ビル・マーレー 12月21日 17:46




1月20日

どうやって?

どうやったらこれを削除出来るんだろう?



1月21日

満足かい?

エラ、ブログ書いてるよ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エラって誰? とうとう彼女をゲットした? どんな子? 写真送って!
ハリー・ワトソン 1月21日 1:46




1月25日

飲み

昨夜はブラックヒースから来たラグビー仲間数人と会った。
皆変わってない。まだ二十代の頃みたいにビールを飲み干す。
相変わらずお互いのくだらないことを語り合った。
誰も僕の足については触れなかった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これが予約を蹴った理由?電話したのに。
エラ・トンプソン 1月25日 10:11
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パブに携帯を忘れました。すみません。
ジョン・ワトソン 1月25日 17:49
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
近いうち会える?
ハリー・ワトソン 1月25日 18:02



1月28日

連続自殺

また連続自殺があった。気味が悪い。故人の間に関連性はないみたいだ。意味が分からない。

ビル・マーレーと会った。
映画俳優のじゃない。彼は看護士で、僕が撃たれた時に命を救ってくれた。彼は結婚してる。
物事は他の人たちに起こっている。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
会えて本当によかった。あとこっちに来て、妻に会えよ。覚えとけ、彼女は僕のものだ、カサノバ!
ビル・マーレー 1月28日 11:46
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カサノバ?! 弟が?!
ハリー・ワトソン 1月28日 13:36
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そうさ。僕らがつき合う前に親しくなってた。汚いやつめ!
ビル・マーレー 1月28日 17:56
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハハハハ!
ハリー・ワトソン 1月28日 18:12



読み返して分かったのですが、マーレーという人は原作の冒頭早々に出てきてたんですね!
彼がジョンを馬に乗せて英軍戦線に戻ったおかげで助かったと触れられています。
しかし名前がビル・マーレーだったとはw

この後シャーロックが惜しくも兄だと勘違いした、ハリーことハリエット・ワトソンは、
ブログには頻繁に登場してます。
パッと読んだ限り、いい年してハッチャケてそうなお姉ちゃんですよねw
本編にも登場して欲しいけど、話だけ出て姿は出さない人になっちゃいそうだなー。

Eトンプソンはセラピストだと思うのですが、ハリーは新しい彼女かと勘違いしています。
始めのうち、ジョンは中身のない「書いたよ」というだけの本文の記事をUPして、
セラピストにわざとらしくアピールしていますが、
おそらく20日頃にさっきのカウンセリングを受けて、渋々UPしたんでしょうね。
まさかこのあと、“変人”と同居し、連続自殺の謎について綴ることになるなんて、思いもよらなかったでしょう。
「Nothing happens to me」と言い続けたジョンにとうとう「何か」が起こるわけです。

つづく。
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