久しぶりの更新です。
6月に再就職してから仕事に圧倒されて、いろいろイベントはあったものの、
なかなかブログを書く時間が作れませんでした。
しかし、そんな中でも嵐を呼ぶ英国のコメディアン、ジョー・ライセットの動向はやはり目が離せませんでしたよ!
今回彼が注目したのは、英国フットボール界のスター、デヴィッド・ベッカム。
ベッカムは11月から開催されたFIFAワールド・カップの舞台カタールのアンバサダーとして、
1億5000万ポンドの10年契約を結んだとされますが、
カタールは女性や移民労働者を差別し、同性愛を違法とする国として英国でも批判の対象となっています。
LGBTQアイコンとしてプレミアリーグの選手として初めてゲイカルチャー誌「ATTITUDE」の表紙を飾ったこともあるベッカムですが、
この契約は国内外の失望を呼んだのです。
もちろん我らがジョーも同様。
デヴィッド・ベッカムに前代未聞の挑戦(脅迫?)状を送りつけたのです。
https://t.co/FqoC3hSFM8 🌈 pic.twitter.com/EPLVNwmnvV
— Joe Lycett (@joelycett) November 13, 2022
我らがジョー・ライセット、デビッド・ベッカムに対し、カタールと縁を切るならフットボール界の同性愛者支援に1万ポンド寄付する、切らないならW杯開幕前の日曜に全てシュレッダーにかけると発表。
— ミウモ 𝕄𝕖𝕨𝕞𝕠 (@notfspurejam) November 13, 2022
「これはお金の問題ではなく、貴方のゲイアイコンとしてのステータスがズタズタになるということだ」
これには私も、ずいぶん大物に挑戦状を叩きつけたな!とビックリしました。
視聴者のビックリする行動で問題提起に目を向けさせるのはジョーの得意技。
でも私財を投げうって? 本気なのか?
この無謀とも言える挑戦は、やはり各媒体でも取り上げられ世間の注目を集めました。
An email to Beckham’s PR. Less than 4 days to go. #benderslikebeckham 🌈 pic.twitter.com/ANikkvfFjw
— Joe Lycett (@joelycett) November 16, 2022
↑ジョーがベッカムのPR宛に書いた「もう4日経ったのになんの音沙汰もないんだけど?」という催促メール
ベッカムが無視したら、ただジョーが損するだけじゃないの?
パフォーマンスとはいえ、ジョーがそこまでする必要ないよね?と思いつつ、
刻々と期限は近づいてきます…
48 hours to go 💷 https://t.co/AxkwFBbvi2 pic.twitter.com/FmsBuADSI2
— Joe Lycett (@joelycett) November 18, 2022
24 hours to go…#benderslikeBeckham pic.twitter.com/Wq9CZsyHxJ
— Joe Lycett (@joelycett) November 19, 2022
そしてついに…!
“A platform for progress” pic.twitter.com/EeMelv01nu
— Joe Lycett (@joelycett) November 20, 2022
本当にシュレッダーにかけおったー!!
思い切ったことするなぁー!!
売れっ子コメディアンとはいえ、10,000ポンドなんてそれでも大金だよー?
もちろんこの宣言通りもパフォーマンスも話題を呼び、
「金を無駄にするな!!」という怒りの批判も見かけました。
以前の生放送を途中で退室事件の時と同じような展開…
しかし、これまでの彼のチームの手法?から考えれば、
最後にもう一捻り驚きの展開を用意しているはず…
そんな期待もしていた翌日、新たに動画が公開されました。
🏳️🌈 pic.twitter.com/YuPYSQ2M6u
— Joe Lycett (@joelycett) November 21, 2022
ベッカムへの最後のメッセージ
やあ、僕だよ!生活苦を覚悟で大金を捨てたあのとんまだ!
で、どこまで話したっけ?
僕はW杯の初日までにカタールとの縁を切らなければ、10,000ポンドを破棄するって言ったよね。
そして、あなたは縁を切るどころか何の返事もよこさなかったので、
僕が10,000ポンドをシュレッダーにかけるところを流した。
でも本当にそうかな?
僕はまだ真実は全部語っていない。
だって、シュレッダーに入れたお金は本物だけど、出てきたお金は偽物なんだ!
僕はお金を破棄したりしない。そんな無責任なことはしない。
実は初めのツイートの送信ボタンを押す前に、すでに10,000ポンドは慈善団体に寄付していた。
あなたから連絡が来る期待なんてしてなかった。
みんなの話題を集めるための空虚な脅しだったんだよ。
あなたのカタールとの契約と同じ、始めからデタラメだったんだ。
僕は同性愛者でもないし…これは冗談!
僕が本当に破棄するものがここにある。
あなたが表紙を飾った2002年6月のAttitude誌。
プレミアリーグの選手による初めてのゲイ雑誌の表紙だ。
Attitudeにこれをシュレッダーにかけていいか尋ねたら、喜んで同意してくれたよ。
出てきた紙切れは偽物だったんかーい!!
そしてすでに寄付は済ませているとは…
Well played, ジョー。
LGBT支援をしつつ問題提起もする、素晴らしいお手並み!!
表紙を細切れにすることに同意した、ATTITUDE誌の編集長もコメントを投稿しています。
A statement from Attitude Editor in Chief @CliffJoannou on @joelycett's call out of David Beckham. pic.twitter.com/qgSRgJXTW4
— Attitude Magazine (@AttitudeMag) November 21, 2022
人権は明日の雑誌のページを飾るためのファッション・ステートメントでも、
メディアの注目を集める最新のヘアカットでもありません。
国中の何億もの弱い人々の暮らしに影響を与える現実の問題なのです。
ジョー・ライセットの悪ふざけは、デヴィッド・ベッカムの人権に対する不真面目な態度を浮き彫りにしたのです。
このパフォーマンスは、例によってジョーの番組"Got Your Back"のための企画だったわけですが、
この番組の中で、ようやくベッカムのチームから届いた声明が公開されています。
I’d like to thank the Got Your Back team and the team at Channel 4 for their extraordinary hard work on this project. Here’s a trailer. (4/4) pic.twitter.com/NDd27wQCst
— Joe Lycett (@joelycett) December 15, 2022
ジョーはこの声明を公開するにあたり、意見を述べることは法的に許されていないとのことで、
「各自で判断してください」と述べた上で声明を読み上げています。(一部略)
David Beckham finally responds to Joe Lycett’s money-shredding stunt
デイビッドは、スポーツには世界を良くする力があると常に信じています。
世界的に最も人気のあるスポーツであるサッカーは、人々をひとつにまとめ、地域社会に真の貢献をすることができるのです。
私たちは、中東での関与について、異なる強い見解があることを理解しています。
しかし、重要な問題に関する議論が、この地域で初めて開催されるワールドカップによって直接的に刺激されたことは、
肯定的なことだと考えています。
このような対話が、すべての人々への理解と共感を深め、進歩が達成されることを望んでいます。
ちなみに、このパフォーマンスの後、タブロイドのザ・サン紙が
ジョーが2015年にカタールでコメディの公演を行ったことがあるとスッパ抜きましたが、
その記事に対するジョーの返答はこれ。
A statement from Mummy 📑 pic.twitter.com/4IQ1wDPe1L
— Joe Lycett (@joelycett) December 21, 2022
おっと、サンにバレちゃった!
2015年にドーハで2回公演をやって、
そのことは自分の本に書いたりNYタイムズをはじめ複数のインタビューで語ったりして
完全に秘密にしておいたのに!!
興味があるなら、僕は数100ポンドのギャラをもらっていて
(カタールではなく英国のプロモーターから)
それは2015年のことで随分前のことだ。
もし当時のコメディアン(ショーン・リッチーみたいな)が
僕を説得するために1万ポンドを破棄したなら話は別だけど、
僕はサンみたいな完璧な後知恵と道徳心は持ち合わせていないんでね!
と皮肉たっぷりに返しています。
例えば日本の影響力のあるコメディアンが、
国民的スポーツ選手が間違った選択をしていると知ってここまでの行動に踏み込めるかなと考えると、
ちょっと想像がつかないし、笑いと人権啓蒙のパフォーマンスは全く別物だと見る方も考えてしまいそう。
"Got Your Back"のスペシャルはBBCの人気番組"The Traitors"の視聴率を上回ったそうで、
ジョーのようなコメディアンの笑いを超えた試みがウケるイギリスのお笑いって羨ましいなとますます思うのでした。