…エディンバラ(・フリンジ)では、もうひとつの真理を悟ったショーを見に行った。 最初は、ポスターを見て気が引けた。 ディナースーツを着た3人の男がいて、1人は短剣を口に咥えている。 僕には手品ショーに見えた。マジックは嫌いだ。 しかし、それこそが史上最高のスケッチ・グループの一つであるThe League of Gentlemen(TLoG)だったのだ。
◎おまけ◎ 20年経った現代で、性的嗜好に対する表現を突き詰めるあまりこじれちゃってるバーバラ。 この後もバーバラはLGBTと言う略語は限定され過ぎていて気に入らないと発言。 どんな略語(acronym)がいいのかと聞かれると 「ACRONYM(Actively Considering Reassignment Or Not Yet Made Your Mind Up)」が好きと言います。 訳すと「真剣に性適合手術を考えている、もしくは決心していない」と言う意味みたい。 ところでバーバラのタクシーのダッシュボードに2人の双子の写真が飾られています。 エドワードとタブスの息子デヴィッドとの間にもうけた子供の写真ですね。
◎個人的感想◎ 誰にも興味を持たれていないのに、音楽業界の経歴を捨てきれずにいたレス。 とうとう音楽から離れて地に足がついた仕事を始めたのは嬉しいような悲しいような気分でしたが、 身の程を知ったレスに、今回は初めて希望が見える結末が用意されています。 ところで、レスが密かな人気を誇っているというHerzoslovakianというのは、 アガサ・クリスティの「チムニーズ館の秘密」に出てくる架空の国だそうです。 清掃の店の名前が"Top of the Mops"(BBCの音楽番組"Top of the Pops"のもじり)なのも洒落て?ますね。
◎おまけ◎ これは放送後、この特番の中でも特に多くの視聴者から絶賛されていたスケッチです。 マークが得意なモノローグですね。 英国でお年寄りがビンゴ大会に出向くというのは知っていたのですが、 実際の雰囲気は知らなかったので、初見ではなかなか理解出来ませんでした。 そして、改めて見た時に、どうやら数字と一緒に紹介する一文は定番のフレーズなんだなと理解出来ました。 これはビンゴ・ニックネームと言って、例えば 21歳は大人の入口だから、"Key of the door - 21" とか、 見た目が2人に見えるから、"Two fat ladies - 88"とか、 単に韻を踏んで、"Out in the sticks - 86"と読むこともあるようです。 そして、このスケッチのすごいところは、このお決まりのニックネームを、 トディが語る少年クリームの物語の合間合間に、物語を説明するフレーズとして挿入しているところ。 トディがそれまで誰かと付き合ったことがなかったことを説明した後に"Never been kissed(キスしたことがない) - 26"、 クリームがホテルの部屋まで追ってきたところで"Knock at the door(ドアをノックする) - 24"と読み上げたり。 これがうまく当てはまって、しかも2人の切ない物語も相俟って、美しくクレバーなスケッチと評判になってるわけです。
すでに12月に放送した第一話は70年代のオーストリアの山荘を舞台にした"The Devil of Christmas"、 それに続くのが、 ゴルフの後に食事をした店で友人同士が支払いで揉める"The Bill"、 家に侵入した生徒にクロスワードパズルの解き方を教える大学教授が思わぬ運命を辿る"The Riddle of the Sphinx" 同僚の昇進祝いのカラオケパーティーで起こった一幕を描いた"Empty Orchestra" 道に落ちていた片方の革靴を拾った男が異様に靴に執着する"Diddle Diddle Dumpling" アート・ギャラリーに招待された共通点のないはずの客が次々に殺されていく"Private View" 以上の、全6話。
個人的には、"The Riddle of the Sphinx"と"Diddle Diddle Dumpling"が好み。 "The Riddle of the Sphinx"はかなりショッキング。 "Diddle Diddle Dumpling"はベタではありますが、後から真相がわかる作りで、見直すと味わい深いエピソード。↓
9月に入り、スティーヴが"Vaudeville theatreで10月より再演されるDead Funny"に出演することが報じられました。 一方、リースはすでにサリー州のRichmond Theatreで舞台「ドレッサー」"The Dresser"の地方公演が始まっており、 その後、Duke of York's Theatreでウエストエンド公演が始まる予定。 マークも同じく9月から始まる「真夜中のパーティー」"The Boys in the Band"のリハーサルとプロモーション活動に入っています。 つまり、10月は3人のジェンツが同時にウエストエンドの舞台に立っていることになります!
スティーヴとリースが、マーク出演の舞台"Three Days in the Country"を観劇。 この日はマークの誕生日の10月17日。誕生祝いを兼ねて集まったようです。 リースと、"Three Days in the Country"の共演者であるRoyce Pierresonが3人の写真をTwitter上で公開しています。
リースが「ドクター・フー」第9シリーズのマークが執筆したエピソードに出演することが発表されました。 リースはマーク作のDW関連ドラマ"P.R.O.B.E."や、50周年記念ドラマ"An Adventure in Space and Time"に出演していますが、 本編への出演は初となります。 なんと、第9シリーズ第9話、ということで、まさに"Inside No.9"! そこまで考えて調整したのでしょうか??
マークは、3月25日に出演した"The One Show"でも、 この回が彼のDWのエピソードでも恐ろしいもののひとつになると語っていました。
Wrong bed - Inside No. 9: Series 2 Episode 1 Preview - BBC Two
(2015年5月更新) シリーズ2は3月26日から4月29日まで全6話が毎週放送され DVDが5月4日に発売されました。 特に第二話がオススメ!怖いと思わせて、悲しく美しいエピソードです。 Happy New Year - Inside No. 9: Series 2 Episode 2 Preview - BBC Two
Steve Pemberton on adapting the scripts - Mapp and Lucia - BBC One Christmas 2014
スティーヴは、学生時代からの友人で「リーグ・オブ・ジェントルマン」の"同僚"でもあるマークと Bretton Hall Collegeで初めて出会った時を回想。 彼の本棚にある"Mapp and Lucia"シリーズを見つけたマークが 僕もこのシリーズ好きだよ、と言ったことが2人の間を繋ぐ「瞬間接着剤」になったと語っています。 つまり、"Mapp and Lucia"がなければ「リーグ・オブ・ジェントルマン」もなかったかもしれません! 2人は撮影現場で毎日「僕らが30年後に"Mapp and Lucia"を作ってるなんて、信じられる?」と お互いに言い合っていたそうです。
■原作本■(BBC版ドラマに合わせて出版された、3作分のオムニバス。スティーヴの前書き付。) Mapp and Lucia Omnibus: Queen Lucia, Miss Mapp and Mapp and Lucia (Mapp & Lucia) by E F Benson amazon.co.uk、amazon.co.jp(kindle版もあります。)
A canine inconvenience - Inside No. 9: Episode 2 Preview - BBC Two
↑これ、声出して笑ってしまったw
(2014.4更新) 続編も製作予定とのこと!
(2014年6月更新) 'Inside No.9'の第2話'A Quiet Night in'が カナダのBANFF World Media Awardsで賞を取ったらしい! 彼らが特に推してた上述のサイレント・コメディ回です。やったね! スティーヴ曰く「劇中では絵画を盗めなかったとしても、カナダから賞は盗んだぞ!」
EF Benson原作で80年代に映像化もされているコメディ"Mapp And Lucia"をスティーヴが脚色。 出演もするとのことですが、このドラマにマークも出演するそうです。 スティーブはAnna Chancellor演じるLuciaの忠実な親友Georgie Pillson、 マークはBenjy大佐を演じるとのこと。
(2014年4月更新) ●"Theatre of Blood"のUKブルーレイ版特典にTLoGのコメンタリーが収録
Vincent Price主演の"Theatre of Blood"(邦題は「シェークスピア連続殺人!! 血と復讐の舞台」)の 5月19日に発売されるUKブルーレイ版にジェンツのコメンタリーが収録されています。 彼らのライヴ盤に収録されているような会話が楽しめるそう。 そして、今後もコメンタリー企画があるのか、リースや発売元のArrow Filmsがこんなツイートをしています。
彼らは出演の3人が演技を学んでいた Bretton Hall College時代に知り合い、 1995年に"The League of Gentlemen"のチーム名でCanal Café Theatre等のヴェニューで公演します。 (4人で組むまでは、リースは職探し、 スティーヴは別の劇団を立ち上げていて、 マークはドクター・フーの小説を執筆、 ジェレミーは本屋で働いていたらしい。) チーム名は映画"The League of Gentlemen(1960)"にちなんで、 スケッチの内容と反する気取った名前をとマークが名付けたものだそう。 オックスブリッジ(オックスフォード&ケンブリッジ大)出身が多い英国コメディ界への反骨精神の表れとも言えます。
舞台でテレビ・シリーズの元祖となるキャラクターを生み出してきた彼らは 1997年、世界的芸術祭Edinburgh Festival Fringeで最高の賞"Perrier Awards"を受賞します。 そして同年11月にラジオ番組"On The Town with The League of Gentlemen"が製作され、 こちらもラジオ番組向けの賞を2つ受賞。 (ラジオでは町の名前が「ロイストン・ヴェイジー」ではなく「スペント」という名前になっています。)
舞台&ラジオの成功を経た後、ついにTLoGのテレビ版が製作され、 英国アカデミー賞(BAFTA)ベスト・コメディや、 モントルーで行われる"テレビ界のカンヌ"、ゴールデン・ローズでGolden Rose of Montreuxを受賞するに至ります。 (ちなみにロンドン五輪開会式を湧かせたR・アトキンソンの「ミスター・ビーン」も 1990年にGolden Rose of Montreuxを受賞しています。)
【テレビ以外のTLoG】 この番組はシリーズ1、シリーズ2、クリスマス・スペシャル、シリーズ3と作られていますが、 2001年、クリスマス・スペシャルの後に行われたツアーの模様をおさめた"Live at Drury Lane"と 2005年に"パント・ショー"(クリスマスの子供向け舞台)をテーマにした"The League of Gentlemen Are Behind You"と 2000年代は2つの舞台がDVD化されています。 The League Of Gentlemen - Live At Drury Lane: Special Edition [DVD] by Steve Bendelack 残念ながら日本発売はされていませんが、探せば某Tubeにあるので、個人の判断でお試しください。
それと、2005年には映画も製作されています。 タイトルは"The League of Gentlemen's Apocalypse"。 これも日本発売はされていませんが、リアルな世界(つまり番組の作家がいる世界)に ロイストン・ヴェイジーのキャラクターたちが入り込んでしまうという珍妙な映画です。 ライトなファンにはオススメしませんが、 TLoGが好きでたまらない方は↓↓↓で注文してみてください。 The League of Gentlemen's Apocalypse [Region 2]