現代版シャーロック・ホームズを描いたドラマ「SHERLOCK」。
この2ヶ月は第三話「The Great Game」について感想等を綴ってきましたが、
ここで始めに立ち返り、ジョンとシャーロックの出会いを思い出してみようと思います。
原作(聖典)のジョン・H・ワトソン(とりあえずワト“ソ”ンにしておきます。)は、第二次アフガン戦争に参加するため
第五ノーザンバランド・フィージリア連隊からバークシャー連隊に所属した後、マイワンドの戦いで肩を撃たれます。
パキスタンのペシャワールにある病院に運ばれて回復したところで、さらに腸チフスにかかり、
生死の境をさまよった後に意識を取り戻したものの、衰弱が酷かったために、本国へ送還されることに。
国から9ヶ月の静養期間を与えられ、ロンドンはストランドのホテルで金を使うだけの生活をしていた、
と説明されています。
現在でもアフガニスタンの戦争に参戦していたという設定が生かせるのはなんとも皮肉です。
現代版のジョンは、どんな戦いを経たのかまで詳細は説明されていませんが、
彼が戦場の夢を見てうなされる姿から物語は始まります。
夢から目覚めたジョンは、いかにも戦場から戻った軍人のように空虚な表情で、
右足を引きずりながら机に向かい、PCの画面に表示された自分のブログと向き合います。
Ella
How's your blog going?
ブログはどう?
John
Yeah good. Very good.
順調です。とっても。
Ella
You haven't written a word, have you?
何も書いてないでしょう?
John
You just wrote "Still has trust issues".
今「心を閉ざしてる」と書いたでしょう?
Ella
And you read my writing upside down.
今、逆さまから読んだでしょ?
You see what I mean? John, you're a soldier. It's gonna take you a while to adjust to civilian life.
分かってるわね、ジョン。一足跳びに、軍人から普通の市民に戻るのは無理。
And writing a blog about everything that happens to you will honestly help you.
その日その日にあったことをブログに書けば、気持ちの整理もつくはずよ。
John
Nothing happens to me.
でも書くことがない。
「Nothing happens to me.」
先ほど書いたように、彼の戦歴はここで語られていませんが、
この一言で、ジョンが悲惨な状況からロンドンへ戻ってきただろうことや、
ただ無気力に生きている状態であることが伺いしれます。
吹替版では「書くことがない」と言っていますが、
オリジナルのニュアンスでは、自分には何も起こらない、というような意味合いでしょうか。
何か起こるフラグ立ちまくりですw
原作において、彼が何故シャーロックの伝記作家となったのかという説明はされてなかったように思います。
純粋にシャーロックの関わる事件が面白くて書き留めていたのかもしれませんが、
現代版では戦場から戻ったジョン自身のリハビリとしてブログを書いていた、という設定が、
とても自然に説明されていますよね。
さて、実際にUPされているジョンのブログ。
このカウンセリングが1月20日頃であったのではないかと私は推測しているのですが、
それまでは2回しか更新されていません。
日にち、タイトル、本文、コメントの順で、ざっと振り返ってみましょうか。
※私は英語が出来ないので、ざっくりと意訳っぽくしています。
自力で読める方は、実際にジョンのブログを読んでみてください。
間違いがあればお指摘お願います。
■
12月14日
何もなし。
何もなし。
■
12月15日
無意味だ。
僕には何も起こらない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハイ、ジョン。メール送ったんだけど跳ね返されるんだ。
どうしてる?
月末はロンドンにいるんだ。会わない?
ビル・マーレー 12月21日 17:46
■
1月20日
どうやって?
どうやったらこれを削除出来るんだろう?
■
1月21日
満足かい?
エラ、ブログ書いてるよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エラって誰? とうとう彼女をゲットした? どんな子? 写真送って!
ハリー・ワトソン 1月21日 1:46
■
1月25日
飲み
昨夜はブラックヒースから来たラグビー仲間数人と会った。
皆変わってない。まだ二十代の頃みたいにビールを飲み干す。
相変わらずお互いのくだらないことを語り合った。
誰も僕の足については触れなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これが予約を蹴った理由?電話したのに。
エラ・トンプソン 1月25日 10:11
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
パブに携帯を忘れました。すみません。
ジョン・ワトソン 1月25日 17:49
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
近いうち会える?
ハリー・ワトソン 1月25日 18:02
■
1月28日
連続自殺
また連続自殺があった。気味が悪い。故人の間に関連性はないみたいだ。意味が分からない。
ビル・マーレーと会った。
映画俳優のじゃない。彼は看護士で、僕が撃たれた時に命を救ってくれた。彼は結婚してる。
物事は他の人たちに起こっている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
会えて本当によかった。あとこっちに来て、妻に会えよ。覚えとけ、彼女は僕のものだ、カサノバ!
ビル・マーレー 1月28日 11:46
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
カサノバ?! 弟が?!
ハリー・ワトソン 1月28日 13:36
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そうさ。僕らがつき合う前に親しくなってた。汚いやつめ!
ビル・マーレー 1月28日 17:56
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ハハハハ!
ハリー・ワトソン 1月28日 18:12
読み返して分かったのですが、マーレーという人は原作の冒頭早々に出てきてたんですね!
彼がジョンを馬に乗せて英軍戦線に戻ったおかげで助かったと触れられています。
しかし名前がビル・マーレーだったとはw
この後シャーロックが惜しくも兄だと勘違いした、ハリーことハリエット・ワトソンは、
ブログには頻繁に登場してます。
パッと読んだ限り、いい年してハッチャケてそうなお姉ちゃんですよねw
本編にも登場して欲しいけど、話だけ出て姿は出さない人になっちゃいそうだなー。
Eトンプソンはセラピストだと思うのですが、ハリーは新しい彼女かと勘違いしています。
始めのうち、ジョンは中身のない「書いたよ」というだけの本文の記事をUPして、
セラピストにわざとらしくアピールしていますが、
おそらく20日頃にさっきのカウンセリングを受けて、渋々UPしたんでしょうね。
まさかこのあと、“変人”と同居し、連続自殺の謎について綴ることになるなんて、思いもよらなかったでしょう。
「Nothing happens to me」と言い続けたジョンにとうとう「何か」が起こるわけです。
つづく。
この2ヶ月は第三話「The Great Game」について感想等を綴ってきましたが、
ここで始めに立ち返り、ジョンとシャーロックの出会いを思い出してみようと思います。
原作(聖典)のジョン・H・ワトソン(とりあえずワト“ソ”ンにしておきます。)は、第二次アフガン戦争に参加するため
第五ノーザンバランド・フィージリア連隊からバークシャー連隊に所属した後、マイワンドの戦いで肩を撃たれます。
パキスタンのペシャワールにある病院に運ばれて回復したところで、さらに腸チフスにかかり、
生死の境をさまよった後に意識を取り戻したものの、衰弱が酷かったために、本国へ送還されることに。
国から9ヶ月の静養期間を与えられ、ロンドンはストランドのホテルで金を使うだけの生活をしていた、
と説明されています。
現在でもアフガニスタンの戦争に参戦していたという設定が生かせるのはなんとも皮肉です。
現代版のジョンは、どんな戦いを経たのかまで詳細は説明されていませんが、
彼が戦場の夢を見てうなされる姿から物語は始まります。
夢から目覚めたジョンは、いかにも戦場から戻った軍人のように空虚な表情で、
右足を引きずりながら机に向かい、PCの画面に表示された自分のブログと向き合います。
Ella
How's your blog going?
ブログはどう?
John
Yeah good. Very good.
順調です。とっても。
Ella
You haven't written a word, have you?
何も書いてないでしょう?
John
You just wrote "Still has trust issues".
今「心を閉ざしてる」と書いたでしょう?
Ella
And you read my writing upside down.
今、逆さまから読んだでしょ?
You see what I mean? John, you're a soldier. It's gonna take you a while to adjust to civilian life.
分かってるわね、ジョン。一足跳びに、軍人から普通の市民に戻るのは無理。
And writing a blog about everything that happens to you will honestly help you.
その日その日にあったことをブログに書けば、気持ちの整理もつくはずよ。
John
Nothing happens to me.
でも書くことがない。
「Nothing happens to me.」
先ほど書いたように、彼の戦歴はここで語られていませんが、
この一言で、ジョンが悲惨な状況からロンドンへ戻ってきただろうことや、
ただ無気力に生きている状態であることが伺いしれます。
吹替版では「書くことがない」と言っていますが、
オリジナルのニュアンスでは、自分には何も起こらない、というような意味合いでしょうか。
何か起こるフラグ立ちまくりですw
原作において、彼が何故シャーロックの伝記作家となったのかという説明はされてなかったように思います。
純粋にシャーロックの関わる事件が面白くて書き留めていたのかもしれませんが、
現代版では戦場から戻ったジョン自身のリハビリとしてブログを書いていた、という設定が、
とても自然に説明されていますよね。
さて、実際にUPされているジョンのブログ。
このカウンセリングが1月20日頃であったのではないかと私は推測しているのですが、
それまでは2回しか更新されていません。
日にち、タイトル、本文、コメントの順で、ざっと振り返ってみましょうか。
※私は英語が出来ないので、ざっくりと意訳っぽくしています。
自力で読める方は、実際にジョンのブログを読んでみてください。
間違いがあればお指摘お願います。
■
12月14日
何もなし。
何もなし。
■
12月15日
無意味だ。
僕には何も起こらない。
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ハイ、ジョン。メール送ったんだけど跳ね返されるんだ。
どうしてる?
月末はロンドンにいるんだ。会わない?
ビル・マーレー 12月21日 17:46
■
1月20日
どうやって?
どうやったらこれを削除出来るんだろう?
■
1月21日
満足かい?
エラ、ブログ書いてるよ。
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エラって誰? とうとう彼女をゲットした? どんな子? 写真送って!
ハリー・ワトソン 1月21日 1:46
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1月25日
飲み
昨夜はブラックヒースから来たラグビー仲間数人と会った。
皆変わってない。まだ二十代の頃みたいにビールを飲み干す。
相変わらずお互いのくだらないことを語り合った。
誰も僕の足については触れなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これが予約を蹴った理由?電話したのに。
エラ・トンプソン 1月25日 10:11
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パブに携帯を忘れました。すみません。
ジョン・ワトソン 1月25日 17:49
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近いうち会える?
ハリー・ワトソン 1月25日 18:02
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1月28日
連続自殺
また連続自殺があった。気味が悪い。故人の間に関連性はないみたいだ。意味が分からない。
ビル・マーレーと会った。
映画俳優のじゃない。彼は看護士で、僕が撃たれた時に命を救ってくれた。彼は結婚してる。
物事は他の人たちに起こっている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
会えて本当によかった。あとこっちに来て、妻に会えよ。覚えとけ、彼女は僕のものだ、カサノバ!
ビル・マーレー 1月28日 11:46
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カサノバ?! 弟が?!
ハリー・ワトソン 1月28日 13:36
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そうさ。僕らがつき合う前に親しくなってた。汚いやつめ!
ビル・マーレー 1月28日 17:56
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ハハハハ!
ハリー・ワトソン 1月28日 18:12
読み返して分かったのですが、マーレーという人は原作の冒頭早々に出てきてたんですね!
彼がジョンを馬に乗せて英軍戦線に戻ったおかげで助かったと触れられています。
しかし名前がビル・マーレーだったとはw
この後シャーロックが惜しくも兄だと勘違いした、ハリーことハリエット・ワトソンは、
ブログには頻繁に登場してます。
パッと読んだ限り、いい年してハッチャケてそうなお姉ちゃんですよねw
本編にも登場して欲しいけど、話だけ出て姿は出さない人になっちゃいそうだなー。
Eトンプソンはセラピストだと思うのですが、ハリーは新しい彼女かと勘違いしています。
始めのうち、ジョンは中身のない「書いたよ」というだけの本文の記事をUPして、
セラピストにわざとらしくアピールしていますが、
おそらく20日頃にさっきのカウンセリングを受けて、渋々UPしたんでしょうね。
まさかこのあと、“変人”と同居し、連続自殺の謎について綴ることになるなんて、思いもよらなかったでしょう。
「Nothing happens to me」と言い続けたジョンにとうとう「何か」が起こるわけです。
つづく。