さて、DVD-BOXの感想。
中に入っているドキュメントは、
今年5月に発売されたアメリカのDVDに入っていたものみたいです。
『オペラは踊る』『マルクス一番乗り』の二本に入っていますが、
それぞれの作品の制作までの過程、出演者、名シーンのエピソードなどについての解説などが主で、
私はそれぞれの映画のヒロイン(キティ・カーライルとモーリン・オサリバン)が
語った兄弟達の印象が興味深かったです。
映像は、本当にきれいで、映画館で見たときの酷い映りを思い出したら、
本当に幸せなことです。
エピソードとして、プロデューサーのアーヴィング・サルバーグの
マルクス映画への貢献などは目新しい話題ではありませんが、
トーク番組でグルーチョ本人が語る兄弟の伝説
(サルバーグに待たされて頭に来た兄弟が、
裸になって暖炉でイモを焼き始めたという有名な話)は説得力があると言うか、
グルーチョの口から言われると、なんてことないように思えるから不思議。
今回見直してみると、『オペラ』が成功作で、
あとの作品がその模倣なのだとはっきり思えます。
個人的には、『マルクス二挺拳銃』は好きなのですが、
(始めの、駅でチコ&ハーポがグルーチョを騙す手口や、馬車内のドタバタが面白い!)
後は少し期待はずれです。
ただ、ピアノとハープのシーンはどの映画も変わらずに楽しめます。
(『デパート騒動』のハープのシーンはとってもキュートです。
でも、デパートにあんな舞踏会場のような売り場があったんでしょうか?
チコとハーポのピアノ競演も楽しいです。)
損しているのはグルーチョで、ストーリーに無理がある分、ギャグも力を失っています。
もったいない! マシンガンのような冗談が使える環境ではないんです。
チコは(解説でも語られていましたが)普通の芝居が出来ることで、
後期の作品でも好感を持って見ることが出来ます。
グルーチョが映画を早く止めたがっていたのもよく分かるのでした。
やっぱり常に毒のあるグルーチョが見ていたいです。
あとはハーポが主演の最後の作品『ラブ・ハッピー』が出てくれたらいいのですが。
ちなみに、『オペラは踊る』の脚本家であるジョージ・S・カウフマンや、
ハーポ・マルクスが出てくる映画があって、
それが
『ミセス・パーカー~ジャズ・エイジの華~』。
1920年代に、当時の文化人が集まり、
サロンと化していたアルゴンキン・ホテルの円卓を舞台にした、恋愛中心の映画。
私はマシュー・ブロデリック目当てに見たんですが…
当時のファッション、風俗を知ることが出来ます。
ハーポはここでも女の子を追い掛け回してます(笑)。
カメラがそこにあろうとなかろうと、ハーポはハーポなのです!
他には…
『我輩はカモである』以前の三本収録のもう一つのBOX。
『マルクス兄弟のおかしな世界』。
こちらを見ると、全ての作品の細かいヴァーバルギャグまで分かります。
日本のファンにとっては教科書みたいな一冊。