だから、ここに来た!

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マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その2「TLoGと一緒に!」

2016-02-28 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■

さて、"Three Days in the Country"上演後。
その1で書いた通り、席を立つとマークに再び会うために、再び楽屋口に向かいました。



向かいが駐車場入口になっているので、そこで寄りかかって待つ事に。
同じように待っているファンはお昼と同じくらいの人数だったでしょうか。
待ち始めると、すぐに先ほど会話を交わしたスティーヴが楽屋に入っていきました。
リース・シェアスミスと一緒に!!
(えっ、リースを知らない? 『ここ』をまだ読んでいないのかっ!)

リースが一緒に来ているとは思いませんでした!
いや、考えてみれば当然のことですが、
マークの誕生日に2人一緒に訪れるなんて、なんて仲良しなんだ!
今は一緒に活動していないとはいえ、
3人は単なる仕事仲間ではなく今でも学生時代からの友達なんだなと思うと胸熱です。

楽屋口の前からはキャストの控え室のバルコニーが見えるのですが、
マークの誕生日ということもあってか、関係者はお酒を飲んだりして楽しんでいるようでした。
皆部屋とバルコニーを行ったり来たりしている様子を眺めることが出来ました。

盛り上がっているのか、マークはなかなか出て来ず、
共演者のRoyce PierresonやAmanda Drewらが関係者と帰って行く様子を眺めながら、2時間経過。

終電の時間も過ぎた深夜0時頃、やっとマークが出てきました。
もちろんスティーヴリースも一緒です。

マークがファンのサインに応えてる間、スティーヴリースは横で待っていたので、
その隙に、もう一度スティーヴに話しかけました。
「あ、また会ったね!」
「先ほどはどうも。言い忘れていたんですが、"Inside No.9"の新シリーズ、楽しみにしてます!」
「ああ、ありがとう!」
「(リースに)一緒に写真を撮らせてもらってもいいですか?」
「いいよ、いいよ!全然構わないよ!」
リースはファンに厳しいイメージがあったのでビビってましたが、気楽なノリで安心しました。
そして大好きな2人と一緒にセルフィーを撮る事が出来たのです!!

その後、マークに挨拶しました。
「やあ、来たね」
ニヤリとするマーク

お昼に会った時には花束の配達の確認しか出来なかったので、
改めてありったけの元気な声で「誕生日おめでとう、マーク!」とプレゼントを渡しました。
花束は日本のファンのみんなからですが、このプレゼントは私から。
日本の幽霊・奇談を英語で紹介した本と、妖怪の絵本(これも英語)を選びました。
実はこのプレゼントの選択も散々悩んで悩んで悩んだ結果、ギリギリに注文して自分で包装したものでした。

マークは嬉しそうに「ありがとうー!!」と受け取ってくれました。
紙袋の中を覗く姿が、おもちゃの封を開けたい子供の様で微笑ましかったです。
その好奇心を制して、サインをおねだりする私(笑)。
写真も、近くにいたファンが撮ってくれました。
が、後で見てみたらブレブレ(苦笑)。やっぱりセルフィーすればよかった。

その後、前日のトークイベント"Masterclass"で話していた映画「おくりびと」について訊きました。
このイベントで、お父さんと「おくりびと」を一緒に見て感動したと語っていたのですが、
どこでどうやって見たのか知りたかったからです。(私が聞き漏らしていたのかもしれませんが。)

「『おくりびと』はどこで見たんですか?」
「あれは父の家で見たんだよ」
「DVDでですか?」
「テレビでやってたんだ」
「テレビで!私も好きなので、あなたが気に入っていると聞いて嬉しいです」
「うん、素晴らしい映画だよね!」

マークのサインが終わると、3人は共にその場を去ろうとしましたが、
他のファンが引き止めて、3人と写真を撮り始めたので、
どさくさに紛れて「私もいいですかっ!!」と忍び寄り、
マークリーススティーヴと共に写真を撮らせてもらいました!



ついに!リーグ・オブ・ジェントルマンの3人と!
もちろんもう一人のメンバー=ライターのジェレミーもいたら最高ですが、
こんな機会、そうそう巡り会えるものではありません。
もうこれ以上ない幸せです!!!



帰りは終電がなくなっていたので、徒歩でマーブルアーチまで歩いてナイトバスに乗る事になりましたが、
天にも登る気持ちで、全く苦にはなりませんでした。

次の日はクタクタで、いつの間にかベッドの上で寝落ちてましたが、
夢だったんじゃなかろうか?と不安になって、
4人で撮った写真が残っているのを何度も確認しました。

3人ともとても優しかった…
特にスティーヴは結局3回も一緒に写ってくれて、
しかもどれも最高に素敵な笑顔で泣けてきます。
マークは何度も話しかけているけれど、スティーヴリースも、
映像で聞いたままの声をしていて、今思い出しても震えそうです。
今になって、本当はあれも言いたかったこれも伝えたかったと思いつくこともありますが、
あの時の私にはこれが精一杯だったし、自分の持つありったけの勇気がなんとか実を結んだように思います。

その出待ちの後、
リースと共演者のRoyce Pierresonがそれぞれメンバーの画像を投稿していました。





3人は、リーグ・オブ・ジェントルマンはいずれ再結成するかも…?と語っているので、
その打ち合わせも兼ねていたのかもしれませんが、
この画像を見ると、本当に今でも仲が良さそうで嬉しくなってしまいます。
もちろん再結成のライヴでも発表された暁には、何があってもまた3人に会いに行きたい…!
それまで3人には(もちろん私自身も)元気でいてほしいものです。



そして、"Three Days in the Country"の舞台はもう少し続くのでした。
千秋楽の様子はまたのちほど。

旅行記は続く…。
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ナショナル・シアター"Three Days in the Country"を観る【祝・オリヴィエ賞受賞】

2016-02-24 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■

英国旅行記の続きですが、ここでおめでたいニュース。
2月21日にロンドンで行われた、ファンの投票によって決定する演劇賞"WhatsOnStage Awards"で、
マーク・ゲイティスが"Three Days in the Country"の演技で最優秀助演男優賞を受賞しました。



マークは前年にもドンマー・ウェアハウスで上演され日本でも映画館上映された「コリオレイナス」で受賞。
それまでも舞台版「オール・アバウト・マイ・マザー」やアラン・エイクボーンの喜劇"Season's Greeting"、
ジョージ・ファーカーの喜劇"The Recruiting Officer"等、何度もノミネートされては逃しており、
「コリオレイナス」の頃になるとあまり受賞を期待していなかったようですが、
今回で2年連続受賞の快挙となりました。



(2016年4月9日追記)
そしてさらに! 第60回オリヴィエ賞の、最優秀演劇助演男優賞も受賞しました!!


オリヴィエ賞は「コリオレイナス」以来2回目のノミネートで、今回初の受賞。
もしかしたらもしかして…と思っていましたが!
ファンとしてマークの熱演が評価されて、本当に嬉しい!



彼の出演した"Three Days in the Country"は、ロシアの劇作家ツルゲーネフの「村でのひと月(A Month in the Country)」を元にした翻案で、
原作で描かれている一ヶ月を3日間に短縮しています。
(「村でのひと月」は、バレエとしても上演されていますが、こちらは登場人物が一部削られた物語になっています。)

ドラマ「ドクター・フー」のファンの間では、マスター役のジョン・シムと、
脚本家であり出演もしているマークの共演という点でも注目されていました。
私も昨年戯曲を予習してこの舞台を2度見に行ったので、その時の様子を含めて紹介しますね。



劇場に入ると真紅の幕が下りていました。
開演と同時に幕が開くと、舞台にはロシアの田園風景が背景にあり、
上手下手は舞台袖もなく、照明などが丸見えになっています。
舞台上で使われる小道具や演奏されるピアノなども脇に置かれているのが見て取れます。

田園の背景の前には椅子が並べてあり、
登場しないキャストは舞台脇に捌けず、この椅子に座って待機しています。
「コリオレイナス」の時みたいですね。

あとは舞台の上の方に真紅のドアが吊るしてあって、
第一幕は上の方に下がっているのですが、これが第二幕には舞台に下りていて貯蔵庫の入り口になります。



舞台は1800年代のロシアの田園地帯。
田舎の屋敷に住むナターリア(Amanda Drew)は、
村の地主で屋敷の主人である夫アルカーディ(John Light)との間に恵まれた幼い息子コーリャと、
養女のヴェーラ(Lily Sacofsky)、義母のアンナ(Lynn Farleigh)と彼女の友人リザヴェータ(Debra Gillett)
コーリャのドイツ語の老家庭教師シャーフ(Gawn Grainger)
そして、ナターリアとアルカーディの共通の友人である同居人ラキーチン(John Simm)に囲まれて
穏やかな日常を過ごしていました。

そこに、若い家庭教師のベリャーエフ(Royce Pierreson)がやってきたことで、波乱が起こります。

Three Days in the Country: Turgenev, unrequited love and comedy


同居人のラキーチンは夫妻の初対面の場にも立ち会っていた友人で、
彼はその頃からずっとナターリアに惹かれ続けているのですが、
当のナターリアが、新任の若く美しいベリャーエフへ密かに心焦がれていることに気付きます。

ところが、彼女の養女のヴェーラベリャーエフに惹かれていて、
その若さゆえか、お互いに思い合っていると信じ込んでいます。
ヴェーラベリャーエフと親し気にしている様子を見たナターリアは、
村医者のシュピゲルスキー先生が持ち込んだ、ヴェーラと近隣に住む中年の地主ボリシンツォーフ(Nigel Betts)の縁談を受け入れることにします。

マークが演じているのはこのシュピゲルスキー先生です。

Mark Gatiss | Three Days in the Country | National Theatre


筋書きだけ見ているとシリアスなラヴストーリーのように見えますが、
このシュピゲルスキー先生がいることで、特にコメディ色が強い舞台になっています。

自ら「誤診のマエストロ」と名乗るお調子者なシュピゲルスキー先生は、
新しい馬を買ってくれると約束したボリシンツォーフのために、
ヴェーラたちとの食事会の約束を取り付けますが、臆病なボリシンツォーフは腰が引けて帰ろうと言いだします。

そこで先生は石で出来たベンチを墓に例えて、杖で指しながら
「手入れされてない墓。苔むして、フンが落ちている。
 『ボリシンツォーフ、ここに眠る。彼は一人で生き、跡継ぎを残さず、財産は彼と共に死んだ』
 『どうしてそうなったの?』
 『ああ、ランチにいかなかったからじゃないか?』」

などと一人芝居をして励まします(笑)

そのシュピゲルスキー先生も、ボリシンツォーフに感化されたのか、
ナターリアの義母の友人であるリザヴェータに突然求婚したりします。
この第二幕はじめの演技が、最も笑えて最も注目された場面です。



散歩中に雨に降られたシュピゲルスキー先生とリザヴェータは、貯蔵庫で雨宿りします。
絶好の機会とばかりに彼女に跪き、プロポーズしようとする先生。
そこで、突如跪いた彼を襲う腰痛!
こののたうち回る演技に劇場中が爆笑!
木箱を使って、まるで蜘蛛が地面を這い回るように必死に立ち上がろうとする先生の姿に、
横っ腹が痛くなるほど笑ってしまいます。

「うおぁぁぁー」と悶絶しながら、それでも「私が跪いていると想像して聞いてくれ…」とプロポーズを試みるのですが、
そのプロポーズも独特で、まるで『シュピゲルスキー先生の関白宣言』といった感じ(笑)。
お前を嫁に貰う前に言っておきたいことがある…といった具合に自分の身の上を語りだす先生に、
リザヴェータ「メモ取っていい?」(笑)。
リザヴェータ役のデブラさん(翻案した劇作家パトリック・マーバーの奥さんでもあります)の表情も豊かで笑いを誘うんですよね。
そして先生も彼女に読み聞かせるために驚く程長い巻物のような走り書きを取り出します(笑)。

面白い内容とはいえあまりに自分勝手で且つ長いのでここでは省略しますが(笑)、
つまり、彼は気難しく人嫌いでも性格を変える気はさらさらないし、混沌とした家に暮らしているけれど、
定収入と倹約があればひとつ屋根の下で一緒に暮らして行けるだろうというものです。
「さあ、どうかな?」
巻物を読み終わると、見せ物が終わったサーカス団員のように、手を広げてアピールするシュピゲルスキー先生(笑)。
(観客はここで拍手していました・笑)



今まで何年も会話をしてきたのに、何故突然そんな事を"提案"するのかと訊くリザヴェータに、
やっと腰痛から解放された先生は言います。

「ああ… 夏の狂気とでも呼んでくれ」
「なるほど、日射病なのね…」
←(笑)
「許してくれ、真実を前に私は軽薄なんだ。
 今まで話さなかったのは… 言葉を知らなかったからだ。
 君は軽蔑すると思っていた。
 だが、ボリシンツォーフの後見に、死への恐れ…
 昨日君が言った『服(clothing)』の言い方… 今朝の君の深くて孤独な青い瞳…
 それらの真実、単純なことが私を奮い立たせた。
 何年も君を見てきた。君は素晴らしいと思う。
 私は誰も愛せなかった。だが君なら愛せると思うんだ」


彼女の手にキスをする先生。
始めは自分勝手な先生の求婚に呆れ気味だったリザヴェータも、
この先生の言葉に心を打たれます。
そして、先生は決して上手くはないと言いながら、彼女に歌を歌って聞かせるのでした。



一方、養女ヴェーラボリシンツォーフとの縁談の話をするナターリア
ところがヴェーラは家庭教師のベリャーエフとの縁談だと勘違いします。
ヴェーラから家庭教師と互いに思い合っていると聞かされたナターリアは狼狽し、
同居人のラキーチンに助けを求めます。
ナターリアに片思いしている彼にとっては辛い役割ですね…。

ラキーチンは、彼を解雇するようナターリアを説得しますが、
ベリャーエフと話したナターリアは、
彼が実際には養女ではなく、ナターリアの事を愛していると告白され、決意が鈍ります。
やはり彼を屋敷に置いておきたいというナターリア、それを責めるラキーチン
熱のこもった口論の末、2人は突発的にキスをしてしまい、その様子を夫であるアルカーディに目撃されてしまいます。
夫は2人が浮気していると勘違い… ここがややこしいところ。



ラキーチンは観念して、夫のアルカーディナターリアをずっと愛しつづけていたこと、
また、彼女が彼を愛することはないと説明し、屋敷を出ると告げます。
親友が妻に思いを寄せていたことに驚き、また別離に心を痛めるアルカーディ
そして、ラキーチンベリャーエフに彼が混乱をもたらした事を責め、
自分と共に屋敷を離れるよう言って聞かせます。

「お前は自分を、女を、人生を憎む!愛を必要とするどうしようもない心をな。
 聞け。愛するも愛されるもしない、ただそうすればお前は安全だ。
 信じないだろうがな、だが…お前はそうなるんだ」

そして、むせび泣くラキーチン。切ない…。



ベリャーエフナターリアが互いに思い合っていると知ったヴェーラは激怒。
浮気女と罵ったことでナターリアに平手打ちされたヴェーラは不本意なボリシンツォーフの縁談を受けて家を出ることを決意します。

そして、ベリャーエフは、ヴェーラナターリア宛の手紙を残し、黙って屋敷を去ります。
家庭教師がいなくなって悲しむ息子の様子を見たナターリアヴェーラに理由を訊き、
手紙を残した彼が黙って去った事を知り、打ち拉がれるのでした。



ちなみにボリシンツォーフの縁談がまとまりそうで喜んでいたシュピゲルスキー先生も、
リザヴェータからプロポーズを断られてしまいます…
「おーぅ…」という残念な声が上がる程、観客もこの結果に同情。
陽気な先生の意気消沈っぷりが可哀想でした。まあ、予想出来た結果なんですけどね。

ラキーチンも最後に屋敷を去ります。
残された息子のコーリャを慰めるように、老家庭教師シャーフがカードゲームに誘います。
コーリャの手札には3つの"ハート"。
「いいぞ。それは必要になる」

こんな感じで、笑える芝居だけど、最後には誰も幸せになってないという
ボリシンツォーフは別ですが、)
なんとも切ない英国製ロシア悲喜劇"Three Days in the Country"。

上演中にマーク・ゲイティス本人に質問が出来るという機会があったので、
この中で「誰に同情しますか?」と質問を投げかけたところ、運良く回答を頂けました。



曰く、
「彼ら全員に同情するよ!皆かなり絶望的で、めちゃくちゃにされた人たちだ。我々のようにね。」
とのこと。
でもあなたはめちゃめちゃどころかパーフェクトでしたよ!



各紙の批評を読んでみると、笑いが強調されすぎて社会的な側面が薄れ、
バランスが崩れているといった内容が目立ちました。
確かに(パトリック・マーバーは元々コメディアンということもあってか)笑わせるところは多かったですね。
その中心にいたのがシュピゲルスキー先生だったことは明らかですが、
彼の演技自体は高評価だったと記憶しています。

ワインを持って眠りこけるシャーフのグラスを勝手に取って飲んだり、
死んでるのか疑って脈を計ってみたり(笑)。
ラキーチンとラズベリーを取り合う場面なんかもありました。
とにかく本来の?コメディのフィールドで生き生きと演じているのが感じとれたのです。

「コリオレイナス」でのメニーニアス役もコミカルさと悲哀がいい対比になって素晴らしい演技でしたが、
シュピゲルスキー先生の言動で観客が笑い、それがさらにパワフルな演技への原動力になっている様子は、
見ているこちら側もエキサイトさせられました。
この舞台を見た観客なら誰もが納得の受賞なのではないでしょうか。
本当におめでとう、マーク!





次回は「マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その2」です。
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マーク・ゲイティス氏の誕生日を祝うの巻:その1

2016-02-13 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日 続き■



モルトビー・ストリート・マーケットの後はいよいよナショナル・シアターへ。
今回の旅のメイン・イベント"Three Days in the Country(以下TDitC)"の観劇ですが、
その前に私にはひと仕事する必要がありました。



今回、この舞台のチケットを2日分購入していました。
一つは千秋楽、もう一つがこの17日の分です。
なぜ17日も買ったのか?それは出演者であるマーク・ゲイティス氏の誕生日だからです!




今まで彼へ誕生日に日本からカード等を贈ったことはありましたが、
大きなものは贈ったことがありませんでした。
でも、直接ならプレゼントらしい品物を渡せると思ったわけです。
舞台公演中と誕生日が重なったのはこの2、3年で初めてのはず。なかなかない機会です。

特に私が贈りたかったのは、ちゃんとした花束でした。
以前舞台を見に行った時に、一輪だけ花を渡した事はあったのですが、
持ち歩いて萎れ気味になって、とてもしょぼかったので、
今回は誕生日らしい豪華なお花を贈りたかったわけです。

それに、出来れば私だけじゃなくて、沢山の人が祝っていると分かってもらいたい。
(でも、誰かに声掛けする勇気なんてないわ…。
 それに劇場に送っていいのかどうかも分からないし…。)
しばらくウジウジ悩んでいたのですが、
上演しているナショナル・シアターから「送ってもらえれば関係者に渡しますよ」とメールで返事を貰った事で、
よし、やってみよう!と決意が固まりました。

1ヶ月前からTwitterで声掛けをすると、期待以上に賛同してくれた方が集まりました。
皆さんのメッセージをピックアップし、連名のカードを添えた花束を、
自分で持って行くのではなく、現地ロンドンのフローリストに配達の注文。
発送状況はそのお店からメールでその都度知らせてくれるとのことでした。

ただ、どんなに間違いなく注文したと思っても、本当に届いているのか不安を感じてしまうもの…。
不備があったら「一緒に贈りたい!」と参加してくれた皆さんにも申し訳ない…。
当日の朝、フローリストから発送されたとの連絡メールは貰いましたが、
思い切って、マーク本人に受け取ってもらえたか確認してみることにしました。



17日は土曜日なので昼と夜公演があります。
昼公演は16時半くらいに終わるはずだったので、それまでナショナル・シアターのラウンジで待機。
この間に、チケットの発券も完了。
劇場から観客が出て来たのを確認して、ステージ・ドアへ向かいました。

待っている間、アンドリュー・スコットが楽屋口に入っていくのが見えました。
アンドリューはマチネで見ていたんですね!
スタスタと早足で入っていったかと思うと、十数分か経つとまたスタスタと出て来て、
ファンのアンドリュー!という呼びかけに手だけ振って去って行きました。
マークの誕生日に合わせて見に来たんでしょうか?

その後、若手の共演者の皆さんが来客と談笑しながらドアの前を言ったり来たりしている様子を見ながら、
30分ほど経った頃、マークが3人程の連れの方々と一緒に楽屋から出てきました。
(また「スペクター」のバッチ付けてる!)



10人程のファンの一人一人にサインや写真撮影をしているのを見守りながら、
そろそろ終わりかなというところで、意を決してマークに話しかける私。

「日本からのお花は受け取られましたか?」
「うん! あれは君からのだったの?」
そう言うとマークは私の手をしっかり握り、満面の笑顔で
「どうもありがとう!ビューティフルだよ!」
と喜んでくれました。

そしてハッ、と何か思い出したように一歩退いて
「"キャプテン・ロック"からだね?」
とニコニコしながら言うのです。

私は一瞬、何の事か分からず
(あれ、そんな花屋さんの名前だったっけ? ちがうよな。連名っていうことか?)と勝手に考えて、
「あーそうですそうです(笑)」と適当に相づちを打っていたのですが、
後から考えると、あれはマークが出演していた、"Who Do You Think You Are?"という番組にヒントがありました。

"Who Do You Think〜"はNHKで放送されてる「ファミリー・ヒストリー」の元ネタだと思うのですが、
有名人が自分のルーツを自ら探って行く番組です。
マークはこの番組で、亡くなったお母様の先祖を辿って北アイルランドに渡っていました。

彼の祖先ジョージが、雇われ農場管理人として小作人に賃貸料の取立をしてた時代、
疫病が流行ったり、作物が不作だったりと農民の不満が溢れ、
ジョージのような所謂中間管理職が農民の領地を侵害しないよう、
小作人たちが匿名の集団を雇い、脅迫状を送って脅していたらしいのです。
そしてその匿名の集団が、キャプテン・ロックと名乗っていたそうなんですね。

だから、マークの「キャプテン・ロックからだね?」というのは、
集団で脅迫状を送ってきたんだろ?というマークのジョークだったのですが、
私はそのボケを殺してしまったと最近になってやっと気付いたのでした(笑)。

"Who Do You Think〜"はついこの数日前に放送されたばかりで、日本では当然放送されてないのに、
なんて難易度高いジョークをかましてくれるんだ!(笑)
「そうです、あなたを殺しにきました!」って言えばよかった!(笑)

しかしながら、この発言から私一人ではなく、
集団で贈られたと分かってもらえているということも、はっきりと確信出来たのであります!
連名という理解も、全く間違いというわけではありませんでした。

「あー、ヨカッタ…」
ひとまず安堵する私。
これで皆さんに無事に届いたと報告が出来ます。
「私は今夜の舞台を見るつもりです。それで…」
後でまた会いに来てもいいですか?と訊こうとすると、その前にマークは
「オーケー、わかった。君に会いに出て来るよ」と素早く返答。
そして、連れの方たちと去って行ったのでした。

会いに出てくるよ、というのは、「コリオレイナス」の時にも聞いたので、
(あの時はこの時以上にド緊張してて、何を言っているのか聞き取れないくらいだった…)
実際には出て来ても来なくてもこんな返答をしてくれるとは分かってるのですが、
ついつい嬉しくなってしまいます。



芝居が始まるまでは、ラウンジに戻って戯曲を読み返しました。
ナショナル・シアターのラウンジは落ち着きます。
ブックショップもリニューアルしていて、お土産にも喜ばれそうなロンドンについての絵本やステーショナリー、
ダブルデッカー型のバス等の木製おもちゃ、ナショナル・シアターオリジナルのマグやトートバック等のグッズもあります。
(TDitCにちなんで、凧も売っていました。劇中に凧が登場するんです。)
日中は人も少ないし、ゆっくりくつろげるので、もし近くに住んでいたら毎日でも時間を潰しに来たいくらいです。



この前日、ベネディクトの「ハムレット」も見ていたわけですが、
そのチケット代を一緒に見たフォロワーさんから受け取るのを忘れていたので、
ナショナル・シアターで待ち合せをして(私の都合に合わせて頂いて申し訳ない…)、
1階のエスプレッソ・カフェでお茶をご一緒しました。

その間に個人的なお話をしたり、「ハムレット」の事を思い出したり、先ほど確認したお花の件を話したり。
短いけれど楽しいひと時が過ぎ、上演時間が近づいた頃、
劇場となるLyttelton Theatreに向かいました。



※ナショナル・シアターの中にはOlivier TheatreとLyttelton Theatreの2つの劇場があります。

入場のために前もって発券しておいたチケットを係のお姉さんに見せると
「あちら側の入口です」と逆方向の入口を指されました。
あれ、間違えたか?と思い、もう一方の入口に行くと、
今度は「向こうの入口ですよ」と、先ほど行った入口に戻るよう案内するではないですか。
どうなってるんだ?と思ったら、17日と21日のチケットを両方見せていた事に気付いたのでしたw
今日のチケットは初めに行った方の入口で間違いなかったのですが、
もう一枚の21日はもう一方の入口だったんですね。

そんな感じでウロウロしていると、
見覚えのある男性がラウンジのソファーで上着を脱いでいるところを見つけました。

(あ! スティーヴだ!!)

そう、リーグ・オブ・ジェントルマンのスティーヴ・ペンバートンが来ていたのです!
(え?リーグ・オブ・ジェントルマンを知らない? それじゃあこちらを読んでくれ!)

私はすっかり舞い上がってしまい、普段なら絶対しないことですが、思わず彼に声を掛けてしまいました。
「すみません、スティーヴですか?」
「はい!」
「私、あなたのファンです!リーグが大好きで、Mapp and Luciaも大好きで…」
「おー!ありがとう!」

そして、一緒に写真を撮ってもいいですか?と聞くと、
いいよー!と快諾してくれました。
(咄嗟にお願いする事が写真以外に思いつかなかった…)



スティーヴは先日観劇中に倒れ、「リトル・ブリテン」でお馴染みのデヴィッド・ウォリアムズが運び出したとニュースになっていました。
だから、スティーヴに直接「体を大事にしてくださいね」と伝えたかったのです。
それに彼が脚色&出演したドラマ"Mapp and Lucia"もシリーズ2が製作されないらしいので、せめてファンがいるってことも伝えたかった…。

スティーヴは映像で見るままの愛らしい笑顔で、
あのキレイな青い瞳と優しい声で受け入れてくれて、天にも昇る気分でした。

"Mapp and Lucia"のロケ地であるライに行ったことや、
彼の舞台をまさにそのナショナル・シアターに見に行ったことがあるということも伝えたかったのですが、
開演が近いこともあって、とても悠長に言葉を見つける余裕はありませんでした。
お礼を言って、「楽しんでくださいね!」と声を掛けて立ち去るのが精一杯。
それでも、無事に席に辿り着けた私は、幸せな気分で胸が一杯でした。
リースとはなかなか縁がないなーと贅沢なことを思いつつ…。

そして、舞台の幕は上がったのでした。


…次回に続く。
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モルトビー・ストリート・マーケット

2016-02-01 | 2015年秋、英国の旅
■2015年10月17日■

この日は待ちに待った"Three Days in the Country"観劇の日!
でもその前に、今(少なくとも2015年時点では)話題のマーケットに行って参りました。
モルトビー・ストリート・マーケットです!
2015年の秋に発売された雑誌のロンドン特集で必ずと言っていいほど取り上げられていたこのマーケット。
ロンドンの"食のマーケット"といえば、バラ・マーケットが有名ですが、
その東に位置するこのモルトビー・ストリート・マーケットが今熱い!というのです、



最寄りのバーモンジー駅で下車。
本当は近くという事もあるし、金曜日のバーモンジー・アンティーク・マーケットに寄った後にきたかったんですが、
モルトビー・ストリート・マーケットは土曜日のみ開かれている市なので、翌日に行く事になりました。



駅前のジャマイカ・ロードをまっすぐ西へ進んで、アビーストリートという道に入ると、
モルトビー・ストリート・マーケットの反対側、ドルイド・ストリートに出ます。



元々高架下に集まっていたベーカリーやコーヒー店の工場が集まっていたらしいのですが、
そこから屋台を出してみたら繁盛するようになり、毎週人の絶えない人気のマーケットになったとか。
ここもカフェや食事処になっていますが、今回は時間の関係上先に進みます。
さらに先、高架下をくぐると、活気のある小道があります。



モルトビー・ストリート・マーケットと呼ばれていますが、店が出ているのはロープ・ウォークという高架に沿った道。
この道の左右にレストランやストールが立ち並んでいます。



辿り着いたのはちょうど正午頃でしたが、細い道にあちらからこちらから人の流れが!
かなりの混雑っぷりです。
日本やアジアからの観光客も見かけました。



入ってすぐのスモークサーモンの店。さっそく美味しそう。
バケット?の上にサーモンとチーズが乗ってます。



ワッフルのストール。これも美味しそう!
もうちょっと経って、午後のデザートに食べたいですね。



食べ物だけじゃなくて、石鹸やルームフレグランスを売っているストールも。





スコッチエッグにチョコレート、サンドウィッチにホットドックと、
どれもこれも美味しそう。お昼に何を食べるべきか、なかなか決められません。
私はひとりだったので気が引けましたが、高架下のレストランに入っても良さそうですね。

どれを食べようか悩みながらロープ・ウォークの最後まで辿り付くと、
近くに中古家具屋さんがあったので覗いてみました。



外まで家具が並べられていますが、中もぎっしり。
店を突っ切って、反対側のドルイド・ストリートに出ることも出来ます。



時代を感じる可愛いポットや貯金箱。右側はブタ特集ですね(笑)。
割れ物だから持ち帰るのが大変そうだけど、どれか買っておけばよかったかも。



なんだかよく分からないスイッチの付いた機材。
見る人が見れば分かるものなんでしょうか。
こういう用途が分からない代物、無意味に欲しくなっちゃう。



古いミシンにタイプライター。インテリアとしてもお洒落かもしれませんね。
そして…



ぎゃー!生首!…もちろん作りものですが。
ホラー映画に使われた小道具でしょうかね?

さて、再度マーケットに戻り、迷いに迷って、
結局、昼食はステーキラップを買いました。
ビーフです。日本でもあまり食べないのに、なんだか急に牛を欲してしまった…。




肉です。この重量感。ずっしり。
始めはお腹が空いてたのでガツガツ食べていましたが、だんだんスピードが鈍ってくる…。
結局最後は残してしまいました。牛さんごめんなさい。でも美味しかったですよ。

そしてデザートはマーケット名物の人気ベーカリー、セント・ジョンのカスタード・ドーナッツ。
ドルイド・ストリートにベーカリーがありますが、こちらのレストランにも置いてあります。
2ポンドくらいだったかな。お腹いっぱいで食べきれなかったので、ナショナル・シアターまで持ち帰りました。
英国のデザートは吐き気がするほど甘いイメージですが(笑)、このドーナツは甘さ控えめ。
さっぱりしていて食べやすい。美味しいです!
入手するには並ばないといけないと聞いていましたが、なんで並ばないですぐ買えたんだろう。謎。



混んでいてお店の前の写真が上手く撮れなかったけど、
セント・ジョンの看板は見えるでしょ?

ストールで買ったものは座るところはあまり用意されてないので、基本立ち食い。
まあ、どこのマーケットも"立ち食い座り食い"で仲間と喋りながら食べるのがオツって雰囲気はありますよね。

バラ・マーケットは広すぎて一日で探索するには時間が足りないけれど、
(それに教会の脇は鳩がたくさんいて汚かったりするし、)
このくらいの規模なら疲れない程度に迷って自分の食べたい一品を見つけられそうですね。

さてさて、腹ごしらえの後は、ツーリーストリートに出て、バスに乗りナショナル・シアターへ!
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