だから、ここに来た!

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キャロル・キングの半生を描くミュージカル"Beautiful"

2015-05-20 | 2015年春、英国の旅
■4月23日 続き■

実は、渡英する数ヶ月前から、旅行の前だというのに気分が落ち込む事が多く、
どうしたらいいのか分からない状態の日が何度もありました。
仕事もやりがいを感じないし、孤独感が募ってどうしようもなく、
何もしたくない時に、ふと聴きたくなったのがキャロル・キングの"You've Got a Friend"でした。

Carole King, You've got a friend


自分で自分を慰めるような気分でこの曲を聴くと、
少しだけ楽になった気がしたものです。

渡英したら、何かミュージカルを見たいと思っていましたが、
迷うことなく"Beautiful - The Carole King Musical"のチケットを予約しました。
キャロル・キングの半生を描いた、彼女の曲が満載の所謂ジュークボックス・ミュージカルです。
ちょうど直前に、オリヴィエ賞でもウエストエンド版に出演するKatie BraybenとLorna Wantが、
主演女優&助演女優賞を受賞したところでもありました。
Aldwych Theatreで上演されています。

Beautiful - Olivier Awards 2015


物語の冒頭はカーネギー・ホールで"So Far Away"を弾き語るキャロルの語りかけから始まります。
「ここにいるなんて信じられない。私は単なるブルックリンで作曲家を目指す女の子だったのに」
そこから、十代の頃の彼女の家へ時間は遡ります。

母親に反対されながらもブロードウェイの出版社へ自分の曲を売り込みに行くキャロル。
数多くの音楽関連会社が入居するブリル・ビルディングの一室で自作曲を披露すると
会社の設立者であるドン・カーシュナーに気に入られます。
同じ頃、大学でジェリー・ゴフィンと出会い、作曲家と作詞家としてコンビを組むことに。
音楽だけでなく、恋愛の対象としても強い繋がりを持っていた二人は、キャロルの妊娠を機に結婚。
2人で数々の名曲を生み出していくことになります。



恥ずかしながら、シンガーソングライターとしてのキャロル・キングは知っていましたが、
「ロコモーション」が2人の作詞作曲であることを初めて知りました。
それにジェリー・ゴフィンは昨年78歳で亡くなっていたんですね。割と最近だ…。

前半は同時代のヒット曲も登場しますが、
ニール・セダカのトゥーマッチなパフォーマンスが出てくると劇場に笑い声が起こりました。
それと、ガールズグループの振り付けがどれも綺麗でしたねー。
The Shirellesの "Will You Still Love Me Tomorrow"なんて手の振りが特に見事で見とれてしまいました。

Song Clip: Will You Love Me Tomorrow | BEAUTIFUL - THE CAROLE KING MUSICAL

これはブロードウェイ版。

キャロルたちは同じくコンビを組むシンシア・ワイルとバリー・マンと切磋琢磨しながら
それぞれドリフターズに"Up on the Roof"、"On Broadway"というヒット曲を提供。
順風満帆に見えた彼らのキャリアでしたが、
ジェリーが歌手のJanelle Woodsとつき合うために距離を置きたいと告白したことで結婚生活の方は破綻し始めます。
(このJanelleというのは架空の歌手らしいです。)



幕間にバーに行くと、ほとんど年上のおじさまおばさまばかり。
私世代の観客は少なかったです。
(Aldwych Theatreはヴィヴィアン・リーが舞台で「欲望という名の電車」を演じた劇場だったんですね。)

キャロル・キングは、この自分が主人公のミュージカルをなかなか見に行けなかったと
トニー賞で告白していましたが、ミュージカル雰囲気自体は明るいけど
決して明るい出来事ばかりではないから無理もないですね…。
単に恥ずかしかったのかもしれませんが。

演者も本人と全く同じ様に歌うことは出来ないわけですから、
モノマネではなく、芝居の中で違和感を感じさせずに歌うのは難しいでしょうね。
(映像でしか見てませんが)ブロードウェイ版のJessie Muellerは素晴らしかったですし、
ウエストエンド版のKatie Braybenも比べると少しクセはあるけど、聴き応えがあります。

Beautiful - The Carole King Musical opening night trailer

ウエストエンドの初日にもキャロル本人やシンシア&バリー本人が来てたんですね。

第2幕、
キャロルとジェリーはそれでも共作を続けていましたが、
不毛な結婚生活に耐えかねたキャロルが、ジェリーにJanelleとの関係を終わらせるよう説得を決意。
ところが、作詞活動に行き詰まったジェリーは精神衰弱のため倒れてしまいます。
入院したジェリーはキャロルに家へ戻ることと、彼女の希望で郊外に住むことを約束します。

ジェリーの退院後、郊外の新居にシンシアとバリーが訪問。
2人は新曲をキャロルたちに聴かせます。
しかし、彼らの曲を聞き、同じように曲を作れないことを嘆いたジェリーは家を出て、街へ向かってしまいます。
キャロルが彼の後を追い、シンシアたちから聞いた、彼と一緒にいたのを見たという女性歌手の部屋を訪れると、
そこにはシャツ一枚で寛いだ姿の元気そうなジェリーが出てくるのでした…。

ジェリーとの別れを決意したキャロルは、LAに移り住むことを決意。
ドン・カーシュナーやシンシアとバリーに、別れの挨拶として"You've Got a Friend"を歌います。



その後の彼女は私も知る通り「つづれおり」を発表し、
1971年にはカーネギー・ホールでのコンサートを成功されるわけですが、
「つづれおり」の曲が歌われ始めると、客席のおじさまたちがあちらこちらで足踏みを始めて、
女性よりも男性の方がノリノリなのが見ていて意外でした。

カーテンコールで"I Feel the Earth Move"が流れ始めると、
観客は一斉に席を立ち、手拍子を入れながら一緒に熱唱。
こういう時に音楽の力強さを感じます。



トニー賞とオリヴィエ賞以外に何も予習せずに見に行きましたが、
英語も思ったよりは聞き取り出来たし、分かりやすいストーリーだったので助かりました。

今まであまりにキャロル・キングのことを何も知らなかったことに気付きました。
才能溢れる人でも、私生活では苦しんだり、胸を痛めたりするものですよね。
元気になるために見に行ったつもりが、妙にしんみりしてしまう部分もあり、
音楽の良さにただただ喜びを感じる所もあり。

華やかなコーラス・グループへ提供した曲に比べると、シンガーとしての彼女の曲は、とても内省的です。
だからこそ、辛くなった時に寄り添うように心に響くのかもしれません。
時には静かに、時には足踏みや手拍子に合わせて。

この後、帰国の飛行機の中でも、「つづれおり」を聴きながら帰りました。
今でも悲しい時には、"You've Got a Friend"が欠かせません。たぶん、これから先も。


次回、グリニッジを歩く、の巻。
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コヴェント・ガーデン周辺でショッピング♪

2015-05-20 | 2015年春、英国の旅
まず、この日の本題に入る前に前日の話から。
4月22日にいつも利用しているホステルに着いたのは9時すぎ。
チェックイン自体は慣れているので簡単に終わり、いつもの最もチープなベッドのある部屋に向かいました。
(チープなベッドといっても、不潔でもないし、カーテンもついているのでプライバシーは守れるのです。)

今回は珍しく二段ベッドの上段に割り当てられたので、
上り下りがちょっと怖いな…と思いつつ、貴重品を一度ベッドの上に乗せて、
歩き疲れてヘトヘトな足で梯子を登ったそのとき、
「ガツーン!」という鈍い音が響き渡ったのでした。
「ん? なんだ?」
床を見下ろすと新品の望遠デジカメが床に落っこちているではありませんか。

「えっ?!」
慌てて降りて、電源を入れてみると「ズームエラー」の表示が出て起動しません。
「そんな〜!」←心の声じゃなくて、実際出てた声。
そのカメラは、この後のシャロコン用に新調した、買って1ヶ月も立っていないものでした。
(望遠じゃなきゃ遠くからトークの登壇者を綺麗に撮れないからね。)

翌日会う予定だった友達に「たった今カメラ落として壊した」と伝えると、
心配してくれて、修復するための方法を何パターンも教えてくれました。
しかし、どれを試してもうんともすんとも言いません。

今までクレジットカードが使えないようなピンチはありましたが、
それは交渉次第でなんとかなるし、解決する方法はいくらでもありました。
今回は自分では解決しようがないし、仮に現地で修理を出しても数日で直るはずもなく、
諦めるより仕方ありませんでした。

あまりにショックが大きくてTwitter上でも当たり散らすように嘆き悲しんで色んな方に慰めて頂きました…。
(その際にはご迷惑おかけしました…)
情けないですが、体力的に疲れていたのもあるし、実は体調もよいとは言えない時期だったので、
精神的にも堪えやすかったのかもしれません。


■4月23日■

次の日。ショックでふて寝して、風呂にも入らずに寝落ちてしまったので、
朝シャワーを浴び、早めに朝食を取りました。



朝食時の天気は曇り空。昨晩のこともあって、心も晴れません。
それでもこの日は友達のSuviと2年半ぶりに再会する日だったので、
悲しい気分でいるのは勿体ない、もう失敗は忘れよう!と心がけました。

Suviはフィンランドに住む日本語が堪能なホームズ・ファンで、スター・ウォーズやドクター・フーのファンでもあります。
彼女が日本に滞在している間に「シャーロック」を通じて知り合い、
フィンランドへ帰国する直前に初めて会ってから、その後もメッセージや手紙のやり取りをしたり、
日本の映画雑誌を送ってあげたり、フィンランドのお菓子を送って貰ったりしていました。
(メッセージのやりとりは英語だけど、会話は日本語。)

彼女は残念ながらシャロコンに行く予定がありませんでしたが、
ロンドン博物館で開催されていたシャーロック・ホームズ展を見にしばらく滞在するというので、
彼女の滞在期間に合わせて、私もシャロコンより少し前に渡英したのでした。



出発する頃には、いつのまにかすっきりとした青空に。
さすがロンドンの気まぐれな空模様。

Suviの滞在するおばさんの家と私の宿泊先は一駅隣で近かったので、
隣駅のホームで待ち合せすることになっていました。
電車に乗って行くと、すぐに姿が見えたので、そのまま一緒に中心部まで乗っていくことに。
2年半ぶりの再会!だけど、定期的にやり取りしているので、全然久しぶりな感じがしない(笑)。

二人とも、もう何度もロンドンに来ているので、
「どこか行きたいところある?」
「いや、これと言って…」な状態(笑)。
私は今回の旅でロンドンをまともに歩くのは初めての日だったので、
まず「オタクの聖地」(笑)、"Forbidden Planet"に寄りたいと提案。
あそこなら何度行っても楽しいですからね。

まずホルボーンで降りて、散歩しながらシャフツベリー・アベニューへ。
前日に歩き過ぎて、足が恐ろしいほどの筋肉痛でしたが、
お互いの近況を話しながら歩いていると楽しくて気になりませんでした。

"Forbidden Planet"でスター・ウォーズのコスチュームに関する本を読んだり、日本の漫画本を素見したり。
私は「ドクター・フー」シリーズ8のブルーレイが欲しかったのですが、値段を見てビックリ。
£50もするので、この日は断念。Amazonで買った方が安そう…。
代わりに細々とした「ドクター・フー」グッズを購入。



リストバンドと「ライト・アップ・ターディス・キット」。
写真では分かりにくいですが、ターディスは下にスイッチがあって頭が光るようになっています。
リストバンドを何処につけていくのかは自分でも謎…。

"Wolf Hall"のブルーレイも欲しくて、この近くの"Fopp"にも寄ってみたのですが、
DVDしかなかったので、こちらも断念…。

テレビオタクっぽい買い物は続けて断念せざるをえませんでしたが、
「ロンドンの中でどこが特に好き?」
「この辺!セブン・ダイヤルズ!それにコヴェント・ガーデンが好き!」
ということで、その後はコヴェント・ガーデン周辺をうろつきました。



食事処を探しつつ、途中で見かけた"magMA"で可愛い雑貨やステーショナリーを物色。
このお店は元々本屋さんのようなのですが、ナノブロックのような日本製のおもちゃも多く扱ってました。
ダブルデッカーやロンドンの街並をかたどった本立て等、洒落たデザインの雑貨が多かったです。

そして、セヴン・ダイヤルズを通りぬけ、コヴェント・ガーデンへ。
通りかかったボウ・ストリートにあるLa Ballerinaでランチをすることに。



私が頼んだのは、リングイネ・ペスカトーレとレモネード。
料理の写真を撮っていると「それは予備の方のカメラ?」と訊かれたので、
前日のカメラ故障の状況を話して、あとはお互いの仕事や学校の事を話し合ったのでした。

そして、いつものようにお互いのお土産を交換。
またフィンランドのお菓子&紅茶を沢山貰っちゃいました( ´ω` )v 
それに「これはもしかしたら苦手かもしれない…」という濃い味のサルミアッキ(真っ黒)も!
確かにかなり強いけど、私は割と平気(笑)。
(ちなみに私からのお土産は、和菓子とムービースターの「ホビット」特集号。)



腹ごしらえをした後は、コヴェント・ガーデン・マーケットへ。
昼を過ぎると太陽の陽射しも強くなって、朝曇っていたのが嘘みたい。



街を歩くと、派手なデザインが施された「ひつじのショーン」に出会いました。
Suviによると「ロンドンのあちこちにいるよ」とのこと。
どうやら病気で苦しむ子供たちのチャリティーのため、
有名人やデザイナーが作ったこれらの個性的なショーンたちを後でオークションにかけるようです。

マーケットの中では、初めてBenjamin Pollock's Toy Shopに立ち寄りました。



日本の駄菓子屋で売っているようなおもちゃや、"飛び出すカード"等、
昔懐かしいおもちゃばかりを取り扱っています。
紙で出来た小さい劇場は、紙芝居の大きさから、マッチ箱くらいのものまであります。
ここで暮らしたい!と思うような楽しさに溢れたお店。



この店で私が買ったのはパッケージがお洒落なブーブークッション(笑)。まだ使っていません。



"Pylones"でキッチュで鮮やかな小物を見たり、
アップルストアでApple Watchを触ってみたり、
"Paperchase"でカードや文房具を見た後、(写真は"Paperchase"で売ってた女王型スポンジ・笑)
マーケットの外側にあるモレスキンのショップにも寄りました。



日本でも買えるので、ここでノートを買うことはありませんが、
ショップごとに異なるスタンプが押せるらしく、
いつもモレスキンの3冊セットのノートを旅行先のメモ帳として持ち歩いているので、
スタンプだけ夢中で押し続けました(笑)。



(見た目が地味なので反転させてみた。)
ちゃんとロンドンやコヴェント・ガーデンにちなんだスタンプになっています。

そして、こちらも毎回必ず立ち寄る"The Cinema Store"を素見した後、
チャリング・クロス・ストリートにあるお菓子屋さん"HARDYS"でお土産を購入。
先ほどのおもちゃ屋さんと同様に、今まで何度も通ったことのある道なのに、初めて入りました。



私は同僚に頼まれていたターキッシュデライトと、家族にはロンドンの街並がデザインされたパッケージの板チョコを。
Suviはベイカー・ストリートの写真がデザインされた紅茶の缶を気に入って、
「缶にボンド・ストリートって書いてあるのに、写真はベイカー・ストリート… でもこれは買わなきゃ!」
と語気を強めて買っていました(笑)。



自分用にこんなお菓子も買いました。中に粉ラムネが入っています。
甘いラムネかと思ったらかなり強めの味。
こんなカラフルなお菓子や、バラエティに富んだチョコレート、紅茶があるので、
次回機会があれば、もっとゆっくり見てお土産を選びたいです。

2人とも夜はお互いに別のミュージカルを見る予定があったので、
それまでの時間、少し離れていますが、前回行ってすっかり気に入ったスピタルフィールズ・マーケットに行きました。

夕方過ぎてもまだお店はやっていると思い込んでしまうのが、東京暮らしの私の悪いクセ。
行ってみたものの、殆どのお店は閉店の準備をしていました。
「場所は分かったと思うから、今度は早い時間に来てみて(汗)」と言い訳しながら、
見て廻れるような、開いているお店を探す私。( ´▱`;)

「ここは日本にもあるでしょ?」と言われて、色彩豊かな雑貨が並ぶ"TIGER"の中に入ってから、
いつも行列の出来ている表参道の「フライング・タイガー・コペンハーゲン」を思い出しました。
日本では違う店舗名で展開してるんですね。
表参道で通りかかる時は「行列してまで入りたくないわー」と思っていた店ですが、
ここでは店の中にいるのはほんの数人程度で、ゆっくり見られます。
日用品からバラエティグッズまで、リーズナブルな値段なので、人気があるのもよく分かります。



残り時間は"Crêpeaffaire"でお茶して休憩。
「シャーロック」のS3の感想を話し合ったり、セルフィー・スティック(自撮り棒!)で写真撮ったり、
傾きかけた陽が暖かく差し込むベンチで、観劇までの時間を過ごしました。



数年前までは、自分がロンドンで(日本語ペラペラとはいえ)海外の友達と一緒に買い物して過ごすなんて思いも寄らなかったでしょう。
日本にいても人との付き合いなんてなかなか続かないのに、海を隔てて2年以上もやり取りが続いていて、
久しぶりに会っても緊張することなく、とても自然にリラックスして話し合えるのが不思議です。
(Suviは日本語を喋るからプレッシャーがあるかもしれないけど…)
おかげで、カメラの件の心の傷も癒えました。f^_^;

別れ際、「『さようなら』は嫌いだから『また今度』だね!」と言って、それぞれの劇場に向かいました。
次はフィンランドかもしれないし、日本かもしれないし、またロンドンかも。
いずれにしても、また一緒に過ごせる日が楽しみ。
楽しい一日をありがとう、Suvi!


次回は、"Beautiful: The Carole King Musical"を見に行った、の巻。
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白亜の大絶壁!セブン・シスターズ(2)

2015-05-18 | 2015年春、英国の旅
■4月22日 続き■

昼食の後は、もう一つの別のルート、セブン・シスターズの真下から崖を眺める道でウォーキング。
この地図で見ると"Beach Trail"と書いてあるオレンジ色のルートですね。
こちらは往復約1時間程掛かります。



シーフォードヘッド側に比べると観光客が多いです。地元の人もいますが、慣れているのか、フットパスのない道を進んでいたりします。



それにこちらのルートは道が舗装されています。
歩き易いけど、ちょっとつまらないですね。午前中みたいに、すれ違う人同士で声を掛け合うこともないし。



川の向こうには羊の群れ。水際で気持ち良さそうに座りこんでます。
中には背中が痒いのか、網に背中をなすり付けている子が。



「何か用?(´・ω・`)」



草の下の土の色を見ると、やはり崖と同じ石灰の白い色が見えます。
そしてここにも斜めになった木々が。



30分ほど歩くと、次第に崖が見えてきます。
近いのでなかなか白い部分まで見えてこないですね。
反対側の遠くには先ほど歩いたルートにあった家が見えています。



さらに10分ほど歩いてやっと海岸へ到着。白い崖もグッと近づきました。
ところが、足元の石のせいで足が取られて先に進めない…。
一歩一歩が重くてセブン・シスターズになかなか近付けません。
帰りの時間もあるので、あまりのんびりも出来ないのに困ったもんだ…。
そこで、海岸から少し離れて崖まで近づいた方が早いのではないか…と気付きました。



思った通り、海岸を離れて大回りすると、足元は草になっているので歩きやすい。
地図で見ると"Park Trail"と書いてあるルートです。)
こちらから崖の横まで近づいた方が早いです。



そしてさらに10分ほど歩いてついにセブン・シスターズの足元へ到着。



…デカいし、近い! 視界に収まり切れません。



そばにいると、形っていうのは分からないものですよね。
意外と遠くから見た方が、その大きさや幽玄さが分かるのかもしれません。
とにかく、見上げて圧倒されるばかり。



崖の表面を接写。確かに白い。自分の手を添えると、色黒に見えます。
途中までは道が舗装されているし、草だけの道も凸凹もせず、坂道もないので、
マウンテン・バイクでここまで来て一休みする人も多く見かけました。



さくっと15分程眺めた後、今度はPark Trailというルートで戻ることにしました。
こちらの方が他の観光客もいないし、歩きやすそう。



例によって歌を歌いながら、枝に止まる鳥を観察したり、
遠くを散歩する犬を盗み撮り(笑)したり。



行きのルート、Beach Trailとの合流点。



最後に心残りがないように羊たちをこれでもかと撮影。
望遠で撮ってるのに、何故かカメラ目線なんです。気配で分かるのかしら。



地元の方の歩き方を見ると、決められたルートしか歩ける場所になっていないわけではなく、
始めから丘に登ったり、途中まで舗装された道を歩いたり、
自分の好きな道から進むことが出来るので、もしまた来る機会があったとしたら、
セブン・シスターズの上を歩いてみたいですね。



カヌーを楽しむ人の向こうに、ビジター・センターが見えてきました。
ここでこの後、お土産用のハガキと、自分用のカードを購入。



まさにこの日見てきた景色のイラスト。色使いがカラフルで気に入りました。
帰りも同じバスに乗って戻ります。
おじさんにバス停の場所を確認して、12番ルートのイーストボーン行きへ。
バス停には、詩人テニスンがウエスト・サセックスにあるゆかりの地、Black Downからの景色を詠んだ詩が掲げられていました。



カントリー・パークから離れるのが名残惜しい…。楽しい散歩道でした。
次に近くにくることがあったら、また来てみたい、それほどまでに好きになりました。
バスの車窓から、歩いた道を眺めます。
そしてあっという間にイーストボーンにただいま。



実はバスは駅までが終点ではない場合があるので、
海沿いのホテルに宿泊している方はそのまま終点まで乗った方がよかったりします。
私もホテルにより近い、劇場前のWinter Gardensで降りました。



イーストボーンの街並ともお別れです。
歩いた事のない道に入ると、海辺の街っぽい異国情緒のあるレストランも多いことにも気付きます。
ホテルで荷物を受け取った後、時間があったので駅前のターミナス・ロードで買い物。



Pound Landでブラウンソースとお菓子を買ったり、ドラック・ストアで化粧品買ったり。
この通りはなんらロンドンと変わりないものが買えますね。
そして18時頃の電車でヴィクトリアへ向けて出発。



さすがに帰りの電車は歩き疲れてウトウトしてしまいました。
時間潰しのために買ったクロスワードパズルも解かないまま。



19時半頃、ロンドンのヴィクトリア駅に到着。
ほんの2日だったのに、サセックスの滞在はものすごーく長く感じました。
全力で楽しんだ結果だと思いますが、それだけに疲労感も半端ない…。

ここからまた宿まで地下鉄で向かわないといけませんでしたが、
腹ごしらえもしたかったのでPret a Mangerで夕食をすることにしました。
その前に用を足しに…と有料トイレに入って鏡を見てびっくり。

「鼻が赤い!!!」

そういえばウォーキングが終わってからまともに鏡を見たのは初めてでした。
まさか陽に焼けるとは思っていなかったので、帽子は被っていましたが日焼け対策もそれほどしていなかったため、
見事に鼻だけ真っ赤になっています! トナカイかっ!
数日後にはシャロコンで写真撮影もあるのに私としたことが…。
よく見てみると、肌の出ていた手の甲もほんのり黒くなっています。

…春先にセブン・シスターズを訪れる方は、是非日焼け対策も忘れずに

(次回、ロンドン編に続く。)
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白亜の大絶壁!セブン・シスターズ(1)

2015-05-14 | 2015年春、英国の旅
■4月22日■

前の日は、帰ってきてから風呂だけ入って、
服は脱ぎっぱなし、荷物も広げっぱなしで、夕食も食べずに寝てしまいました。
正直、疲れ過ぎてあまり記憶が残っていませんが、
朝は早めに起きて、テレビで天気をチェック。
この日は沢山歩く予定だったからです。



ニュースは総選挙が近いので、その話題が中心。
UKIPの党首Nigel Farageがインタビューで出てました。(結局選挙後に辞任することになりましたが。)



ホテルの朝食はイングリッシュ・ブレックファストで好きなメニューを選べます。
私は豆とマッシュルームと目玉焼きをチョイス。
ブラウンソースやケチャップを添えていただきます。
量は少なめだけど、とっても美味しかった!

食事が終わったら、荷物をまとめてホテルに預けた後、
この日の目的地、セブン・シスターズへ向かうため、駅前へと向かいました。



実は昔からセブン・シスターズには憧れていて、
何故そんなに憧れていたのか、今では自分でも分からないのですが、
いつかは絶対に行ってみたいと思っていました。
昔は車がないと行くことは出来ないと思っていましたが、
バスでも行けるので、私のように免許がない人でもご安心ください!

駅前の大通りにはバス停が並んでいます。
セブン・シスターズへはブライトン行きのルート12番に乗って行きます。



想像してたよりバスを待っている人が多いですね。
本数は10分に1本なので、長時間待たされることはありません。
遠くに海を見ながら揺られて、20分くらいでセブン・シスターズ パーク・センターに到着。



ロンドンのバスと同じように電光掲示板に行き先が出るので迷うことはないはずですが、
右側にビジター・センターが見えればそこが降りる場所です。



ライではオープン時間内に辿り着けなかったので、今回はビジター・センターを大いに活用し、
カウンターのおばさんに(大体分かっていたけど)海岸までのルートを確認したり、
おじさんにペットボトルの水が売っているところはないか等、アレコレ質問しまくりました(笑)。
ビジター・センターには絵はがきやセブン・シスターズの名前入りグッズが売っています。
右の写真のような小動物のメモ帳も。



ちなみに、水はセンターの奥にあるカフェで売っていました。
「水? もちろんあるよー。ランチはどうする?」と店員さんに訊かれ、
「えーっと、たぶん後で来ます」と答えると
「オッケー!了解ー!」と手振り付きで軽いノリの返事がw 感じのいい店です。

ビジター・センターからセブン・シスターズを見に行くには、
西のシーフォード・ヘッド側へ向かって、遠くから見る方法と、
セブン・シスターズのすぐ近くまで行くビーチ・トレイルを辿っていく方法があります。
こちらからリーフレットの地図が見られます。)
シーフォード・ヘッド側までは往復2時間、ビーチ・トレイルは1時間。
最初は、時間のかかるシーフォード・ヘッドへ歩くことにしました。



まず車道に沿って西へ。殆どないに等しい狭い歩道ですが、脇に咲いている花を楽しみながら注意して歩きます。



遠くには鮮やかな菜の花畑。川ではカヌーをするグループをよくみかけました。
鳥もあちこちに。



車道を進むと突き当たりにCuckmare Innという宿があります。
この向かって左側にフットパスへの入口があるのです。



ビジター・センターから少し歩くので、始めからこちらの入口に来たければ、
Cuckmare Inn前のバス停で降りるのも良いかと思います。



柵を開けて通ると、茂みに覆われた道を歩いていくと、
見渡す限り緑と菜の花の景色しかない草原へ出ます。



観光客はそれほど居らず、見渡すかぎり私一人だけ。
途中、だいたいすれ違うのは犬の散歩をしているご夫婦で、'Hello!'と声を掛け合います。
お互い笑顔で挨拶すると気分がいいですね!
何度か柵を通っていくと、羊の群れも見るように。



親子で仲良く草を食んでます。(*´ω`*)
羊を見かけるとつい写真を撮りたくなるんですよね。
他の旅行記で見かけたような「風で斜めになった木」も見かけました。



こんな状態の木や茂みがあちこちにあります。
すれ違う地元の方を挨拶を交わして歩いて行くうちに、やっと見えてきました。



あともうちょっとでちゃんと見えそう!
写真や映画で見た事のある高台のお家も遠くに見えてきました。



高台を目指して登ると、第二次大戦で亡くなった兵士のための銘板があります。



ビジター・センターを出発してから高台の家の前までだいたい40分くらい。
ここから海岸を眺めると…



ふぉー! やっと近くまで辿りついた!
せっかくなので、下の海岸まで降りることにしました。



斜めからなので、イマイチ絶壁の凸凹した状態が分かりにくい。
反対側の高台の方は、崖が茶色いんですねー。



このまま向こうの、崖の下に行けそうな気がしますが、
間を川が流れているため、渡れなくなっています。
歩いて行けそうな川の深さではありますが、横断してはいけないことになっているようです。
向こう側で遊ぶ男子たちが海に浮いているように見える…。



犬も楽しそうに遊ぶ水際。
足元は石でボコボコなので、歩くのは大変。



今度は、もう一度高台に戻ってもう少し遠くからセブン・シスターズを見てみましょう。



家よりもさらに高いところまで来ると、
セブン・シスターズという名前の由来になった山がたも少し分かるようになります。



空と海の青に、セブン・シスターズの白が映えます。
現実の景色には思えない、不思議な世界にいる気分。



自分が立っているところも切り立った崖なので、
あまりギリギリまで立てないようにロープが張られています。



写真でこの壮大さがもっと伝わればいいのですが、
やはりこれは実際に行って頂く他はありません。
行ってみて分かったのですが、この崖自体を見るよりも、
ここに辿り着くまでのウォーキングがなにより心地いい。
ここまでの道のりを含めたこの美しい景色なのです。



やはり風は気が斜めになるほど強いですが、
調子に乗って「もっと遠くへ」と足が勝手に動いてしまいます。
あっちへ行ったりこっちへ行ったりと繰り返す私。



そうは言っても、まだもう一つのルートも残っています。
名残惜しいですが、1時間ほどたっぷり景色を見た後、
ビジター・センターへの道を戻りました。



あまりにも誰もいないので、iPodで音楽を聴きながら歌って歩くことも出来ます(笑)。
天気も最高によかったし、気持ちよかった!
異国の散歩道を桜吹雪の中、大声で歌いながら歩く…こんな幸せな時間が他にありますでしょうか。



ビジター・センターまで戻った後、約束通り、先ほどのカフェで昼食を取ることにしました。
ただ、前日にお腹を壊したりしていたので、食べ過ぎて歩く途中にトイレに行きたくなったら困る…。
でも野菜だけなら派手に腹を壊すこともないかな、ということで、
店の黒板に書かれていたアンチョビと卵のサラダを頼んでみました。
「これ、大きいですか?」と訊くと「大きいけど、すっごく美味しいよ」と言われ、
じゃあそれで、と注文したのですが、



どう考えても2、3人分だよな。そりゃそうだ(笑)。
でも確かに美味しかったので、一人でぺろりと食べてしまいました。
アンチョビの塩加減が卵のまろやかさとキャベツのパリパリ感と合ってて旨い。

カフェには観光客はもちろんですが、今まですれ違ってきたような犬連れの地元の人も休息していました。
思った以上に地元の人も利用している散歩道なんですよね。

次回、ビーチ・トレイル編につづく…。
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イーストボーン桟橋

2015-05-13 | 2015年春、英国の旅
■4月21日 続き■

ライから戻った後、まだ外は明るかったので、
イーストボーンの海岸沿いを散歩することにしました。



宿泊先のホテルまで戻らずに、まっすぐに海へと向かうと、イングランドの旗がはためいています。



ホテルの並ぶ道のひとつに、真ん中の目立つ場所に銅像が作られていました。
これは、ウィリアム・キャヴェンディッシュ (第7代デヴォンシャー公爵)のもので、
祖父母からイーストボーンの土地を継承した公爵は公園や広場を作り、街の開発に貢献したようです。



海岸沿いの道路を歩いていくと、イーストボーン桟橋が見えてきました!



桟橋が見える風景ってノスタルジックで大好き。
ちょうど夕暮れ時とあって、傾いた陽の光で美しく見えます。

桟橋の向かいにはまたしても銅像が。



…なんて書いてあるのか、この距離では読めない。
後で調べたところ、ロイヤル・サセックス連隊を讃えるものだったようです。



平日だし、時間も時間なので、桟橋のお店は営業していない様子。
それでもとりあえず先の方まで歩いてみました。



海辺の街らしく、船や海岸を描いたお土産を扱っているみたい。



レストランも営業していませんが、同じように散歩するカップルや友達連れとすれ違いました。
海というと、波がザパーン!と岸に音を立ててやってくるイメージがありますが、
この辺りの海は、波が細かく打ち上げていて、とても穏やかに見えます。



でも、風は強い。びゅーびゅーと耳をかすめます。
ところで、桟橋の一部は工事中になっていて、フェンスで囲まれていたのですが、
どうやら火事があったらしく、そのために工事をしているようでした。



こんな海にある桟橋で火事が起こることもあるんですね。



海風にたっぷり当たった後は、元来た道を戻ります。
歩道の花壇が整理されていて清潔感がありますね。
海沿いはランニングをしたり、ローラーブレードで滑走する人々が目立ちます。
散歩で歩く人は意外にも女の子2人連れが多かったかも。



ちなみに、海岸ではなんとWiFiが使えるようです。
私は今回使いませんでしたが、ホテルのWiFiが使い物にならない時は海岸に来てしまうのも手かな、と思ったり。
(実際、私の宿泊先は部屋でろくにWiFiが使えなかった…)

桟橋の南西側には小さな野外ホールのような場所がありました。
イーストボーン・バンドスタンドと言って、ミュージシャンのコンサートや、バンドのトリビュート・ショーが頻繁に催されているみたい。



こんな海沿いで音楽を聴いてみたいものですね。

■4月21日 終わり■
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中世の港町ライ/イプラ・タワーとランドゲート・アーチ

2015-05-12 | 2015年春、英国の旅
■4月21日 続き■

ラム・ハウスと教会を見た後はのんびり街を歩くことに。



教会の入口からまっすぐ道を降りていくと、マーケット・ストリートに出ます。
道に出たところには、ティールーム"Simon the Pieman"。
ちょうど観光客の若い男の子がスイーツを持ち帰りしていました。



この通りには、先ほど教会から見下ろした町議会の建物があります。



ここも"Mapp and Lucia"で肉屋さんとして出てきた場所。



入口近くには、撮影に使われたような荷車が置いてありました。



また、全く知らなかったのですが、住宅の中に、
シュールレアリズムの画家ポール・ナッシュが住んでいた家がありました。



小説家だけでなく、芸術家にも愛された街なんですね。
マーケット・ストリートにも、ショーウインドウを見るだけでも楽しくなるような雑貨屋さんが目立ちます。



やはり錨のデザインやマリン柄がよく見られますね。
お店の中も現代のドールハウスに入ったような雰囲気。



シンプルだけど、洒落ているデザインのカップや写真立て等の小物たち。
教会からまっすぐのびるライオン・ストリートには、レストラン"Tuscan Kitchen"がありました。



この時間は誰の気配もありませんでしたが、
覗いてみたら既にワイングラスや食器が並べられていて、
私とは無縁そうな、リッチなディナーが楽しめそうなところでした。



そういえば、イプラ・タワーにはどう行ったらいいんだ?
ロンドンのように、通りのそこかしこに道の名前が書いてあるわけではないので、
自分がどこにいるのか分からなくなってしまいます。
あちこちウロウロしていると、町議会の脇の道にイプラ・タワーの方角が示されているではありませんか。



道を進むと、ありました、イプラ・タワー。ライ・キャッスルとも言われています。
13世紀にフランスの侵略から町を守る為に作られた城塞ですが、
イプラというのは、この城塞を買い取った人物の名前だとか。



辿りついた時には既に入場は出来ない時間でした。残念。
("Mapp and Lucia"でジョージィーがここでイプラ・タワーをスケッチして、
 エリザベスに送ってましたね。ガラクタ市で売りに出されちゃったけど)



ちなみに、振り返ると教会の正面入口があります。



イプラ・タワーの傍には、イプラ・キャッスル・インというホテルもあります。



宿泊者?がホテル近くのベンチで談笑中。
このホテルも、ルチアとジョージィーが泊まった宿泊先で出てきたんですよねー。



階段を登ると砲台になっていました。海に向かって、たくさんの大砲が向けられています。



砲台だけあって、近くの家もCannon Houseと名前がついてます。
昔は戦いの拠点だったのでしょうが、今では観光客の一休みの場所となっているようです。
眺めもなかなかのもの!



ここから東側の道を辿っていくと、ランドゲート・アーチがあります。
イプラ・タワーと同様、フランスからの攻撃から街を守るため、
14世紀にヘンリー三世の命令で作られた門のうち、現存しているひとつ。



実は、旅に出る前にこの門についてのBBCの記事を見たのですが、
その内容はというと、ランドゲートに鳩の糞が大量に溜まっているために大掃除をしたというもの。
「巨大なチョコケーキの上を歩くようで、マスクをしてても酷い(臭い)」とか、
読んでいるだけで臭ってきそうで、歴史的建造物としてよりも、その臭いのイメージが強くなってしまいましたw

こんな話をした後に、チョコの話をするのは気が引けますが(笑)、
ランドゲートの近くに、小さなカフェ"Knoops"があります。
ネットの記事で見かけたことがあったので、思い切って中に入り、
看板にオススメされていたホット・チョコレートを注文。



「甘いのがいい?それとも苦いの?」
お店のお姉さんが訊いてきます。
(え、そんな指定がいるのか…。)
何も考えずに勢いで入ってしまったのでどんな味がいいのか全く分かりませんでした。
「オススメはありますか?」と訊くと、
お姉さんは少しずつ色味の違うチョコレートチップを小さいお皿に出してくれて、試食されてくれました。

始めは甘いチョコ、続いてビターな味のチョコ。
次に中間あたりの濃さのチョコを食べて、そこから少し苦めのチョコも試食。
「あ、これが好きかも」
好みの味だったのでそういうと、
「これはね、スペシャルなブレンドなの。あのメニューの真ん中にある味よ」
とボードの67%という貼り紙を指差し、私が指定したチョコを使ってマシンで飲み物を作ってくれました。

紙タンブラーを受け取り一歩店の外へ出て、
ホット・チョコレートを口に含むと、濃厚な味わいが口の中に広がり、
甘ったるさも苦みもなく、ちょうどいいまろやかさがありました。
飲む度に少しずつ、味に深みが出てきます。
店に戻ってお姉さんに
「すっごく美味しいです!」と感想を言ってしまった位に美味しい口当たりw

そんな幸せなチョコとの出会いを経て、門の下を潜りました。



鳩はそんなにいなかったけれど、それだけ長い年月をかけて現存しているってことなんですかねー。
その後、数多くお店の並ぶハイ・ストリートを東から西へ突っ切るように歩きました。



もう閉店していましたが、この道にもお土産やさんがあります。
大きな道路=A259線が近くなってくると、骨董品や絵画の飾られた店を多く見かけるようになります。
もっと早い時間にこのあたりを見られればよかったのですが、時すでに遅し…。



そして、北へ向かって歩いて行くと、ヘリテージ・センターがありました。ライの観光案内所ですね。
外にある大きな錨が目印。



近づいて扉を覗いて見ると、既にCloseしています。
ガラス窓から中を見ると、ライの文字が入ったお土産が沢山置いてあるじゃないですか。



時計を見ると17:30… 30分早ければ=ヴィクトリアで電車に乗り遅れなければ、
お土産見る時間があったのに…。
ここにきて、やらかしてしまったことに今更気付いたのでした。



アンティークの店、"The Quay Antiques and Collectables"も既に営業終了。
トホホ。もっと時間配分を考えておけばよかった。
道に迷い過ぎたのも時間のロスになっていたかもしれません。

このまま帰るのも忍びないので、最後にラム・ハウスに寄った時にはゆっくり見られなかった
マーメイド・ストリートの坂道を登って帰ることにしました。
この街だけでなく、英国の中でも特に美しいと言われる小道です。



密輸業者の巣窟だったことで有名なマーメイド・インもこの道にあります。



現在は密輸業者ではなく、宿泊客で中が賑わっている様子。
もう少ししたらディナー・タイム、というところでしょうか。

なかなかな傾斜のある坂道であり、玉石畳のマーメイド・ストリートは歩きにくくはありますが、
その道自体は穏やかな時間が流れていて、時の流れをわすれさせてくれます。
時の流れを忘れる街… だから時間配分が出来なかったんだよなー。



(ホント、私ってドジ。電車だって気をつけていれば乗り遅れることもなかったのに…)
お土産を見て廻れなかったことを嘆きながら、一人でブツブツ言いながら歩いていると、
道の先に一羽のカモメが立っているではないですか。



スッと立って、こちらをジッと見ています。
「お嬢さん、そんなにしょげなさんな」
なぜかそんな風に声が聞こえてきました(笑)。
「いいから、黙ってついてきな」



テクテク…いや、颯爽と先を進むカモメ氏の後をのろのろついていくと、
ラム・ハウスに通じるウェスト・ストリートまで辿り着きました。
マーメイド・ストリートの看板の下で立ち止まるカモメ氏。



「さあ、歩いてきた道を振り返ってみな。少しは気分が変わるはずだぜ」
そう言われて(?)今来たマーメイド・ストリートを振り返りました。



マーメイド・ストリートの古き良き家並みが、
夕方の陽の光を浴びて、キラキラと輝いてみえました。
誰一人歩行者はおらず、風もなく音もなく、ただ美しくそこにあるのでした。

ああ、そうか…。
今までも何度か憧れの場所を熱意だけを頼りに訪れに来たけれど、
今度もちゃんとここに来れたんだな…。
ホテルでは日帰り出来ないって言われたけど、ラム・ハウスも教会もたっぷり見られたし、
ドラマの撮影された場所もだいたい見て廻れた… 私としては上出来かな。

少し気持ちが晴れたような気がしました。
そして、周りを見回すと「あれ?」



いつのまにかカモメ氏がいなくなってる?
そうか… 凹んだ私を察して寄り道してくれたんだな。
ありがとう、カモメ氏。今日はもう元気に帰れそうだよ。
(オスかメスかは分からないけども。)

そうして、(途中がぶ飲みし過ぎたチョコレートで一瞬お腹を壊しつつも)
駅へと戻り、イーストボーンへと戻ったのでした。

ちなみに、夕方になると駅の正面扉は閉じて通れなくなります。
右側の線路近くの裏口からホームに出ることになるのでご注意。



ちょっと続く。
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中世の港町ライ/聖メアリー教会

2015-05-10 | 2015年春、英国の旅
■4月21日 続き■

ラム・ハウスの次は、通りを歩いてすぐのところにある教会へ向かいます。



この教会もドラマ"Mapp and Lucia"で度々登場します。



教会に向かって右側にはマーク・ゲイティスが演じていたベンジィー少佐の家もあります。



反対側は、エリザベスがルチアの滞在中に暮らしていた親友ダイヴァの家。
ピンク色の外壁が可愛らしい家です。



つまり、みんなご近所なんですね。
こうやって設定されていた舞台を見てみると、ほんの街の一角が舞台になっていたのがよく分かります。
このダイヴァの家をさらに先に行ったところに教会の入口があります。



ラム・ハウスの次に見てみたかったのがこの聖メアリー教会。
教会の塔まで登ると、街が一望出来るはずです。



写真撮影歓迎と書かれていますね。さっそく中へ入ってみます。



教会の中は、緊張感ある静けさよりは、穏やかな気分にさせられるアットホームな雰囲気があります。



街の名所を刺繍したパッチワーク。よく出来てる!



教会の一角には子供用スペースが。
椅子に備え付けてあるクッション?も赤い地に教会が刺繍してあって可愛い!



全体像の模型を見て、初めてどんな形をした教会なのか分かりました。
小さな街の家々の中に立っているから、外側からだと一部分しか外観が見られないんですよね。

のんびり内部を廻っている間、ふと上を見ると、細長い振り子が左右に揺れているのを発見。



天井の穴から振り子だけが突き出ている…。
上からは階段を降りるような足音が響いてきます。
この上に塔に登る階段があるのかな?



入口から入って右側に塔に入るための入口を見つけました。
ただ、入口傍には誰もいないので、売店係の方に声を掛けなければ。
来る前に他の方の旅行記を見て「誰もいなかったから登れなかった」
なんて話も目にしたので、ちょっと不安が過ります。



売店は無人でしたが、呼び出しボタンがあったので一安心。
ボタンを押すと、奥から恰幅のいいおじさんが出てきました。
「塔に登ることはできますか?」と訊くと「いいよー、じゃあ入場料ねー」とあっさり返事が。
他の観光客も登りたそうにしていたので、皆でおじさんに入場料£3.50を渡し、入口へ案内して貰いました。
(おじさんはおつりを持っていなかったので、他の客から貰った小銭をそのまま他の客におつりとして渡したりしていたw)



扉の中に入ると、狭い空間に上へと向かう階段が。
「頭に気をつけて!」とのおじさんの注意だけでなく、
階段のあちこちに頭上注意の警告の貼り紙があります。



ドラマの中でも、エリザベスが塔に登っていて、階段の幅が狭いのは知っているつもりでしたが、
実際に登ってみると、上に行く程どんどん登りにくくなっていく…。



ほとんど蟹歩きです。
そうしてひょこひょこ上へ登るうちに、やっと部屋に辿りつきました。



むむ、この天井に張り巡らされた紐は…。



ああ! ここで教会の鐘を鳴らすのか! それもこんな8人掛りで!
ほんの数人もいれば出来る仕事なのかと思っていました。



鳴らす順番も、決まりがあるようですね。
残念ながら、鐘がなるのは日曜と木曜だけらしい…。
実際に音を聴いてみたかったな。



部屋の中には、塔に備え付けられた時計の歯車も見る事が出来ます。
先ほどの振り子の上は、こうなっていたんですねー。
時計は14世紀に地元ウィンチェルシーの職人によって取り付けられたものらしく、
英国内で最も古い、現在も機能している教会の時計のひとつなのだとか。
実際の時計は、今歩いてきた場所とは別の方向なので後で見るとして、今は塔のもう少し上を目指します。



今までよりさらに急な階段を登ると、人気のない窮屈な部屋に出ます。
…そうだ、エリザベスもここをすり抜けてたなあ。



おお! ここに鐘があった!



大きな8つの鐘が2-4-2と並んでいますが、階段から見下ろしても大きくて全て入りきれません。
この鐘を、下の部屋で操作して鳴らすんですね。



天井に続く階段の上で撮っている間も、足元が急でカメラ落としそう…。怖い。
ビクビクしながら階段の先まで登ると、天井に小さな網扉が着いています。
へっぴり腰のまま、やっとのことで扉を開けて外に出ます。
すると…



「うわあ! なんていい眺め!!」

美しい景色に思わず声を漏らしてしまった私。
風は強くてよろめいてしまうほどですが、文字通りライの街並が一望出来ます。
ライの名所の一つ、イプス・タワーもはっきり見えますね。



今まで歩いて来たピンク色の家や、駅の方角も。



ラム・ハウスの前には、修学旅行?の学生たちの姿が見えます。



庭の中までよく見える!
ドラマの中で、エリザベスが仮病を使って家に引きこもるルチアを塔の上から覗き見する場面があるのですが、
さすがに実際には教会から庭は見えないだろう…と思ってました。



ちゃんと見えるではないですか!
EFベンソンは自分の庭が教会から見えると分かった上で書いていたのかな。
変なところで感動しました(笑)。



遠くの川や湿地だけでなく、街の通り一つ一つの通行人まで観察することが出来ます。
狭い階段を登って来た末に出会うこの眺めは格別です。
しかも他の観光客はこの塔の外まで登ってこないのか、
私一人でこの景色を独り占め出来ました。



町議会にはためくユニオンフラッグ越しに見るライの街並。
海外からの観光客のみならず、英国内の人々にも愛される街であることがよくわかる、
ノスタルジックな味わいがあります。



塔の外壁を見ると、訪れた人が名前等を書き残しているようです。
十分景色を満喫した後は、また元の階段を下っていきます。
急な階段は降りる方が怖い…



そして外へ出て、正面から見た教会と塔の外観。



せっかくだからもっと時計を拡大して写真を撮っておけばよかったなー。

次回は、さらに街を歩きます。
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中世の港町ライ/ラム・ハウス(2)庭編

2015-05-05 | 2015年春、英国の旅
■4月21日、続き■

ラム・ハウスの食堂で資料を読んでいると、外から何やら視線を感じました。



お、犬がこっち見てるぞ。
暖かそうなので、私もついに庭に出て見ると、
おじさまおばさま方が白いテーブルを囲んでお茶とお菓子を楽しんでいました。



確か£6程でスコーンのようなお菓子とティーを注文出来ました。
メニューを撮っておけばよかったですね…。

"Mapp and Lucia"のドラマの中でも、ルチアが庭でパーティーを開いたり、
ヨガ教室になったりもしました。



日光浴するルチアが撓わに実ったイチジクを丸かじりしたりするんですよねー。
さすがに実が成っている木はありませんでした。



私もゆったりお茶したいところでしたが、庭をじっくり歩きたかったので、
外壁沿いにある小道を歩きながら草花を鑑賞。
思ったより庭の奥は鬱蒼としています。
庭の中にはヘンリー・ジェイムズの愛犬たちのお墓もあるようなのですが、
どこにあったのか結局分かりませんでした。



花の名前は詳しくありませんが、春になって暖かくなったところということもあって、
色とりどりの花を楽しむことが出来ましたよ!







狂ったように地面の花へ顔を近づけ、へっぽこフォトグラファーへと変貌した私。
バラには少し早い季節だったかもしれませんね。
格子棚の奥には小さな野菜畑があります。
劇中で、庭の真ん中に塀が出来ていたのですが、あれもやはりセット用に作ったものだったみたい。



さらに奥、裏口近くには池があって、小さな鯉が泳いでいます。



金魚くらいの大きさの鯉。ほとんど動かないけど元気がないのかな…。
こちらのベンチではアイスクリームを食べながら一休みしている方がいます。
メニューにアイスクリームもあったんだ…。



お客さんが去ったと思ったら、また別の方が庭にやってきて休息しています。
私くらいの年代より、年配の方が多かったですね。若い人はあんまり興味がないのかな…。
でも、私が見た限りではライの中でこんなにのんびり過ごせる場所はありませんし、
鳥のさえずりを聴きながら、青空の下でお茶するのもいいと思いますよ。



一通り見終わった後、家の中に戻り、ラム・ハウスについてのブックレットとポストカードを購入。
日本語のしおりを出して頂いたおばさまから「楽しめましたか?」と訊かれて、
「はい、とっても。実は"Mapp and Lucia"を見てからここに来るのが楽しみで…」と話したら、
ドラマのDVDを持ってきてくれたので、
「あ、もう持ってます、前に買いました」と言ったらがっかりされました(苦笑)。ごめんね…。
(でも日本でドラマ見るとしたら、DVD以外に機内上映かイリーガルな方法でしか見る手段ないじゃんね…。)



1時間半程じっくり過ごしたラム・ハウス。外観も目の前のチャーチ・ストリートも、何回見ても味がありますね。
よく見ると、外壁にはヘンリー・ジェイムズと共に、EFベンソンの名前も刻まれています。



裏口の横には陶器に描かれた羊の絵にLAMB HOUSEの文字。



ライは陶器の街としても知られています。
そのためか、家の表札がわりに陶器のお皿に家の名前が書かれているのをよく見かけます。
以下がその表札コレクション。






どれも洒落てますよねー。
次は、私のオススメスポット、ラム・ハウスのすぐ傍にある聖メアリー教会へと向かいます。

続く。
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中世の港町ライ/ラム・ハウス(1)内装編

2015-05-04 | 2015年春、英国の旅
■4月21日、続き■

イーストボーンからアシュフォード・インターナショナル行きの列車に乗って、古きよき港町ライへと向かいます。
港町と言っても、現在は海岸が後退しているので、海は遠くなってしまいましたが、
かつては貿易で栄えた街です。(密輸も盛んだったとか。)
英国内でも観光地として知られているようで、
電車もロンドンからイーストボーンへ向かった時よりも混雑していました。



途中、海岸線やヘイスティングスの驚く程びっしりと丘に立ち並んだ住宅を見ながら、
1時間弱で目的地のライに到着。



そもそも、何故私がライに来ようと思ったかというと、
昨年(2014年)BBCで放送された"Mapp and Lucia"というドラマの舞台になっていたからです。
ドラマ自体、かなり皮肉が効いていて面白かったのですが、
舞台となっている街もとても美しく、是非一度行ってみたいと思ったのです。
最近では日本の旅行会社でも「女子に一押しの観光スポット」として紹介されていたりします。



こじんまりとした可愛い駅舎。
横にはカード等のお土産も扱っているカフェが併設されています。







駅前の通りは至って普通の小さな街らしいパブや商店が並んでいますが、
少し奥に入っていくと、赤い煉瓦造の建物が並んだ街並になってきます。



色々な観光サイトにも載っていましたが、
ライの歩道は玉石が並んだ石畳で、足裏を刺激してきます。
歩くところを選んで側溝の上を進んで行けば、凸凹道が苦手な人も大丈夫。



少し歩くと、14世紀のハーフティンバーと呼ばれるテューダー様式の建物も見る事が出来ます。



そして、この街でもっとも美しいと言われるマーメイド・ストリート。



この道は後でゆっくり見るとして、時間が限られていることもあるし、まず一番見たいところから廻る事にします。
その場所とはナショナル・トラスト(歴史的建築物の保護を目的とした団体)が管理している「ラム・ハウス」です。



ラム・ハウスは「鳩の翼」「ねじの回転」等の作家ヘンリー・ジェイムズが住んでいた家として知られています。
そして、前述した"Mapp and Lucia"の原作者で怪奇作家でもあるEFベンソンが暮らした家でもあり、
"Mapp and Lucia"に登場する家「マラード」のモデルでもあります。



ドラマで見たままの風景!
この内部は、3月から10月の火曜・金曜・土曜しか見る事が出来ません。
金曜・土曜は予定が入っていたので、どうしてもこの21日に見る必要がありました。



中に入り、入場料(ナショナル・トラストの会員でなければ£6)を払うと、
ナショナル・トラストのおばさま3人がお出迎え。
どこから来たのか問われて、日本からだと伝えると、日本語のしおりを出してきてくれました。
写真撮影OKとのことなので、ここぞとばかり2つのカメラを駆使して写真を撮りまくる私。



入ってすぐの玄関に、さっそく"Mapp and Lucia"の小道具が置いてありました!



ルチアと親友のジョージィ、エリザベス・マップが被っていた麦わら帽子ですね。花飾りが綺麗!

←実際の一場面

玄関奥の廊下には、ラム・ハウスを訪れた著名人の肖像が飾られています。



その中の一部、左はHGウェルズ、右はジョージ・バーナード・ショー。



階段はあるけど、上には上がれないみたいですね。ドラマの中では壁紙や窓も変えていたみたい。
建物を損傷から守るために壁紙や緩衝剤、カーペットを使って、実際とはあえて異なる内装にしているようです。



玄関から向かって右の部屋は客間。ここにもルチアの衣装が展示されていました。
こんなに撮影関連のものが置いてあるとは想像してなかったなー!




見栄っ張りなルチアらしい、パリジャン風の30年代当時ではモダンな洋服。
(もっとも、ドラマに出てくる全員が見栄っ張りなのですが。)



テーブルの上部には、ヘンリー・ジェイムズの肖像画。
同じ部屋には彼の70歳の誕生日記念で作られた胸像もあります。



ラム・ハウスは元々ライの町長をしていたジェームズ・ラムが暮らしていた家です。
その後、19世紀末にこの家を気に入ったヘンリー・ジェイムズがロンドンから転居。
のちに家を買い取り、ナショナル・トラストに寄付されるまではジェイムズ家が管理していました。
先ほどの廊下に飾られていた彼の友人の作家たちも、この部屋から外を眺めたのでしょうね。



ライ沖で船が座礁して立ち往生となったジョージ一世もこの家に泊まったとか。
ひときわ目立つ大きな肖像画が飾られています。
本棚に並ぶのはヘンリー・ジェイムズ所蔵の書籍。
(EFベンソンに関する物が蔵書くらいしかないのが残念。でも彼が書いた本は購入出来ます。)

玄関を挟んで反対側は電話部屋。



電話部屋というくらいなので、電話がありますが、主に来客用の書斎として使っていたようです。
この部屋の壁には、マサチューセッツにあるヘンリー・ジェイムズの墓の拓本や、
前述のジョージ一世が滞在中にちょうど生まれたジョージ・ジェイムズが、
王から受け取った洗礼盃の写真が飾られています。



あとは、戦時中に破壊されてしまったガーデンルームの模型が。



左側は入って来た入口の横にあったはずの出窓ですね。
この部屋にも、"Mapp and Lucia"の小道具が置かれています。




左上から時計周りに、マップの手袋、ジョージィの煙草入れ(イニシャル入り!)、TATTLE MAGAZINEの写し、
ルチアがバートレット牧師に宛てた手紙、マップがルチアに宛てた(展覧会用の絵を返却した時の)手紙。

お次は、客間の奥… 階段の横に、円形の窓が印象的な食堂があります。



ドラマの中でもこの部屋がよく出てきました。



ここにはエリザベス・マップの衣装が。



底意地悪いエリザベスが着ていると分かりませんでしたが(笑)、
ピンク色が柔らかい印象の、意外と可愛らしい服ですね。



テーブルの上には、ドラマの撮影中の様子をまとめた冊子が置いてありました。



先ほどの電話部屋で模型が作られていたガーデンルームは1940年代の爆撃によって破壊されてしまいましたが、
ドラマでは撮影のためにわざわざ庭に増築され、ルチアや街の人々が憩う場として使われていました。



←これは本物のガーデンルームのタイルの破片。



爆撃によって、ラム・ハウスだけでなく、周辺の建物もかなり損傷を受けたようですね。
改築の様子を伝える記事もスクラップブックに収められていました。



その他、19世紀初頭の陶器が食堂に彩りを添えています。



ヘンリー・ジェイムズ直筆の手紙や手直し入りの原稿の写し等、
様々な資料に目を通しつつも、食堂の外に見える景色が気になって仕方ありません。
扉から差し込む陽の光。庭から聞こえる談笑の声。
続いては、緑が眩しいとっておきの庭へ足を踏み入れます。

つづく…
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イーストボーンへ

2015-05-02 | 2015年春、英国の旅
■4月21日■

午前7時頃、少し早めに眠りから醒めて、しばらく携帯でTwitter等を眺めた後、
8時前には朝食を食べました。



この日は電車で南の港町イーストボーンに向かう予定でした。
電車の出発時間は10時前。宿泊先を9時に出れば余裕で間に合いそうです。
部屋の他の子たちは就寝中。昨日一緒にZoo Barに行った2人も酔って帰ってそのまま眠った様子。
(まき散らしたのか、床に小銭が散らばっていた。)
部屋の外に出て荷造りをし、2人に昨日のお礼の手紙を一筆書いて枕元に置いておきました。



荷造りの途中、自分の小銭入れがどこかに行ってしまったので、
探したけれどなかなか見つからず、フロントにも聞いてみましたが、
それらしいものは届いていないとのこと。
仕方ないと諦め、チェックアウトを済ませて時計を見ると、
「あれ!? 9時とっくに過ぎてる?」
まだ時間があると思ってのんびり探し物をしているうちに時間が経っていたみたいです。

慌てて扉から出ると、セキュリティの男性が「おやおや〜誰かが出掛けていくみたいだぞ〜」と声をかけてきました。
(みんなにそんな感じで声掛けしているみたい。)
荷物を引きずりながらこんにちは〜と言うと、
「なにか手伝うことはあるかい?」と訊いてくれたので、荷物を階段下まで下ろしてくれるよう頼むと、
「その言葉を待ってたんだよねー」とひょいと運んでくれました。

ここの宿泊先は、深夜も複数のセキュリティが立っていて、
泊まってる子たちも気さくだし、安心出来るところだなーと感じましたね。

それはさておき、最寄りのキングス・クロス・セント・パンクラス駅へ急ぎます。



ロンドンの街にもあちらこちらに花が咲いていて見とれてしまいます。
そして、キングス・クロス・セント・パンクラス駅の傍には立派なホテルが。



こんな写真を撮っているヒマはないのですが…。

案の定、ヴィクトリア駅に付いたのは乗車時間ギリギリ。
慌てて券売機を探してチケットの発券をし、改札を通ろうとするも、扉が開きません。

係員にチケットを見てもらうと、
「ああ、この電車はもう行っちゃったよ」
やってもうたー。脱力感で言葉を失いました(笑)。

「チケットを買い替えるべきですかね…」
と訊くと、その必要はないというのですが、イマイチよく分からず
「このチケット、変えなくていいんですか?」
とさらに訊くと、係員がやれやれと行った様子で自分のカードで扉を開け、
「次に来るのは16分だけど、それでも良ければ中に入って待ってて。
 あそこに椅子があるから、座ってなさい。次の電車が分かったら教えに行ってあげるから」
とホームにある椅子を指差したのでした。
そんなわけで、私はお礼を行ってそのまま入ることが出来たのです。
ほっと安心しましたが、考えてみれば昼食も雑誌も買わずにホームに入ることになってしまったのでした。

構内にある唯一の売店でデニッシュとボトルの水を買って彷徨いてから戻ると、
先ほど指示されたホームに16分発のイーストボーン行き列車が止まっているではないですか。
待っていなさい、と言われたけれど、明らかにその列車に間違いないので、
そのまま乗り込んでしまいました。おじさんごめん…。



電車のチケットは、直前にネットで購入したのですが、
ファーストクラスしか残っておらず、少しお高めになってしまいました。
通常であれば、時間帯によって往復で£10で行けたりするようです。



列車は8両編成で、ヘイワーズ・ヒースから行き先が半分に分かれます。
始めの4両が確かオレ行き、最後の4両がイーストボーン行き。
私は8両目に乗っていたので、このまま乗り換える必要は無し。



イーストボーンに近づいていくと、風景もどんどん長閑になっていきます。
遠くには羊の群れがあちこちに。
そして、ようやく…



着きました! 「ザ・サンシャイン・コースト」こと、イーストボーン!


↑ちなみにこれが乗ってきたSouthEastern Railの電車。



なんとなくイメージ的に古めかしい駅を想像していたのですが、
構内は明るくてお洒落な雰囲気。カフェもWH Smithもあります。


↑ここで気になっていたマーク・ゲイティスのインタビューが載っているRadio Timesを忘れずに購入。



外観も素敵。透き通るような青空に映えるなあ!
駅前にはバスの停留所が並んでいます。
ここから南へ向かって、海沿いのホテルへ歩きます。



歩いてきた街には家具屋さんが多かった印象。
海の傍まで来ると、ホテルが多くあるのですが、中には寂れて閉まっているホテルもありました。

今回私が泊まったホテルは"Da Vinci"というホテルでしたが、
ここも外観は古めで、内装をリフォームしたような場所。
ホテルのドアを開けようとすると、扉の鍵が閉まっていて、
ヒヤッとしましたが、ウロウロしているうちに男性の従業員が扉を開けてくれました。

チェックインまではまだ時間があったので、
「チェックインまで荷物を預けたいのですが…」と相談すると、
「いいですよ。というより、もうチェックイン出来ます」と返事が。
なんだ!じゃあチェックインします!ということで、すぐに部屋に入る事が出来ました。



3階の部屋には2重の扉のあるエレベーターで上がります。
動きが遅くて、ちゃんと機能しているのか不安になるようなエレベーター…(笑)。
部屋に入ると想像以上に小さい部屋でビックリしました。
私のアレ?という様子を察した従業員が「シングルですから」と一言(笑)。
写真で見るととっても可愛らしい部屋ですけどね。でも…



窓からは海一つ見えないという…(苦笑)。

一休みした後は、イーストボーンからライの街に向かいます。
電車に乗り遅れたために、ライ行きの電車まで時間が少し余っているので、荷解きも少し出来ました。

1階に戻り、周辺の地図を探していると、先ほどの従業員が「地図ですか?」と顔を出して、
引き出しから大きなしおりになっている地図を出してくれました。

ホテルの場所や、ショッピング出来る場所を教わった後、これからの予定を訊かれたので、
「これからライへ行く予定です」と答えると、えっ!と驚くではありませんか(笑)!

ライは2、3時間くらいで歩き終わる街だと読んでいたし、時刻表も調べていたので日帰りで十分なのは確かなはずでしたが、
彼が「ライへは遠いから日帰りは無理ですよ。えっと、今から電車を探しますけど…」とパソコンに向かったので
「大丈夫です!行き方は調べてありますから!」と引き止める私。
「そうなんですか!」と急に安心した様子の従業員に見送られて、今来た道を戻って駅に向かいました。
なんだか、あんな驚き方されると、本当に日帰りで回れるのか心配になってきたな…



ラウンドアバウトの真ん中に平和祈念像発見。美しい。
ハドフィールドにあった像に似てるなー。



街角には八重桜(?)。ひとつひとつの房に花びらがぎっしりと詰まっています。



駅に着くと、お目当ての列車の行き先表示が出ていました。
イーストボーンからライは約50分程。
ロンドンからの道のりを合わせると2時間半。考えて見ると、なかなかの遠出です。



ホームの屋根にはカモメが堂々と日光浴。
新調したカメラでアップを激写。
よくみると凛々しい顔をしてるんですね、カモメって。

つづく。
コメント
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