マーク・ゲイティス出演のトークイベントが終わった後は、
バービカン・センターで上演される「ハムレット」へ向かいました。
日本でも1月に映画館上映され、私ももう一度映画館で見直したので、
この機会に振り返っておきたいと思います。
元々、この旅はマークの""Three Days in the Country"目当てで、
チケット発売後に即完売した「ハムレット」は見られないだろうと完全に諦めていました。
バービカンがチケット発売後に(確かsky arts提供の)10ポンドチケットを抽選でリリースすることになっていたので、
それだけイチかバチか応募しておいたのですが、これも応募が殺到するだろうし、まず無理だろうと思っていたのです。
ところが!
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当たった!
何件の応募があったのか忘れてしまったのですが、
(確か何万かあったような…そのうちの60枚分だったか…)
一生分の運を使い果たした感。
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ロンドン博物館の前を通ってバービカンへ。
セント・ポール駅からだと少し歩くので迷いそうになります。
当時ロンドン博物館では犯罪史に関する特別展をやっていたので
本当は近くに来たついでに見てみたかったんですが、今回は時間の都合で無理でした。
劇場のあるバービカン・センターの中も、温室があったり、ゆっくり滞在出来るスペースがあると聞いていたのですが、
そこまで回る余裕はなく…
Box Officeでチケットを発券した後、
ご一緒するフォロワーさんとカフェの前で再会。
前回の渡英時に「ハムレット」を見に行きたかったと聞いていたので、
今回取ったチケットのうち一枚をお譲りしたのですが、
それをきっかけに無理に渡英を調整させてしまったようで若干罪悪感…(苦笑)
バービカン・センターの中はフロア構造が初めて訪問する人間には分かりにくく、
「トイレはどこだ?」「さっきいたカフェにはどう戻れば?」という状態でした。
(しかもトイレの洗面台のスイッチが足踏みボタン式だった!)
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劇場の外には大きな垂れ幕が。
入口前には撮影禁止、携帯の電源はOFFの注意書きが置かれていますね。
プレビュー時に撮影をする観客がいたとか、客席のマナーの悪さが話題になっていて、
ベネディクト本人がステージ・ドアでファンに観劇に当たってのお願いをするなんていう一幕もあったこの作品。
演者に作品以外の心配をさせてしまうというのは残念なことです。
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グッズ売り場ではパンフレットとマグネットを購入。
マグカップやノート、シェイクスピア関連の作品も置いてありました。
当選した権利で入手出来た席は、Upper Circle下手端一番前の席。
照明のすぐ横で、完全に舞台の下手は見えない位置でした(苦笑)。
まあ10ポンドだから仕方ありません。
でもこのエリアの席は1人分の椅子がワイドでその点はいいかも。
バービカン・シアターに来たのはこれが初めてでしたが、
席の列ごとに入口が分かれているのが面白かったですね。
席が途中で通路によって分断されていない。その分、休憩後に戻るのが大変ですが。
私のすぐ横に丸椅子が置いてあったので、気になっていると、
開演前の隣に劇場の女性がやってきて
「上演中、私がここに座りますけどいいですか?」
と訊かれました。スタッフ用の椅子だったんですね。
いいですよ、と返すと、その彼女からさらに
「見るのは何度目?」と話しかけられました。
(即完売のチケットなのに、そんなにリピーターがいるのか?!)
内心驚きながら、
「いや、これが初めてで」というと、
「べネディクトのファンで見に来たの?」
「そのー… はい///」
「じゃあ興奮してるでしょう!? 私、観客が笑ってるの見るの好きなの」
楽しそうに彼女は言うのでした。
(笑う? 「ハムレット」って一応悲劇だよね?)
その時は疑問に思ったのですが、
実際に舞台を見てみてみると、彼女の観客の笑いという意味が分かったのでした。
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日本から観劇しにいった方も多いでしょうし、
日本でNT Liveを見た方もいるでしょうから、舞台の様子を説明するまでもないと思います。
私が見たのはNT Liveの収録の次の日なので、演技も演出も雰囲気は全く同じです。
前述した通り、私の席は左端だったので、
下手の大階段は全く見えず、ハムレットが父の亡霊に会いに行く時にいた2階の様子も全く見えません。
しかし、冒頭にハムレットがレコードを聴いている場面は
「ベネディクトがすぐそこにいる!」と近くに感じられました。
プレビュー時はあの有名な「生きるべきか死ぬべきか」がいきなり冒頭に出て来たと話題になっていましたね。
これはさすがに不自然ということか途中で変更になり、私が見に行った上演後半も、冒頭はホレーシオとの再会場面から始まりました。
いつもなら亡霊とホレーシオたち3人の場面から始まりますが、そのシーンはばっさりカット。
ハムレットの部屋から、後ろの幕が上がって、大広間のセットが見えて来たところは興奮しました。
問題の「生きるべきか」の台詞は、気が触れたフリをしてポローニアスを魚屋と呼ぶ場面の後に挿入されています。
これも、実際の戯曲とは違い、通常であれば、これもまた有名なオフィーリアへ言う「尼寺へ行け」の前に入るはずです。
NT Liveで見直した記憶では、ローゼンクランツとギルデンスターンが初登場してから
すぐに2人ハムレットに面会していますが、これも本来はポローニアスと王&王妃のシーンがあったはず。
そんな感じで、有名なシーンがあちこち入れ違っているため、
なんとなくハムレットのストーリーの流れを把握している人間には違和感が残りました。
地元英国の演劇ファンにしてみれば、毎回同じハムレットを見るのは退屈かもしれませんが、
今回のハムレットはおそらく演劇自体が初心者の観客も多かったはずなので、
順を追って、オーソドックスにやってもよかったのではないでしょうか。
肝心のベネディクトは、とてもエネルギッシュで、思い悩みながらも端々でユーモアを感じさせる、
チャーミングで誠実なハムレットに見えました。
狂人のフリをする時の兵隊ハムレットも可愛らしかったし、
ローゼンクランツや役者たちと話しているときの身振りやダンス等、
なんでもないシーンの中にも彼の茶目っ気演技が見えて、スタッフが言ってた「笑い」はこの部分だなと納得。
彼の観客を惹き付ける力を強烈に感じました。
ただ、私がこのバービカンの「ハムレット」以前に見ていた「ハムレット」はロリー・キニアの映像で、
それを見た時の面白かった!という爽快感は、残念ながらあまり感じなかったというのが正直な感想です。
演出上の疑問点もいくつかありました。
一幕最後の大量の粉塵の意味や、やたらスローモーションが多用されていた意味も気になりました。
(あんなにスローモーションを使った舞台をロンドンで見たのは初めてだった…日本ではよく見るけど)
もっと掘り起こしたら説明しているレビューがあったりするのかな…
他には、オフィーリアの存在が印象に残っていました。
私がハムレットを知る前に思い描いていたオフィーリアのイメージってあんな感じ。
最期にとぼとぼと部屋を去るオフィーリアにこれから起こることを察知したガートルードが、
慌てて彼女の後を追いかけるシーンは目に焼き付いて、今でもすぐに思い出せます。
NT Liveで気付いた点は、ハムレットがデヴィッド・ボウイのTシャツをきていたこと。
あと、すっかり忘れていた国王の絵皿のことを思い出しました!
イギリスではよく見ますが、デンマークでも王室の絵皿とかあるのかな。
観劇後は、フォロワーさんと一緒にSDに行ってみました。
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噂通りの人だかり!
出入口の前だけじゃなくて、少し離れた柵の方にもベネディクトが来てくれるらしいという情報から、
道を隔てた向こう側の柵の後ろで待ってみました。
共演者の方々が次々出てくる中、一際(髪型がw)目立ったのが、
ローゼンクランツ役のマシュー・スティア(Matthew Steer)。
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日本でも放送された「トミーとタペンス」にも出ていましたね。
ファンに自分からドンドンサービスしていく彼を見ていて、
こういう場所は他の俳優が自分を売り込むのにもいいスペースだな、と思ったり(笑)
私もサインしてもらいました。素敵な髪ですね☆っていいたかった(笑)。
そしてガートルード役のアナスタシア・ヒル(Anastasia Hille)。
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この方はポワロの「三幕の殺人」に出ています。
近くで見るととても存在感のある方でした。
サインも貰いましたが、ペンのインクが滲んでしまうという残念な結果に(泣)。
結局、ベネさんは楽屋口から出て来たようではありましたが、
私たちのいる場所まではやってきませんでした。
NT Liveのインタビューで、毎日その日の公演を振り返り反省をして、
「今日はここまでにしよう…」と途中で切り上げると言っていましたが、
あれだけのエネルギーを使う舞台の後でファンサービスをした上で
その日の振り返りをしなければいけないなんて、大変ですよね…。
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次の日はナショナル・シアターで"Three Days in the Counrty"!