だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

赤鬼その2《タイ・バージョン》を観る

2004-09-20 | stage
タイ版の様子とbunkamuraHP
○9月16日○

三バージョンの中で一番見たかった《タイ版》を観てきました。
今回は、正方形の白い舞台(上演が終わると黒くなります)。
そこに、太鼓や鐘のようなものを持った役者達が歌いながら登場、
賑やかな村の表の顔を表すような始まりになっています。
皆、真っ白なシンプルな衣装と、髪に赤いエクステンションをつけていて、
本当にどこかの隠れた島の人々みたい…。

登場人物の三人は、それぞれとても純な印象で、
ホンを読んで思い浮かべたストレートな赤鬼の世界を再現したように感じました。

映像で観た日本版、そしてロンドン版と違うのは、
「あの女」「とんび」「水銀」のストレートな表現です。
「とんび」は本当に素直で何も分かってなさそうだし(笑)、
「水銀」に狡賢さはなく、海の向こうに何があるのか憧れ、
ひたすら「あの女」を愛する男に思えます。
二人の話し合いを観ていると微笑ましくて…。
そして「あの女」は、赤鬼を救おうとするよりも、
自分たちの境遇を、赤鬼を通して村人達にぶつけて示しているように感じました。
その怒りが、最後、赤鬼を裏切ってしまった自分への怒りに替わる点が分かりやすいように思います。
ロンドン版の動画のあるbunkamuraのhp
ロンドン版は、より寓話性が目立っていて、観客に想像させる部分が大きい。
それは、英国自体が知られざる土地ではないからかも知れない。
タイは私たちがまだ知らない部分をたくさん持っているように思えます。
例えば、タイの演劇というものもどんなものなのか、
この公演がなければ考える機会がなかったかもしれません。
そのタイの人たちが演じることが赤鬼をリアルに捉える要因になっている、
そんな気がします。
それと、「赤鬼」の衣装はかなり強烈でした。
モジャモジャ頭でからだじゅう赤や黒の配線が撒かれている怪物、といった感じ。
眼は白いカラーコンタクトが入ってたみたい。
心なしか、声もロンドン版より低かったような…。

ちょっとネタバレになりますが、
水銀が初めて赤鬼と言葉のコミュニケーションをとって
「けっこういいヤツ」と思う場面の「Oh,God!」が、
タイ版ではどうなるのか?というささやかな疑問ですが、赤鬼は、
「おおごとだがやー!」(名古屋弁)と言ってました(笑)。

さらに、お互い同じ意味だと分かると赤鬼はとんびに
「名古屋ーぁ?」と聞き返してました。
これには観客、噴き出しますよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『SURVIVE STYLE +5』試写

2004-09-13 | movie/試写会・映画祭など
派手な色なんだよね、ポスターが。眩しい!
○9月10日○

久々の試写。CMを撮っていた関口現による初監督作品です。

5本のストーリーがなんとなくつながっている映画で、
なんとなく、とあえていうのはあまりカッチリつなぎあわせているのではない、
いい意味で緩さがあるからなのですが、
何がおかしいって岸辺一徳がおかしくておかしくて…
いい歳なのに大変だったろうなぁと思います。
あと荒川良々は出てきただけで可笑しいし、阿部寛のプッツン加減は見所です。
(監督の話だと阿部さんは、撮影中はテンション高いんだけど、
 カメラが廻っていないとなんだか元気なかったそうで、そこがまた笑える…)
浅野忠信の演技は安心して見られて、この映画の柱という印象が強いです。
CMの監督らしく、『茶の味』みたいに突発的な発想勝負!で全面に出ているのかな
と思うと意外と地道に考えられているようなところも見受けられて、
そのさじ加減が好感持てます。

そして最後は見事に感動の名場面が用意されていて!
大体展開の予想はつくけど結構びっくりしますよ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

野田演出『赤鬼』その.1<ロンドン版>

2004-09-03 | stage
○9月2日(木)○

野田秀樹 作・演出の『赤鬼』がシアターコクーンで3バージョン登場、
ということで、全ての公演を観にいきます。

今回はそのうちのひとつ<ロンドン版>。
英国というと、演劇の本場で、
それだけに芝居に対して真剣で厳しい国という印象がありまして、
特にこと言葉にはうるさいんじゃないかと勝手に想像していたのですが、
<ロンドン版>は思ったほど重厚でもなく、
動きで笑わせられる部分も多かったところが意外でした。
TVの中継を見たときは、イマイチ話の現実味が湧かなくて、サラっと見ていたのですが、
生で見ると「あの女」の哀しみと「とんび」の無垢な部分、
「水銀」の哀れさが際立ってとても感激させられました。
純粋に作品と向き合える、そこが<ロンドン版>の特徴ではないでしょうか。

bunkamuraのHPより
noda-map設立後の野田作品にみられるようになった最小限・シンプルな装置(<ロンドン版>は小ぶりなタンスとその中の引き出しが使われます)も、作品自体の持ち味を直球で伝えるためにはぴったりです。
とにかく美しくて、自分も海に放り投げられたような感覚になります。
なにより忘れられないのは、お客さんの舞台を見つめる顔が生き生きしていたことでしょうか。
意外に残っている席も見られましたが、本当に楽しそうに見ている人が多かった…。

そういうわけで、次は再来週、初めて見る<タイ版>!
また同じ作品だというのに出演者や演出などが違うだけでかなり楽しみです!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする