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SHERLOCK「The Great Game」~ヒーローに祭り上げるな!の巻。Part.2【ネタバレ】

2011-11-16 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
つづき。
第4のテストのヒントがピンク色の携帯に送られてきます。
画像はサザーク橋とウォータールー橋間のテムズ川の畔。


Sherlock
You check the papers, I'll look online.
新聞を調べろ。僕はネットだ。
John


Sherlock
Oh, you're angry with me, so you won't help.
あー、怒ってるから手伝いは嫌か?
Not much cop, this caring lark.
君は優しすぎてこういう仕事には向かんな。


このNot much copは、(からかい半分で)つまらない、役に立たないと言う場合に用い、
larkはくだらない、馬鹿馬鹿しい、なので、
「ジョンはお優しくて役に立たないねーやれやれ」と言ってる感じでしょうか。
こんな楽しい仕事なのに、何怒っちゃってんの?とでもいいたげなw




そして、テムズ川で男性の死体が発見されます。


Lestrade
Then we must assume that some poor bugger's primed to explode, yeah?
この男も爆弾で吹っ飛ばされるはずだったのか?
Sherlock
Yes.
ああ。
Lestrade
Any ideas?
考えは?
Sherlock
Seven. So far.
今のところ、7つある。
Lestrade
Seven?
7つ?

聖典「ぶな屋敷」でホームズがワトスンに
「7つの異なる解釈を考えた」(I have devised seven separate explanations)と語る場面がありますが、
遺体の状態を一通り観察したシャーロックは、
最近発掘され、ギャラリーで披露される予定のフェルメールの絵が贋作であることや、
この事件の手口から殺し屋”ゴーレム”が関与していることを見抜きます。

Lestrade
But what has this got to do with that painting. I don't see wh-
それが絵と何の関係がある? ちっとも分からん…
Sherlock
You do see, you just don't observe.
見るだけで観察しないからだ!

John
Alright, alright. Girls. Calm down.
分かった分かった落ち着けよ!
Sherlock, do you want to take us through it?
シャーロック。説明してくれ。


Alright, girls! てw

ここでは「ボヘミアの醜聞」でおなじみの台詞が登場。
しばらく会わなかった間にワトスンが開業していて、
出来の悪い使用人がいることを言い当てて驚いたワトスンに
"you see, but you do not observe."
と言っていますよね。

シャーロックの観察の結果は以下のとおり。
・服装。
=フォーマルだがズボンは頑丈だしポリエステルで汚い。シャツも安物、サイズもでかい。
 →標準仕様の制服。殺す時に邪魔が入ったのか、犯人は身ぐるみはがさずシャツからバッチをもぎ取っただけ。
・職業。
=ベルトに無線機用のフック。フックが尻側。肉がたるんでいるからデスクワークか?
 足の裏の状態と足の静脈瘤を見ると、立ち仕事もするらしい。
 →ガードマン。
・時計のアラーム。
夜常勤で働いていた証拠。ボタンが固いからかなり前にセットされている。
・ポケットに入っているふやけた半券→博物館画廊のガードマン。
ヒックマンギャラリーの職員が行方不明との情報がある。
・ヒックマンギャラリーでフェルメールの傑作が披露される。
・なぜゴーレムに金を払い、普通のガードマンを窒息死させる必要があるのか。
=男性はフェルメールの絵が、3千万ポンドで売れなくなることを知っていた。



Sherlock
The pictures are fake.
つまり絵は贋作だ。
John
Fantastic!
名推理だ!

Sherlock
Meretricious.
お世辞はいい。

Lestrade
And a happy new year.
ゴマするのは?



このレストレードの「and a happy new year!」の意味が分からず、
「誉め讃えちゃって、君たち2人はおめでたいね」っていう意味かと思っちゃいました。

真相は、その前にシャーロックが言う"Meretricious.(=お世辞が見え透いてる)"の発音が、
merry christmasに似ているので、日本でもクリスマスで歌われているフレーズ、
"We wish you a merry christmas and a happy new year!"
をもじって、
"Meretricious ...and a happy new year!"と続けてたらしい!

なんだよ警部!親父ギャグ!?っていうか、実際はあんまりmerry christmasに聞こえん気がするw
ジョンも「?」って顔してるし。
面白くなくて、吹替版でも正確な意味は盛り込まれなかったんだろうか、なんつて。
こんなところでギャグの解説なんかされちゃったら、恥ずかしいだろうな、警部…w


その後、ジョンは被害者男性の自宅へ。
シャーロックはヒックマンギャラリーへ潜入します。


Ms. Wenceslas
Don't you have something to do?
仕事はどうしたの。
Sherlock
Just admiring the view.
実に見事な絵だ。
Ms. Wenceslas
Yes.
ええ!
Lovely. Now get back to work - we open tonight.
仕事しなさい。お披露目は今夜よ。
Sherlock
Doesn't it bother you?
胸が痛まない?
Ms. Wenceslas
What?
え?

Sherlock
That the painting's a fake.
贋作なのに。
Ms. Wenceslas
What?
何?
Sherlock
It's a fake. It has to be. It's the only possible explanation.
絶対に贋作だ。でなければ説明がつかない。
You are in charge, aren't you, Miss Wenceslas?
あんたが責任者? ウェンセスラスさん。
Ms. Wenceslas
Who are you?
あなた誰。
Sherlock
Alex Woodbridge knew that the painting was a fake,
贋作と知ったガードマンは殺された。
so somebody sent the Golem to take care of him. Was it you?
ゴーレムに殺させたのか?
Ms. Wenceslas
Golem? What the hell are you talking about?
ゴーレム? 一体何のこと。
Sherlock
Are you working for someone else? Did you fake it for them?
それとも誰かに言われて贋作を作ったのか。
Ms. Wenceslas
It's not a fake.
贋作じゃない。
Sherlock
It is a fake.
贋作だ。
I don't know why, but there's something wrong with it. There has to be.
この絵には間違ったところがあるはず。
Ms. Wenceslas
What the hell are you on about?
よくそんなこと言えるわね。
You know, I could have you sacked on the spot.
クビにされてもいいの?
Sherlock
Not a problem.
問題はない。
Ms. Wenceslas
No?
ない?
Sherlock
No. I don't work here, you see. I just popped in to give you a bit of friendly advice.
ああ、僕はあんたに忠告しに立ち寄っただけの部外者。
Ms. Wenceslas
How did you get in?
どうやって入った?

Sherlock
Please.
よせよ。
Ms. Wenceslas
I want to know.
言いなさい。
Sherlock
The art of disguise is knowing how to hide in plain sight.
変装のコツは、雰囲気の中にとけ込むこと。
Ms. Wenceslas
Who are you?
あなた誰。
Sherlock
Sherlock Holmes.
シャーロック・ホームズ。
Ms. Wenceslas
Am I supposed to be impressed?
会えてありがたく思うべき?
Sherlock
You should be. Have a nice day!
当然だ。いい一日を!



本家のホームズであれば、「ボヘミアの醜聞」での馬丁や牧師、
「四つの署名」の水兵、「マゼランの宝石」の老婆、
そして「空き家の怪事件」では3年ぶりに再会するワトスンの前に老人の格好で現れたりします。

現代版のシャーロックは大掛かりな変装は今のところ実行していないですね。
もっとも、「変装のコツは雰囲気の中にとけ込むこと」と言っているくらいですから、
ルパンや左文字進みたいな(といって分かる人がいるのかw)、
顔からバリバリっと剥がすような変装ではなく、
今後も服装を変える程度になるかもしれません。
それでも、ガードマンの制服、お似合いです。


シャーロック・ホームズといえば、変装と同じく、ストリートキッズたち…
”ベイカー・ストリート・イレギュラーズ”を使っての情報収集が有名ですが、
現代版では女性のホームレスが登場しています。


Sherlock
Dangerous to jump to conclusions.
結論に飛びつくのは危険だ。
Need data...
データがいる。


「ぶな屋敷」での印象的な台詞、「データ!データ!データ(が足りない)!」を思わせる一言を呟いた後、
シャーロックはこのホームレスの女性にデータ集めを依頼します。


Homeless Woman
Change? Any change?
細かいの、持ってない?
Sherlock
What for?
何に使う?
Homeless Woman
Cup of tea, of course.
お茶を飲むのよ。
Sherlock
Here you go, 50.
50しかない。
Homeless Woman
Thanks.
ありがとう。

John
What are you doing?
…今の何?
Sherlock
Investing.
投資だよ。


そして、シャーロックが変装して潜入している間、
彼女はゴーレムについてのデータを探り、それとなく221Bの傍で待機。


Homeless Woman
Spare change, sir?
小銭いる?
Sherlock
Don't mind if I do.
貰おうかな。



こうしてシャーロックはゴーレムが潜んでる場所の情報…
ヴォクソール・アーケードと書かれた紙切れを受け取ります。
シャーロックとジョンは星空の下、薄暗いアーケードへと向かいます。





Sherlock
Beautiful, isn't it?
実に美しい。
John
I thought you didn't care about...
そういう事に関心があるとは...
Sherlock
Doesn't mean I can't appreciate it.
関心がなくとも愛でることは出来る。
John
Listen, Alex Woodbridge had a message on the answerphone at his flat. A Professor Cairns.
死んだガードマンの電話に、ケアンズ教授って人からのメッセージが残ってた。
Sherlock
This way.
こっちだ。
John
Nice. Nice part of town.
いいね。いい所だ!
Anytime you want to explain?
そろそろ説明しろよ。
Sherlock
Homeless network. Really is indispensable.
ホームレスのネットワークは、必要不可欠だ。
John
Homeless network?
ホームレスのネットワーク...
Sherlock
My eyes and ears, all over the city.
僕の目であり、耳だ。
John
Ah, that's...clever. So you scratch their backs, and...?
ということは、背中をかき合ったりもするわけ?
Sherlock
Yes, then disinfect myself.
そう。で、後で消毒。


消毒w ひどい。


シャーロックは、残念ながらゴーレムを取り逃してしまいます。
(ゴーレムは今後も出て来る可能性大、でしょうか。)

ですが、4番目の人質の少年の声が電話口でカウントする、たった10秒の間に、
被害者がアマチュア天体観測家だったことや、
彼が連絡を取っていたケアンズ教授がゴーレムに襲われた現場に流されていたテープの内容から、
絵の中に当時は見えなかったはずの“バンビューレン超新星”が描かれていたため、
本物のフェルメールの絵ではないと見事に証明してみせます。


主犯のミズ・ウェンセスラスはチェコ系の苗字のようですね。
検索をかけるとチェコのホテルなんかが出てきたりします。
シャーロックも事件解決後に質問しています。


Sherlock
You know, it's interesting. Bohemian stationery,
面白いのは、ボヘミア産の封筒、
an assassin named after a Prague legend.
プラハの伝説にちなんだ名前の殺し屋、
And you, Ms. Wenceslas.
そしてあんたの名だ。
This whole thing has a distinctly Czech feeling about it. Is that where this leads?
全てにチェコの感じがする。事件の元はチェコなのか?


ウェンセスラスさんは、腕のいい贋作師を見つけたために
この3千万ポンドのもうけ話を思いついた訳ですが…


Ms. Wenceslas
It was just an idea. A spark which he blew into a flame.
私の思いつきを、形にしてくれた人がいたの。
Sherlock
Who?
誰?
Ms. Wenceslas
I don't know.
知らないわ。
Holmes looks skeptical. It's true! It took a long time,
ホントよ!時間をかけて少しずつ近づいた。
but eventually I was put in touch with people. His people.
彼の息のかかった、人たちに。
Well, there was never any real contact.
実際に接触したことはないわ。
Just messages. Whispers.
ただ、メッセージや声だけ。
Sherlock
And did those whispers have a name?
その声の持ち主に、名前はあるのか?
Ms. Wenceslas
Moriarty.
…モリアーティ。



そしてこの顔であるw
まるでハリーポッターの“あの人”の名前のようにもったいぶったシーンでした。
DVDに収録されているコメンタリーでも、同じような会話が入っているみたいですが、
シャーロックことCumbarbatch氏が、十八番?のアラン・リックマンのモノマネも披露しているという意味で、
是非日本版DVDにもコメンタリーを入れて欲しいと思いますw

ブルース・パーティントンミサイル防衛システムのデータも取り戻し…
爆弾犯はモリアーティであることは明らかではありますが、
実行犯は全て捉えられて…
いや、ピンクの電話の信号音は5つだったのに、解いたテストはまだ4つ。
まだ1つ残っているはずなのでは…。


Sherlock
Of course he's not the boy's father!
ちがうちがうちがーう! その男が父親のはずないだろう!
Look at the turn-ups on his jeans!
ジーンズの折り返しを見ろよ!

John
Knew it was dangerous.
失敗だったな。
Sherlock
Hm?
ん?
John
Getting you into crap telly.
君にテレビを見せるのは。
Sherlock
Not a patch on Connie Prince.
んー。コニー・プリンスの方がまともだ。
John
Have you given Mycroft the memory stick yet?
フラッシュメモリはお兄さんに?
Sherlock
Yep. He was over the moon. Threatened me with a knighthood. Again.
ああ、喜んでた。爵位を授けるって、脅された。
John
You know I'm still waiting.
待ってるんだけど。
Sherlock
Hm?
ん?
John
For you to admit that a little knowledge of the solar system
and you'd have cleared up the fake painting a lot quicker.
太陽系について知っていれば、もっと早く事件を解決出来たって君が認めるのを。
Sherlock
Didn't do you any good, did it?
知ってた君はどうだった?
John
No, but I'm not the world's only consulting detective.
僕はコンサルタント探偵じゃないし。
Sherlock
True.
だな。
John
I'm going to Sarah's. There's still some of that risotto left in the fridge.
サラと会って来る。遅くなるけど、リゾットが冷蔵庫に残ってるから。
Milk, we need milk.
あー、牛乳買わなきゃ…
Sherlock
I'll get some.
買っておく。
John
Really?
ホント?
Sherlock
Really.
ホント。
John
And some beans, then?
ついでに、豆もいい?

Sherlock
Mm.
んん。


牛乳と豆を買ってるシャーロックって、あんまり想像したくないなーw
ジョンはサラとまだうまく行ってるのか。
サラはなかなか肝が座ってるな。

こんな日常的な風景が戻りつつある中、
自分のブログから爆弾犯にメッセージを送るシャーロック。



ついに、彼との対決の時が迫る…
しかし、そこにいたのは思わぬ人物で…


続きはこちらで。



はぁ~、やっと最後に戻ったぁ。

今回はシャーロックとジョンのやりとりを中心にまとめるつもりでしたが、
思いの外長くなってしまいました。
シャーロックの言動を理解出来ずに困惑するジョンではありますが、
“恋人”と間違えられながらもw、理解しようとサポートし、
この仕事?に面白さを感じているのが分かり、
どんどん私たちの知っているワトスンになっていくのが嬉しいかぎりです。

そのジョンが主に関わっているブルース・パーティントン・プログラムについても、
結局おろそかになっているので、あとで別にちゃんとまとめられたらいいのですが、どうかなw
その他にも第一話、第二話とあるし、振り返りたい箇所が多すぎる!
そうこうしているうちにDVD発売されちゃうじゃないか。

とりあえず、「The Great Game」の流れについてはここで一区切り。
気付いたことがあれば、後で修正入れていきます。
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SHERLOCK「The Great Game」~ヒーローに祭り上げるな!の巻。Part.1【ネタバレ】

2011-11-13 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
今回、長めになってしまったのでちょっと駆け足w

第三話「The Great Game」は、モリアーティの仕掛ける数々のゲームと、
マイクロフトが持ち込んだブルース・パーティントン事件の解決が主軸です。
しかし、この物語の裏テーマは、自分の楽しみとして被害者よりも事件に重きをおくシャーロックと、
その姿勢を受け入れられないジョンとの衝突だと思います。

この衝突は、ケンカというよりは、
彼らが単なる“同僚”や“同居人”以上の関係を築いていく過程と言っていいと思います。
おそらく誰からも理解されなかったシャーロックの物言いや態度に、
視聴者の代弁者たるジョンが疑問を投げかけていく、
シャーロックが事件を解決する一方で、ジョンがシャーロックの人柄を解いて行くような印象です。


ベイカー街の爆発事故で現場に残されていたピンクの携帯電話
第一のテストで、この携帯電話に掛かってきた通話の声の主は、
爆弾魔(モリアーティ)から伝えられたメッセージを喋らされている女性のものでした。
ジョンでなくても人質で女性となると、身の安全と事件との関連が気になるところですが…。


John
So, who do you suppose it was? Woman on the phone, the crying woman.
誰だと思う? 電話口で泣いてた女性…
Sherlock
Oh, she doesn’t matter, she’s just a hostage. No lead there.
彼女は手がかりにはならない。ただの人質だ。
John
For God’s sake, I wasn’t thinking about leads.
おい、そんな言い方はあんまりだろ。
Sherlock
You’re not going to be much use to her.
怒っても彼女は救えない。
John
Are they trying to trace it―trace the call?
警察は電話の発信元を突き止めるかな?
Sherlock
The bomber’s too smart for that. Pass me my phone.
利口な犯人だからな。携帯取って。
John
Where is it?
どこだ?
Sherlock
Jacket.
上着。

Sherlock
Careful!
…そーっと!
John
Text from your brother.
お兄さんからメールだ。
Sherlock
Delete it.
削除しろ。
John
Delete it?
削除?
Sherlock
Missile plans are out of the country now.
設計図はとっくに国外だ。
Nothing we can do about it.
今更遅い。

John
Well, Mycroft thinks there is. He’s texted you eight times.
お兄さんから8通もメールが来てる。
Must be important.
余程のことなんだ。
Sherlock
Then why didn’t he cancel his dental appointment?
なら歯医者の予約を取り消せよ。
John
His what?
何?
Sherlock
Mycroft never texts if he can talk.
喋れないからメールしてきてるんだ。
Look, Andrew West stole the missile plans, tied to sell them,
got his head smashed in for his pains, end of story.
アンドリュー・ウェストは設計図を盗んで売ろうとして殺された。それだけだ。
The only mystery is this... why’s my brother so determined to bore me when somebody else is being so delightfully interesting?
僕を楽しませてくれる人間が登場したのに、どうして兄は邪魔しようとするんだ。
John
Try and remember there’s a woman who might die.
女性の命が掛かってるんだ。

Sherlock
What for? There’s hospitals full of people dying, Doctor.
だから? この病院にも死にかけている人は大勢いる。
Why don’t you go and cry by their bedside and see what good it does them.
その人たちにも同情したらどうだ?


There’s hospitals full of people dying, Doctor.
というシャーロックの台詞で、
そうだ、ジョンって医者だった!って思い出したw
あえてジョンをドクターと呼んで、
医者なんだから、病院の患者も心配したらどうだ?と言っているのでしょう。

シャーロックの解釈は妙に納得させられます。
冷静に判断すれば、死の危機を迎えている人間は入院患者も同じかも。
しかし、突然爆弾を体に巻かれて脅される恐怖は、誰しもが経験しうる危険ではないですからね…。


シャーロックは人質を解放するためのヒントとなるスニーカーの持ち主について
ジョンに“セカンド・オピニオン”を求めたりしがら推理していく中で、
自分が初めて手がけた事件の被害者、カール・パワーズのものであることに気付きます。

シャーロックは黙々と情報を集め、分析しているようですが、
制限時間が迫っているために進行状況が分からないジョンは気が気ではありません。


John
Can I help? I want to help. There’s only five hours left.
手伝うよ。頼む、あと5時間しかない。
It’s your brother. He’s texting me now.
お兄さんからだ。僕にメールだ。
How does he know my number?
…なんでアドレスを?

Sherlock
Must be a root canal.
歯の根の治療か?
John
Look, he did say… national importance.
無視していいのか、国家の大事を。
Sherlock
How quaint.
フン、妙だ。
John
What is?
何が。
Sherlock
You are. "For Queen and Country".
君だ。国に忠誠か?
John
You can't just ignore it!
無視はマズいだろう。
Sherlock
I'm not ignoring it.
無視はしない。
I'm putting my best man onto it right now.
最高の人材を、派遣する。
John
Right. Good. Who's that?
ああ、なら。…誰を?



お前だよ!w

シャーロックの言う"For Queen and Country"
デンゼル・ワシントン主演の日本未公開映画「女王と祖国のために」の原題でもあります。
アメリカ製の映画ですが、8年間の軍隊生活からロンドンへ戻った黒人の退役軍人が、
人種差別を受けたり移民法が改訂された為に国籍を失ってしまうという内容だそうで、
国のために戦った軍人だというのにあんまりな話ですね。
映画のタイトルが皮肉に思えます。

ジョンもアフガニスタンに行っていた軍人なわけなので、
国のために行動することに違和感は覚えないはずですが、
シャーロックにするとHow quaint、なのかも。


そして、マイクロフトの職場を訪れるジョン。
いつもはセーター姿のジョンも、さすがにタイをしています。
(そういえば、グラナダ版の「海軍条約事件」で外務省を訪問した時も、
 ホームズとワトスンはアスコットタイの正装でしたなぁ…)
立ち上がって挨拶するジョンを見向きもせずに座らせる兄上の手が素敵です



で、やっぱり歯が痛そうw

兄上からブルース・パーティントン事件の新たな情報として、
アンドリュー・ウエストの遺体はバタシー駅で発見されたのに、
持っていたOyster card(日本で言うSuicaやPasmo)は使用されておらず、
切符も持っていなかったことが明かされます。

Mycroft
Then... How did he end up with a bashed-in brain on the tracks at Battersea?
何故、頭を割られた状態でバタシー駅で見つかったかが問題だ。
That is the question - the one I was rather hoping Sherlock would provide an answer to.
その答えをシャーロックに訊きたかったんだが…
How's he getting on?
進展具合は?
John
He's fine. And it is going...very well.
じゅ、順調です。うまくいってますよ。
He's, um... He's completely focused on it.
この事件に、かかりっきりですから。


このごまかしと笑顔が最高の人材たる由縁ですw ジミニー・クリケットみたいw

残り3時間。
シャーロックはカール・パワーズの死因について
湿疹の軟膏に混ぜたボツリヌス菌で筋肉が麻痺して溺れたことを解明。
晴れて一人目の人質は解放されます。


Lestrade
She lives in Cornwall. Two men broke in wearing masks, forced her to drive to the car park
コーンウォールの自宅に、押し入った覆面の男2人に駐車場まで車を運転させられ、
and decked her out in enough explosives to take down a house.
爆弾を括りつけられて、言われたそうだ。
Told her to phone you. Check the read-out from this-pager.
君に電話をして、このポケットベルのメッセージを読めと。
Sherlock
If she deviated by one word, the sniper would set her off.
一言でも違えたら遠くから撃ち殺す、と。
John
Or if you hadn’t solved the case.
君が間に合わなければドカン。
Sherlock
Oh…Elegant!
ああ…優雅だ。
John
Elegant?
優雅?

Lestrade
What was the point? Why would anyone do this?
それにしても何故こんな手の込んだことをする?
Sherlock
Oh…I can’t be the only person in the world that gets bored.
きっと、そいつも僕みたいに退屈してるんだろうよ。



コーンウォールというと「悪魔の足」を思い出してしまいますね。
しかし、コーンウォールからわざわざこのゲームに引っ張りだされるとは。
モリアーティやる気まんまんか。
そしてその手口を優雅と表現しまうシャーロックに、
例によってジョンはムッ、としております。

「そいつも僕みたいに退屈だった」…とすれば、
モリアーティも自分の部屋で爆弾の一つも爆発させてるかもしれませんね(((;゜Д゜)))



さて、第二のテストは、爆弾を巻かれた状態で街中に立たされた男性が人質。
このテストも順調に解決。(詳しくはこっちで。
第三のテストは年老いた目の見えない女性。
シャーロックはテレビ番組の司会者、コニー・プリンスの死因がカール・パワーズと同じボツリヌス菌で、
コニーの弟の使用人ラウルがボトックス注射の中に入れていたことを突き止めます。


John
Hey, Sherlock, how long?
おい、いつだよ。
Sherlock
What?
何。
John
How long have you known?
いつ分かった。
Sherlock
Well, this one was quite simple.
今回は簡単だった。
And the bomber repeated himself. That was a mistake.
同じ手口を使ったのはヤツのミスだ。
John
No, but Sherlock, the hostage, the old woman. she’s been there all this time!
シャーロック! おばあさんがずっと人質になってるのにどうして…
Sherlock
I knew I could save her. I also knew that the bomber had given us 12 hours.
すぐに助けてもいいけど、制限時間は12時間だ。
I solved the case quickly, that gave me time to get on with other things.
謎を解いた後、残った時間で色々と調べた。
Don’t you see? We’re one up to him.
こっちのリードだ。


こっちのリード、とはちょっと余裕のある言い方ですが、
この余裕が、このあとに一波乱ありそうなことを感じさせます。

そして、シャーロックは謎を解いたにもかかわらず、
人質のおばあさんが犯人の声の特徴を電話を通して話してしまったばかりに、
爆弾魔は初めてその上着の爆弾を使い、この事件で初めての死者が…。

爆弾魔…つまりモリアーティは、誰かに手を下させるのではなく、
珍しく、自らの手を汚して犯行に及んだわけです。
そこまでしてシャーロックと遊びたいか、モリアーティ。



John
So why is he doing this then? Playing this game with you?
何故君にこんな、ゲームを仕掛けるんだ。
Do you think he wants to be caught?
捕まりたいのか?
Sherlock
I think he wants to be distracted.
気を紛らわせたいんだろう。
John
Well, I hope you'll be very happy together.
似た者同士ってわけだ。
Sherlock
sorry, what?
なんて言った?
John
There are lives at stake Sherlock. Actual human lives.
人の命が掛かってるのに! シャーロック、人の命だぞ!
Jus…Just so I know, do you are about that at all?
それを君は何とも思っていないのか。

Sherlock
Will caring about them help save them?
思ったら助けられるのか?
John
Nope.
いや。
Sherlock
Then I'll continue to not make that mistake.
ならそんな間違いは犯さないよ。
John
And you find that easy, do you?
簡単に言うね。
Sherlock
Yes. Very. Is that news to you?
ああ、悪いか? 何を驚く?
John
No. No.
いいや、いや!
Sherlock
I've disappointed you.
僕に失望したか?
John
Good. That's good deduction. Yeah.
いいね、いい推理だ。

Sherlock
Don't make people into heroes John.
ヒーローに祭り上げるな。
Heroes don't exist and if they did I wouldn't be one of them.
そんなものいないし、僕は違う。



「ヒーローに祭り上げるな」、
シャーロックの人物像を最もうまく捉えた台詞のような気がするんですよね。
脚本家兼兄上のMark Gatissさんのペン先も、特に力が入っていたんじゃないかと、
勝手に想像しているのですが。

一般的なヒーローは、理性よりも感情を優先させて人々を救い出すものですが、
今回、延々と取り上げてるジョンとの会話でも分かるように、
シャーロックの優先順位はあくまで被害者より事件
その事件の中でも、興味を引く面白さがあって、自分がすぐに手をつけるべきものからでないと動かない。
合理的な思考の持ち主ですが、情の欠片も感じさせませんw

ジョンは鋭い判断能力と行動力を持つシャーロックと出会い、
何も起こらないと考えてた人生に変化が生まれたことで、
彼をヒーローのように思いたい部分がある一方で、
情を持ち合わせないシャーロックの言動にガッカリもしてしまう。
そんなジョンを見て、シャーロックは、自分に期待しすぎるなと断っておきたいのかもしれません。

(だからこそ、クライマックスでジョンが自分に対して取った、
 とても理性的とは言えない、無謀な行動に心打たれる部分があったんでしょうね…。)

いいところですが、書いてる途中で、
「文字数が制限を越えています」と表示が出てしまったので
…つづく。( -ω-)
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SHERLOCK「The Great Game」~燃えてきたぜ!の巻。【ネタバレ】

2011-10-27 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
引き続き、「SHERLOCK」の振り返りです。
ちょっと体調悪かったりで更新遅れてます。

爆弾付きジャケットを着せられた市民を解放させるため、
制限時間内にモリアーティが仕掛けた犯罪の解決に挑む現代のシャーロック。

第一のテストは、モリアーティが221Bに置いたと思われるスニーカー。
これはシャーロックが初めて手がけた事件の被害者、
カール・パワーズが所有していたものでした。

第二のテストは放置車両。
レストレード警部が確認すると、車両はレンタカーで、
借り主が銀行員のモンクフォード氏であることが分かります。
レンタカーのシートはモンクフォード氏の血で汚されて、本人は行方不明。
そこで、シャーロックとジョンは奥さんに事情を聞こうとするわけですが。


Sherlock
Mrs. Monkford.
奥様ですか?
Mrs. Monkford
Yes. Sorry, but I’ve already spoken with two policemen.
ええ、話なら他のお二人に…
John
We’re not from the police, we’re…
僕らは警察じゃありません。
Sherlock
Sherlock Holmes. Very old friend of your husband’s.
シャーロック・ホームズです。ご主人とは友達で…
We, um…We grew up together.
一緒に…育った仲です。



Mrs. Monkford
I’m sorry. Who? I don’t think he ever mentioned you.
どちらさま? 初めて聞くお名前ですが…
Sherlock
Oh, he must have done. This is…This is horrible.
いや、聞いてるはずです。
I mean, I just can’t believe it. I only saw him the other day.
信じられません。ついこの間もイアンにあったけど、
Same old Ian. Not a care in the world.
相変わらず何の心配事もないって感じで…(涙)



Mrs. Monkford
Sorry…My husband has been depressed for months. Who are you?
まさか。主人はここ数ヶ月鬱だったんですよ? あなた誰?
Sherlock
Really strange that he hired a car.
車を借りるなんておかしいな。
Why would he do that? It’s a bit suspicious, isn’t it?
なんで借りたんだろう、変です。
Mrs. Monkford
No, it isn’t.
いいえ、ちっとも。
He forgot to renew the tax on the car, that’s all.
車の税金を払い忘れたからです。
Sherlock
Ah, well! That was Ian. That was Ian all over.
ああそうか、イアンらしい。イアンはいつもそうだった!
Mrs. Monkford
No, it wasn’t.
そんなことなかった!
Sherlock
Wasn’t it? Interesting.
そうですか。面白い。



Mrs. Monkford
Who was I taking to?
(警官に)あの人誰?
John
Why did you lie to her?
何で嘘を?
Sherlock
People don’t like telling you things.
事実を引き出すには反論させるのがいい。




シャーロック、女優もビックリの嘘泣きをご披露。
第二話「The Blind Banker」でも住民のフリして
階上の人にインターホン越しで「鍵を忘れちゃって…」なんていいながら不法侵入してましたが、
“普通の人”のように振る舞うシャーロックが見られる貴重な場面ですよねw
美しい涙ですが、その後の「そうですか、面白い」の真顔が…(((;゜Д゜)))
シャーロックが本気で泣くことってあるんでしょうか…。

それはさておき。
シャーロック・ホームズは推理力だけでなく、情報を引き出す会話術にも長けてますよね。

「事実を引き出すには反論させるのがいい」
という台詞から、聖典で思い出すのは、
「四つの署名」で、犯人が乗っている蒸気船の行方を探るため、
持ち主モーディカイ・スミスの奥さんに
「なんて名前でしたっけ?」
「オーロラ号です」
「そうだ!古い緑と黄の幅の太い線のある船?」
「いいえ、塗り立てでスマートな黒に赤の二本線ですよ」
と、船の特徴をさも知っているかのように聞き出していたのを思い出します。

手法は異なりますが、「青い紅玉」を飲み込んだガチョウの売り主情報を得るために、
コベントガーデンの商人ブレッキンリッジの店を訪問したホームズが、
彼が持っていた競馬新聞(「ピンク・アン」)を見て、
ガチョウが都会育ちなんて信じられない、田舎育ちである方に1ソブリン賭ける、と持ちかけ、
仕入れ先の帳簿を持ってこさせることに成功したことも。

わざと間違った発言をして不快になった相手に訂正させたり、
興味のある話題を振っていつのまにか積極的に情報を開示させるようにしむけたり、
名探偵は嘘泣きだけでなく、結論を引き出す話術も身につけておかないといけないようです。


この場面でのシャーロックは、妻との会話の中で、モンクフォードを過去の人としてあえて過去形で話し、
遺体がまだ発見されていないにも関わらず、妻もつられて過去形で語っていることから、
妻が嘘をついていることを見抜きます。

そしてレンタカー屋のヤヌス・カーズ(ヤヌス=2つの顔を持つ神様)
金銭的トラブルを抱えたモンクフォード氏をコロンビアに逃がし、
彼の生命保険を妻とヤヌス・カーズの店長が山分けするだろうという結論に達したのでした。


Sherlock
Now, go and arrest them, Inspector, that’s what you do best.
やつらの逮捕は君に任せる。
We need to let our friendly bomber know that the case is solved.
僕らは爆弾魔に謎を解いたことを知らせないと。
I AM ON FIRE!
燃えてきたぜ!





この台詞! やる気満々の後ろ姿! 
聞いているこっちまで燃えてきたのは言うまでもありませんっ!

冒頭の退屈さ加減から一転、
畳み掛けるように難題を突きつけて来る爆弾魔。
2人はつかの間のランチタイムをとりますが、そこにも新たに挑戦状が届きます。


John
To be honest, we’ve hardly stopped for breath since this thing started.
今回の事件は一息つく暇もない。
Has it occurred to you…?
もしかしたら…
Sherlock
Probably.
おそらくな。
John
No, has it occurred to you that the bomber’s playing a game with you?
聞けよ。爆弾魔は君とゲームをしているのかも。
The envelope, breaking into the other flat, the dead kid’s shoes... it’s all meant for you.
封筒も、下宿の地下室も靴も、全部君に向けたものだ。
Sherlock
Yes, I know.
分かってる。
John
Is it him, then? Moriarty?
じゃああいつか、モリアーティか?
Sherlock
Perhaps.
たぶんね。
(New message)
(新しいメッセージを受信する)

That could be any body.
誰だこれは。
John
Well, it could be, yeah.
知らないかぁー。
Lucky for you, I’ve been more than a little unemployed.
僕がしばらく失業しててよかったな。
Sherlock
What do you mean?
どういう意味?
John
Lucky for you, Mrs. Hudson and I watch far too much telly.
ハドソンさんとテレビをよく見ててよかったよ。




第三のテストは、視聴者変身番組の司会者、コニー・プリンス
日本でもこういう番組ありましたよねー。
同じような人って誰だろう…今現在だと辛うじてドン小西とかそこらへん?
いかにもワイドショーが重宝しそうな人ですね。
それにしてもハドソンさんにつき合って変身番組見てるジョン、かわいいなw

コニーの死は、熱狂的な?視聴者であるハドソンさんにとってもショックな事件だったようです。


Mrs. Hudson
It's a real shame. I liked her.
残念だわ、ファンだったのに。
She taught you how to do your colors.
色のアドバイスがいいのよ。
Lestrade
Colors?
色って?

Mrs. Hudson
You know, what goes best with what.
何色と何色が合うとか。
I should never wear cerise, apparently. Drains me.
私はさくらんぼ色着ちゃダメなの。老けて見える。
Lestrade
Who’s that?
(シャーロックに)誰から?
Sherlock
Home Office.
内務省
Lestrade
Home Office?
内務省?
Sherlock
Well, Home Secretary, actually. Owes me a favour.
ああ、内務大臣だ。貸しがあってね。

Mrs. Hudson
A pretty girl, but she messed about with herself too much.
キレイな人だったけど、整形しすぎよね。
They all do these days. People can hardly move their faces. It’s silly, isn’t it?
最近の人はみんなやるけど、顔が動かせなくなっちゃうなんてバカみたいじゃない?
フフフ…!



この会話、妙に好きなんです。
警部がハドソンさんの世間話につき合ってるのが微笑ましくて。
英国の内務省は「Home Office」って言うんですね。
(ちなみに米国は「the Department of Interior」)

「(He) Owes me a favour」は「貸しがある」。
第一話でもハドソンさんとの出会いをジョンに説明するとき、
シャーロックは「She owes me a favour」と言っています。
内務大臣には一体どんな貸しがあるというのでしょうか…。


さて、モルグで語られるコニーの死因ですが、

Sherlock
According to one of her staff, Raoul de Santos,
スタッフのラウルによれば、
she cut her hand on a rusty nail in the garden.
コニーは庭で錆び付いた釘で手を切った。
Nasty wound. Tetanus bacteria enters the bloodstream, good night, Vienna.
その傷口から破傷風菌が体内に入って、「グッドナイト・ウィーン」


この「グッドナイト・ウィーン」は、リンゴ・スターのアルバムのタイトルで、
リバプールの俗語ではずらかる、という意味があるみたいですね。(wiki情報w)
ここだけ原語のままで吹替ているのが意外です。
ウェストウッドのようにブランド名ではないから、そのまま吹替出来たってだけかもしれませんが。

コニーの傷が新しく、破傷風菌の潜伏期間と一致しないことから、
菌が入ったのは手を切る前の事であったと分かり、
実際はどこから菌が入ったのかを突き止めるため、ジョンがコニーの身辺調査にあたることに。
ジョンはすっかり相棒の役割を率先してこなしてますねー。

薄々モリアーティの影に気付いている2人の一方で、
爆弾魔の正体がまったく掴めないレストレード警部は
苛立ちをシャーロックにぶつけます。

Lestrade
There's something else that we haven't thought of.
他にも分からないことがある。
Sherlock
Is there?
あるか?
Lestrade
Yes. Why is he doing this, the bomber?
あるよ。爆弾魔は何故こんなことを…
If this woman's death was suspicious why point it out?
何故コニーの死が怪しいことを伝えてきた?
Sherlock
Good Samaritan.
いい人だから?
Lestrade
Who press-gangs suicide bombers?
市民に爆弾を巻いてるのは誰だ?
Sherlock
Bad Samaritan.
悪い人かな。
Lestrade
I’m serious, Sherlock.
おい、茶化すなシャーロック!
Listen, I’m cutting you slack here, I’m trusting you,
いいか、私は君を信じてるが、
but out there somewhere some poor bastard’s covered in Semtex and just waiting for you to solve the puzzle.
今もどこかで誰かが、体に爆弾を巻かれて君が謎を解くのを待っているんだ。
So, just tell me. What are we dealing with?
だから教えろ。これはどういう事件だ?
Sherlock
Something new.
…今までにない事件。




「いい人」「悪い人」の部分を、シャーロックは
「good Samaritan」「bad Samaritan」と言っています。
聖書には詳しくないのですが、good Samaritanはイエス・キリストの「善きサマリア人」の説法に基づいているんですね。
キリスト教に馴染みのない者にとってはちょっと難しいです。

 エルサレムからエリコという町に向かう途中だった人物が、
 追いはぎに遭い、身ぐるみ剥がされ暴行されたまま放置されてしまう。
 最初に通りかかった祭司は、その人を見て道の向こう側に歩き去り、
 その次に通りかかったレビ人も、同じように歩き去ってしまった。
 しかし、あるサマリア人はその人を気の毒に思い、
 油と葡萄酒で介抱をした上で自分のロバに乗せて宿屋に連れていって休ませ、
 翌日には宿主に銀貨2枚を渡し、言った。
 「この人を介抱してあげてください。足りなければ、帰りがけに払います」


エルサレム人とサマリア人は犬猿の仲であったにも関わらず、
このサマリア人は当時では貴重な油と葡萄酒で被害者を癒し、
高価な銀貨2枚まで差し出して救おうとしたわけです。
そして最後にイエス・キリストは質問を投げかけます。
「誰がこの追いはぎに遭ったものの隣人となったか?」

ここから発展する「善きサマリア人の法」、
“窮地の人を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、
たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない”

という内容については、もうちょっと勉強が必要です…。

ようするに、殺人事件とは誰も気付かなかったコニー事件の真相を知らせてきた「良い爆弾魔」と、
それをネタに市民に爆弾を巻き付けている「悪い爆弾魔」。
コニー・プリンス事件の謎を解くヒントを与えているのだから、
誰に爆弾を巻いてシャーロックを急かそうが、罪はない、とでも言いたげな
モリアーティのことを皮肉っているようにも思えます。

そして、探偵と犯罪者という敵対する立場でありながら、
犯罪がなければ退屈してしまうという似た者同士の2人が、
“隣人”であることも暗に示しているような気がします。



一方、ジョンはコニーの弟ケニーの元に雑誌記者と偽って潜入。
コニーの愛猫セクメトに目を付けたジョンは、シャーロックをカメラマンのフリをさせて呼び寄せます。
バタバタな偽取材と撮影の様子を見て、弟ケニーが一言、

Mr. Prince
You’re like Laurel and bloody Hardy, you two! What’s going on?
君らはお笑いコンビか? なんなんだ?


お笑いコンビって!
海外のドラマでお笑いコンビって言われると違和感ありますねw
コメディアンって言い方ではないんだ?
と思ってたら、原語ではローレル&ハーディになってました。

日本ではアボット&コステロは凸凹コンビ、マーティン&ルイスは底抜けコンビ
ローレル&ハーディは極楽コンビと呼ばれてましたね。(ローレルは英国人。)
チビデブコンビの元祖的な二人。底抜けコンビより好きですw 久々に映画見てみたいな…。

見た目だけならシャーロック&ジョンはデブチビではないですけど。
でも、結構いけるかもしれない、高機能社会不適合者コンビ!
爆笑問題とか見てると、ちょっとシャーロックとジョンのことを思い出すことがあるんですよね…
こう、太田さんが田中さんをボロクソに扱き下ろすけど、実はキレた田中さんが一番怖いところとかw
不動産屋のコントとか、時事ネタ漫才とか、いかがですか?w
関係ない話で不快に思われましたら、申し訳ない…(^_^;


薄味ですが、今日はここまで…無念。
次回は、ヒーローに祭り上げるな!の巻です。
これは好きな場面がたくさんまとめられそう…。
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SHERLOCK「The Great Game」~IT課のジムくん、の巻。【ネタバレ】

2011-10-12 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
シャーロック・ホームズというと、女には目もくれないイメージがあります。
「SHERLOCK」の中でも「仕事と結婚している」と言い切ってますし。
(これはゲイではないと主張するためのコメントでもありましたが;)

例えば、「ボヘミアの醜聞」で、接触しながらも逃げられてしまったアイリーン(イレーネ)・アドラーのことを
ホームズは「あのひとと呼び、彼女の写真を報酬として受け取っています。
そんな経緯からロバート・ダウニーJrの映画では、アドラーをまるで峰不二子のような、
ホームズを惑わす存在のように描いていたり、
アドラーがホームズにとっての理想の女性なんだ、と解釈する人もいるようですが、
私はあくまで、事件解決に失敗した自分への戒めのために彼女の写真を持ち、
浅はかな女共の中にも侮れない人物がいるのだ、と忘れない意味で「あのひとと呼んでいるのだと解釈しています。

現代のホームズも情緒に流される愚かな人間、
とりわけ恋愛に夢中になるなど、愚の骨頂のように思っているんじゃないかなあ…。そうに違いない。


そんなシャーロック・ホームズに好意を寄せる女性が、モリー・フーパー嬢です。
聖バーソロミュー病院の病理学者で、「glee」と猫を愛する彼女が、
シャーロックの前では髪型を変えてみたり、普段は付けない口紅を塗ったり、コーヒーを飲みに誘ったり、
彼女なりのアピールをしています。

彼女の気持ちを知ってか知らずか…いや、知ってるんでしょうけど、
その好意を利用して彼女の管理するモルグの遺体を、観察したり鞭で打ったりするシャーロック。
(もしかしたら221Bの冷蔵庫に入っていた生首もモリーの協力なのだろうか…)

そしてモリーは彼への好意を断ち切るためか、ついに新しい恋に走ります!


221Bの地下室に置かれていたスニーカーの、靴底に残された花粉を分析中のシャーロック。
その様子を伺いにきたモリーを追って、彼女の彼氏がラボを覗きこむわけですが…

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Jim from IT
Oh, sorry.
ああ、ごめん、お邪魔かな。



Molly
jim, hi! come in!
ジム、いいえ!さあ、入って!
Jim, this is Sherlock Holmes.
ジム、こちらシャーロック・ホームズ。
Jim from IT
Ah!
ああ!



Molly
And um...
それから… こちら…
John
John Watson, hi.
ジョン・ワトソンです。
Jim from IT
Hi. So you're Sherlock Holmes.
どうも。君がホームズか。
Molly's told me all about you.
モリーから聞いてるよ。
Are you on one of your cases?
また事件の調査?
Molly
Jim works in IT upstairs. That's how we met. Office romance.
ジムはうちの病院のIT部門で働いてるの。職場恋愛。
Sherlock
Gay.
ゲイ。



Molly
Sorry, what?
なんですって?
Sherlock
Nothing. Hey.
いやあ、別に。Hey.
Jim from IT
Hi.
Hi



(upending a dish) Sorry! Sorry!
(トレイをひっくり返す) う、ごめん!ごめん!
Well I better be off.
…じゃあ僕はこれで。
I'll see you at the Fox. About six-ish?

後でフォックスで会おう。6時頃は?
Molly
Yeah.
ええ。
Jim from IT
Bye. It was nice to meet you.
じゃあ。会えてよかった。



Sherlock
...
...
John
You too.
…こちらこそ。

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嗚呼、これがまさかモリアーティだとは!
私は愚かにも気付きませんでした…恥ずかしい。
(彼はこの別れ際でクライマックスのプールと同じ「Well I better be off. 」という言い回しを使っています。)

というのも、この場面でのジムの登場は、シャーロックとの面会という目的があった一方で、
モリーにとっても必要な面会だったからです。
つまり、自分を相手にしない男(シャーロック)につき合っている相手(ジム)を紹介して気を引こうという意図が見えるからです。
(…そう思っているのは私だけかもしれませんが。)

普通、職場恋愛なんてそんなに開けっぴろげにしたがらないものだと思いますが、
(それともそれって日本だけ?)
モリーは訊いてもいないのにわざわざ「職場恋愛!」と堂々と伝えています。
それまでの彼女のささやかなモーションを思えば、
「私たちつき合ってるの!」アピールが、シャーロックの気を引くためと考えてもおかしくありません。

しかし悲しいかな、シャーロックは妬くどころか彼氏をゲイ呼ばわり。
モリーとしては計算が違う上に、思わぬ衝撃の事実?ですよね。

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Molly
What do you mean gay? We're together.
つき合ってるのに、ゲイなんて。



Sherlock
And domestic bliss must suit you, Molly.
君は家庭を持つのが合ってるんだ。
You've put on three pounds since I last saw you.
体重も1.5キロ増えたし。
Molly
Two and a half.
1キロよ。
Sherlock
Mm. Three.
1.5。
John
Sherlock...
シャーロック!
Molly
He's not gay! Why'd you have to spoil...? He's not.
彼はゲイじゃない。何で意地悪を? ひどい。
Sherlock
With that level of personal grooming?
見た感じ、ゲイにしか思えん。
John
Because he puts a bit of product in his hair?
整髪料を付けてるからか?
I put product in my hair.
僕だって付けてるぞ。
Sherlock
You wash your hair. There's a difference.
君は髪を洗うから別だ。
No, no. Tinted eyelashes. Clear signs of taurine cream around the frown lines,
彼は眉を描いて、皺取りクリームを塗ってる。



those tired clubber's eyes. Then there's his underwear.
目もクラブ通いで疲れている。それにあの下着。



Molly
His underwear?
下着が何?
Sherlock
Visible above the waistline. Very visible. Very particular brand.
ウエストの上にかなりはみ出させているし、いかにもなブランドだ。
That plus the extremely suggestive fact that he just left his number under this dish here
しかもトレイの下に、自分の電話番号を書いたメモを置いていった。
and I'd say you better break it off now and save yourself the pain.
さっさと別れた方が、泣かずに済む。



----------------------------------------------------------------------------------------------------------

酷すぎるw
体重の「three pounds」「two and a half」ってやりとりは、
「ボヘミアの醜聞」の冒頭でもワトスンに対して使われていましたね。
ワトスンに、君は結婚は向いているようだ、前に会った時から「seven and a half pounds」太ったみたいだし、
と言って、ワトスンは「Seven!」と訂正しています。
モリーもジムとの交際で幸せ太りしてたんでしょうか…。


聖典の「第二の汚み」的に言うなら、「女性担当」のジョンもさすがに皮肉まじりに苦言を呈します。

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John
Charming. Well done.
優しいね。
Sherlock
Just saving her time. Isn't that kinder?
はっきり言った方が、親切だろ?
John
Kinder? No. No, Sherlock. That wasn't kind.
いや、今のは言えないだろう、親切とは。



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よりにもよって、英国一のコンサルタント探偵英国一の犯罪コンサルタント両方に想いを寄せてしまうとは。
モリーが本当に気の毒w
聖典のホームズは、情報を得るために恐喝王ミルバートンのメイドと婚約(「犯人は二人」)していましたが、
ジムがモリーとどんなデートをしていたのかも、気になります。
そもそもどこで口説きのテクニックを得たんですか?
私も試しに口説かれてみたい(笑)!

モリーにとっては有り難迷惑ですが、シャーロックはここでも鋭い推理力を発揮しています。
ジョンとの出会いの場面と同様、着ているものや身体的特徴でパーソナリティを分析するのは
シャーロックの十八番と言ってもいいですよね。

このシーンは、仮に、モリーの彼氏がジムでなかったとしても、
シャーロックの推理と、女性に対する態度を説明する場面として重要です。
そんな場面に、何気なく最強の敵を登場させてしまっているところに、この脚本のすごさを感じます。


それにしても、ジムは何のためにゲイのフリなんてしていたんだろう?
今までモリーとデートする時にも眉描いてタウリン・クリーム塗ってたんでしょうか。
わざわざクラブ通いして目を充血させてたりして…。
別に、電話番号置いて行かなくても、ネット上でやりとりしてるわけだし。

プールでも語ってましたが、これもゲームの一環だったってことですね。
シャーロックと接触するためだけに、モリーの彼氏になり、ゲイにもなる。
それほどまでに僕は君を意識している、というメッセージ。
ポンドでは換算出来ない、彼なりの気味の悪い茶目っ気を発揮したんでしょう。

あとは、シャーロックと接触した後にモリーと別れやすくするためかな。
こてこてのゲイルックに身を包んでシャーロックの前に現れ、
彼にゲイであることを見抜かせ、モリーにショックを与えるため。

でもモリー、連絡が取れなくなったジムに対してブログで
「あなたがゲイであろうと気にしてないわ」ってメッセージ残してるんですよね。
モリー(T_T)

シャーロックに近づくために身分を偽ってモリーに言いよったジムと、
ジムがゲイだと言い切ったシャーロック…どっちが罪が重いだろう?

仕事の為ならいくらでも嘘をつく、彼らのような人種にとっては、
正直な自分の見解を明かすこと自体が優しさなのかもしれませんね…。



シャーロックの小芝居と変装については、また追々。


次回は、燃えてきたぜ!の巻です。
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SHERLOCK「The Great Game」~お兄様再登場、の巻。【ネタバレ】

2011-10-07 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
マイペースなこのブログ…
決してトリビアを網羅したり完璧な解説をするわけではありません。
もはや、感想とメモ書き。
まあ、DVDも再放送もまだリリースされていないことですし、
シーズン2が日本に上陸するまで、のんびり振り返ろうではないですか。



ブログの件でシャーロックと口論になったジョンはサラの部屋で一泊…
したけど、一緒に寝たわけではなく、リビングのソファで眠ったらしい。

Sarah
Maybe next time I'll let you keep at the end of my bed, you know?
次はベッドの端っこで寝かせてあげてもいいけど?
John
What about the time after that?
それでその後は?


第二話「The Blind Banker」で相当危険な目に遭ったにも関わらず、
ジョンを泊めてあげて、しかもまだ望みがありそうな発言をするサラってどんだけタフなんだw
でも第二話の事件の後にジョンが肩を抱いて家まで送ってあげていたみたいだから、
そこでさらに仲良くなったのかも…?
でも朝食は自分で作って、ってところは割り切ってるなー。

聖典のワトスンは「四つの署名」の依頼人メアリー・モースタン嬢と結婚しますが、
現代版ジョンの恋の行方も気になります。
でも友達に「カサノバ」と呼ばれるほどのジョンですから、 (ジョンのブログ参照。)
失恋しても立ち直りが早そうな気がしないでもない…。



サラの部屋でベーカー街での爆発事故のニュースを知ったジョンは、
さすがに口論のことも忘れて、慌てて221Bに戻ります。
そこには、あの巨大闇組織のボスかと勘違いしたシャーロックの兄上が。



Sherlock
(holding the violin)John.
(ヴァイオリンを抱えて)ジョン。
John

I say it on the telly. Are you OK?
テレビで見た。無事か?
Sherlock
Me? What?
あ? 何が。
Oh, yeah, fine. Gas leak, apparently.
あー、無事さ。おそらくガス漏れだ。



Sherlock
I can’t.
断る。
Mycroft
Can’t?

断る?
Sherlock
Stuff I’ve got on is just too big. I can’t spare the time.
今大きな事件を手がけているので。
Mycroft
Never mind your usual trivia.
通常の事件は放っておけ。
This is of national importance.
こっちは国家の大事だ。
Sherlock
How’s the diet?
それでダイエットは?
Mycroft
Fine.
順調だ。
Perhaps you can get through to him, John?
ジョン、君からも言ってくれ。
John
What?

何を?
Mycroft
I’m afraid my brother can be very intransigent.
弟は頑固なところがあってねえ。
Sherlock
If you’re son keen, why don’t you investigate it?
兄さんが自分で調べろよ。
Mycroft
No, no, no, no, no. I can’t possibly be away from the office for any length of time.
いや、それは無理だ。今は持ち場を離れられない。
Not with the Korean elections so…
韓国での選挙が…
Well, you don’t need to know about that, do you?
いや、君達は知らずともよい。
Besides, a case like this, it requires…legwork.
それに今回のような事件は…足を使う。


英国ではテレビのことを「telly」っていうんですね。
オーストラリアでも使うようですが。

さて「足を使う」事件は煩わしい、という台詞、非常にマイクロフトらしいですね。
聖典「ギリシャ語通訳」でホームズが
「僕より観察力がある」「史上最高の犯罪捜査官」と説明した兄上ですが、
自宅(pall mall)と職場のホワイトホールの往復(1kmあるかないかくらい?)しかせず、
ロンドンいち“非社交的”な集まり、ディオゲネスクラブも自宅の目の前にあるので、
大した移動距離にもならない。
そんな兄上が現代版でも「足を使う」ような事件にわざわざ手を煩わせるわけはないわけで。

弟がやたら「ダイエットは?」と聞いているので、
「マイクロフト、どんだけスイーツ食べてんだ?」って思ってる視聴者もいるみたいですがw
食べるというより、消化&燃焼してないんでしょうね。
シャーロックにしてみたら、
(動くことがあるクセに人にやらせて、相当目方増えてるんじゃないの?)
と言いたいところなんでしょう。
もっとも聖典では太っていると説明されている兄上にしては、
演じるマーク・ガティスゲイティスさんは割とスマートですね。

そんな兄上もシャーロックの暮らしぶりは最悪だと思っているようで…。



Sherlock
How's Sarah, John? How was the lie-low?
で、エアマットレスの寝心地は?
Mycroft
Sofa, sherlock, it was the sofa.
ソファだシャーロック、寝たのはソファ。
Sherlock
Oh yes, of course.
ああ、その通り。



John
How… oh, never mind.
なんで…まあいい。



Mycroft
Sherlock’s business seems to be booming since you and he became…pals.
君と暮らし始めて以来、シャーロックの仕事は、順調らしいが
What’s he like to live with? Hellish, I imagine.
共同生活はどうだ? 地獄だろ。
John
I’m never bored.
退屈しません。
Mycroft
Good. That’s good, isn’t it?
結構、いいことだ。



部屋へ入ってきた時に一瞥しただけで、ジョンがソファで寝ていたことを見抜いた兄上。
おそらく、何故外泊したのかもお見通し。
高慢なシャーロックに我慢しながら同居した人なんてジョンの他に家族しかいなさそうだし。
"How is sarah"と訊いておきながら「ソファで寝たんでしょ?」って、
ジョンにしてみれば悪意に満ちてますw

兄上の依頼は、盗まれたミサイル防衛システム「ブルース・パーティントン計画書」の奪回。
以前触れたように、第三話は聖典の「ブルース・パティントン設計書」がベースになっているストーリーです。
ただし、シャーロックはガン無視w
ジョンが資料を受け取り、兄が帰る際には、ヴァイオリンでギコギコ退場曲を演奏。
結局、この計画書の件はジョンが代理で調査を進めることに。

事件がなくてBORED! BORED!言ってたのに依頼をまともに聞かないシャーロックが、
兄への敵対心を持っていることを察するあたりは、
アル中の姉を持つジョンならでは…なのか?

そして、兄の事件に興味があるのかないのか、
レストレードからの呼び出しには立ち上がり、外出の支度をするシャーロック。

Sherlock
Lestrade. I've been summoned. Are you coming?
レストレードから呼ばれた。来るかい?
John

If you want me to.
行っていいのか?
Sherlock
Of course. I'd be lost without my blogger.
もちろん。僕専属のブロガーだろ?





これは聖典「ボヘミアの醜聞」でも有名な台詞ですね。
"I am lost without my boswell."
「私のボズウェルを失うと困る」

ボズウェルは文学者サミュエル・ジョンソンの伝記を執筆したジェイムズ・ボズウェルのことです。
グラナダ版ドラマ等の翻訳では単に伝記作家、と訳されていたと思います。
聖典でのワトスンはそのまま、ホームズの事件を認める伝記作家でしたが、
現代版では伝記ブロガーになるわけですね。
boswellblogerで偶然bが被っていて、言い回しもほぼ同じ。
しかし、冒頭で「君の意見を押し付けるな」と言いながら、この発言。
ちょっと狙った嫌味って感じもしますねw

で、専属ブロガーを連れていった探偵ですが、
爆発事故現場に残された謎の小包を開封し、
第一話「A Study of Pink」に登場したピンクのカバー付きiPhoneを取り出した時に
意外な読者に出会うことになります。

John
That's the phone...the pink phone.
それってまさか、あのピンクの携帯?
Lestrade

What from A Study in Pink?
「ピンク色の研究」の?
Sherlock
Well obviously it' s not the same phone. But it's supposed to look like...
あの携帯のはずはない。だかそう思わせようと…



"A Study in Pink"? You read his blog?
ジョンのブログを読んでるのか?!
Lestrade
Of course I read his blog. We all do.
もちろん、みんなで読んでる。
Do you really not know that the Earth goes around the sun?
君はほんとに地動説を知らないのか?




見てくださいこの楽しそうなドノヴァン巡査部長の顔w
ヤード中がジョンのブログの読者!



注目したいのは、この小包がボヘミア産の紙を使っていたってところですね。
言うまでもなく先述の聖典「ボヘミアの醜聞」を連想させますが、
シーズン2第一話で登場予定である"A Scandal in Belgravia"
「ボヘミアの醜聞」をベースに描かれているはずなので、
この第三話と何らかの関連があるのか、それとも全くないのか…?
(ちなみにBelgrabiaはロンドンの高級住宅地。)

それと、新しいピンク色の携帯に届いていたメッセージ
=5回の時報音は「オレンジの種五つ」に出てきた封書に入れられた五つの種の警告を元にしています。

ところでシャーロックの変人ぶりに引きまくり&バカにしまくりのドノヴァン巡査部長。
時系列は前後しますが、相変わらずシャーロックについてくるジョンに
呆れ気味でアドヴァイスするシーンがありますね。

Donovan
You're still hanging round him.
まだつるんでんのね?
John
Yeah, well…
ああ、まあね。
Donovan
Opposites attract, I s'pose.
真逆だから惹かれるんだ?
John
We're not…
そうじゃない。
Donovan
You should get yourself a hobby. Stamps, maybe, Model trains. Safer.
趣味見つけなさいよ、切手とか鉄道模型とか。




ドノヴァンの声を吹き替えている三鴨絵里子さんて、
「名探偵モンク」でモンクの初代アシスタント、シャローナの声もやってらっしゃるので、
つい、あの面倒見のいいシャローナのイメージで声を聞いてしまいますw

第一話で現場に無線で「変人(シャーロック)入りまーす」って言ってたのも笑えたけど、
ここまで嫌悪感むき出しなのは、過去に色々と嫌なこと言われたんでしょうね。
第一話でも鑑識のアンダーソンの関係を暴露されてたし。

しかし、切手とか鉄道模型って、逆に今時趣味にしてる人も少ないんじゃ…。
シャーロックに着いていくジョンの去り際にも駄目押しで、




Donovan
Fishing!!
釣りよ、釣りがいいわ!

でもドノヴァンは知らない、
ジョンの方がよっぽど生死を掛ける危険を求めてる人物だってことを…。
釣りで満足するような人ではないんです、ジョンって人は。


次回は、IT課のジム君、の巻、です

コメント (2)
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SHERLOCK「The Great Game」~シャーロック、退屈するの巻。【ネタバレ】

2011-09-30 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
今回は第三話「The Great Game」の冒頭のセリフを振り返ります。
先にJM君との対決を取り上げてしまったので、かなり順序がバラバラですが( ´▱`;)
シーズン1の最終話だけあって、見せ場となるシーンが多いです。
セリフの比較という意図とは離れてきてしまっていますが、
思い出して楽しむために置いておきます(^_^;

冒頭は、ベラルーシのミンスクで拘留中の若い依頼人と面会するシーンから始まりますが、
wasと言うべきところをwereと言ったりする、ちょっと会話のお行儀が悪そうな依頼人に
(吹替だと)「やれる、じゃなくて、やられる、だ」といちいち修正を入れるシャーロック。
ラ抜きの殺意ですね?

シャーロックはミンスク行きの飛行機のことを「airplane」と言ったジョンに対しても、
「aeroplaneだ」と、ジョンのブログ上で修正しています。
この際、どっちでもよくね?と思うのですが
「よくね?じゃない、よくない?だ」と言われそうなので止めておきます。

221Bに戻った後は「シャーロック、退屈するの巻」ですね。
ここはセリフも含めて振り返ります。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

(John arrives home to find Sherlock shooting at a smiley on the wall)
(部屋に戻ったジョンは壁に描かれたスマイリーを射撃するシャーロックを見つける。)
John
What the hell are you doing.
どうした!? 何をやってる!?
Sherlock
Bored.
つまらん。
John
What?
何?
Sherlock
BORED!
つまらん!
John
No…
なっ…
Sherlock
BORED!! BORED!!
つまらん!! つまらん!!





(stops, hands the gun to Watson.)
(銃を撃つのを止め、ジョンに銃を渡す)
I don't know what's got into the criminal classes.
犯罪者どもは何をしているんだ。
Good job I'm not one of them.
僕がその一員でなくてよかった。
John
So you thought you'd take it out on the wall?
八つ当たりか?
Sherlock
Oh, wall had it coming.
壁の自業自得だ。
John
What about that Russian case?
ロシアの事件は?
Sherlock
Belarus? Open and shut domestic murder. Not worth my time.
ベラルーシだ! 僕の時間を割く価値のない単純な事件だった。
John
Oh, shame!
そりゃ残念。
Do we have anything in? I'm starving.
何か食うものある?
Oh, f-... It's a head... A severed head.
あークソっ…人の首…生首が!




Sherlock
Just tea for me, thanks.
僕はお茶だけでいい。
John
No, there is a head in the fridge.
冷蔵庫に入ってる…
Sherlock
Yes.
だから?
John
A bloody head!
血まみれの首が。
Sherlock
Where else was I supposed to put it? You don't mind, do you?
他にどこに置く? いいじゃないか。
I got it from the Barts' morgue.
病院から借りてきた。
I'm measuring the coagulation of saliva after death.
今、死後の唾液強固を測定中で。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

聖典(原作)は、ちょっと記憶が曖昧な部分があるので、
見逃している引用があるかもしれませんが、
ホームズの射撃の記述は「マスグレーヴ家の儀式」にありますね。
標的はV.R.(ヴィクトリア女王)で、現代版ではスマイリー。
ニコニコ笑う民衆を撃ち殺したい、という心境の現れでしょうか?
背中から撃つ姿がキマってます。

さらに「マスグレーヴ」には第一話「A Study of Pink」で登場した
「マントルピースの上に返信していない手紙をジャックナイフで突き刺していた」
という様子も描かれてます。
シャーロックは身なりには気を使っているけど、習慣はかなりだらしない、という風に。
キッチンに向かうジョンがテーブルの上を見て、
「こんなに散らかって!」というような手を広げる動作をしているのが全てを物語ってます。

そして現代版では「スリッパに煙草」どころか「冷蔵庫に生首」が入っているという衝撃!
動揺するジョンに「僕はお茶だけでいい」ですからね。
まあ、確かに自宅で生首をうまく保存する場所なんて冷蔵庫しかないけど…

「僕が犯罪者じゃなくて、この社会は運がいい」という発言は
聖典では「ブルース・パーティントン設計書」で登場。
(It is fortunate for this community that I am not a criminal.)
「ブルース~」は第三話の軸になっている短編ですが、
犯人もトリックも聖典の形をそのまま使っていますね。

さて、退屈なシャーロックの批判対象は、まず“専属ブロガー”であるジョンに向けられます(笑)。

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Sherlock
See you wrote up the taxi driver case.
犯人がタクシー運転手だった事件。
John
Uh, yes.
ああ、あれか。
Sherlock
"A Study in Pink"? Nice.
題して「ピンク色の研究」、読んだ。
John
Well, pink lady, pink case, pink phone. There was a lot of pink.
だって、ほら服もスーツケースも携帯も全部ピンクだったから。
Did you like it?
気に入った?
Sherlock
Ummmmm… No.
あー…いいや。



John
Why not? I thought you'd be flattered?
なんで、すごく誉めたのに。
Sherlock
Flattered?
"Sherlock sees through everything and everyone in seconds,
but what's amazing is how spectacularly ignorant he is about some things".
どこがだ。
「シャーロックは数秒で全てを見抜く。
 しかし、いくつかのことには彼は見事なまでに無知である。」

John
Now hang on minute. I didn't mean…
いや、悪い意味で言ったんじゃ…
Sherlock
Oh, you mean spectacularly ignorant in a nice way.
じゃあいい意味で言ったのか?
Look, it doesn't matter to me who's prime minister, who's sleeping with who…
でも僕にはどうでもいいことだ。
誰が首相だろうが、誰が誰と寝ようが…

John
Or that the earth goes around the sun.
地動説も知らない。
Sherlock
Oh God, Not that again. It's not important.
またそれか。どうでもいい、そんなの。
John
Not important? It's primary school stuff.
どうでも…? 小学生レベルの知識だぞ。
How can you know that?
なんで地動説も知らないんだ。
Sherlock
Well, if I ever did, I've deleted it.
知ってたとしても消去した。
John
"Deletad it"?
「消去した」?



Sherlock
Listen. This is my harddrive,
and it only makes sense to put things in there that are useful. Really useful.
いいか、僕のハードディスクに保存するべきは、本当に役に立つ知識、
ただ、それだけ。

Ordinary people fill their heads with all kinds of rubbish,
and that makes it hard to get at the stuff that matters!
Do you see?
みんなくだらない知識で頭を一杯にしていしまうから、
大事なことを取り出せなくなってしまうんだ。

John
But it's the solar system!
だけど太陽系くらい…
Sherlock
Oh hell, what does that matter?
おーそれがなんだ?



So we go round the Sun.
If we went round the moon or round and round the garden like a teddy bear,
it wouldn't make any difference.
地球が回っているのが太陽の周りだろうが月だろうが、そんなことどうだっていい!
All that matters to me is the work.
Without that, my brain rots.
僕に大事なのは、仕事だけ!
仕事がないとダメだ。

Put that in your blog, or better still, stop inflicting your opinions on the world!
そうブログに書いとけ。
君の意見を押し付けるのは止めて欲しい。




--------------------------------------------------------------------------------------------------------

このふて寝姿!w
どんな顔してブログ読んでたんでしょうか。気になります。

地動説を知らない、という件は「緋色の研究」から。
ほとんど忠実に聖典のやり取りを実写化している印象ですね。
ここで「頭脳の空き部屋に家具を備え付ける」という例えを
“harddrive”と簡単に言えてしまうのが現代版ならでは。

意外だったのが、現代版を作るにあたって、
シャーロックの知らないものの例えが地動説から別の何か…
月面着陸したことを知らない、とか、20世紀後半に起こった出来事から引用されると思ってたのですが、
案外変わりませんでしたね。
その後に出て来る超新星の話題に関わって来るので、
宇宙や天体に関わるエピソードである必要はあったのだと思います。
もう21世紀なんだし、地動説くらい知っていてもたいした容量にはならないんじゃないかねえ?

ところで、「太陽の周りだろうが月だろうが」と言っている中で、
オリジナルでは“round and round the garden like a teddy bear,”とシャーロックが言っています。
こんな激怒中にくまちゃんが何故お庭を?と思ったのですが、検索するとそのまま
Round and round the gardenという歌にヒットしました。
どうやら子供の遊び歌みたいですね。
さすがに吹替では触れられていませんが。
小学校レベルの地動説は消去した、といいながら、子供の頃の歌は忘れていない…
この歌はシャーロックのハードディスクに必要な知識というのもちょっと意外w

その他、個人的には「だってほら、全部ピンクだったから」とジョンがタイトルを説明するところは、
グラナダ版ホームズの「入院患者」のエンディングも彷彿とさせます。
ワトスン「タイトルはね、“ブルック街の怪事件”がいいと思う!」
ホームズ「…」
お気に入りのシーンの一つです。


…シャーロックの苛立ちを一気に浴びたジョンは機嫌を損ね、
ガールフレンドのサラのところでお泊まりしよう、と薄着で出て行っちゃいます。
そこへ戻ってきたハドソンさんにも、シャーロックは引き続き愚痴をこぼします。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------



Sherlock
Look at that, Mrs. Hudson…
quiet, calm, peaceful. Isn't it hateful?
街を見てください。
静かで、平和で、穏やかで。ムカつきませんか。

Mrs. Hudson
I’m sure something will turn up, Sherlock.
そのうちに何か起きてくれるわよ。
A nice murder. That’ll cheer you up.

あなたの好きな、人殺しとか。
Sherlock
Can’t come too soon.

いつになるかな…
Mrs. Hudson
Hey, what have you done to my bloody wall?!
ちょっと! あなた壁に何をしたの?
I’m putting this on your rent, young man!
修理代は貰いますからね!

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

思えばこれが大事件フラグでした。
この頃、JM君は粛々とシャーロックと遊ぶための準備を進めていたわけですね。
シャーロックが苛つくほどロンドンの街が静かだったのは、
おそらく、犯罪を取り仕切ってるJM君が準備に余念がなかったためかも。
ハドソンさんが修理代云々と言ってるけど、銃弾跡どころじゃなくなっちゃいます。




次回は、お兄ちゃんの再登場の巻、です。
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SHERLOCK「The Great Game」 クライマックスを読む。【ネタバレ】

2011-09-25 | TV/SHERLOCK S1 "The Great Game"
先月(8月)ようやく日本で放映された
BBCによるシャーロック・ホームズの現代版実写ドラマ「SHERLOCK」。
グラナダTV版シャーロック・ホームズを愛してやまない私も、
もちろんこの日本上陸を心待ちにし、
BSプレミアムの放映後は予定通りに熱を上げている次第です。

日本国内でDVDは発売されていませんが、
動画サイトで断片的に面白いシーンを見ることが出来たり、
探せば全部見ることも出来ます。
そして、オリジナルの英語で見ていると、そのうちに、
「このセリフは吹替版でどう言ってたっけ?」
と素朴な疑問を抱くことが多くなりました。

元々オリジナルで見ていたファンの方たちの
吹替版はオリジナルを損なわせてる!という意見も見かけたので、
そんなに違うのかという点も、気になるところです。

そこで、この場で印象に残ったシーンの日本語吹替版と英語のスクリプトを
感想を振り返りながら、並べてみようと思います。
(オリジナルのスクリプトは様々なサイトを元に、
 吹替版は聞き取りで作っていますが、不十分なところもあるかもしれません。)

今回は初回ですが、いきなりシーズン1最終話のクライマックスです(笑)。
もちろん、この記事は既にSHERLOCKをご覧になられた方に向けたものですので、
未見の方は、是非、すぐに回れ右!してください。
楽しみはとっておきましょう!






大丈夫ですか?






ご覧になった方は当然分かっていることとは思いますが、
第三話のクライマックスは、プールでの“ジム”との対峙です。
彼からの度重なる挑戦をクリアしたシャーロックが、
ミサイル防衛システムのデータを使って、
過去の事件現場である、誰もいない夜のプールに誘い込むシーン。
何度見ても飽きない、緊張感の高まる場面です。



-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
 

Sherlock
Brought you a little "getting to know you" present.
お近づきのプレゼントを持ってきた!
Oh, that's what it's all been for isn't it?
最初から狙いはこれだろう?
All your little puzzles, making me dance. all to distract me from this.
謎を解かせて、僕を踊らせたのは、これから注意をそらすためだった?

John 
(appearing) Evening.
(扉から現れ、)「こんばんわ。」

Sherlock 

John
This is a turn-up, isn't it, Sherlock?
「おどろいたろう、なあ、シャーロック。」
Sherlock 
John. What the hell…
ジョン、なにしてる。

John 
Bet you never saw this coming. What would you like me to make him say next?
「どうだ。彼になんて言わせたい。次に。」
Gottle o'geer. Gottle o'geer. Gottle o'g-
「何がいい、何がいい、何が…」
Sherlock 
Stop it.
やめろ。

John 
Nice touch this, the pool. Where little Carl dies.
「思い出すね、このプール。カール・パワーズが死んだ場所だ。」
I stopped him. I can stop John Watson too. Stop his heart.
「僕が止めた。ジョン・ワトソンも止められる。…心臓を。」
Sherlock 
Who are you?
誰だ?
Moriarty 
(appearing across the pool)
I gave you my number. I thought you might call.
(プールの向かい側に現れ、)
番号を渡したろう? 電話待ってたのに。

Is that a British Army Browning L9A1 in your pocket,
ポケットに入れてるのは英国陸軍で使っている銃かな、
or are you just pleased to see me?
それとも、僕に会えて嬉しい?
Sherlock 
(Draws the gun, points it at Moriarty) Both.
(銃を取り出し、モリアーティに向かって構え、)両方だ。



Moriarty 
Jim Moriaty. HI!
ジム・モリアーティだ。ハァイ!
Jim? Jim from the hospital?
ジムだよ。病院で会ったろう?
Huh, Did I really make such a fleeting impression?
ああ、僕ってそんなに印象薄かったっけ。
But then I suppose that was rather the point.
でもそこが、ポイントだったんだけどね。
Don't be silly. Someone else is holding the rifle.
バカはよせ。仲間が彼を狙っている。
I don't like getting my hands dirty.
僕は手を汚すのがキライで。
I've given you a glimpse, Sherlock -just a teensy glimpse-
見せてあげたはずだよ。ほんのチラッとではあったけど。
of what I've got going on out there in the bug bad world.
僕が世の中でどんなことをしてるかって。
I'm a specialist. You see, like you.
僕はスペシャリストだ。つまり君と同じ。

Sherlock 
"Dear Jim, Please will you fix it for me to get rid of my lover's nasty sister."
「ジムさん、彼氏のお姉さんがうるさいんです。
 邪魔なので始末していただけませんか?」

"Dear Jim, Please will you fix it for me to disappear to South America."
「ジムさん、私を南米へ高飛びさせてくれませんか?」
Moriarty 
Just so.
そういうことだ。

Sherlock 
Consulting criminal. Brilliant.
コンサルタント犯罪者か。素晴らしい。
Moriarty 
Isn't it? No one ever gets to me. And no one ever will.
そうだろ?
今までもこれからも、誰にも捕まらない。

Sherlock 
I did.
僕は?
Moriarty 
You've come the closest. Now you're in my way.
一番惜しかった。でも今は邪魔だ。
Sherlock 
Thank you.
ありがとう。
Moriarty 
Didn't mean it as a compliment.
褒め言葉じゃない。
Sherlock 
Yes you did.
誉めたよ。
Moriarty 
Yeah, okay, I did.
まぁ誉めたけど!

But the flirting's over, Sherlock. Daddy's had enough now!
でもお世辞はここまでだ。パパはうんざりだよ~。
I've shown you what I can do.
君も分かったろ。
I've cut loose all those people, all those little problems.
Even 30 million quid just to get you to some out and play.
君と遊ぶためだけに、僕はあれだけの人をゲームのコマにし、
3千万ポンドを捨てもする。

So take this as a friendly warning, my dear. Back off.
親愛の情から警告しておく。友よ、手を出すな。
Although, I have loved this.
だけど、楽しかったなあ。
This little game of ours. Playing Jim from IT. Playing gay.
君とのゲームも、IT部門のジムを演じるのも、ゲイのフリも。
Did you like the little touch with the underwear?
下着の見せ方もよかったろう?
Sherlock 
People have died.
人が死んでる。
Moriarty 
That's what people DO!
人はみんな死ぬもんだ!!

Sherlock 
I will stop you.
僕が君を止める。
Moriarty 
No you won't.
ムリムリ。
Sherlock 
(to Watson)You all right?
(ジョンに)無事か。

Moriarty 
(to Watson)You can talk, Johnny Boy. Go ahead.
喋ってよし。遠慮なく話せ。
John 
(Nod his head)
(頷く)

Sherlock 
(offering the memory stick)Take it.
(メモリースティックを差し出し) 持ってけ。
Moriarty 
Hm? Oh, the missile plans.
ん? ああ。それね、防衛システム…。

(kisses the memory stick) Boring! I Could have got them anywhere. (tosses it)
(メモリースティックにキスし) …つまらん! 何時だって盗めた!(プールに投げこむ)

John
(grabbing Moriarty)Sherlock run!
(モリアーティを捕え)シャーロック逃げろ!
Moriarty 
Oh! Goood! Very good.
いいねー! 実にいい!!

John
Just like that, Your sniper pull that trigger, Mr. Moriarty. then we both go up.
お前の部下が、引き金を引けば僕と一緒に吹っ飛ぶ!
Moriarty 
Isn't he's sweet, I can see why you like having him around.
かわいいねぇ。君が傍に置きたがるわけだ。
then, people do get so sentimental about their pets.
でも情が移るからペットはマズい。
They're so touchingly loyal…oops!
忠義には感動するが。…おっと!

You've rather shown your hand there, Dr Watson.
君の切り札はもうないよ、ワトソン君?
(Watson notices the red laser sights have striked Sherlock)
(ジョンはシャーロックにレーザーが当たっていることに気付く)

Gotcha!
勝負あり。
(unruffling his suit)
(スーツの皺をのばす)
Westwood.
高級品だ。




Do you know what happens if you don't leave me alone, Sherlock? To you?
僕から手を引かないと君はどうなるか、分かるか?
Sherlock 
Oh, let me guess, I get killed?
そうだなあ、殺されるのかな。
Moriarty 
Kill you? No, don't be obvious. I mean I'm going to kill you anyway, someday.
殺す? うーん、そんな、お約束すぎる。
そりゃ、いずれは君を殺すけど、

I don't want you to rush it though. I'm saving it up for something special.
急ぎたくないんだ。特別な機会にとっておきたい。
No no no. If you don't stop prying…
I'll burn you. I'll burn the heart out of you.
邪魔を止めなきゃ火あぶりだ。
火であぶり、心臓を、えぐり出す。


Sherlock 
I have been reliably informed that I don't have one.
みんな言ってるぞ、僕には心がないって。
Moriarty 
But we both know that's not quite true.
あるよ。それはみんなの誤解だ。
Well. I better be off. So nice to have had a proper chat.
さて、もう行かないと。ちゃんと話せて、楽しかった。

Sherlock 
What if I was to shoot you now? Right now.
今、僕が君を撃ったら、どうなる?
Moriarty 
Then you could cherish the look of surprise on my face.
僕がビックリ仰天した顔が見られるだろうねえ。

Because I'd be surprised, Sherlock, Really I would.
撃ったりしたらホントにビックリ仰天…
And just a teensy bit disappointed.
それにちょっぴり…ガッカリもする。
And of course you wouldn't be able to cherish it for very long…
とはいえ、それを見られるのは一瞬で終わる。
Ciao, Sherlock Holmes.
チャオ、シャーロック・ホームズ。

Sherlock 
Catch you, later.
きっと、捕まえる、必ず。
Moriarty 
No you won't!
ムリムリ~!

Sherlock 
(frantically ripping the jacket off of Watson)Alright? Are you all right?
(急いでジョンのジャケットをはぎ)無事か、大丈夫か?!
John
Yeah, I'm fine. Sherlock - Sherlock!
無事だ、大丈夫。無事だよ、シャーロック…シャーロック!

Are you okay?
大丈夫か?
Sherlock 
Me? Yeah. Fine. Fine.
僕? ああ大丈夫、無事だ。
That, ah - thing that you did. That you, um, you offered to do. That was, uh, good.
さっき、僕のために、君がその…してくれようとしたこと…すごい。

John
I'm glad no one saw that.
誰もいなくてよかった。
Sherlock 
Hm?
ん?
John
You ripping my clothes off in a darkened swimming pool. People might talk.
君に、真っ暗なプールで服を脱がされたのを見られたら大変だ。
Sherlock 
They do little else.
ウワサじゃすまない。

(smile each other and then they both notice the red laser sights have returned, as has)
(微笑み合うと、レーザー光線が戻って来たことに気付く2人)

Moriarty 
Sorry boys! I'm sooooo changeable!
悪いねー! 僕って、気まぐれなんだ!
It is a weakness with me. But to be fair to myself, it is my only weakness.
そこが欠点だが、名誉のために言っておく。僕の欠点はそれだけ。
You can't be allowed to continue. You just can't.
ゲームの続行は許されない! ここで終わりだ。

I would try to convince you.
手を引けって言ったのに!
Everything I have to say has already crossed your mind.
でも僕が何を言うかくらい、君は分かっていただろう?
Sherlock 
Probably my answer has crossed yours.
僕が何て答えるかもな。

(He aims the gun at Moriarty and then down to the bomb-laden jacket...)
(シャーロックはモリアーティに向けて銃を構えた後、爆弾の入ったジャケットに向けて銃口を下ろす…)





-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

ななななにーっ!?ここで終わりかよっ! 
と、これを見た全世界の視聴者全員が思ったことでしょうw
私はIT部門のジム君がモリアーティだってことに
気付かなかったショックも大きかった!
言われて見れば当たり前じゃん…
シャーロックに近寄るジムなんてMしかいないじゃん!
…それもこれも全部含めて、最も大好きなシーンです。



ところで。私が吹替と原語の違いを知りたくなったきっかけは、
ジムに操られたジョンが言う"Gottle o'geer"でした。
吹替では「(ジョンに言わせる言葉は)何がいい」でしたが、
「ゴットルオゥギル」で「何がいい」って言う?
誰かの有名なセリフの引用かな?と思ってました。
辿ってみると、他の視聴者もブログで
「I can't understand.」と書いているのを見かけたのでホッと安心w

Gottle o'geer、これはbottle of beer(ビール瓶)が元になっているとのことです。
腹話術の人形が、bの部分が上手く言えなくてgottle of geerになってしまった、
という成り立ちなんだそう。
芸人が酒場で腹話術を披露しながら
「グォールのグォンが…」って喋ったりしていたところから派生したのかもしれません。
英国ではgottle o'geer=腹話術の人形、ってすぐ連想出来るんでしょうね。

つまり、ジョンは腹話術人形、ってことが、あのセリフで分かるわけです。
操り人形同然にセリフを言わされているジョンの声、
本当に苦痛なのが伝わってきますもんね。
同時にこんなスリリングな場面でも冗談めいたことをする
ジムの怖さとユーモアのセンスが分かります。

一方、シャーロックもジョークのセンスでは負けていないらしく、
ジムに犯罪の依頼をする人々を例えた「Dear Jim」の件は、
実際のテレビ番組「Jim'll Fix It」に絡めたセリフなんだそうです。
(これは受け売りです。忘れないようにメモ…)
視聴者の子供たちの願いを叶えるという、94年まで放映していた番組なので、
最近の視聴者変身番組の人気司会者は知らなかったシャーロックも
その頃はテレビをよく見ていたのでしょうか。


そして2人とも、ユーモアのセンスにとどまらず、
着ている服にもこだわりがあるようで。
シャーロックのコートがベルスタッフ、スーツはスペンサー・ハート、
ピッチピチのシャツはD&Gなんて話題になってましたが、
ジムはご本人の申告で「Westwood」ですねw

吹替版では「高級品だ」でしたが、まあ「ウェストウッド」と言われて、
ジムがお洒落さんだと分かる人は少ないのかな?
仕草は真似出来ても、Westwoodのジャケットはとても買えません…。
ちなみにタイはAlexander Mcqueen。お値段は90~125ポンドです。
コメント (6)
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