消費者庁は、食品中の放射性物質のリスクに関する消費者の理解を促すための本年度の取り組み方針を発表した。食品の大消費地である首都圏などで大規模なシンポジウムを開くほか、正しい知識を持った専門家を全国に2000人養成することなどが柱となっている。
同庁が今年2月に消費者5千人に行った意識調査によると、福島県産品の購入をためらう人は2割弱おり、一部で買い控えが続いている。正しい情報を提供し、消費者の理解を広めてもらいたい。
同庁によると、本県を中心にした東日本大震災の被災地では、放射性物質に対する知識が深まっている一方で、大都市圏などの消費地では低い傾向がある。
確かに現在でも基準値を上回る山菜や魚介類が出ているが、市場には出回っていない。言い方を変えれば、安全が確認された食品しか市場に出ていないということだ。
それでも、本県をはじめ被災地の農協や流通業者への聞き取り調査では「東北産というだけで敬遠する人がいる」などの声が聞かれたという。風評被害との闘いはこれからも続く。粘り強く正確な情報の発信が求められる。
同庁の方針では、首都圏の主要都市とブロック都市の計8カ所でシンポジウムを開く。放射性物質の検査状況など基本知識の説明を重視する。県内では、外部被ばくへの不安に対しても説明できる態勢を整え、県や各市町村と連携して各地で意見交換会を開くなどする。分かりやすくきめ細かな情報を求めたい。
専門家の養成は、各地の栄養士、保育士らに研修を行い、地域で小規模な集会を開いてもらう。特に子どもたちや親を意識しての養成になるだろう。共通認識を持った専門家の誕生を期待したい。
消費者への直接のアピールとしては「食べて応援しよう!」キャンペーンを実施する。被災地産食品フェアの開催や社内食堂での県産品食材利用などを推進する。現在でも県産食を積極的に購入してくれる人や企業は存在するが、さらに応援の輪が広がるよう願いたい。
同庁は方針の中で「被災地への応援ムードは全体的に薄れつつある」と指摘した。確かに震災と原発事故の風化を懸念する声も聞かれる。しかし、事故を起こした原発の廃炉までは30~40年とされる。決して風化などさせてはならない。
震災から丸2年が過ぎ、震災前と同じ水準に手応えを感じている生産者の声も聞かれたというが、まだ一部に違いない。漁業は試験操業だけだ。それでも観光面などは持ち直しの兆しが見える。豊富な食を誇る本県の本来の姿を取り戻すため、しっかりした検査を継続しながら、地道に安全をアピールしたい。
2013年5月5日 福島民友新聞社説
同庁が今年2月に消費者5千人に行った意識調査によると、福島県産品の購入をためらう人は2割弱おり、一部で買い控えが続いている。正しい情報を提供し、消費者の理解を広めてもらいたい。
同庁によると、本県を中心にした東日本大震災の被災地では、放射性物質に対する知識が深まっている一方で、大都市圏などの消費地では低い傾向がある。
確かに現在でも基準値を上回る山菜や魚介類が出ているが、市場には出回っていない。言い方を変えれば、安全が確認された食品しか市場に出ていないということだ。
それでも、本県をはじめ被災地の農協や流通業者への聞き取り調査では「東北産というだけで敬遠する人がいる」などの声が聞かれたという。風評被害との闘いはこれからも続く。粘り強く正確な情報の発信が求められる。
同庁の方針では、首都圏の主要都市とブロック都市の計8カ所でシンポジウムを開く。放射性物質の検査状況など基本知識の説明を重視する。県内では、外部被ばくへの不安に対しても説明できる態勢を整え、県や各市町村と連携して各地で意見交換会を開くなどする。分かりやすくきめ細かな情報を求めたい。
専門家の養成は、各地の栄養士、保育士らに研修を行い、地域で小規模な集会を開いてもらう。特に子どもたちや親を意識しての養成になるだろう。共通認識を持った専門家の誕生を期待したい。
消費者への直接のアピールとしては「食べて応援しよう!」キャンペーンを実施する。被災地産食品フェアの開催や社内食堂での県産品食材利用などを推進する。現在でも県産食を積極的に購入してくれる人や企業は存在するが、さらに応援の輪が広がるよう願いたい。
同庁は方針の中で「被災地への応援ムードは全体的に薄れつつある」と指摘した。確かに震災と原発事故の風化を懸念する声も聞かれる。しかし、事故を起こした原発の廃炉までは30~40年とされる。決して風化などさせてはならない。
震災から丸2年が過ぎ、震災前と同じ水準に手応えを感じている生産者の声も聞かれたというが、まだ一部に違いない。漁業は試験操業だけだ。それでも観光面などは持ち直しの兆しが見える。豊富な食を誇る本県の本来の姿を取り戻すため、しっかりした検査を継続しながら、地道に安全をアピールしたい。
2013年5月5日 福島民友新聞社説