会津産米「あきたこまち」が山積されていた。「生活応援品」と表示されている。バーゲン品だ。そばに山形県のブランド米「つや姫」がある。それと比べると、段違いに安い。
わたしが住む私鉄沿線の駅(横浜市)周辺にはデパート、それに大手スーパーマーケットが2店舗ある。風評被害にさらされている「福島産」がどう扱われているか。ずっと気になって、週末に巡る。あれば買うつもりである。
コメの例は先月下旬、一つのスーパーでのこと。ほかに福島産はないか。禁漁が続く魚介類は当然ない。野菜は昨年、インゲンがあったが、それを最後に見かけない。昨年夏、立派なモモがばら積みで安売りされていたのはショックだった。陳列台の方には、それまで見かけなかった「岩手産」が並んでいた。
デパ地下でようやく南会津のそばと福島のうどん、銘酒コーナーで会津、郡山、二本松の日本酒に巡り合えた。郡山のまんじゅう、ゆべしが週末限定販売だが、あった。正直ほっとした。
野菜や果物には産地の旬があるし、毎日ウォッチしているわけではないから、あるいは見逃しているのかもしれない。だが、東京電力福島第一原発の事故以来、店舗に並ぶ福島産品は激減したままであることは確かだ。
この逆境を何とかはね返してほしい。そのため、大消費地である東京都、とりわけ都心に「福島復興館」といった施設を設けてはどうだろう。首都圏では福島はじめ被災地を支援するイベントが数多く開かれ、そこには福島産が並んでいる。こういう催しはありがたいことではあるが、開催が1日だけとか、長くても1週間か10日ぐらいである。
常設の施設が必要ではないか。ここを発信基地とし、支援に感謝しつつ、頑張っている福島の姿をアピールする。食品の厳しい安全基準によりいかに厳格な検査を実施しているかを、場合によってはデモして見てもらう。県産品を販売するアンテナショップ機能も当然、一段と拡充する。
東京駅から有楽町、銀座、新橋の周辺には道府県のアンテナショップが集中している。福島県の「観光交流館」は八重洲にあるが、狭いし、品数も多いとはいえない。他道府県と比べると見劣りしがちだ。同じ八重洲の「北海道フーディスト」。品数も豊富だし、地元の味が味わえるレストランを併設している。
虎ノ門から銀座に進出した「おいしい山形プラザ」は地元の有名シェフを起用、山形の食材を使ったイタリアンレストランを併設し評判を呼んでいる。岩手「銀河プラザ」も地元産品でにぎわっている。工夫・努力し、競い合っているのだ。今のように「観光交流館」という名称、性格付けでは駄目だと思う。打って出る時ではないか。(国分俊英、元共同通信社編集局長、本宮市出身)
2013/05/12 09:24 福島民報・日曜論壇
わたしが住む私鉄沿線の駅(横浜市)周辺にはデパート、それに大手スーパーマーケットが2店舗ある。風評被害にさらされている「福島産」がどう扱われているか。ずっと気になって、週末に巡る。あれば買うつもりである。
コメの例は先月下旬、一つのスーパーでのこと。ほかに福島産はないか。禁漁が続く魚介類は当然ない。野菜は昨年、インゲンがあったが、それを最後に見かけない。昨年夏、立派なモモがばら積みで安売りされていたのはショックだった。陳列台の方には、それまで見かけなかった「岩手産」が並んでいた。
デパ地下でようやく南会津のそばと福島のうどん、銘酒コーナーで会津、郡山、二本松の日本酒に巡り合えた。郡山のまんじゅう、ゆべしが週末限定販売だが、あった。正直ほっとした。
野菜や果物には産地の旬があるし、毎日ウォッチしているわけではないから、あるいは見逃しているのかもしれない。だが、東京電力福島第一原発の事故以来、店舗に並ぶ福島産品は激減したままであることは確かだ。
この逆境を何とかはね返してほしい。そのため、大消費地である東京都、とりわけ都心に「福島復興館」といった施設を設けてはどうだろう。首都圏では福島はじめ被災地を支援するイベントが数多く開かれ、そこには福島産が並んでいる。こういう催しはありがたいことではあるが、開催が1日だけとか、長くても1週間か10日ぐらいである。
常設の施設が必要ではないか。ここを発信基地とし、支援に感謝しつつ、頑張っている福島の姿をアピールする。食品の厳しい安全基準によりいかに厳格な検査を実施しているかを、場合によってはデモして見てもらう。県産品を販売するアンテナショップ機能も当然、一段と拡充する。
東京駅から有楽町、銀座、新橋の周辺には道府県のアンテナショップが集中している。福島県の「観光交流館」は八重洲にあるが、狭いし、品数も多いとはいえない。他道府県と比べると見劣りしがちだ。同じ八重洲の「北海道フーディスト」。品数も豊富だし、地元の味が味わえるレストランを併設している。
虎ノ門から銀座に進出した「おいしい山形プラザ」は地元の有名シェフを起用、山形の食材を使ったイタリアンレストランを併設し評判を呼んでいる。岩手「銀河プラザ」も地元産品でにぎわっている。工夫・努力し、競い合っているのだ。今のように「観光交流館」という名称、性格付けでは駄目だと思う。打って出る時ではないか。(国分俊英、元共同通信社編集局長、本宮市出身)
2013/05/12 09:24 福島民報・日曜論壇