沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(法令違反)その2

2016-04-02 17:12:33 | ごみ処理計画

引き続き、広域処理に関する事務処理の法令違反について考えて行きます。

その2は、中北組合(中城村・北中城村)が浦添市との広域処理に関する事務処理を進めるために平成26年3月に改正したごみ処理計画を見直した場合の評価になります。

では、下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が単に浦添市との広域処理に関する事務処理を行うためだけにごみ処理計画を見直した場合、つまり、平成35年度までは溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行っていくことにした場合の評価になります。

なお、中北組合が広域組合を設立する前に溶融炉を廃止しない場合は広域組合が溶融炉を引き継ぐことになるので、広域組合は2基ある溶融炉のうち、1基は広域施設が完成するまでの間、休止したまま再稼動も長寿命化も行わないことになります。

また、平成35年度までは広域組合において一部(全排出量の約25%)の焼却灰の民間委託処分を行っていくことになるので、浦添市は1市2村において地域計画を作成する前に、2村の施策によって市のごみ処理計画の中で最もな重要な計画である「最終処分ゼロの処理体制を継続する計画」を見直さなければならないことになります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、広域処理を行う場合は、少なくとも関連する法令の規定が2つ増加します。また、見直したごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、この2つの法令に抵触することになります。

浦添市のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していますが、中北組合のごみ処理計画は適合していません。したがって、1市2村のごみ処理計画の調和が保たれていないことになるため、廃棄物処理法第6条の規定(★)に抵触することになります。

また、見直したごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合しない場合は、1市2村が広域組合を設立する前に作成する地域計画も基本方針に適合しない計画になってしまいます。そして、1市2村が広域組合を設立しても2村の施策によって国の補助金を利用することができない広域組合を設立することになり、中城村と北中城村の2村は他の地方公共団体である1市(浦添市)の財政に累を及ぼす施策を行っていることになるので、地方財政法第2条の規定(★)に抵触することになります。

★廃棄物処理法第6条第3項

市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たつては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。

★地方財政法第2条第1項

地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。

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次に下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が休止している溶融炉を広域組合を設立する前に廃止する計画に見直した場合の評価です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、休止から廃止に変えても、地方財政法第8条の規定が適用されなくなるだけのことであって、上の2つの法令に抵触している状況は変らないことになります。

また、広域組合は2ヶ所ある焼却炉から排出される焼却灰のうち、1ヶ所の焼却炉から排出される焼却灰については、平成35年度までは民間委託処分を行っていくことになります。

広域組合は浦添市と中北組合のごみ処理施設を引き継ぐことになります。したがって、その広域組合は国の補助金を利用して整備した2基の溶融炉のうち1基(既に長寿命化を行っている溶融炉の約1年後に整備した溶融炉)については、長寿命化を行わずに廃止して廃棄物処理法の基本方針に適合しない焼却灰の民間委託処分を行っていることになります。

なお、このような自治体(広域組合)がごみ処理施設を更新(広域施設を整備)する場合に国が財政的援助を与えた場合は、国が自ら廃棄物処理法の基本方針を撤回することになります。

次に下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が広域組合を設立する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止する計画に見直した場合の評価ですが、このブログの管理者は中北組合が地方財政法第2条第1項の規定に従って浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことを回避することを前提にした場合は、この計画が中北組合にとっては唯一の選択肢になると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、①溶融炉を廃止することで地方財政法第8条の規定は適用されないことになります。そして、②溶融炉の廃止に当って代替措置を講じることによって廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画になります。

したがって、上の2つの法令の規定も適用されないことになります。

ただし、平成28年度の1市2村における事務処理において代替措置を講じるための具体的な方法が決まるまでは1市2村の首長が協議会を設立して覚書を締結することはできないことになります。なぜなら、1市2村の首長が職務を遂行する時間を無駄に使うことになる(1市2村において首長が最少の経費で最大の効果を挙げるための事務処理を行うことができなくなる)からです。

その3に続く


広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(法令違反)その1

2016-04-02 12:30:28 | ごみ処理計画

今日は4月2日(土)ですが、平成28年度における広域処理に関する1市2村の事務処理は実質的には来週の4日(月)からスタートすることになると思います。

しかし、事務処理に法令違反があると、是正しない場合は広域処理は100%「白紙撤回」になります。

そこで、1市2村がどのような事務処理を行った場合に法令違反になるか改めてジックリと考えてみることにします。

まず、下の画像をご覧下さい。これは、昨日も書きましたが、基本中の基本ともいうべき法令違反に関する資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

中北組合(中城村・北中城村)が平成26年3月に改正したごみ処理計画を見直さないまま浦添市と広域処理に関する事務処理を行うための予算を執行した場合は、いわゆる「無計画予算執行」になるため、地方自治法施行令第151条第1項の規定(★)に抵触することになります。 

ちなみに、中北組合における広域処理に関する計画はそれがどのような計画であっても、中北組合(中城村・北中城村)が策定しているごみ処理計画に基づく計画でなければ、法制度上、根拠のない計画になります。

なお、浦添市の場合は平成23年3月に改正したごみ処理計画において広域処理を検討課題として抽出しているので、この規定には抵触しないことになります。

ただし、中北組合(中城村・北中城村)がごみ処理計画の見直しを行っていない場合は、事前協議を進めることができないことになります。そして、協議会を設立することも覚書を締結することもできないことになります。

 ★地方自治法施行令第151条第1項

普通地方公共団体の長は、次の各号に掲げる事項を予算の執行に関する手続として定めなければならない。

1予算の計画的かつ効率的な執行を確保するため必要な計画を定めること。

次に下の画像をご覧下さい。これは、中北組合(中城村・北中城村)が平成26年3月に改正したごみ処理計画に対する評価になります。

なお、環境省が毎年発表している全国の市町村のごみ処理の実績に基づいて中北組合の溶融炉の稼働状況を見ると、溶融炉を補助目的に従って稼動していた期間(実際に焼却灰の溶融処理を行っていた期間)は10年未満になると考えています。このため、補助金適正化法の規定に基づく溶融炉の経過年数は10年を超えていない(廃止すると補助金適正化法第22条の規定に抵触する)と考えていますが、今日は10年を超えているという前提で考えて行きます。なぜなら、補助金適正化法の規定はあまり問題にならないからです。


原寸大の資料(画像をクリック)

このように、中北組合のごみ処理計画が補助金適正化法の規定に適合している場合であっても、溶融炉を休止している場合は、所有している財産を目的に応じて最も効率的に運用していることにならないので、地方財政法第8条の規定(★)に抵触していることになります。

また、直接的には法令違反になりませんが、廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定しているため、国の補助金を利用することができない状況になっているので、結果的に地方自治法の重要規定(第2条第14項)である「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことができない計画になっています。

★地方財政法第8条

地方公共団体の財産は、常に良好な状態においてこれを管理し、その所有の目的に応じて最も効率的に、これを運用しなければならない。

次に、下の画像をご覧下さい。これは中北組合が休止している溶融炉を廃止した場合の評価になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、溶融炉を廃止すれば、所有している財産にはならないので、地方財政法第8条の規定は適用されないことになります。ただし、溶融炉を廃止しても廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画のままであり、ごみ処理施設の維持管理(焼却炉の長寿命化等)に当って国の補助金を利用することはできないことになるので、見直さない場合は地方自治法第2条第14項の規定(★)に抵触していることになると考えます。

★地方自治法第2条第14項

地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

いずれにしても、中北組合が平成26年3月に改正したごみ処理計画を見直していない場合は、広域処理を検討課題から除外(平成35年度までは現体制を維持)する計画になっているために、浦添市との広域処理に関する事務処理を行うための予算を執行することはできないことになります。

その2に続く