引き続き、広域処理に関する事務処理の法令違反について考えて行きます。
その2は、中北組合(中城村・北中城村)が浦添市との広域処理に関する事務処理を進めるために平成26年3月に改正したごみ処理計画を見直した場合の評価になります。
では、下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が単に浦添市との広域処理に関する事務処理を行うためだけにごみ処理計画を見直した場合、つまり、平成35年度までは溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行っていくことにした場合の評価になります。
なお、中北組合が広域組合を設立する前に溶融炉を廃止しない場合は広域組合が溶融炉を引き継ぐことになるので、広域組合は2基ある溶融炉のうち、1基は広域施設が完成するまでの間、休止したまま再稼動も長寿命化も行わないことになります。
また、平成35年度までは広域組合において一部(全排出量の約25%)の焼却灰の民間委託処分を行っていくことになるので、浦添市は1市2村において地域計画を作成する前に、2村の施策によって市のごみ処理計画の中で最もな重要な計画である「最終処分ゼロの処理体制を継続する計画」を見直さなければならないことになります。
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このように、広域処理を行う場合は、少なくとも関連する法令の規定が2つ増加します。また、見直したごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、この2つの法令に抵触することになります。
浦添市のごみ処理計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していますが、中北組合のごみ処理計画は適合していません。したがって、1市2村のごみ処理計画の調和が保たれていないことになるため、廃棄物処理法第6条の規定(★)に抵触することになります。
また、見直したごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合しない場合は、1市2村が広域組合を設立する前に作成する地域計画も基本方針に適合しない計画になってしまいます。そして、1市2村が広域組合を設立しても2村の施策によって国の補助金を利用することができない広域組合を設立することになり、中城村と北中城村の2村は他の地方公共団体である1市(浦添市)の財政に累を及ぼす施策を行っていることになるので、地方財政法第2条の規定(★)に抵触することになります。
★廃棄物処理法第6条第3項
市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たつては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。
★地方財政法第2条第1項
地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。
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次に下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が休止している溶融炉を広域組合を設立する前に廃止する計画に見直した場合の評価です。
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このように、休止から廃止に変えても、地方財政法第8条の規定が適用されなくなるだけのことであって、上の2つの法令に抵触している状況は変らないことになります。
また、広域組合は2ヶ所ある焼却炉から排出される焼却灰のうち、1ヶ所の焼却炉から排出される焼却灰については、平成35年度までは民間委託処分を行っていくことになります。
広域組合は浦添市と中北組合のごみ処理施設を引き継ぐことになります。したがって、その広域組合は国の補助金を利用して整備した2基の溶融炉のうち1基(既に長寿命化を行っている溶融炉の約1年後に整備した溶融炉)については、長寿命化を行わずに廃止して廃棄物処理法の基本方針に適合しない焼却灰の民間委託処分を行っていることになります。
なお、このような自治体(広域組合)がごみ処理施設を更新(広域施設を整備)する場合に国が財政的援助を与えた場合は、国が自ら廃棄物処理法の基本方針を撤回することになります。
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次に下の画像をご覧下さい。これは、中北組合が広域組合を設立する前に代替措置を講じて溶融炉を廃止する計画に見直した場合の評価ですが、このブログの管理者は中北組合が地方財政法第2条第1項の規定に従って浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行うことを回避することを前提にした場合は、この計画が中北組合にとっては唯一の選択肢になると考えています。
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このように、①溶融炉を廃止することで地方財政法第8条の規定は適用されないことになります。そして、②溶融炉の廃止に当って代替措置を講じることによって廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画になります。
したがって、上の2つの法令の規定も適用されないことになります。
ただし、平成28年度の1市2村における事務処理において代替措置を講じるための具体的な方法が決まるまでは1市2村の首長が協議会を設立して覚書を締結することはできないことになります。なぜなら、1市2村の首長が職務を遂行する時間を無駄に使うことになる(1市2村において首長が最少の経費で最大の効果を挙げるための事務処理を行うことができなくなる)からです。
その3に続く