沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(運命の3年間)

2016-04-17 15:37:53 | ごみ処理計画

いきなりですが、下の画像をご覧下さい。

これは、ごみ処理施設における設備(焼却炉や溶融炉等)の処分制限期間(環境省は7年、防衛省は10年)と国の補助金を利用する権利との関係を整理した資料です。

市町村の首長はともかく、首長の補助機関としてごみ処理に関する事務を遂行している担当職員の中でこのことを知らない職員は1人もいないはずですが、職員ではない読者の皆さんのために作成しました。


原寸大の資料(画像をクリック)

ちなみに、浦添市と中北組合(中城村・北中城村)はほぼ同時期に溶融炉を整備していますが、浦添市は処分制限期間を経過した溶融炉と焼却炉の長寿命化を平成24年度に実施しています。しかし、中北組合は平成27年度においても長寿命化を行っていません。しかも、溶融炉は休止しています。

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、このブログの管理者が浦添市の市長になったつもりで考えた、広域処理に関する中北組合(中城村・北中城村)に対する条件(最小限の条件)です。

原寸大の資料(画像をクリック)

中北組合が浦添市と同じ「ストーカ炉+溶融炉」方式を採用していて、浦添市と同じように既に焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施していれば、条件は上の画像の1だけになります。

しかし、中北組合が「流動床炉+溶融炉」方式を採用していて、未だに焼却炉と溶融炉の長寿命化を実施していない状況で、しかも溶融炉を所有したまま「運転経費が高い」という、溶融炉を所有している全ての市町村が感じている「当たり前の理由」だけで、2年以上も休止している(地方財政法第8条の規定に抵触している)という状況を考えると、どうしてもこのような条件になってしまいます。

実際に、浦添市がどのような条件を提示しているかは分かりませんが、この条件とそれほど違う条件ではないと考えています。 

なお、浦添市の条件の2から4は、広域処理においては、①既存施設に関する地域計画は策定しない(広域施設に関する地域計画のみ策定する)、②関係市町村のごみ処理計画の調和が保たれていなければ協議会を設立しても協議ができない、③協議会において既存施設に関する協議は行わない、という広域処理を推進する市町村においては極めて当たり前の条件になっています。

下の画像は、広域処理において最も重要な条件となるごみ処理計画の調和に関する資料ですが、平成27年度の実施計画を比較するとこんな感じになります。

 原寸大の資料(画像をクリック)

浦添市としては、このようにまったくごみ処理計画の異なる(調和が保たれていない)自治体、そして、法令(地方財政法第8条)に違反する事務処理を行っている自治体と協議会を設立して広域処理を推進することになります。

下の画像は、中北組合が浦添市が提示した条件を満たさなかった場合の資料です。

浦添市が、ここまでストレートに判断するかどうかは分かりませんが、広域処理が100億円を超えるビッグプロジェクトであることを考えると、妥協は禁物だと考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

ということで、下の画像をご覧下さい。 

これは、昨日(16日)更新した記事最後にアップした平成31年度に広域組合を設立する前提で作成した資料の一部(平成28年度から平成30年度の3年間)を拡大して整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このブログの管理者は、この3年間が中北組合(中城村・北中城村)が浦添市と新たな広域組合を設立することに成功するか、失敗して中北組合を解散することになるかを決定する運命の3年間になると考えています。 

では、浦添市の条件と上の資料に従って順番に整理して行きます。

(1)資料の一番下のスケジュールは決定事項になっている。

⇒①平成28年度に1市2村の首長が協議会を設立して広域施設の整備に関する協議を行い、②平成29年度に広域組合を設立するための「地域計画」の原案を作成して、③平成30年度に国と協議を行い「地域計画」を決定することになります。

(2)協議会を設立する前に、中北組合は法令違反を是正しておかなければならない。

⇒中北組合が溶融炉を所有したまま休止している状態は地方財政法第8条の規定に違反している状態なので、是正することを決定していない場合は広域処理を推進するための協議会を設立しても、その事務処理は無効になります。

(3)中北組合の溶融炉を再稼動して長寿命化を行う選択肢はないので、溶融炉は広域組合を設立する前に廃止することになる。

⇒溶融炉を廃止(所有財産から除外)すれば、地方財政法第8条の規定に適合していることになります。

(4)協議会を設立する前に、中北組合はごみ処理計画を国の補助金を利用することができる計画に見直しておかなければならない。

⇒協議会は国の補助金を利用して浦添市に広域施設を整備することを目的として設立することになるので、ごみ処理計画の見直しは必須条件になります。

(5)広域組合を設立する前に、中北組合は代替措置を講じて溶融炉を廃止しておかなければならない。

⇒中北組合における溶融炉の再稼動と長寿命化は、国内に事例がなく事故や故障等により稼動が困難になるリスクが高いので、浦添市の財政に累を及ぼすような施策になります。このため、地方財政法第2条第1項の規定に抵触することになります。

(6)広域組合を設立する前に、中北組合は国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を行っておかなければならない。

⇒中北組合が長寿命化を行わない場合は広域組合において行うことになるため、浦添市の条件を満たさないことになります。また、長寿命化に当って国の補助金を利用しない(利用できない)場合は、協議会を設立するためのごみ処理計画の見直しが行われていないことになり、浦添市の条件を満たさないことになります。

(7)中北組合は、①平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止して、②平成30年度には国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施しなければならない。

⇒中北組合は平成28年度に協議会を設立する前に、平成29年度に溶融炉を廃止するための代替措置に対する具体的な方法を決定しておなければならないことになります。また、平成29年度には平成30年度に焼却炉の長寿命化を行うための実施計画と地域計画を策定しなければならないことにまります。

以上により、中北組合が運命の3年間を無事にクリアして広域組合を設立するためには、事前協議において1日でも早く溶融炉を廃止するための代替措置に対する具体的な方法を決定して、協議会を設立する必要があると考えます。

下の画像は、今年度(平成28年度)において1市2村が広域処理を推進するための協議会を設立した時点における浦添市と中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画を比較した資料になります。

2村の村長は平成26年3月にごみ処理計画を改正して溶融炉を休止していますが、平成28年3月には平成28年度において浦添市との広域処理を推進するための協議会を設立することを施政方針として表明しています。

したがって、2村の村長には、中城村の村長が任期を満了する前(遅くとも5月下旬まで)に、①法令に違反しているごみ処理計画を見直して、②国の補助金を利用する権利を確保した上で協議会を設立する責務があると考えます。

原寸大の資料(画像をクリック)

なお、このごみ処理計画については、平成30年度に1市2村が共同で作成した「地域計画」を決定するための国と県との協議において、国からチェックを受けることになります。

最後に、下の画像をご覧下さい。

これが、平成30年度に1市2村が国のチェックを受ける主な項目になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

もちろん、右側の国の評価が全部「丸」にならなければ、1市2村は広域組合を設立することはできない(広域処理は失敗する)ことになります。

広域処理の成功を祈ります。


広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(マスコミ報道)

2016-04-17 09:38:53 | ごみ処理計画

広域処理に関する協議会が設立されると、間違いなくマスコミ報道があります。

その場合、一般的には関係市町村の首長が揃ってにこやかに握手をしている写真が掲載されます。そして、広域処理の計画概要が一覧表の形で掲載されます。

ただし、広域組合の設立ではなく協議会の設立の場合は既存施設の「老朽化」等に関する情報も掲載されるため、関係市町村の職員は事前協議において十分に協議を行い、広域処理において広域組合が引き継ぐことになる既存施設に対する事務処理が不適正な事務処理にならないことを確認しておかなければなりません。

その確認を怠ると、協議会を設立したときに首長に恥をかかせることになります。

そこで、今日は、浦添市と中城村と北中城村の1市2村の首長が広域処理を推進するための協議会を設立した翌日のマスコミ報道を想定して記事を書くことにします。

ということで、下の画像をご覧下さい。

これは、事前協議において中城村と北中城村が既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を見直さずに協議会を設立した場合の資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

いかがでしょうか?

中北組合の既存施設は、①長寿命化を実施しないまま、そして、②溶融炉については休止したまま協議会を設立することになりますが、④法令(地方財政法第8条)に違反している状態、そして、⑤国の補助金を利用する権利を放棄している状態で広域施設の整備に関する協議を本格的にスタートすることになります。

しかし、これでは、職員の不十分な事前協議によって、2村の首長だけでなく、浦添市の首長まで、世間に恥をさらすことになってしまいます。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、事前協議において中城村と北中城村が既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策を見直してから協議会を設立した場合の資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

いかがでしょうか?

こうすれは、中北組合が、①法令違反を是正した状態、そして、②国の補助金を利用する権利を確保した状態で、めでたく協議会を設立することができます。

そして、協議会を設立する前の職員による事前協議の結果がこうなっていれば、1市2村の首長がにこやかに握手をしながら写っている写真と、同じ紙面に掲載されている既存施設や広域施設に関する一覧表の内容が一致するので、首長も安心して協議会において本格的に協議をスタートすることができます。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、事実に基づいて中北組合の特徴を整理した資料になります。このうち、3から10までは平成26年度以降の特徴になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように3から10までの特徴は、中城村と北中城村の村長が責任者として実施した施策に基づく特徴になります。そして、その2村の村長は平成28年度で任期を満了します。

次に、下の画像をご覧下さい。

これは、浦添市と中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画を比較した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

このように、浦添市と中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画は、どちらも県の廃棄物処理計画(溶融炉の整備を推進する計画)を上位計画にしています。しかし、中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画は、県の計画とは逆の計画になっています。

県の廃棄物処理計画は1つしかないので、その計画を上位計画にしている浦添市と中北組合(中城村・北中城村)のごみ処理計画は、普通であれば調和が確保されていることになります。

しかし、上の資料にあるように、実際はまったく調和が確保されていません。

このブログの管理者は、最初に中北組合(中城村・北中城村)が改正したごみ処理計画を見たときにビックリしました。そして、その中北組合が浦添市との広域処理を選択肢の1つにしていることをマスコミ報道で知ったときもビックリしました。

そのことが、このブログを書くキッカケになっており、またブログを書き続けている理由でもあります。

したがって、広域処理が成功するか失敗するかハッキリするまで、これからも1市2村の事務処理に注目しながらブログを書き続けて行く予定です。

いずれにしても、平成26年3月にごみ処理計画を改正して、平成35年度までは広域処理を検討課題から除外して現体制(中北組合)を維持して行くことを決めた2村の村長と、平成28年3月に浦添市との広域処理を推進して行くことを公表した2村の村長は同じ村長であり、どちらの村長も平成28年度で4年間の任期を満了します。

そうであるならば、平成27年度において既に1市2村が共同で建設する広域施設の受け入れを表明している浦添市に対する最低限の礼儀として、少なくとも中城村の村長が任期を満了する前に、2村の村長が改正したごみ処理計画の見直しを2村の村長の責任で行い、1市2村のごみ処理計画の調和を確保した上で協議会を設立する必要があると考えます。

最後に、下の画像をご覧下さい。

浦添市と中北組合(中城村・北中城村)はほぼ同じ時期に溶融炉を整備していますが、その溶融炉(既存施設)に対する考え方はまったく違います。したがって、事前協議において十分な協議を行わずに協議会を設立すると、場合によっては、こんなマスコミ報道が行われることになると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

(注1)法制度上、都道府県の廃棄物処理計画を市町村のごみ処理計画の上位計画にしなければならない義務はありません。したがって、県の計画を上位計画にするのは任意になります。しかし、県の計画と市町村のごみ処理計画との整合性が確保されていない場合は、ごみ処理施設の整備(長寿命化、更新、新設等)に当って国の補助金を利用することはできないので、市町村は国の補助金を利用する権利を放棄していることになります。

(注2)沖縄県の計画は溶融炉の整備を推進する計画になっていますが、これはあくまでも最終処分場の延命化を図ることとを目的にしているので、溶融炉を廃止する場合であっても最終処分場の延命化を図ることができる代替措置を講じれば、県の計画との整合性を確保(国の補助金を利用する権利を確保)することができます。

(注3)2村の村長が浦添市と同じように溶融炉の長寿命化を行うことにすれば、とりあえず広域処理に必要な条件を満たすことになりますが、①既に長寿命化を行う時期(浦添市の事例に従えば平成27年度)を経過していること、②中北組合が所有している溶融炉は国内で稼動している事例も長寿命化が行われた事例もないこと、③長寿命化を行うと浦添市の財政に累を及ぼすような施策を行う(地方財政法第2条第1項の規定に抵触する)ことになること等により、選択肢から除外しなければなりません。

広域処理の成功を祈ります。