平成28年度は1市2村の首長の任期が満了する年度です。そして、平成28年度は国のインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっています。
その2村のうち中城村は村長の政策方針を村の公式サイトに掲載して、1市2村による広域処理を推進するための協議会を平成28年度に設立することを表明しています。北中城村の政策方針はまだ(平成28年4月9日現在)村の公式サイトには掲載されていませんが、中城村は現在のごみ処理のパートナーなので、広域処理を推進することや今年度中に協議会を設立することについては北中城村の村長も同じ政策方針にしているはずです。
そこで、今日は1市2村における広域処理のスケジュールについて改めて考えてみることにします。
ということで、下の画像(2つ)をご覧下さい。
これは、中北組合がごみ処理施設(青葉苑)の長寿命化を中止した場合のスケジュールと、備忘録にアップした補助金を利用するための必須条件になります。
この事務処理は1~8の条件を満たしていません。
原寸大の資料(画像をクリック)
平成28年度中に協議会を設立することを決めた2村の首長が青葉苑の長寿命化を中止することは考えられないことですが、もしかしたら職員がそう考えている可能性があるかも知れません。
しかし、浦添市との事前協議において長寿命化の中止を表明した場合は、協議会を設立することはできなくなります。なぜなら、協議会において廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を浦添市と共同で策定することができなくなるからです。
つまり、中北組合が青葉苑の長寿命化を中止するということは、協議会を設立する前に広域処理を「白紙撤回」することになります。浦添市がどのように対応するかは分かりませんが、おそらく協議会を設立するための事前協議は打ち切ることになると考えます。
その場合、中北組合がどのような悲惨な状況になるかは、上の画像の下段にある(注)をご覧下さい。
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次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。
これは中北組合が青葉苑の長寿命化を実施する場合のスケジュールと補助金を利用するための必須条件になります。もちろん、溶融炉を休止したまま焼却炉だけを長寿命化するということはできないので、この場合は溶融炉を再稼動することになります。
この事務処理は2~7の条件を満たしていますが、1と8の条件を満たしていません。
原寸大の資料(画像をクリック)
このブログの読者の皆様は、上の画像において広域処理が白紙撤回になる理由を良くご存知だと思いますので、詳しい説明は省略しますが、中北組合が他の市町村との広域処理を推進する前提でこの施策を行うと地方財政法第2条第1項の規定に抵触する施策(浦添市の財政に累を及ぼすような施策)を行うことになります。
それでも、もしかしたら協議会を設立するかも知れません。しかし、焼却炉の長寿命化はともかく、国内では稼動している事例や長寿命化を行っている事例のない溶融炉を再稼動して長寿命化を行い10年以上安定して稼動させるという施策は、極めてギャンブル性の高い施策になると考えます。
したがって、中北組合(中城村・北中城村)が青葉苑の長寿命化を行う場合は、広域処理は「白紙撤回」になると考えています。
なお、その場合の悲惨な状況については画像の下段にある(注)をご覧下さい。
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次に、下の画像(2つ)をご覧下さい。
これは、溶融炉を廃止するための代替措置を外部委託する場合のスケジュールと補助金を利用するための必須条件になります。
この事務処理は2~7の条件は満たしていますが、1と8~10の条件を満たしていません。
原寸大の資料(画像をクリック)
代替措置の外部委託とは、簡単に言えば、焼却灰の資源化を長期間民間に委託することを意味しています。中北組合の場合は広域施設が完成するまでは外部委託を続ける必要があるので、その期間は概ね10年になります。
しかし、中北組合の焼却炉は流動床炉であるため、排出される焼却灰は塩分濃度の高い飛灰(ばいじん)になります。この飛灰を県内で資源化できる施設はありません。また、内地においても数える程度しかありません。
したがって、沖縄県内の市町村にとってはかなりギャンブル性の高い施策になると考えます。
なお、このブログの管理者は、国がこの措置を代替措置として認めるかどうかについてもかなり疑問を感じています。中北組合の焼却炉が浦添市と同じストーカ炉であれば、認める可能性は高くなると思いますが、流動床炉の場合は無理だと考えています。
いずれにしても、中北組合が他の市町村と広域処理を推進する場合は、外部委託は他の市町村の住民に対する「担保」にはならないので、中北組合がこの施策を選択した場合は、前の2つの場合と同様に広域処理は「白紙撤回」になると考えます。
ちなみに、外部委託を国が代替措置として認めなかった場合は、焼却炉の長寿命化に当って国の補助金を利用することができなくなるので、長寿命化を中止した場合と同じ状況になります。
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最後に、下の画像をご覧下さい。
このブログの管理者は消去法で考えると中北組合が広域処理を成功させるためには、この施策(自前で溶融炉を廃止するための代替措置を講じる施策)しか選択肢は残っていないと考えています。
また、このスケジュールでなければ、浦添市の予定が大幅に遅れることになるので、浦添市の財政に累を及ぼすような施策(地方財政法第2条第1項の規定に抵触する施策)になると考えています。
この事務処理は、1~10までの条件を全て満たしています。
原寸大の資料(画像をクリック)
このスケジュールは浦添市の予定を重視したものになっています。この中で一番重要なのは中北組合の焼却炉の長寿命化を行う時期(平成30年度)になります。
中北組合の溶融炉は既に長寿命化を行う時期を迎えているので、1市2村が広域組合を設立してから実施すると、17年目以降に実施することになり、一般的には老朽化がかなり進行している状況になります。したがって、中北組合としては浦添市と同じように広域組合を設立する前に焼却炉の長寿命化を完了しておく必要があると考えます。
そうなると、少なくとも平成29年度には中北組合において焼却炉の長寿命化を行うための実施計画と補助金を利用するための地域計画を策定する必要があります。
したがって、逆算すると、溶融炉を廃止するための代替措置については平成28年度中に具体的な方法を決定して、平成29年度には実施しなければならないことになります。
なお、上の画像の一番左上にある協議会の設立については、1市2村の首長が一番右下にある広域施設を建設するための協議を行い、下から4段目にある地域計画を策定する事務処理を行うことを目的にしています。
したがって、その前に中北組合と1市2村の職員による事前協議によって既存の施設に関する事務処理を終了していなければならないことになります。しかし、事前協議において溶融炉を廃止するための具体的な方法を決めれば、いつでも協議会を設立することができる状況になっているので、職員の皆様はこの事務処理に専念すべきだと考えます。
特に中北組合の場合は、実質上、浦添市との広域処理しか選択肢が残っていない状況と考えられるので、広域処理を成功させるためには上の画像のスケジュールに合うように事務処理を行っていく必要があると考えます。
その2に続く