今日は、中北組合(中城村・北中城村)の地方財政法違反について書きます。
その前に、まず、下の画像をご覧下さい。
これは、広域処理を推進するための一般的な事務処理の流れを整理した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、普通は、協議会を設立する前の事前協議において、①既存施設に対する施策を決定して、②確実に国の補助金を利用できることを確認した上で、③広域施設の整備に関する基本計画を決定するという事務処理の流れになります。そして、この段階で、④マスコミ発表が行われます。
したがって、マスコミ発表の後は、⑤協議会を設立するための覚書の原案を作成して、⑥関係市町村の首長が合意した段階で協議会を設立するという流れになります。
普通は、④のマスコミ発表から1、2ヶ月後、遅くとも3ヶ月後くらいに協議会が設立されます。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、浦添市と中城村と北中城村の1市2村による事務処理の流れを整理したし資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、1市2村による広域処理については、先に、①広域施設の整備に関する基本的な計画を決定して、②マスコミ発表を行い、その後に、③既存施設に対する施策を決定して、④確実に国の補助金を利用できることを確認するという極めて珍しい変則的な事務処理の流れになっています。
そして、②のマスコミ発表の段階では平成27年度中に協議会を設立することになっていましたが、3月になって2村の村長が平成28年度に先送りすることを表明しています。
これは、2村の既存施設に対する施策がまだ決定していない(確実に国の補助金を利用できることを確認できていない)からだと思われますが、 既にマスコミ発表から5ヶ月近くが過ぎています。
沖縄タイムスの記事(平成27年12月8日)
琉球新報の記事(平成27年12月9日)
では、なぜこのような事態になっているのか?
下の画像をご覧下さい。
これは、このブログの管理者の想像で作成した資料ですが、このように考えなければ事務処理の流れと遅れに対する説明ができないと考えます。
原寸大の資料(画像をクリック)
いかがでしょうか?
このブログの管理者は、1市2村が広域施設の整備に関する基本的な計画を決定してマスコミ発表を行った時点では、地方財政法に関することは考えずに補助金適正化法のことだけを考えて事務処理を行っていたと考えています。
そう考えれば、事前協議における1市2村の事務処理の流れは最初の資料にあるように、普通の事務処理の流れと同じ流れになり、平成27年度に協議会を設立することができたことになります。
このブログの管理者の考え方が正しいか間違っているかは分かりませんが、いずれにしても、地方財政法の規定については考慮していなかったと思います。なぜなら、考慮していれば、マスコミ発表の前(広域施設の整備に関する基本的な計画を決定する前)に2村の既存施設に対する施策を決定していたはずだからです。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、広域施設の整備に当って確実に国の補助金を利用できることを確認するための事務処理の流れを整理した資料です。上の画像は、地方財政法の規定と廃棄物処理法の基本方針、下の画像は、具体的な事務処理の流れになります。
原寸大の資料(画像をクリック)
浦添市の場合は処分制限期間を経過した溶融炉(既存施設)の長寿命化を実施して最終処分ゼロを継続する事務処理を行っているので、補助金適正化法や地方財政法、そして廃棄物処理法の基本方針に適合する事務処理を行っていることになります。したがって、単独更新であれば確実に国の補助金を利用することができます。
しかし、中城村と北中城村の2村は、既存施設(溶融炉)の処分制限期間を経過した段階で、ごみ処理計画を改正して休止しています。そして、廃止ではなく休止をしていることによって、結果的に地方財政法第8条の規定に違反する事務処理を行っています。しかも、焼却灰の民間委託処分を行っているので廃棄物処理法の基本方針にも適合しない事務処理を行っています。したがって、単独更新であっても広域処理であっても国の補助金を利用することはできません。
地方財政法第8条の規定は、国が市町村が所有している補助金適正化法の処分制限期間を経過した既存施設に対して長寿命化を求める根拠法令になっています。したがって、地方財政法第8条の規定が適用されない場合(廃止した場合)は長寿命化を実施する必要はありません。
しかし、1市2村は、2村が地方財政法第8条の規定に違反しているという認識がなかったために、長寿命化も不要になると考えて広域施設の整備に関する基本的な計画を決定するための事務処理を行い、決定した段階でマスコミ発表を行ったのではないかと考えています。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、地方財政法第8条の規定がなかった場合を想定して作成した資料です。
このブログの管理者は、もしかしたら、1市2村はこのような感じで事前協議を行っていたのではないかと想像します。そうでなければ、既存施設に対する施策を決定しないで広域施設の整備に関する基本計画を決定するための事務処理は行っていなかったはずですし、ましてやマスコミ発表などはできなかったと考えます。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、地方財政法第8条の規定がなければ、処分制限期間を経過した既存施設(溶融炉)に対する長寿命化については、法制度上、環境大臣が定めた基本方針による市町村の自治事務に対する国の技術的助言ということになるため、市町村は市町村の判断で任意に施策を決定することができます。
つまり、長寿命化を中止して、休止しても廃止しても、国の補助金を利用することができるということになります。
ちなみに、廃棄物処理法の規定に「長寿命化を行わなければならない」という規定はありません。
次に、下の画像をご覧下さい。
これが、1市2村の現状です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、2村は既存施設(溶融炉)を休止していることで、所有財産の効率的な運用を放棄していることになるため、地方財政法第8条の規定に違反している状態になっています。
そして、2村がこの法令違反を是正して、ごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画に見直さなければ、1市2村が設立する広域組合もこの画像と同じ状況になるため、国の補助金を利用することはできないことになります。したがって、広域処理は不可能ということになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、2村が地方財政法違反を是正するために既存施設(溶融炉)を廃止した場合を想定して作成した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
このように、既存施設(溶融炉)を廃止しても、①補助金の返還が不要になる、②法令違反を是正することができるというだけのことで、廃棄物処理法の基本方針に適合しない事務処理を行っていることになるので、結果的には前の資料と同じように、広域処理は不可能ということになります。
なお、2村の村長は3月にごみ処理に関する施政方針を変更して、浦添市との広域処理を推進するために平成28年度に協議会を設立することを表明しています。
しかし、そのためには、平成26年3月にごみ処理計画を改正した現村長が、①法令違反を是正して、②国の補助金を利用できないごみ処理計画を補助金を利用できるごみ処理計画に見直さなければなりません。
参考までに、下の画像をご覧下さい。
これは、2村が地方財政法第8条の規定に違反していないとした場合の資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
地方財政法第8条の規定は、当然のこととして浦添市にも適用されるので、仮に裁判において2村が所有財産(溶融炉)を休止することで最も効率的な運用を行っているという判決を受けた場合は、浦添市やその他の溶融炉の長寿命化を行っている市町村は、全て所有財産の非効率的な運用を行っていることになり、地方財政法違反になってしまいます。
したがって、廃棄物処理法の基本方針は市町村の自治事務に対する過剰な関与をしていることになり、無効になります。また、長寿命化を行わずに休止している溶融炉(地方公共団体の所有財産)に対して地方財政法第8条の規定が適用されないとした場合も、廃棄物処理法の基本方針は無効になってしまいます。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、処分制限期間を経過した既存施設に対して地方財政法が適用される場合と適用されない場合を整理した資料です。休止(運用を放棄)している中北組合の溶融炉は完全に違反になりますが、焼却炉についても長寿命化を行わない場合は抵触することになります。
原寸大の資料(画像をクリック)
なお、中北組合がこのまま既存施設に対する施策を変えずに協議会を設立して1市2村が地域計画を策定した場合、国や県との協議を行うときに国や県から是正の要求や是正の勧告等を受けることになります。しかし、そのときになって代替措置を講じて溶融炉を廃止しても、焼却炉の長寿命化を行う時期が広域施設を整備する時期と重なってしまうので、浦添市は広域処理を白紙撤回して、急いで単独更新に切り替えることになります。
次に、下の画像をご覧下さい。
これは、上から2番目の事務処理の流れに基づいて作成した資料です。
原寸大の資料(画像をクリック)
協議会の設立が遅れているのは、平成26年3月に2村の現村長が改正したごみ処理計画が原因になっています。浦添市には何の問題もありません。
そうであるならば、2村の村長は浦添市のために、①中城村の村長選挙が告示される5月31日までに法令違反を是正して、②中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立する必要があると考えます。
最後に、下の画像をご覧下さい。
2村の既存施設(溶融炉)に対する施策は、溶融炉を再稼動して長寿命化を行う施策と、代替措置を講じて溶融炉を廃止する施策しか選択肢はありません。
しかし、浦添市との広域処理を前提にした場合は溶融炉の再稼動と長寿命化は選択肢から除外しなければなりません。その理由は何度も書いてきたので省略します。
原寸大の資料(画像をクリック)
このブログの管理者は、事前協議において、1つ前の画像にある①と②の事務処理を行うことができなかった場合は、2村は2村に対する浦添市の好意を無にすることになると考えます。
したがって、中城村の村長の任期が満了する前に1市2村の首長が協議会を設立することができなかった場合は、浦添市は「広域処理」を白紙撤回して「単独更新」に計画を変更することになると考えています。
広域処理の成功を祈ります。