沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(国の条件)

2016-04-06 10:01:38 | ごみ処理計画

1市2村の首長が平成27年度中に広域処理に関する協議会を設立しなかった本当の理由は分かりませんが、中北組合の焼却炉が浦添市と同じストーカ炉で溶融炉を休止していなければ(浦添市と同様に長寿命化を行っていれば)問題なく設立することができたと考えています。

しかし、平成28年度の中城村の施政方針において、今年度中に協議会を設立して、広域処理における施設規模や処理方式、経費負担等に関する本格的な協議を進めることは決定したようです。

なお、中城村は約2年前にごみ処理計画の改正と溶融炉の休止を決めた村長の任期が今年の6月で満了します。しかも、今年度はインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」の策定期限になっています。そうなると、村長の責任において任期が満了するまでに休止している溶融炉を廃止するのか再稼動して長寿命化を行うのか、その方向性(行動計画)を決めることになると考えます。

したがって、早ければ4月中、遅くとも5月中には協議会が設立されると考えています。

そこで、今日は、1市2村が協議会において共同で策定することになる「地域計画」に対する国の条件を考えてみることにします。

ということで、まずは下の画像をご覧下さい。これは、1市2村における広域処理が成功するパターン失敗するパターンを整理したものです。

原寸大の資料(画像をクリック)

そして、下の画像は、失敗するパターンの理由です。

原寸大の資料(画像をクリック)

この記事の最初に書いたように、中北組合が浦添市と同じ形式の焼却炉(ストーカ炉)と溶融炉(国内で稼動している事例や長寿命化が行われた事例がたくさんある溶融炉)を整備している場合であって、溶融炉を休止していなければ(長寿命化を行っていれば)、平成27年度に協議会を設立することができたと考えます。

しかし、中北組合が浦添市とは形式の異なる焼却炉(流動床炉)と溶融炉(国内では稼動している事例や長寿命化が行われた事例のない溶融炉)を整備して平成26年度から約2年間休止している(長寿命化も行っていない)ことから、1市2村の首長が簡単には協議会を設立することができない状況になっています。

なぜなら、1市2村が広域組合を設立すると、結果的に浦添市も市のものとは形式の異なる焼却炉と溶融炉を整備した形になってしまうからです。

このため、協議会を設立する前に1市2村の職員(首長の補助機関)による事前協議において適正な事務処理を終了しておかないと、協議会を設立する前に広域処理は失敗に終わることになる(白紙撤回になる)と考えています。

では、その理由を説明します。下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

上の資料において協議会を設立してからの国の条件(⑤から⑦)は、広域処理に関わらず市町村がごみ処理施設を整備する場合は全ての市町村に適用される条件なので、ほとんど問題はありません。

しかも、国や県も参加して協議を行うことになるので、「地域計画」に不適正な部分がある場合は国や県が是正してくれます。

したがって、1市2村にとっては首長が協議会を設立して「地域計画」を策定するための協議をスタートする前に、上の資料の①から④までの国の条件をクリアしておくことが重要な事務処理になります。

この中で①については必須条件になるので説明は省略します。問題は②から④です。特に②については、中北組合が溶融炉を所有したまま休止していることが大きな問題になります。

なぜなら、休止している(所有している財産を所有の目的に応じて最も効率的に運用していない)段階で中北組合は地方財政法第8条の規定に抵触する事務処理を行っていることになるからです。ちなみに、中北組合が補助金適正化法の規定に従って溶融炉を廃止していれば、この規定は適用されません。

次に問題になるのは③の条件です。これは、広域処理に対する特有の条件になります。したがって、中北組合は浦添市の財政に累を及ぼすことがないように適正な施策を考えなければならないことになります。

そして、④の条件は中北組合が結論を先延ばしすることができない条件になります。

中北組合のごみ処理施設は既に長寿命化を行う時期を迎えています。また、今年度中にインフラ長寿命化基本計画に基づく「行動計画」を策定することになっているので、平成29年度以降は休止を続けることはできない状況になっています。つまり、長寿命化を行うために溶融炉を再稼動しない場合は廃止が決定することになります。

ということで、下の画像をご覧下さい。これは国の条件をより具体的に整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

重要なのは③と④になります。国の具体的な条件は、当然のこととして⑤から⑦と同じ条件になります。したがって、中北組合としては溶融炉の再稼動と長寿命化を行うことになる④と⑤を除外して⑥の条件をクリアするために③と⑦の施策によって地域計画を策定しなければならないことになると考えます。

次に、下の画像をご覧下さい。これは、1市2村が協議会を設立する前に国の条件を全てクリアするための事務処理を行った場合の資料です。

いかがでしょうか?

こうすれば、1市2村の首長が協議会を設立した直後から、広域処理における施設規模や処理方式、財政負担等に関す本格的な協議をスタートすることができます。

最後に、下の画像をご覧下さい。

このブログの管理者は、このパターンによって広域処理の成功と失敗が決定すると考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

なお、前にも書きましたが、このブログの管理者は市町村の首長がこのような法令の規定や廃棄物処理法の基本方針等について十分な認識があるとは考えていないので、実際は、地方自治法の規定に基づく首長の補助機関である職員が考えているパターンということになります。

したがって、1市2村の首長が休止している中北組合の溶融炉に対する適切な措置を講じないまま協議会を設立した場合は、残念ながら上の画像の右側のパターンになると考えています。

広域処理の成功を祈っています。