今日は、中城村と北中城村の既存施設(焼却炉と溶融炉)に対する施策の決定に当って浦添市との広域処理に失敗するパターンを最終確認することにします。
(最終確認1)
下の画像は、既存施設に対する施策に関する前提条件を整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】この前提条件の中で重要なのは、①(5)の関係市町村のごみ処理計画の調和を確保すること、②(6)の広域施設を整備することになる浦添市のごみ処理計画の変更(見直し)はできないこと、そして、③中城村と北中城村が①と②の前提条件をクリアできなかった場合は、浦添市は(8)のように単独更新を行うために広域処理を白紙撤回することになるということです。なぜなら、浦添市が中城村と北中城村のために国の補助金を利用することができなくなるリスクや、スケジュールが遅れることによって浦添市の既存施設の老朽化が進行するリスクを負担する理由はないからです。
(最終確認2)
下の画像は、中城村と北中城村が広域組合を設立するまでは、既存施設に対する施策は変更せずに、広域組合を設立してから焼却炉の長寿命化を行うという施策です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】この施策は、地域計画の策定に当って2村の既存施設に対する施策と広域施設の整備に関する2つの計画を策定しなければならないので、浦添市から却下されます。しかも、焼却灰の民間委託処分を継続して行く施策なので、前提条件をクリアすることができません。
(最終確認3)
下の画像は、広域施設を整備するための地域計画を策定するために、休止している溶融炉は広域組合を設立する前に廃止して、焼却炉の長寿命化は行わないという施策です。

原寸大の資料(画像をクリック)
【確認】こうすれば、広域施設の整備だけを行う地域計画を策定することはできますが、そもそも、2村が広域組合を設立した後も焼却灰の民間委託処分を継続して行くという施策は前提条件をクリアしていない(浦添市の施策との調和を確保していない)施策になるので、失敗するパターンになります。
(最終確認4)
下の画像は、広域施設の整備に当って国の補助金を利用するために、広域組合を設立してから溶融炉を再稼動して焼却炉と同時に長寿命化を行い、その後に広域施設を整備するという施策です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】こうすれば、広域組合を設立した後で1市2村のごみ処理計画の調和を確保することができますが、浦添市からすれば広域施設を整備するために広域処理を推進することが目的なので、広域施設を整備する前に2村から引き継いだ既存施設の長寿命化を行うという施策を受け入れることはあり得ないことです。しかも、2村の溶融炉は国内では稼動している事例や長寿命化が行われている事例のない溶融炉なので、浦添市の議会や住民の理解を得ることはほぼ不可能な施策になります。
(最終確認5)
下の画像は、 広域組合を設立する前に、溶融炉を再稼動して焼却炉と同時に長寿命化を行うという、一番オーソドックスな施策です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】2村の溶融炉が浦添市と同じストーカ炉の焼却灰を対象にした溶融炉であれば、この施策で広域処理は成功するパターンになります。しかし、2村の溶融炉が塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を対象にした溶融炉であり、国内で稼動している事例や長寿命化が行われている事例がない溶融炉となると、一つ前の施策と同様に、浦添市の議会と住民の理解は得られないと考えます。なお、地方財政法第2条第1項の規定により、2村は他の市町村(浦添市)の財政に累を及ぼす(広域施設の整備に当って補助金を利用することができなくなる)ような施策を行うことはできないので、この施策は法律に抵触する施策ということになります。
(最終確認6)
下の画像は、仮定の施策なので選択肢にはなりませんが、2村の既存施設が浦添市と同じ方式の施設だった場合を想定して作成した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】2村の焼却炉が流動床炉ではなく浦添市と同じストーカ炉であった場合、そして、浦添市と同じように溶融炉とセットで長寿命化を実施していれば、前提条件を全てクリアしていることになるので、このパターンが成功するパターンになります。
(最終確認7)
下の画像は上の画像の長寿命化を広域組合を設立してから行う施策に変更した場合の施策です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【解説】2村が広域処理を推進する場合に致命的な問題になるのが長寿命化を実施していないということです。したがって、仮に2村の焼却炉がはじめからストーカ炉であったとしても、広域組合を設立する前に長寿命化を実施していなければ浦添市から却下されることになります。
(最終確認8)
下の画像は、県内(本島)において平成10年代にごみ処理施設の供用を開始した自治体における長寿命化の実施状況を整理した資料になります。このように、2村を除く全ての自治体が長寿命化を実施しているか長寿命化計画の策定に着手しています。しかし、2村は平成28年度で供用開始から14年目になりますが、まだ長寿命化計画の策定に着手していません。ちなみに、平成28年度は国のインフラ長寿命化基本計画に基づく行動計画の策定期限になっています。

原寸大の資料(画像をクリック)

【解説】2村のごみ処理計画において、一番の謎は、溶融炉を休止することによって国の補助金を利用する権利を放棄しているということです。したがって、2村の村長ははじめから既存施設の長寿命化は実施しないつもりでごみ処理計画を改正した可能性があります。しかし、浦添市と広域組合を設立すると浦添市も一部の既存施設の長寿命化を実施していない自治体の関係市町村ということになってしまいます。それでは浦添市が自ら前提条件を壊してしまうことになります。
(最終確認9)
下の画像は、2村がなぜ溶融炉を廃止しないのかを確認するために作成した資料です。2村は所有財産を休止していることによって地方財政法第8条の規定に違反する事務処理を行っています。したがって、地方自治法の規定(第2条第17項)に基づけば休止は無効な事務処理になり、焼却灰の民間委託処分に支出している予算は、法制度上、効力のない事務処理のために支出している無駄な予算ということになってしまいます。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】この資料のうち右側の2村の考え方の白抜きの部分は、完全にこのブログの管理者が想像で書いています。しかし、こう考えなければ長寿命化を行わずに廃止もしないという理由を説明することはできないと考えています。したがって、2村の職員や村長は休止をしていても地方財政法第8条の規定には違反していないと考えていると思います。そうでなければ廃止しているはずだからです。なお、2村が地方財政法に違反していないとした場合は、環境省が市町村に対して処分制限期間を経過している既存施設の長寿命化を求めたり、長寿命化に対する財政的援助を与える根拠がなくなってしまいます。
(最終確認10)
下の画像は、上の画像の環境省を浦添市に置き換えた資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】このように、浦添市だけでなく県内や内地で既存施設の長寿命化を実施している市町村は環境省の考え方に従って事務処理を行っています。したがって、2村の事務処理が法令に違反していないとした場合は、所有財産の運用を休止することが最も効率的な運用を行うことになってしまいます。そうなると、2村以外の長寿命化を実施している全ての市町村は所有財産を所有の目的に応じて最も効率的に運用していないことになるので法令に違反していることになってしまいます。
(確認事項11)
下の画像は、2村と浦添市(処分制限期間を経過した既存施設の長寿命化を実施している全ての市町村)との考え方の違いを整理した資料です。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】平成27年度において1市2村による広域施設の整備に関する基本計画はほぼ決定しています。しかし、浦添市が2村と広域処理を推進するためには、協議会を設立する前に2村との考え方を統一しておかなければなりません。そうでなければ、広域施設の整備に関する基本計画を決定しても無意味になります。したがって、2村が考え方を変えない場合は浦添市の方が考え方を変えなければ失敗するパターンになってしまいます。しかし、浦添市が考え方を変えると失敗するパターンになってしまいます。
(最終確認12)
下の画像は、既存施設に対する施策を決定する前の市町村の職員や首長の考え方を整理した資料になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】仮に、2村の職員や村長がこの資料にある失敗するパターンの1つにでも該当する考え方をしている場合は、成功するパターに考え方を変えなければ、協議会を設立することはできないことになります。また、事前協議を行っている事務処理そのものが無駄な事務処理になってしまいます。
(最終確認13)
下の画像(2つ)は、国の財政的援助に関する国の責務や日本のルールについて書いた記事に使用した資料と同じものです。


原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】このように、2村が既存施設に対する施策を変更して、浦添市と同じように国の補助金を利用するための努力をしなければ失敗するパターンになります。
以上が失敗するパターンの最終確認になります。
なお、2村が既存施設に対する施策を外部委託する可能性もありますが、広域処理における外部委託は他の市町村(浦添市)の財政に累を及ぼすような施策になるので地方財政法第2条第1項の規定に抵触すると考えています。
そして、仮に浦添市の職員や市長が2村の外部委託に関する施策に同意をしたとしても、住民に対する担保にはならないので、浦添市の議会や市民の理解を得ることは100%無理だと考えています。したがって、外部委託も失敗するパターンということになります。
とういうことで、これで失敗するパターンは出尽くしたことになりますが、実はもう1つだけ失敗するパターンが残っています。最後にそのパターンを確認しておきます。
(確認事項14)
下の画像は、成功するパターンを整理した資料ですが、このブログの管理者は、流動床炉が既存施設である限り、2村にとってはこのパターンしか成功するパターンはないと考えています。 その理由はこれまでに何度も書いてきたのでここでは省略します。

原寸大の資料(画像をクリック)

【確認】このように成功するパターンにおいては、2村は広域組合を設立する前に、①溶融炉を廃止するために代替措置を講じる、②国の補助金を利用して焼却炉の長寿命化を実施する努力をしなければなりません。しかし、努力をすることになったとしても努力をする時期が遅れると失敗するパターンになってしまいます。浦添市は平成24年度に既存施設の長寿命化を実施しているので、施設の老朽化を考えると平成31年度に広域組合を設立して平成33年度(長寿命化から概ね10年目)に広域施設の建設に着手するというスケジュールはギリギリのスケジュールになると考えます。したがって、2村は平成30年度までに①と②の施策を終了していなければならないことになります。
(最終確認15)
下の画像は、成功するパターンのスケジュールに関する記事に使用した資料と同じ資料です。

原寸大の画像(画像をクリック)

【確認】この資料にあるように、平成31年度に広域組合を設立することを前提にすると、平成30年度には協議会が作成した地域計画の原案を国がチェックすることになります。このときに、最初にアップした画像にある前提条件に関するチェックを受けることになります。そして、前提条件をクリアすれば地域計画が完成することになるので、平成31年度には予定通り広域組合を設立することができることになります。しかし、2村の施策が遅れると国との協議も遅れることになるので、その場合は前提条件の最後の(8)にあるように、浦添市は広域処理を白紙撤回して地域計画を単独更新に変更することになると考えます。
以上が、失敗するパターンの最終確認です。
そして、成功するパターンは、①事前協議においてこの成功するパターンを早急に決定して、②中城村の村長の任期が満了する前に協議会を設立して、③平成29年度には代替措置を講じて溶融炉を廃止して、④国の補助金を利用する権利を確保した上で焼却炉の長寿命化を行うための地域計画を作成して、⑤平成30年度に焼却炉の長寿命化を終了するというスケジュールに従って事務処理を進めるパターンになります。なお、2村にとっても焼却炉の長寿命化を実施するスケジュールはギリギリのスケジュールになると考えています。
広域処理の成功を祈ります。