今から39年前の昭和56年に、朝日新聞記者本多勝一が、『合州国』という文庫本を朝日新聞から出版しています。本来なら『合衆国』と書くべきところを、わざわざ『合州国』と言い変え、その理由を次のように説明していました。
「衆は、人々や民族を意味する言葉だが、黒人差別のアメリカが、何で民族の融和した国であろうか。」
「アメリカとは、単に複数の州が連邦になっているに過ぎない。本来ならこの本は、『黒人の側から見たアメリカ 』 と、題をつけても良かったのだ。分かり易い言葉を使えば、白人対黒人、つまり 、" 殺す側と殺される側 " の話だ。」
北部のニューヨークから、南部の州まで、黒人の友と一緒に旅をした記録です。名前を耳にするだけで嫌悪を催す彼なのに、図書館でもらった廃棄本の中に、混ざっていました。今から6年前の話です。
馬野氏の書評のブログで、こんな人間の著作を語るのかと、疑問を抱かれるのかもしれませんが、ユダヤ人やイルミナティがテーマになっているので、偶然思い出しました。
この本で知った得難い収穫は、ユダヤ人が、アメリカ社会では黒人より低い階層に位置づけされている、という事実でした。
ゲットーに住み、差別に耐えているユダヤ人がいるかと思えば、世界を動かしているユダヤ人がいます。本多勝一が語っているのは、下層社会に住む一般のユダヤ人たちで、馬野氏が取り上げているのは上流社会のユダヤ人です。
バーナード・バルーク、キッシンジャー、ブレジンスキー氏は、上流社会のユダヤ人です。ロックフェラー家と並ぶロス・チャイルド家もユダヤ人で、もっと言えば、マルクスもレーニンもユダヤ人です。
日本で、ユダヤ人が世界を牛耳っていると語られるので、米国での彼らの地位が、高いとばかり思っていました。本多勝一の著書によりますと、本来ならユダヤ人は黒人と協力し、民族差別と闘って良いくらいなのに、黒人からも嫌われているのだそうです。
白人は黒人をニガー、ニグロと呼び、黒人は白人を白ぶたと言って罵倒しています。規制されていても南部では銃が溢れ、いつでも乱射される。警官は全て白人の側に立ち、些細なことで黒人を捕まえ、殴る蹴るの暴行をし逆らえば射殺します。
日本では反日のマスコミが、在日コリアンを日本人が差別すると騒いでいますが、アメリカの差別は、そんな生易しいものでありません。日本のテレビや新聞だけ見ていますから、「日本人はひどい差別をする」と、私たちはいつも反省しています。黒人差別だけでなく、ユダヤ人差別も、国際社会では想像できない状況にあると、それが伝えたくて、『合州国』の著作に言及しました。
馬野氏の著作へ戻ります。
「私はずっと以前から、アメリカの本当の姿を知り、日米関係を見誤らないようにと警告し続けてきたのだが、耳を傾ける人は思ったより少なく、世間ではその場その場の、軽薄な言説を流す物書きや、テレビタレントが幅を利かせている。」
嫌米の馬野氏の酷評は、止まるところを知りません。
「私から見れば、この事態は、大多数の日本人が夢を見ているわけで、実に危険である。この日本人の呑気さの底には、苛烈な民族、あるいは国際抗争を知らない、穏やかで正直な、人を疑うことのできない国民性がある。」
「それは人間として、尊い性質だけれども、相手がそれを逆手に使い、攻撃してくればひとたまりもない、もろく、弱いものなのだ。」
私の言いたいことを、すっかり氏が代弁しています。しかも、39年前です。書評は一向に進まず、ページは同じところですが、息子たちに言います。
「馬野氏の言葉を、真面目に聞きなさい。」
天気予報で、明日は少し涼しくなるとのことですから、終日氏の本に向かいます。蒸し暑い今夜は無理をせず、ここで一区切りとします。