久保紘之著『天下不穏』( 平成13年刊 産経新聞社 ) を、読み終えた。
「戦後憲法の最大の問題点は、いうまでもなく、〈 国家 〉と 〈 国民 〉 とを、まるで対立しているかのように扱い、国家を考えることが、あたかも〈悪〉であるかのごとく、国民意識に刷り込んで来たことだ。」
反日左翼の本が沢山出版されている時、久保氏のような本もあったのです。産経新聞社だから、出版したのかもしれません
「国家を支える自覚 ( 国家意識 )を罪悪視した、〈平和主義〉のもとで、国民の危機管理意識の育つ道理があるまい。」「愛国心の欠落した〈国際主義 〉が、アメリカのヘゲモニーに、ひたすら擦り寄る以外に何の芸もないことも、すでにいやというほど見て来た。」
氏は、国民の意識がそうなった原因は、東京裁判において戦勝国アメリカが作り上げた「日本軍の極悪非道ぶり」であり、「自虐史観」であると語る。
だから現憲法が改正され、自分の国が自分で守れるようになるまで、日本の独立は遂げられないと言う。その通りだと思いますが、本の解説者である石井氏は、そう言いません。
「久保さんの文章は、本の題名通り不穏である。ユニークな政治評論は、麻薬に似た危険と効能を持っている。その文章には強い麻酔作用があり、まかり間違えると中枢神経をマヒさせる恐れがある。」
普通の本で見る見慣れたお世辞の解説でなく、むしろ一歩引き、腫れ物にでも触るような臆病さだ。
憲法に関する意見だけでなく、歴代首相や自民党、社会党に対する遠慮のない久保氏の意見についても、石井氏は同じスタンスだ。この不思議な批判的解説を読んでいると、10年という歳月が日本の世相を大きく変えたと実感させられる。
久保氏の憲法改正に対する意見も、東京裁判を始まりとする「自虐史観説も、私にとって、というより、国民の多数にとって「不穏な考え」でなく、今は「ごく普通の考え」になっている。
民主党が政権を取ったお陰で、反日売国の政治家が、日本を駄目にして行く様子を、国民は自分の目で見ることができた。あるいは何をしても、憎しみと侮蔑しか返さない中国、韓国・北朝鮮を日々見せられ、目を覚ましたということだ。
同時に亡国のマスコミ、亡国の政治家、学者、文化人等々が、「子供らしい無邪気さ」で国際社会を語る危険性を、反面教師として教えてくれた。
とりわけ大きな変化を与えてくれたのは、ここ数年急速に発達したパソコンから得られる情報だ。情報を操作するマスコミ各社の不誠実さを知った今は、彼らが、いかにもっともらしく報道しようと、別の角度から考える知恵がついた。
庶民が得る情報の量と質について、10年を振り返れば、目を見張らずにおれない変化があった。漫然と情報を操作し、国民を騙し続けていると、政府も内部から崩壊するに違いない。世界の独裁者たちも、権力に胡座をかき自国民をバカにしていたら、いつなんどき、ドンデン返しの目に遭うか分からなくなっている。
国民を監視する公安関係の費用が、国防費と同じくらいの額であることを中国人が知ったら、どういうことになるのだろう。中国の国民も、北朝鮮の国民も、空しい反日の旗を振るより、国民弾圧の政府が倒れてくれる方が、どれだけ幸せに近づくことになるというのだろう。
正しい情報を国民に届けるという、ただそれだけの手伝いに金を使ったら、隣国の内部崩壊が早まり、庶民の幸福に貢献するのでないかと、もちろんこれは「みみずの戯言」だ。
しかもここだけの話。