長谷川慶太郎氏著『ロシア転覆、中国破綻、隆盛日本』( 平成27年刊 実業之日本社 ) を、読み終えました。
氏は保守系の経済評論家と言われ、日本を評価し、賞賛する学者です。私が知る、保守系の評論家としては、他に宮崎正弘、上念司、三橋貴明氏などがいますが、未だに何となく馴染めません。
私は日本を愛し、日本を非難・攻撃する中国や、韓国・北朝鮮に対し、嫌悪感を抱いていますが、だからと言って、何が何でも日本が素晴らしいと、考えている訳ではありません。敵対する隣国をこき下ろし、悪様に言い、溜飲を下げると言う趣味もありません。私は、自分が偏見を持っていると自覚していますから、求める情報は、なるべく普遍的で妥当な事実を得たい、と言う気持でいます。
長谷川氏の著書を読み終えましたが、残念ながら、学徒としての満足感はありませんでした。著書は5年前の、平成27年の出版ですから、氏の理論が正しいとすれば、ロシアも中国も、韓国も北朝鮮も破綻し、国が転覆していなければなりません。しかし現実には、どの国も変わらず存在し、今もって日本を攻撃、批判しています。
数字に弱い私は経済や財政に疎く、彼らが使う数字への反論データを、持っていませんから、その時は黙って聞くしかありません。しかし、時間の経過という神様が、私を助けます。今にも破綻すると言いながら、4年も5年も現状のままなら、氏の理論に無理があるのだと、教えてくれます。90パーセントの事実を説明しながら、10パーセントの誇張 ( 捏造 ) を加え、読者を惑わすというのなら、反日・左翼の学者とどこが違うのでしょう。
これまで私は、左系の学者たちへの批判に力を傾けてきましたが、保守と言われる学者に対しても、誇張や捏造については指摘したくなりました。息子や孫たちのことを思えば、右にも左にも間違いがあると伝える方が大事だ、と考えたからです。無知な人に喜ばれ、本が売れるからと言って、偏見の思想を広めるのなら、社会を騒がせるという害こそあれ、日本のためにはなりません。
話が飛びますが、国会質疑を見ていましても、野党の攻撃は、「桜を見る会」について集中しています。かっての「モリ・カケ」問題と同じで、こんなものは社会を騒がせるだけの事案で、いわば国政の些事です。お花畑の国民には、総理のごまかしがよく見え、「安倍憎し」の世評を大きくしますが、線香花火のような一過性の見せ物に過ぎません。もっと大切な議論があるのに、政治家たちは本気で討議しません。
数を制している自民党が、のらりくらりと答弁し、野党はテレビ中継を意識し、受けを狙った、中身のない議論を仕掛けるだけで、誇張と捏造という点において、経済学者の偏向理論と似ています。長谷川氏の著作を読みながら、私は、国会中継の空疎な質疑を思い浮かべていました。
本当なのか誇張なのか、氏の説明によりますと、安倍総理は、氏の意見を取り上げ政策に反映していると言います。凄い人物だと、そんな風に考える読者もいるのでしょうが、私は違います。「こんな学者の意見に、従っているのなら、」「総理も、大した政治家ではないようだ。」と、失望します。
本論は明日からと致しますが、総理が重用するという長谷川氏の経歴を、本の裏扉から転記し、一区切りとします。
「国際エコノミスト、昭和2年京都生まれ。」「昭和28年、大阪大学工学部卒業。」「新聞記者、雑誌編集者、証券アナリストを経て、」「昭和38年に独立。」「昭和58年に出版した『世界が日本を見習う日』で、」「第三回石橋湛山賞を、受賞した。」
まだ続きますが、後は氏の著作の紹介ですから、省略します。別の情報で知りましたが、氏はすでに故人となられています。私が留意すべき点は、反論できない人を余り酷評してはならない、ということでしょう。