奥様はバンパイァ 40
「そうね。洋子を助けるためにここまできているのだから、あきらめてはいけな
い。M&Gおねがい。洋子のためにたたかって」
「玲加。あなたはこないほうがいいかも」
「どうしてなのM。わたしの友だちなのよ。転校生のわたしに初めて声を掛けてく
れたの。友だちになってくれたの。洋子を助けにいくのにどうしてわたしがいては
いけないの」
「大麻の臭いがしたの。わたしは麻生家の嫁。麻の臭いになれている。でも玲加が
嗅いだら悪酔いするわよ。動けなくなるかもしれない。マタタビに酔った猫みたい
に」
「わたし酔ってみたい。大麻の臭いによってみたい」
「そんな無謀なこといわないで。わたしは逃げ出してきたのよ。大麻の臭いにはも
のすごく強い悪意がふくまれていたの」
「大麻は本来この地方では茎から繊維をとるものだった。臭いに悪意があったとい
うのはたしかなのか」
「たしかよ。そのあまりの強さにたじたじとなって逃げ出したの」
わたしたちはモールの方角にあるき出していた。
臭いに悪意がある。そんなことはない。
臭いには悪意も善意もない。
大麻は縁起のいい植物だ。
お祓いをするときも大麻の精麻でやるではないか。
神社の鈴縄も大麻で綯われている。
カミサンのことばが気になった。
単純にかんがえれば、敵地にたったひとりでのりこんだのだ。
神経が敏感になっていたためなのかもしれない。
だがなんとなく気味の悪い発言だった。
「こんどはわたしも一緒に行く」
「あっ。あれ武だよね……」
玲加が目ざとく見つけた。
わたしたちは、三度モールの駐車場まできていた。
そろそろ閉店になる。
車を発進させるひとたちでこみあっていた。
車のあいだをすいすいとぬって武は裏口に向かっていた。
壁に密着してダストシュートの堆積箱があった。
武は箱の側面をとんと叩いた。扉のように開いた。
「あんなところに……地下への隠し階段があるのだ」
武の後を追いかけた。わたしたちも地下への階段をおりだしていた。
「なるほど」
「G……、なに納得しているの」
「玲加。これが麻の臭いだ。いがらっぽいゴミノヨウナ臭いだろう」
「わたしは甘い臭いがするのだと思っていた」
pictured by 「猫と亭主とわたし」
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「そうね。洋子を助けるためにここまできているのだから、あきらめてはいけな
い。M&Gおねがい。洋子のためにたたかって」
「玲加。あなたはこないほうがいいかも」
「どうしてなのM。わたしの友だちなのよ。転校生のわたしに初めて声を掛けてく
れたの。友だちになってくれたの。洋子を助けにいくのにどうしてわたしがいては
いけないの」
「大麻の臭いがしたの。わたしは麻生家の嫁。麻の臭いになれている。でも玲加が
嗅いだら悪酔いするわよ。動けなくなるかもしれない。マタタビに酔った猫みたい
に」
「わたし酔ってみたい。大麻の臭いによってみたい」
「そんな無謀なこといわないで。わたしは逃げ出してきたのよ。大麻の臭いにはも
のすごく強い悪意がふくまれていたの」
「大麻は本来この地方では茎から繊維をとるものだった。臭いに悪意があったとい
うのはたしかなのか」
「たしかよ。そのあまりの強さにたじたじとなって逃げ出したの」
わたしたちはモールの方角にあるき出していた。
臭いに悪意がある。そんなことはない。
臭いには悪意も善意もない。
大麻は縁起のいい植物だ。
お祓いをするときも大麻の精麻でやるではないか。
神社の鈴縄も大麻で綯われている。
カミサンのことばが気になった。
単純にかんがえれば、敵地にたったひとりでのりこんだのだ。
神経が敏感になっていたためなのかもしれない。
だがなんとなく気味の悪い発言だった。
「こんどはわたしも一緒に行く」
「あっ。あれ武だよね……」
玲加が目ざとく見つけた。
わたしたちは、三度モールの駐車場まできていた。
そろそろ閉店になる。
車を発進させるひとたちでこみあっていた。
車のあいだをすいすいとぬって武は裏口に向かっていた。
壁に密着してダストシュートの堆積箱があった。
武は箱の側面をとんと叩いた。扉のように開いた。
「あんなところに……地下への隠し階段があるのだ」
武の後を追いかけた。わたしたちも地下への階段をおりだしていた。
「なるほど」
「G……、なに納得しているの」
「玲加。これが麻の臭いだ。いがらっぽいゴミノヨウナ臭いだろう」
「わたしは甘い臭いがするのだと思っていた」
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