夢うつつ
16
「どういうことなの」
婦警のコスチュームのホステスが席をはずした。
店長が「お馴染さんだ」と呼びに来た。
翔子が純に小声で訊ねた。
ホステスはさりぎわまで、
「わたし吸血鬼をまちがいなくみたよ。携帯がどうかしているのよ」
と主張した。
「吸血鬼には変化しなかった。
この黒犬の姿だってみえない彼女には吸血鬼なんてみえるはずがない。
おもいこみからくる、幻想だろう。
彼女は疲れていた。
日常の覚醒しているときでも、
疲労がたまり極度のストレスにおちいるとウトウトすることがある。
そのときに、
仮性のレム睡眠状態になることがある」
「ストレスのせいだというのか?」
百目鬼が真面目な顔で訊く。
「おれみたいなノンキャリアにもわかるように説明してくれ」
「むかし、第二次大戦のころ、
戦場行軍で疲労困憊して、
隊列から脱落しそうになる。
でも隊列から離脱することは、死を意味していた。
なにがなんでも、歩きつづけなければならない。
そこで、歩きながら仮レム睡眠状態におちいった。
それでも歩行はつづけていた。
こうしたときに、ひとはすごくリアルな夢をみたという。
故郷の山河であったり、
懐かしい母親があらわれたりとた。
母に会った。母がここにいた。兵士はそう主張した。
母に乳をあたえてもらい、
それで元気になって脱落をまぬがれたという記録がのこっている」
大学時代の恩師からきいたエピソードだった。
「なるほどなんとなくわかったような気がする」
「ほら、もっとシンプルな言葉かあります。
夢がうつつか幻か。
婦警さんは営業が忙しくて睡眠不足で幻覚をみたのでしょう」
「ではこの黒犬はどう説明してくれるの」
プチしていただければ作者の励みになります。
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「どういうことなの」
婦警のコスチュームのホステスが席をはずした。
店長が「お馴染さんだ」と呼びに来た。
翔子が純に小声で訊ねた。
ホステスはさりぎわまで、
「わたし吸血鬼をまちがいなくみたよ。携帯がどうかしているのよ」
と主張した。
「吸血鬼には変化しなかった。
この黒犬の姿だってみえない彼女には吸血鬼なんてみえるはずがない。
おもいこみからくる、幻想だろう。
彼女は疲れていた。
日常の覚醒しているときでも、
疲労がたまり極度のストレスにおちいるとウトウトすることがある。
そのときに、
仮性のレム睡眠状態になることがある」
「ストレスのせいだというのか?」
百目鬼が真面目な顔で訊く。
「おれみたいなノンキャリアにもわかるように説明してくれ」
「むかし、第二次大戦のころ、
戦場行軍で疲労困憊して、
隊列から脱落しそうになる。
でも隊列から離脱することは、死を意味していた。
なにがなんでも、歩きつづけなければならない。
そこで、歩きながら仮レム睡眠状態におちいった。
それでも歩行はつづけていた。
こうしたときに、ひとはすごくリアルな夢をみたという。
故郷の山河であったり、
懐かしい母親があらわれたりとた。
母に会った。母がここにいた。兵士はそう主張した。
母に乳をあたえてもらい、
それで元気になって脱落をまぬがれたという記録がのこっている」
大学時代の恩師からきいたエピソードだった。
「なるほどなんとなくわかったような気がする」
「ほら、もっとシンプルな言葉かあります。
夢がうつつか幻か。
婦警さんは営業が忙しくて睡眠不足で幻覚をみたのでしょう」
「ではこの黒犬はどう説明してくれるの」
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